無個性でもヒーロー目指す!。   作:斬る斬るティー

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第60話:林間合宿③

 

 

 林間合宿三日目。朝早くから生徒達は個性強化特訓を行なっていた。

 

「おぉおおお!」

 

 

「フン!」

 

「がッァ!?」

「はぁあああ!」

 

「フッ!」

「グッウ!!」

 

 当然、切島達も一騎に挑む。

 

 最初に切島が突貫し右拳を突き出すが簡単に右側に避けられ右肋骨に鉄砕を叩き込まれる。例え硬化を使ってもその一撃は骨を軋ませる威力に切島はうめき声を上げる。

 次に鉄哲が背後から腕をクロスして突っ込むが一騎は冷静に左手で腕を掴み右手を鳩尾に当て上に押し上げ勢いを殺さず肩車の要領で殴られた箇所を抑える切島に叩きつける。

 

 すると鉄筋同士を叩きつけた様な耳を塞ぎたくなるような甲高い音が響く。

 

「さ、次は尾白と拳藤のどっち?」

 

 振り返ると視線の先には構える尾白と拳藤の二人がいた。

 

「行くよ尾白!」

「あぁ!」

 

 

 まず拳藤が腕を巨大化さして尾白を掴み一騎に向けぶん投げる。

 

「おぉお!?」

 

 拳藤は尾白を投げる際に水切り石を投げるかのように尾白を横回転させながら投げたために尾白はコマの様に猛回転して一騎に迫り尻尾の攻撃をするが・・・。

 

「これ受けてあげる必要ある?」

 

 一騎は困った顔で頬を掻くが折角だし受けるか!と軽い気持ちで腕をクロスして不壊で前腕を硬めて構える。

 

 

「金剛ノ型・棍棒」

「はぁああああ!!」

「フッン!」

 

 バシンッ!!と大きい音が鳴り一騎は意外に良い一撃と内心思い追撃を考えるも尾白は完全に目を回しふらふらしながら倒れ込む。

 

「後は拳藤だけ」

「うっ、ハァアアァア!!」

 

 一切微動だにしない姿を見て拳銅は少し怯むも直ぐに気持ちを切り替え一騎に向かい走り出す。

 

 ☆

 

 

 

 

「みなさんドンマイ!」

 

 疲れ切っている四人に対してユエは満面の笑みを浮かべみんなに水を手渡し労う。

 

「ゴクンゴクン・・・プハー!」

「只の水が美味しい」

「・・・ユエちゃん、なにかアドバイス無い?」

 

 ユエは拳藤の言葉に首を傾げアドバイス?と口にし、我ーズブートキャンプに参加している生徒に殴る蹴るの妨害をしてる一騎の姿を見て少し悩むと口を開く。

 

「予想外を狙うのはどうです?」

「予想外?」

 

 言われた言葉を口にしながら首を傾げる拳藤をみてユエは顎下に人差し指を当て少し考える。

 

「う~ん・・・一佳ちゃん自分から怪我する覚悟有る?」

「え?」

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

「不死黒」

「ん?」

「私が女だからって顔を気にする必要は無いからね」

「ん?わかった」

 

 少しの休憩の後また特訓を再開し今は一騎と拳藤のタイマンとなっていた。

 

「スーフースーフー・・・・・ッ!」

 

 吸気呼気を繰り返し拳藤は集中力を高めると両手を巨大化して走り出す。

 

「フッ!」

 

 間合いに入ると最初に左ストレートを出すも左手で外側に逸らされ続けざまに右拳を突き出すがそれも一撃目を逸らした左手の裏拳で外に弾かれる。

 

「これはどうする?」

(キタ!)

 

 空いている右の拳を突き出す一騎を見て拳藤は目を見開き前傾姿勢になる。

 

 

 

『いいですか一佳ちゃん。男は度胸、女は愛嬌、オカマは最強と言いますが』

『ごめん最後のは初めて聞いた』

『・・・コホン。時には女も度胸は必要です』

『つまり?』

『つまり――』

 

 聞き返すと妖しい笑みを向けるユエを思い出し 前傾姿勢のまま更に大きく一歩を踏み出す拳藤。

 

『女の子がいきなり顔面で拳を受けたら驚きますよね?』

 

「此所ォ!!」

 

 ――ゴン!!

