とある日、神奈川県横浜市神野区で2人の時代が終わりを迎えた。
1人は、かつて裏から日本を支配しかけていた『悪の帝王』と呼ばれた男、オール・フォー・ワン。
1人は、拳1つで絶望を打ち砕き人々を守り平和を体現し、『平和の象徴』と呼ばれた男、オールマイト。
オールマイトとオール・フォー・ワンの戦いは激戦となった。そして、オールマイトと対等に遣り合えるヴィランの存在の証明と長年『
こんな騒動を一大事件を起こした神野での戦いを世間では『神野の悪夢』と名付けた。
そして・・・・・
「集まりましたね」
神野事件終結の同日夜。
とある場所に今回の事件に関わったオールマイトを始めた雄英生奪還作戦に参加したヒーロー達とブラフの情報を流し記者会見をした根津。相澤、ブラド。そして途中参戦したミルコもいた。
本来ならばオールマイトを初め神野区にいたヒーローは重傷だが、ユエが神野事件で怪我をした全員の治療を行ない完治させたためにこの場に全員が集まることが出来たが、ユエの治癒は怪我を治し増血効果は有るが疲労回復の効果は無いために全員、疲れた体に鞭を打ち此所に集まっている。
「皆さん大変疲労しておりますのにお集まりいただき誠にありがとう御座います」
決められた前口上を告げるのは誰もが知るヒーロー公安委員会最高幹部にして、いま世界で最も騒がれている男『不死黒一騎』の父『水無月水重』だった。
「そんな前口上はいらねンだよ。本題を言いやがれ」
公安の最高幹部が来ている時点でとんでもないことの話しの為に皆緊張し重々しい空気のなか、ミルコだけ明らかに不機嫌、苛立ち、殺意を滾らせていた。もしかしたらみなが黙っているのはそれが理由かも知れない。
ミルコの態度に水重は相変わらず死人の様な目を向けるだけで表情を表に出さず本題を話しだす。
「それでは。まず最初に此所での話しは箝口令を引きます。話しの内容は2つ。1つは長年社会の闇に潜み続けた悪の帝王、オール・フォー・ワン。もう一つは今事件で最重要人物、不死黒一騎についてです」
話しの内容は全員なんとなくわかっていた、分っていたが一騎の名が出た瞬間にミルコの圧が増し、全員冷や汗をながす。其処らのヒーローやヴィランが居たら泣いてしまう程の圧だが、水重はいたって冷静に対処する。
「ラビットヒーローミルコ。そう無駄に圧を出すな」
「アァ”・・・チッ」
睨むも言っていることに納得し圧を抑える。圧が消えたのを確認し「では」と言ってから話しを続ける。
「オール・フォー・ワン。個性は名と同じオール・フォー・ワン。その能力は他者の個性を奪い我が物としまた、他者に与える個性。超常黎明期時代から現代まで生きている人物。
人の心の隙間に付け入るのにも長けており、口にする一言一句が挑発的で、神経を逆撫でする事で敵の平常心を失わせて自滅を誘うのが得意とします。心の弱い者には甘言を弄し、恩を売って配下を増やしてゆく悪辣な策略家です。
いままで多くの手下を従え現在でも数は数えきれず、過去多いときには6桁中半までいき「待ってくれ!!」・・・・何でしょう」
水重の話しにオールマイトは慌てて止めに入ったことで冷ややかな目を向けられ一瞬、息が詰まるも即座に気になることを問いかける。
「なぜ、何故君が・・・いや!公安は情報を把握している!」
「知っているのは公安では無く私です」
「では何故君がそこまでの情報を!
