復活!!
神野事件当日の朝、とある路地裏に2人の人影があり2人は周囲に誰もいないかを確認し終わると話し出す。
「ユエ追っては撒いたか?」
「はい。勿論ですミルコさん」
その2人はユエとミルコだった。
「才ちゃんありがとう」
『気にしないで』
二人の耳に付けたインカム*1から才子の声が響く。
ユエとミルコが上手いこと監視の目を撒けたのは他ならぬ才子のお陰だった。才子が個性でユエ達の居る位置、監視の数、ルート、その全てを全力でIQを使い予測して二人に指示を出したのだ。だが――。
『でもごめんなさい。私は行けなくて』
才子は一騎救出に行けない。
「しかたねぇよ」
「そうですよ。才ちゃんは監視を撒くのが不可能に近いんですから。寧ろ才ちゃんのお陰で簡単に監視を撒けて大助かりですよ」
申し訳なく謝る才子にミルコは気にしないように告げユエは励ます。
才子の居る聖愛学院はお嬢様学校の為に警備もしっかりしておりそれを公安は利用して一騎と親しい才子に人間を送り警備に扮し監視していたのだ。まぁそれのお陰で才子は自分に付いている監視の数からユエとミルコの監視の数や配置を割り出したのだ。・・・マジ天才。
『そう言って貰えると助かるわ』
『お話し中失礼します才様。ご報告が』
『どうしたのかしら』
『才様から言われておりました人物が寮内に入ってきました。恐らく此方に向かうかと』
『・・・わかりました。では私も直ぐ皆さんの所に行きますので手はず通りに』
『畏まりました』
『ごめんなさいご迷惑をおかけして』
『お気になさらないで下さい。私達は才様の為に動けるのは至高の喜びですので』
『ふふ大げさでしてよ』
どうやらユエ達を見失った所為で公安は才子が何かをしたと決め才子の元を訪れるようで友達に頼み警戒していたみたいだ。
「「・・・」」コクリ
話しを聞いていたユエとミルコはお互いに目配せしてこれ以上は才子の身に危険かもと考え早々に話しを切り上げることにした。
「才ちゃん」
『分ってますわユエちゃん。ヨル』
『ご安心を才子お嬢様。この機器は一騎様と発目様達で作られた物。更にアミお姉様とわたしくしが共同で盗聴阻止していますのでユエ様とミルコ様との内容並びに位置はバレていません』
『わかったわ』
自身のサポートAIからの報告を着て才子は少し考え通信を切る前にユエと放す。
『ユエちゃん』
「なに?」
『私の分もお願い』
「任せて!」
頼もしい返答を聞いて才子は小さく笑い通信を終了する。
通信が終わると二人は持っていたトランシーバーの電源を落としインカムを仕舞う。
「さてと」
「ミルコさんは目的の場所わかりますか?」
「昨夜から実力者のヒーローや特殊部隊の動きが怪しいから今日何かが起きる」
政府側の妙な動きを感じたミルコは見張りにバレないように悪いと思いながらメトリを通しユエと連絡を取り才子に協力して貰いこの日時に落ち合うことにした。だがこの先は未定、どこで目的ごとが起きるかわからなかった。
prrrrrrr
「「!?」」
2人が悩んでいるとき裏路地のしかも近くにある段ボールから通知音が響き2人は即座に戦闘態勢を取り構える。のだが何の反応も無くただ通知音が響くだけで少し考えたミルコが箱にてを伸ばす。
「待って下さいミルコさん」
「なんだ?」
「もし手に取ってポン!といく爆弾なら大変です。私が取ります」
「その場合お前の方が大変だろ」
「まぁまぁ、私は治癒があるので大丈夫です」
「あ、おい!」
「・・・・っ!?」
ミルコの停止も聞かずユエは血刃を作り段ボールを切り開けるとやはり中にあるのはスマホ一台。だがその画面に映し出されていた名前は。
「エリク!!?」
何故?罠?才ちゃんの予測の更に先を?と考えるもユエは体が動きスマホを取り電話に出る。
「もしもし!」
『・・・』
「エリクなんでしょ!」
出るも返事は無い為にユエは声を荒げる。それにミルコは驚き誰か来るかもと耳を澄まし警戒しても誰も来ないためにユエに耳打ちで余り大声出すなと声を開ける。