 

「なっ!?」

「女も度胸ォ!!」

 

 ユエのアドバイス通りに拳藤は顔面で一騎の拳を受けに行った。その行為に流石の一騎も驚き動きが止ってしまう。

 そして動きの止ったのを好機とみて拳藤は鼻血が出るのも気にせず大拳を解除し伸びきっている右腕を掴む。

 

『そして時には剛では無く柔、絡み技も要りますよ。一佳ちゃん達がしてるのは個性特訓だけではなく戦闘訓練も入ってるんですから』

 

「更に!!」

 

 力強く地面を蹴り一騎の足も足場にし下半身を跳ね上がらせ一騎の頸に足を回す!

 

「なっ!飛びつき三角締め!? 」

 

 一騎は当然、アドバイスしていたユエですら拳藤の飛びつき三角締めには驚き思わず個性制御が乱れ天井代わりにしている大量の水をこぼしそうになる。

 

(一佳ちゃんにあんな技が有ったなんて!!確かに柔の攻撃とは言ったけどまさかの関節技、しかも三角締めをあんなに綺麗に決めるなんて!!!)

 

「ウッ」

「上手く、いった!」

 

 飛びつき三角締めをする際に一騎の足を足場にし後ろに跳びながら行なった為か拳藤は後ろに、一騎は前にいく形となり地面に倒れ込む。

 一瞬だけ締めを緩めるともっと深くしっかりと締め直し締めをさっきよりもキツくする。一騎は空いている左手で自身の左頚動脈と拳藤の内腿に手を滑り込ませ僅かにだか隙間を。

 

「こ、の技・・・・女が男につか、うには・・・・度胸が要るだろ!」

「度胸?恥ずかしさのこと?」

 

 一騎の言葉に拳藤は下らないとでも言うかのように鼻で笑うと握っている手に更に力を込め腕を捻る。

 

「そんなもん気にして不死黒に勝てるなんて甘いこと思って無いから、ねぇ!!」

「ウッゥ!」

 

 言い終わりに体を捻り隙間を作る為に挟まれていた左手を外すことができ、更に締める力を強める。

 

(まさか拳藤が関節技を使うとは・・・・・・・・・けど)

 

「ッ!? う、嘘!!」

「か、るいんだよ!!」

 

 拳藤は驚愕に顔を染め声を出す。だっていま拳藤の背中は地面から離れ体が浮いている状態なのだから。

 

(持ち上げられてる!? ま、まってまってまって!!可笑しいでしょ!?)

 

 一騎は立ち上がりゆっくりとだが右腕一本で拳藤を持ち上げたのだ、しかも重りが着いたままで。

 そして持ち上げ水平になるように拳藤を上げ、遂には少し体を反らし空に垂直となる。

 

「これって・・・!!」

 

 今から起きることをなんとなく察した拳藤は顔が引き攣りながら一騎を見ると口角を上げているのを見て察しが確信となる。

 

「よいしょっと!」

「うそでしょ!?」

 

 拳藤が次に何されるか悟ったと同時に一騎は勢いよく地面に拳藤を叩き付ける――が、拳藤は直前で腕を掴んでいた手を離し大拳で地面を殴り叩きつけられるのを阻止する。

 しかし手を離したことで三角締めは解かれ二人は離れるが、

 

「こっからは?」

「しま!」

 

 急いで起き上がる拳藤の片手を掴みうえに上げバランスを崩させると足払いで地面に倒す。

 倒された衝撃で目を閉じた拳藤が目を開け見たのは自身を跨ぎ鳩尾に人差し指を当てている一騎の姿だった。

 

「ワンインチパンチか。・・・ハァ~私の負けだね」

「そう落ち込まなくても。拳藤、お前は強いよ」

 

 立ち上がり良い笑顔で言いながら手をさしだす一騎に拳藤は呆れたとでもいう溜め息をつく。

 

「いまさっき圧倒的な実力差で負かした相手にそれをいう?」

「ん?事実だろ。飛びつき三角締めなんて完全に予想外だったし上手いこと決められた。強かったよ拳藤」

「・・・ハァ~そんな当たり前みたいな顔で言うのは卑怯でしょ」

 

 などと言いつつも拳藤は尊敬し憧れた人にそう言われ嬉しさから笑みがこぼれるとパシッ!と差し出された手を取り立ち上がる。

 