「それは今必要な質問ですか? いま、この場の今回の内容に必要な物ですか?」
「い、いや・・・」
「・・・はぁぁー、ただ言えることは我が水無月家は遥か昔から存在している。オール・フォー・ワンの情報も当然ある」
そもそも水重の父『水無月 海神』がオールマイトよりも前にとある人物と協力して戦いオール・フォー・ワンが日本を完全支配するのを防いでいた。その為オールマイトよりオール・フォー・ワンのことを知っていても可笑しくはない。
その事を理解しオールマイトは座る。
「6桁中半までの手下を持っていました。手下以外にもマフィア、ギャング、麻薬カルテルを初めとした海外には『お友達』と呼ぶ犯罪組織との協力がありす」
続々ともたらされるオール・フォー・ワンの情報に全員に緊張が走る。
今回はオールマイトが勝てたから良いがもし勝てなければこの様な最悪が野に解き放たれていたら日本は終わると考えた。
「以上がオール・フォー・ワンによることです。一応言いますが今は対策よりこういった人物がいたと認識でいて下さい」
一拍置いて水重は僅かに目を鋭くしもう一つの内容を話す。
「次は一番大事なこと、これからについてです」
「どう言う意味かな?」
全員次は一騎の話しだと思ったのに『これからについて』と言われた言葉に疑問を持ち代表して根津がどう言う意味か問いかけると水重は何食わぬ顔で返す。
「そのままの意味です。不死黒一騎の事に付いては世界中に関わることになりますので」
「?」
やはり要領の得ない言い方に全員困惑すると水重は言い放つ、無慈悲なことを。
「端的に申しますと、不死黒一騎は無個性では無く元々個性持ちでそれは死なないと効果が発揮しない異例中の異例の個性持ちだったということで世間に発表します」
「なぁっ!!?」
話しの内容に全員が驚愕した。だってそれは、その決断は一騎の無個性でもヒーローになれるという前例を作るのを完全に潰すことになる。
「それとラグドールに関しては個性が消えたのではなく、精神的問題で一時的に個性使用不能になったということにします」
平然と言葉を繋げる水重にミルコが待ったをかける。
「待てよ」
「・・・」
当然そんなのミルコを初め雄英教師達は許せる訳がない。
「ふざけてンのか・・・」
「ふざけてなどいないが?」
ミルコの言葉に水重が応えるとオールマイトが勢いよく立ち上がり決断に否定する。
「そんなの不死黒少年に対しあんまりじゃないか!!」
「だから何だというのです?オールマイトさん」
「っなぁっ!?」
余りにも冷たすぎる言葉にオールマイトは本当にこの人間があの一騎の父親なのかと思い驚く。
「不死黒一騎のことで公開する情報はすでにヒーロー公安委員会会長を初め幹部一同と警察庁長官、一部の内閣府と防衛省のトップの者達との話し合いで決ったことです。・・・何故この情報を話したか、言わなくても分りますよね?」
「・・・!」
右人差し指を口元で立てる仕草を見せる水重に根津はしてやられたと零す。
何も知らない所で権力を持つ者達が勝手に決めてしまった。しかもこの決定に国家までもが関わっているとなればどう言おうと情報操作で嘘も真実にされる。手立てがもう無い、不死黒一騎は最初っから個性持ちにされる。
「それが自分の子にする事ですか!」
「流石に酷すぎませんか!」
「何故我々に内緒でそのようなことを!」
「どうにかならないんですか!?」
マンダレイが怒りを露わにし訴えるとそれに続きシンリンカムイ、虎、エッジショットが声を上げる。
シンリンカムイ、虎、エッジショットの三人はあのとき一騎の手で叩き潰され半殺しにされたのに一騎を責めるどころか庇うのをみてから周りを見渡すと他の人達も同じ意見だと判断し水重は下らないとでも言うかのように溜め息をつくと話し出す。
「あなた方はいま、この場になんの人間として立場としていますか?」
意図の分らない問いかけに全員一瞬考えてしまうもなんの人間、立場などわかりきっている為に誰かが「ヒーローとして」と答える。その答えを聞けて水重は満足のいく答えだったのか心無しに口角が上がる。
「そうあなた方はヒーローとしています。しかし国民の税金から給金が支払われている以上、役職は公務員になります。・・・なにが言いたいかもう、分りますよね?
公務員やお役人は木じゃなく森を見なければなりません」
「!?」
冷たく言い放たれたその言葉に全員黙り込む。
少しの沈黙の後、根津が一切の優しさを感じさせない声色で問いかける。
「詰まり不死黒君を切り捨てろと?」
「えぇ。オール・フォー・ワンの個性が世間に広まればどのような脅威が起きるか未知数です。ならばただの個性複数持ち者として公開し、不死黒一騎も元々特殊な個性持ちだったとした方が断然脅威は少ないので当然の判断でしょ?