『俺の判断ミスだった』
「・・・どう言う意味? 敵は誰?お兄様は何処に居るの」
『敵はオール・フォー・ワン』
「オール・フォー・ワン?」
「っ!ちょいスピーカーにしろ」
「は、はい」
ユエの口から漏れたオール・フォー・ワンの言葉にミルコは驚きスピーカーにさせると口を開く。
「おい」
『久しいな小兎ちゃん』
「何年前の呼び名だ。ってそうじゃなくオール・フォー・ワンつったか?あの噂話の?」
『あぁあれは噂話では無く実在の話しだ』
「マジか」
「あの、オール・フォー・ワンって?」
「簡単に言うと何百年もの間裏社会に君臨した悪の帝王だ」
「そんな人物が・・・個性は?」
『名前と同じオール・フォー・ワン。能力は相手に触れて対象の能力を奪い使用しまた、他人に渡すことの出来る個性だ』
「・・・チート?」
「はぁ~まぁ敵は分った目的は何だ」
『色々あるが、1番は一騎の肉体だ』
「お兄様の体?」
「・・・そういう趣味か?」
『一騎を生け贄に弟を蘇らせようとしている』
「どういうことです?」
怪訝な声で問いかけるユエにエリクは説明する。
一騎の
「個性に肉体の主導権を渡す?どういうことだ?」
『人の血や細胞には記憶が宿り、個性には人格が宿る』
(・・・与一って確か前にエリクが言っていた・・・)
「詰まりその与一って奴の個性を屍状態の一騎の中にいれて肉体を乗っ取る腹か」
『1つ付け加えると与一の望みでは無くオール・フォー・ワンの弟を手に入れるための行為だ。あとは無理矢理オールマイトが一騎に関わろうとしたからオールマイトに対する嫌がらせだな』
「ゴミだな」
「クズですね」
『マジで』
『「「死ねばいいのに」」』
3人は綺麗に声がハモる。そもそもミルコはその感情をヒーローとして持って良い物か。
「で、なんでお兄様が狙われるんです?」
『オール・フォー・ワンの弟、その子孫が一騎だ』
「じゃぁユエも」
「・・・」ゴクリ
『いや、ユエちゃんは血を引いてない』
「じゃぁ強姉の先祖か」
「与一さん・・・」
2人は頭を抱えるただユエは見ること違い深く考え込む。
(お兄様のご先祖様が与一さん?そしてその兄がオール・フォー・ワンとかいうゴミ?
いや、それより与一さんの個性をお兄様に入れる。そもそも与一さんの個性って・・・・いや、そもそも前にエリクが言っていたことが・・・・・! もしそうなら最悪、残酷すぎる。お兄様に対する仕打ちが酷すぎる)
「おいユエ」
「へ?あ、どうしました?」
「大丈夫か?」
「はい・・・大丈夫です」
心配して顔を覗き込むミルコに笑顔を向けて答えユエはエリクに真剣な声で聞く。
「それで、お兄様は何処に居ます?」
『神奈川県 横浜市 神野区』
「チッ!遠いな」
「電車等を使えれば昼過ぎには着きますが・・・」
だがそれは出来ない。既に政府には自分たちが追っ手を撒いたのを間違い無く報告があり撒いた場所を中心に交通機関には見張りがいると思われる。
その為に交通機関は使えないだがそうなれば・・・。
「自力で行くか」
「それしかないですね」
『助けに、行くんだな』
「「当たり前」」
『ふっ』
2人の決意の声を聞いてエリクは小さく笑う。
『今回俺は手出しできない。そしていま一騎は心を壊されかけ洗脳されてる。その所為でお前らの事も完全に覚えていないから気を付けろよ』
「はい」
「あぁ。あ、爆豪って生意気な奴は何で狙われた? 『知らん興味無い』 お、おぅ・・・・・・」
一秒の間も開かずの即答にミルコは思わず引いてしまったが、それでも一騎の居場所が分りミルコはいつもの男勝りの笑みを浮かべる。
「だが、情報は助かった」
『気にするな』
「それでもだエリク」
『たくましくなったなぁ~ガキンチョが。それじゃぁそろそろ切るぞ』
「あ、最後に!」
『なんだぁユエちゃん』
「もしもの時は頼りますね」
『あぁ』
☆
「お前達の姉貴だ」
「姉貴?頭湧いてんのかクソ兎」
突如現れたミルコにオールマイト殺害の邪魔をされ苛立つ一騎。
「・・・」ギロリ!