「さぁ!切島さん尾白さん鉄哲さん、一佳ちゃんがここまでの男気?女気?まぁどっちでもいいか、此所までの意地を見せたんです!皆さんも漢を見せるときですよ!!」

 

「「「おう!!!」」」

 

 ユエのかけた発破に切島達は気合いが入り力強く答え戦闘態勢に入る。

 

 

 

 ☆

 

 

 拳藤が一騎に一矢報いた事で切島達の気合いが入り土気が高まっていた。

 

「「うぉおおおおお!!!!」」

 

「フッゥ!」

 

「ウッ!がぁあああ!!」

 

 毎度の事ながら個性を使おうが防御しようが内臓に骨に響く強烈な拳を喰らう。

 いつもなら余りにもの痛みに動きは鈍り踏み込みが浅くなるが、今は拳藤の一戦に当てられ切島も鉄哲も痛みを無視して一騎に至近距離での戦闘を挑む。

 

「漢はァ!!」「度胸ォ!!」

 

「そんなファイト一発みたいな言い方!!」

 

 深く踏み込む切島の顔面に右の裏拳、鉄哲の額に肘鉄を叩き込むが

 

「イッ!」

 

 一瞬一騎の表情が痛みに歪む。さっきまでならこれでも十分通っていたが今はそれが出来なかった。

 

 その理由も拳藤と同じでユエに有った。

 ユエは拳藤にアドバイスした後に二人にこう言った

 

 

『いいですか?お二人は個性での防御を何も考えてません。・・・・・・・どう言う意味、ですか。いいですか、個性を無駄に体全部の部位に使うのでは無く一部に使用するんです。

 体の一部に最大高度で発動するんです。そうすれば硬さも持続時間も大幅に増えると思いますよ☆』

 

 このアドバイスの結果、二人は被弾箇所どころか大まかな被弾箇所の推測すら出来ない。だが!深く踏み込んだことで被弾箇所を自ら決める事は出来た。その結果二人は頭部のみに個性を最大で使用し一騎の攻撃に耐えたのだ!

 そして一騎の攻撃に耐えきった二人はそれぞれ一騎の腕にしがみつき動きを阻害すると次の瞬間一騎の前方からは拳藤、後方からは尾白が迫る。

 

 

(なるほど、尾白と拳藤が全然来なかったのはこれが目的か。合気や力業で振り放せれるけど――――ここは敢えて喰らうか)

 

「不死黒!これが今の私達に出来る全力だ!!」

 

 拳藤は叫び二人は同時に強い震脚をし、尾白は体を捻り拳藤は正拳突きを繰り出す。

 

「尾空旋舞!」

「双大拳!!」

 

 背後からは尾白の回転を加えた強烈な尻尾の攻撃、正面からは拳藤の着撃の瞬間に拳を巨大化しスピードと重量を合わせたパワーある拳が叩き込まれる。

 ドゴン!と重い音が鳴り少しすると四人はそれぞれ後方に下がり警戒し、一騎はその場で膝を着き背を丸め胸を押さえる。

 

(尾空旋舞に双大拳、初めて聞く技だな、個性由来の技か。

 切島と鉄哲は最高の盾に近づき拳藤と尾白も防御と攻撃が上手くなってる。個性もかなりの勢いで成長してる・・・・うん、これなら)

 

 にこりと口角をあげ立ち上がり服に付いた砂をはたき落としてる間に四人は一騎の正面に集まる。

 

「みんな、凄かったよ」

 

 笑顔で言われたことで四人は喜び声を上げ、切島と鉄哲はハグし合い拳藤と尾白は拳を合わせて喜んでいたが、次の一言でその喜びは無くなる。

 

「じゃぁ次からはギアを上げていこうか」

「・・・へ?」

「それってどういう」

 

 引き攣った顔で尾白が問うと一騎は粘り着く様なニッコリとした笑みを浮かべて答える。

 

「休息時間は今の半分。そして次からは俺からも攻めに行くから、ね」

 

「まって!今ですら休憩時間5分なのにその半分って!」

「それに不死黒は虎さんの所方の皆もその休憩時間相手にしてるじゃん!」

「それぐらい直ぐに終わらせられるよ」

 

 切島達四人は一騎の答えに青ざめ後ずさりするも一騎は指をボキボキ鳴らし腰を落とすと思いついたかのように「それなりの技も使うから」と付け足しそして。

 

「さぁ!始めようか!!」

 