腐って菌を持った木は被害が広がる前に切り倒さなくてはね」
根津校長?と最後に付け足し問いかけると根津はなにも言えなくなり相澤達ですら見たことの無い表情で睨む。
「おい」
だれも言えなくなった中、ミルコの地の底から響くようなドスの効いた声が響く。
「なんでしょう?」
「てめぇそれでも一騎とユエの父親か」
ゆっくりと立ち上がり問いかけるミルコに水重は少し黙り込む。
「・・・」ゴクリ
誰の目から見ても一触即発の状態に誰かが固唾を飲む音が聞こえる。
そして遂に水重が口を開く。
「私は只の一度もあれ等の父親だと想った事は無い」
「クズガァ!!」
何の感情も読み取れない声色で言い放たれた言葉にミルコは怒り狂う獣の様な表情で水重に迫り勢いを乗せた蹴りを顔面に向かい振るう!
ミルコの動きを見切れた者はオールマイトだけだった。エンデヴァーを初め他のヒーローはミルコに警戒はしていたものの、その動きどころか初動すら見ることすら出来なかった。
「よすんだミルコ!!」
オールマイトが慌てて停止を呼びかけるももう遅い。 次の瞬間には水重の頭部は潰れたザクロの様になるだろう。
「殺すきか?」
「っ!?」
しかし!ミルコの蹴りは空を切るのみ。
蹴りが当たる直前に水重は一歩後ろに下がり身を引いたことでミルコの蹴りを避けた。
「――グッ!」
蹴り終わりに即座に振り返ったミルコの顎をカチ上げる肘打ちが打ち込まれた。
しかし顎に肘打ちを食らおうともミルコは蹴り上げで金的を狙う。
「野蛮だな」
水重は両手を重ね手の平に水を纏い衝撃を抑え分散して受け止めると同時に即座に蹴りを逸らし右横腹に左の縦拳を打ち込む。
「ウッ!」
打ち込まれた縦拳の衝撃が肝臓にまで届いたのかミルコは表情を歪め横腹を押さえる。
それを見ながら水重は乱れたスーツを直し静かに告げる。
「私がただ後ろにふんぞり返り椅子に座り指示出すだけの人間と思ったか。小娘」
水無月水重、元日本超特殊部隊『八咫烏』出身。
「この!」
見下す様な目で見下ろす水重にミルコは足を跳ね上げ蹴り飛ばそうとするも。
「ちょ!流石にダメですよミルコさん!!」
「そうよ!!」
「落ち着いて下さい」
Mt.レディ、ピクシーボブ、マンダレイがしがみついて妨害して止める。
本来のミルコならこんな事はしない。だが、この男は自分が大好きな
3人に掴まれようとミルコはゆっくりと前に進む。
「お前がどれだけクズでも一騎やユエはなんだかんだでお前を親だと思ってんだぞ!なのに・・・」
「公務に私情を挟むな」
「なっぁんだと」
「そもそも、あれもヒーローを目指す者だ。ならばこうなるのも覚悟のうえだろ」
「だとしても、それをガキにさせることか! お前は、一騎を・・・・自分の子供をなんだと思ってる。道具だとでも思ってんのか!」
激怒して叫ぶミルコ。
ミルコは水無月水重が許せなかった。彼は自分の大好きな不死黒強佳を奪い子を産ませ、そして息子の一騎を大事にしない。自分はどれだけ思おうと、大事にしようと血の繋がった家族にはなれないのに水重は大事に――いや、愛さない。それがミルコにはどうしても我慢できなかった。
「下らない」
「「「ッ!!!」」」
叫びを聞いても水重の表情は相変わらず死人の様にただただ底冷えするような冷たい目を向け言ってくる。その目を自分たちに向けられている訳では無いのにマンダレイ達は息が詰まり僅かに体が震えてしまう。
「道具だとでも思ってるのかだと?・・・・・・当たり前だ思っているとも」
「っなぁっ・・・」
「・・・?」
その言葉に全員声を詰まらせ何にも言えなくなり、ミルコを抑えていたマンダレイ達も掴む手の力が抜ける。
全員が驚き困惑するのを見て水重は何を勘違いしていると思い更に言葉を繋げる。