様子の違う一騎に、てか髪や瞳の色も違く絶対に何かやられた上に洗脳もされたと把握したミルコは一騎の後ろに立つワン・フォー・オールを睨む。
「ミルコ」
「黙ってろ。・・・ユエ!」
「わかってます」
オールマイトの掛け声を一蹴するとユエを呼ぶ。するとユエはオールマイトの横に落り立ち重傷のエンデヴァーとエッジショットの治癒を行なう。
(エンデヴァーは急所はギリギリ外れてるけど傷の数が多い上に等間隔の長さ深さの傷が狭い感覚で多い。これだと自然治癒は出来づらく傷口から腐る。
エッジショットさんは脚切断に鼻骨粉砕骨折のうえに頭蓋骨骨折も。どちらも生きてるのが不思議・・・・いや、態とぎりぎり生かした?)
「ユエ少女・・・」
「五月蠅い黙って下さい。後で特別に治癒してあげますから」
「いや、そうでは無く」
「黙って下さい。集中できません」
「す、すまない」
ユエに声をかけるも簡単にあしらわれオールマイトは黙るしか無かった。だがユエもいまは重傷者2名の同時治癒にリソースを割きオールマイトの話しに答える余裕が無かった。
「時間が掛かる。 ミルコさん!お兄様をお願いします!!」
☆
「任せとけ」
「あぁあああ!!イラつくなぁ!姉を名乗るバニー姿のクソ兎に妹を名乗るガキ・・・・っ!(なんで頭が痛いんだ!此奴らを見てると無性に頭が痛くなる)」
痛む頭を抑えガシガシ掻いてからミルコを睨む。
「・・・ス~・・・。どうでもいい、殺せば良い」
「やってみろ!」
犬歯が見えるほど口角を上げ走り出すミルコに合わせ一騎も走り出す。
「オラッ!」
「っ!・・・(重ッ!!)」
右の蹴りを腕を上げガードをするもその強さに耐えきれないと悟りすぐに身を屈め腕を退け蹴りを逸らし、反撃しようとするが
「ガッブギッ!!・・・あぁ?」
「フッ!」
ミルコは軸足を入れ替え逆脚による後ろ突きで一騎の顔面を蹴り抜き、瞬時に態勢を整え軸足だけで飛躍しサマーソルトキックを放つ。
なんとか一騎は身を逸らし蹴りを避けるがギリギリ蹴りが額を掠り血が噴き出す。
「クッソ兎がぁフッ!?」
苛立ちから叫ぶと同時にミルコの頭突きを顔面に喰らい蹈鞴を踏み後退る。
「ミルコさんが・・・押してる!?」
一騎の実力を知る多くの者が驚いた、ユエなんか2人の治癒を一瞬忘れるほど。最初の様子見の段階とは言え、初見でも簡単にカウンターを叩き込める一騎が手足も出せずにいたのだから。
だが!これは当然のこと。オール・フォー・ワンは記憶により洗脳が解けるのを危惧しユエを初め関わってきた人達の記憶を消したのだ。その結果、一騎の武を見て習い身に着けたミルコの技はいまの一騎に通る!!
「チィ!」
顔を押さえていた手には血が付いており、それをみた一騎は曲がった鼻を摘まんで元に戻し手に付いた血を服で拭う。
「こいつあの猫男と違い完全に武を身に着けてやがる。・・・けどもういい、蹴り技が主体だからそれに気を付ける」
「こっからだろ!!」
蹴りに注意し接近戦を仕掛ける一騎にミルコはハイキックを放つも一騎はギリギリで身を引いて躱し蹴り終わりのミルコに拳を放つ!
しかし!!
「アァ"ッ!!?」
噛み合わない!!
蹴り終わりに軸足を変えて蹴りを放つのでは無く!両足を地に着け回転の力を使い更に腰も捻り一騎の拳を外に弾き力強い拳の一撃を放ったのだ!!
「(お前の蹴り技を鍛えた私がお前から何も学ばないわけ無いだろ!)
ハァアァアアア!!!!」
――ドドドドドドンッ!!!!
――正拳六連。
しっかりと地面を捕らえ放たれた付け焼き刃とは思えない完璧な正拳突きは全弾一騎を捕らえる!