 一騎は走り出す。

 この後直ぐにこの世の終わりかと思う絶叫が個性特訓上に響いた。

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

「フ~フフ~♪」

 

 時間は経ち夜。

 何時もなら一騎は食器を洗ったりしているが今回はABの皆が率先して自分たちがやると言い出した為に一騎はキャンプ場キッチンを見下ろせる小さい崖に腰を下ろし鼻歌をしながら見ていた。そんな一騎に近づく影が一つ。

 

「機嫌が良いね不死黒」

「よぉ拳藤」

 

 一騎の元に訪れたのは拳藤だった。彼女はB組委員長として一騎と一緒に後片付けをして居たために今回はしなくても良いと言われ手持ち無沙汰となり一騎の元に来ていた。

 軽く挨拶してから一騎の横に腰を下ろし皆を眺める。

 

「不死黒ってさ」

「ん~?」

「流石に強すぎない?あの一本取ってから以降一切攻撃当たらなかったんだけど」

「そりゃあ強くなるための努力を欠かさず毎日鍛練してるからね」

「鍛練してるからって片手で二人同時に投げ飛ばすなんて普通出来る?」

「一に鍛練、二に鍛練、三四も鍛練、五も鍛練。だよ」

「いや座右の銘かよ」

 

 鍛練馬鹿が言いそうなことを言う一騎に思わず拳藤が突っ込んでしまい少しして二人は吹き出し小さく笑う。そのなか拳藤は不死黒なら『妹第1』が座右の銘になりそうとかんがえる。

 そのあと拳藤は大きく息を吐き手を後ろに着いて星空を眺める。

 

「凄いよね不死黒は」

「なにが?」

「だって不死黒は武術だけでこの世の在り方を変えるんだから。『無個性の人も差別されず笑ってられる世界に』って」

 

 言われた事を一騎は少し考える。確かによく今の個性主義社会を壊し無個性が差別されない世界にすると一騎は言う。だが、本当に出来るのか?と一騎は時折考えてしまう。

 

「拳藤は本当に俺が世界を変えられるなんて思ってる?・・・あ」

 

 考えて不意に口にしてしまったその言葉。自分が何を言ったのか理解した一騎は弱音みたいなことを言ったのを「今の無し!」と言おうとするがそれより先に拳藤が答える。

 

「思ってるよ。不死黒なら絶対に世界を変えられるって」

「・・・え」

「いや寧ろ、不死黒じゃ無いと出来ないと思ってる。だって今の社会でここまで影響を与えてる無個性の人って不死黒以外に居る?居ないでしょ。だから私はこれは不死黒にしかできないと思ってる」

 

 一切の躊躇いも無く言われた事に一騎は驚き目を見開き拳藤に目を向けると、彼女は流石に恥ずかしかったのか顔を少し赤らめ「あはは」と小さく笑い頬をかく。

 その姿を見ると一騎は手を星空に伸ばす。

 

「そう思って貰えてるならモット頑張らないとな」

「うん。私は不死黒の夢を全力で応援するよ!何が有っても!」

 

 嬉しそうに笑い礼を言うと一騎は拳藤に顔を向ける。

 

「ん?」

 

 見られたことに気づいた拳藤はどうしたの?と問いかけるように首を傾げる。

 

「拳藤ってホント良い奴だよな」

「そ、そう?」

「あぁ。世界を変えるなんて大それた目的、全力で応援なんて出来ないだろ。普通は軽く受け流すよ、でも拳藤の言葉には嘘が無かった。だから拳藤は良い奴だよ」

 

 ユエのような妹、発目家族や才子の様なそれなりに長い付き合いのある人、ミルコの様に親を知っているから全体信頼し、応援する例を抜いて、あってまだ1年どころか半年も経っていない人間の野望を全力で応援など到底出来ない。しかも一切の嘘なくだ。

 

 だから嬉しさから一騎は笑顔で何気ない一言をいう。

 

「将来おまえと一緒になる人は幸せだろうな」

「・・・・・ッ!!えっ!!?」

 

 その言葉で拳藤は一瞬で顔が真っ赤になり一騎を見るとバッチリと目が合う。さっきのでも恥ずかしいのに目が合ったのに一騎は一切動揺せずにニコっと笑みを浮かべる所為で更に恥ずかしくなり拳藤は顔を逸らし俯く。

 