しかも止まることなく!ミルコは一騎の髪を鷲掴みにし下に勢いよくおろすと顔面に膝蹴りを叩き込み、仰け反った所で強烈な中段蹴りで上腕骨を砕き吹き飛ばす。
「悪いな。お前相手に手加減なんかしたらこっちが死にかねねぇんだ」
瓦礫に叩きつけられ埋もれる一騎に悲しそうに呟くミルコ。
彼女は知ってる、一騎が『不老不死』をもち死んだ途端に全快して生き返るのを。だから手加減なんてしないし出来ない、故に全力でギリ死なない程度まで叩き潰し気絶させ保護する手段を取る。
「よくも私の弟に個性を入れて洗脳なんてしてくれたなァ。 蹴っ飛ばす・・・いや、蹴り殺す!!」
未だに余裕を見せるオール・フォー・ワンを見ながら両手で髪をかき上げ告げると両足に力を溜めオール・フォー・ワンに向けはしりだそうとしたそのとき
「・・・! うそだろ」
瓦礫が崩れる音がして目を向けると右腕上腕からひしゃげ顔中血塗れになってる一騎が立っていた。
(上腕骨だけじゃなく肋骨も折った感覚があったし何よりあの速度で瓦礫に叩きつけられても意識がたもてんのかよ)
気絶ではなくとも動くことすら出来ないだろう攻撃を食らっても動く一騎にミルコは驚愕が隠しきれなかった。
だが驚愕してもミルコは一騎の左手に中折れした鉄筋が握られてるのを見て咄嗟に一騎に急接近を仕掛ける。しかしそれより早く一騎は鉄筋を自身の首に突き刺し大きく横に捻る。
「クソ!こうなりゃ生き返る前に蹴り潰す!!」
前のめりに倒れる一騎の顔面目掛け跳び蹴りを放つ。
――ドゴッン!!
「なっぁ…グッ!」
突如腹に強烈な衝撃が走りそのまま後方に吹き飛び地面を二回ほど跳ねた後に手足でブレーキをかけ止まる。
「ハァハァッ・・・!? がッハ!はぁはぁ・・・」
膝を着き背骨にまで響く痛み内臓に熱した鉛玉をぶち込まれたような不快感に強い吐き気を感じ口に手を当てると大きく吐血する。
(まじか、たった一撃で内臓損傷かよ。・・・ユエはまだ治療に時間がかかるか)
横目でまだユエの援護は望めないことを知りミルコは口元の血を拭い未だにズキリと鈍く痛む腹を撫でながら立ち上がる。
「アハ・・・・アッハハハハハハハハハハ!!!!」
突如一騎が天を仰ぎみて大きく笑う、何処までも何処までも似合わない狂気の表情で。
「アハハハハ・・・・・ハァ~・・・・・!」
「!?」
俯くと笑い声は消え又静寂が訪れたと思うと一騎は顔を上げる。それにより前髪の間から覗くギラリと赤く光る瞳と目が合いミルコは反射的に後退る。
何故なら訴えかけるのだ。個性の兎か歴戦の戦闘者の感かは分らないが、強烈に逃げろ、殺される、死ぬ、と生命の危機を。
「なぁあ~」
一騎はゆらゆらと幽鬼の様に歩きながら話し出す。
「まさか俺に
「・・・・・・・・・・なっ!?」
覚悟を決めミルコは戦闘態勢を取り、そして・・・お互いがお互いの間合いの一歩外までに迫ったとき一騎がミルコの視界から消えた。
火天ノ型『幽歩』の様に相手の視界に一瞬で回り込むのでは無く本当に一瞬で目の前から消えたのだ。
「何処見てる?」
「っ!?・・・いつのま――ガッ!」
いつの間にか背後に立たれた事に驚き振り返るのと同時に横っ面を殴られ思わず反り返る。
「こっからだろ?」
「チィイ!」
殴られた衝撃で仰け反るも一騎の顔面を狙い右脚を振り上げるが一騎は右手で簡単に受け止めると脚添いに体を回転してこめかみに左の裏拳を叩き込む。
「グッゥ」
「オラァ!」
「ガハッ!?」
首を鷲掴みされそのまま地面に叩き付けられたミルコは僅かに血を吐き叩きつけられた衝撃で僅かに視界が歪むも直ぐに手を払いのけ下半身を跳ね上がらせ顎を狙うも避けられる。
直ぐさま態勢を整え水面蹴りをするがまるで転がってきたボールを止めるかのように簡単に踏んで止められる。
「 クッ! この!!」
「おっと~」
簡単に止められたことにミルコは舌打ちして即座に態勢を変え脚を振り上げるも一騎は軽やかにバク転して着地する。
そこからミルコは幾度となく技を放つ。
右ハイキックからの軸足を入れ替えて後ろ蹴り、又軸足を変えての前蹴り、軽くジャンプして二段蹴り、着地と同時に顎を狙う蹴り上げから避けられるとそのまま踵落とし。
「ハハ♪」
どれも当たらない!どれだけ攻撃をしても全てが躱され、受け流される。
だが仕方がない。
一騎は洗脳でミルコ達の記憶が消えているが、ミルコとの戦闘の後に
職場体験の時や夏休みに入ってからも時折一騎とミルコは模擬戦をしていたために一騎の体はミルコとの戦闘を覚えなんとなく次の攻撃が分るのだ。
「グゥッ!!?」
蹴りを避けられると同時に来た鳩尾への衝撃にミルコは思わず血を吐く。
(こいつ2、3分で私の動きに適応しやがった・・・!)
2人が戦闘して僅か三分で一騎はミルコの攻撃に対応しカウンターを行えるようになっていた。
「
「アッハッハハ♪」
高速で動き不規則な動きで連続蹴りを放つも一騎は必要最小限の動きだけで避けカウンターを叩きこむ。
「お前の蹴りは強い。だから」
顔に来たハイキックを一歩身を引いて蹴りを避け空振りに終わった脚を掴む。
「蹴り終わりを抑える」
「ウッグ!」
胸元につま先蹴りを叩き込みミルコを後退させる。
「それか・・・」
「フッ!」
ミルコは後退するも即座に脚を振り上げるが、一騎は大きく前に出てミルコの太股を片手で抑える。
「始まる前に抑える」
「!?」
「・・・驚いたか、なァ!」
「ガッ!」
意識外から放たれたこめかみへの拳打から続く顎への肘打ち下ろしを喰らい視界が歪み朦朧としだす。
(クッ! 分っていた)
既に分っていたこと
(私では)
ミルコでは
(一騎に勝てないことなんて)
本気の一騎の相手にならないことなど。――――だが!
「それがァ!どうしたぁああ!!」
「あァ"?」
後ろに倒れそうな体を無理矢理起こし信じられない震脚で地面を蹴り砕き激しく土煙が舞う。咄嗟に後方に一騎は下がるが、ミルコは土煙のなか真っ正面から一騎に迫り正面から肩に乗り太股で一騎の頸を絞める。
「このまま絞め落とす!!」
「できるかよ!」
「ッ!」
ミルコが首を絞める際に一騎は手をすり込ませて首絞めを回避していた。
「なら!」
首締めが出来ないなら次の手に切り替えミルコは大きく仰け反る。
「フランケンシュタイナァアァアアァア!!!!」
職場体験のとき一騎との組手で何度か使い投げ飛ばした技。だがこの選択はよくなかった。
「悪手だなァ~」
「ガッァアァ・・・・」
勢いよく仰け反ったのと同時にミルコは後頭部に強烈なつま先蹴りを叩き込まれ、クソと悪態を着き意識を手放す。
ドサリと力無く地面に倒れるミルコを見て一騎は冷めた眼を向けながら脚を上げ顔面に振り下ろす。
「ふっ!」
「グフッ ハァハァ・・・」
「起きたか」
激痛で覚醒したミルコを見て手を伸ばし耳ごと髪を乱雑に掴み持ち上げミルコ顔を同じ高さになるようにする。
「イッ!」
「ジャスト7分。俺相手によく持った方だよクソ兎」
「アァ"!」
自分の耳と髪を掴む一騎の手を掴みながらミルコはガンを飛ばし戦意が折れていないことを示すが一騎には関係無い。
「じゃぁな」
パッと手を離し重力に従い落ちていくミルコにニヤリと笑みを見せると強烈な突き蹴りを顔面に叩き込み吹き飛ばす。
「み、ミルコさん!!」
蹴り飛ばされたミルコをみてユエは悲鳴を上げ叫び、ミルコを蹴り飛ばした一騎は一息つくと最初は小さくだったが次第に大きく片を震わせ笑う。
「は、アッハハハハハハハハハハ!!!!楽しいなァ~!!やっぱり、お前との戦いは楽しい!! なぁ
――ルミ姉
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁ?」
ルミ姉、その一言で一騎は動きを止め表情は徐々に消え能面の様になる。
「ルミ、姉? 誰だ知らない。誰のこと? 姉 あね?彼奴のことか分らない名前なんて知らない・・・」
誰の名なのか知らないが懐かしさを覚えるそれに困惑し頭を抱えながらもう一度『ルミ姉』と口にしたとたんに頭痛の痛みが増し脳内にミルコとの
『不死黒、お前を指名するから体験先は私の所に来い!』
知らない建物の中で正面から勝ち気な笑みを向けてるミルコ。
『なにこの程度の高さでガキみたいに興奮してんだ。・・・あーこんぐらい跳ぶのは無理だったか、ならもっと高く跳んでやるから落ちんなよ!』
ビルを越える高さからの景色を見てからミルコを見ると気づいたミルコは笑みを見せまたしっかりと自分を掴む手に力を入れる。
『おらどうした!もっと腰入れて蹴り打ってこい!組手になんねぇーぞ』
また知らない建物の中で何度も挑み蹴り飛ばされる。
『みそ汁美味いな』
綺麗な所作でみそ汁を飲み驚きながらも懐かしさで頬が緩む顔。
『私に抱かれたいのか』
押し倒された様な形で耳元で囁くと綺麗な笑みを見せてくる。
『なぁ~悪かったって。そんな拗ねんなよ公衆の面前でお姫様抱っこしたぐらいで』
綺麗な夜景を見ている自分の後ろからもたれかけ頭に顎を置いて言ってくる。
『テメェ等、アタシの弟に何してやがる!』
前に立ち同い年(一騎の)と思われる包丁や個性を使った男女達を睨み堂々と告げるミルコの後ろ姿。
「ッウ!!