「ね、ねぇそれってどうい「お兄様~!一佳ちゃ~ん!」!!?」

「どうしたユエ」

 

 どういう意味で言ったのかを聞こうとした突起にユエがやってくる。それで一騎は直ぐにユエの方を向き立ち上がる。

 ユエを見た瞬間に笑顔を浮かべ立ち上がる一騎の姿を見て拳藤の表情から笑みが消える。

 

(はぁー私バッカみたい。不死黒がそういう意味で言ってるわけ無いじゃん、なに勘違いしてんだか・・・)

 

「どうした?」

「なにも」

「先生達が呼んでるから行きましょ一佳ちゃん」

「うん」

 

 拳藤は無理矢理笑みを浮かべ答えると立ち上がりズボンに付いた砂を軽くはたき落とし歩きだす。そしてみんなの居る所とに向かう途中に拳藤はユエと楽しく話す一騎の姿を見て小さく呟く。

 

 

「・・・クソボケ」

 

 

「ん?何か言ったか?」

「なにも言って無いよ」

「そう」

 

(一佳ちゃん、もしかして堕としかけられてる?)

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 食事の片付けも終わり遂に皆が待っていたイベントがやってくる。

 

「腹も膨れた、皿も洗った!お次は……」

 

「「肝を試す時間だーーー!!」」

 

 ピクシーボブの言葉に上鳴と芦戸が声を合わせて答えて盛り上がる。しかしそれも長くは続かず・・・。

 

「その前に大変心苦しいが、補習連中は……これから俺と補習授業だ」

「ウソだろ!!?」

 

 あまりにものショックに芦戸は目が飛び出すほど驚く。

 

「フシエモ~ン!」

「俺達も参加できるように先生を説得してくれ~!!」

「えっえぇ」

「頼むよぉ~」

「いや流石に・・・」

 

 芦戸と上鳴が一騎の目ですら捕らえられない速度で迫り泣きすがるも流石の一騎も困惑しどうするか悩む。

 

 みんなは知らないが一騎はかなり皆の為に動いている。その内の1つが合宿期間中の食事朝昼晩三食の食事を一騎が作る代わりに補修組の補修時間を早く始め早く終わり睡眠時間を増やせるように取引した。だが流石にこれ以上は一騎には無理だった。

 

「すまんな、諦めろ」

「諦めたくない~!」

「堪忍してくれぇぇ!!試させてくれぇぇ!」

 

 抵抗も虚しく上鳴と芦戸は捕縛布に捕まり残念ながら引きずられていく。

 そして若干苦笑いを浮かべながらピクシーボブからルール説明が言い渡される。

 

「相手に直接攻撃しなければ何でもOK!個性を使って、個人の創意工夫を凝らして驚かせちゃおう!」

「多くの人を失禁させた組が勝利となる!!」

「辞めてください…汚い」

 

 説明も終わり皆がクジを引く。

 

「お、俺のペアはユエか」

「運命ですね♪」

 

 クジが同じだったことに一騎は驚きユエは笑顔で一騎に駆け寄る。

 

「ユエさんはこう言った物はお得意ですか?」

「得意だよ。だって真夜中にいつもの鍛練場に行ってるもん」

「真夜中に山の中に行ってるんですか!?」

「うん。ねぇお兄様」

「あぁ夜目を養うためにな」

「そしてそのまま私とお兄様は満点の星空の下で――」

「一緒に星見たりしたな」

「はい♪」

 

 ☆

 

 

 肝試しが始まり10分位が経った頃だった。

 

「ん?」

 

 一騎が違和感に気づいた。

 

「どうしましたお兄様」

「なあ何か焦げ臭くないか?」

 

 その言葉でみなは気づき疑問を持ち始めたその時!

 

「え!なにこれ!?」

「ピクシーボブ!!」

 

 ピクシーボブが突如後ろに引っ張られるように飛ぶ。

 

「何で…!万全を期した筈じゃあ……!!何で…」

 

 大きな打撃音の後に虎と張るほどのガタイを持つ女口調の男とヒーロー殺しによく似た格好をした蜥蜴の異形型の男が現れそれを見た峰田は震えた声で絶叫した。

 

「何でヴィランが此処にいるんだよォ!!」




 遂に林間合宿、襲・撃!!どうなるか~な。


次回「林間合宿襲撃・前編」

それでは、期待せずにお待ち下さい。
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