「どうしたんだい一騎?」
「アッァアァアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
オール・フォー・ワンの呼びかけを無視し周囲に一騎の叫び声が響き渡る。
「なんだ!なんなんだ!!この記憶はぁああ!! 知らない、知ってる!・・・分らないィ!分るゥ! いっいいイタい!痛い痛い痛い!!頭が、また割れるみたいに痛い!!」
頭を抱えながら蹲り痛みに叫ぶ一騎。
いきなり狂った様に叫び何度も額を瓦礫にぶつける一騎にユエは驚愕するもその中で一騎がルミ姉と言ったのを聞いたために記憶を思い出そうとしていると確信するも今はエンデヴァーとエッジショットの治癒で一騎の元に行けなくてもどかしさを感じる、そのとき。
「っ!お兄様!!」
遂に一騎は何度も瓦礫に頭を叩きつけたことで自身で頭をかち割り死亡する。
死亡したことで静かになるも直ぐに唸り声のようなものが聞こえ一騎がモゾモゾと動きまた頭を抑え痛みに叫ぶ。
「ウ"ッぅうううう!!」
歯を食いしばり唸るような声を上げるとゆらゆら立ち上がりオール・フォー・ワンを睨む。
「せん、生!あ、あたまが・・・頭が痛い!!」
痛みで顔を歪ませる一騎を見てオール・フォー・ワンはニヤリと気持ちの悪い笑みを浮かべオールマイトを指さしこう言った。
「オールマイトが原因さ」
と。
「はぁはぁ・・・オールマイト?」
「そうさ、さっきもオールマイトの言葉で頭痛が起きただろ?」
「!」
「全ては彼が原因だよ一騎。だからもう分るね?
バカみたいな言葉を誰が信じるかと殆どの者はそう思うだろうが、今の一騎は違う。
洗脳され、信じられない頭痛に意識が纏らない一騎にはそれが事実で、それが真実で、それが・・・それだけが殺す理由。
「いつも・・・!いつも、いつも、いつもいつもいつもいつもォ!! 邪魔をするゥゥウウウウウ!!!!!」
鬼の形相で走り出し落ちていた刀を拾いオールマイトに向かう。
一歩踏み出す度に土煙を巻き上げ地面を小さく砕き走る一騎を見てオールマイトは逃るも避けるもせず一騎の狂刃を受け入れる。 だがこの女は違う!
「お兄様!!」
ギリギリでエンデヴァーとエッジショットの治癒を終わらせたユエはオールマイトの前に立つ。
自分なら即死でない限りどれだけ斬られようが、骨や内臓を潰されようが死なないから。
「クタバレ!!」
――ダッ!
「!」
――グチュリ。
刃物が人体を貫く音の直ぐ後に血が噴き出す。
はい!諸事情で投稿遅れると言っときながらメッサ遅れました!ごめんなさい(__)
言い訳をすると昔のアニメ偶々見て山に行ってました。舐めてました!!
今度こそ!仮免まで頑張るンゴ! 多分!! きっと! だといいな・・・。
次回「二つの覚醒」
それでは、期待せずにお待ち下さい。
よろしければ評価やコメントの方お願いします!優しいコメントが嬉しいな~。