「勘違いするなよアレだけでは無い。俺も、お前も、お前達も全て道具だ。・・・・ただ
この一言で全員目の前に居るのは本当に同じ人間なのか分らなくなった。
本当は人の皮を被った別の何か、もしくは先の言葉から護国の鬼なのじゃないかと。だがとりあえずオールマイトや根津も含め全員が水重に途轍もない嫌悪感と言い知れぬ恐怖を抱いた。そなの中でほぼ同じ穴の狢であるエンデヴァーは更に酷い顔をしていた。
「それに今回の判断に文句があるようだが、元はと言えばそちらの失敗でしょ?」
「なに」
「私達公安は言ったろ?不死黒一騎は何れ今の飽和社会を
だがそれを無視した結果がこれでしょ?ちょうど雄英側には生徒を除籍しまくった経験のある人が居たのにも関わらず。ならば今回の件そちらに非がありこちらは尻拭いしているだけでしょ」
「言わせておけばァ!!」
「立場をわきまえろよ兎山ルミ」
「アァ”!」
「先の行動をヴィラン行為としてヒーロー免許剥奪も出来るぞ」
「やってみろよ」
「威勢が良いな。だが、本当にやって困るのはお前かな」
「なにを・・・っ!」
そう、これでミルコがヒーロー免許剥奪されヒーローじゃなくなると困るのはミルコでは無い。いや、ミルコは自分が困る分にはどうでも良かった。だがもし一騎とユエがヒーロー免許が無くなった理由を知れば自分達を途轍もなく責めるだろう。
ただでさえ今の一騎とユエには精神的負担をかけたくないのに、だ。
「クズ野郎が」
「お好きに」
どれだけミルコが殺意を向けようが水重は一切気にせず、ミルコが言い返すことが出来なくなると「それでは本日は解散します」と告げ出て行く。
「巫山戯んなよ。
「・・・・・・・」
部屋を出て行く際にミルコはそう問いかけると、水重は足を止め一瞬肩が僅かに跳ねるがミルコを見ることもなければ答えることもなく直ぐに歩きだす。
☆
「クッソガァ!!」
水重が出て行き少しの沈黙の後にマンダレイ達は見るコアから離れるとミルコは地面を踏み砕くかと思うほどに足を踏み締め叫ぶ。
誰の目から見てもミルコの怒りの原因はわかる。そして根津はその原因が自分にもあると思い悲痛な表情を浮かべる。
「お主らしくないぞミルコ」
「・・・」
エッジショットが声をかけるとミルコは深く息を吐いてゆっくり体を起こし「当たり前だろ」と小さく呟く。
「ミルコ、何故貴様がそこまであの子を気にかける・・・」
「・・・」
一騎とミルコの繋がりを知っている根津たち有英側はミルコの態度は理解出来るが、それを知らない他の者達は分らずギャングオルカが問いかける。
皆の視線が自分に集まるのを感じたミルコは悲痛な表情を浮かべたままゆっくりと口を開き話し出す。
「この世には、自分の子を愛したくともそれが出来ず死んだ人が居る」
「? どういう・・・」
「一騎は、私が大好きだった
「「「「「!?」」」」」
「私にとっちゃぁ弟も同然だ」
いつも1人でいる一匹狼のミルコが雄英生とは言えいち学生を自らスカウトして気にかけているのはヒーロー界隈では有名だった。それでも理由は分らなかったが、今言われた言葉は衝撃だったたが、聞いた全員納得した。
「自分の子を
「ちょ!ミルコさん!!流石に・・・・」
「誰が聞いているか分らないんですよ」
ヒーロー公安委員会が用意した会議室な為に盗聴等の心配は無く、安全だが何処の誰が聞いているか分らない。なのに今の言葉は流石にいきすぎた発言だった。
そのことで何人かが言うが、ミルコは「事実だろ」とだけ言い残し会議室を出て行く。
「・・・」
みながお通夜の様な雰囲気を纏う中、エンデヴァーだけは悲痛な表情を表情をしていた。
『
『自分の子を
理由は簡単。先ほどミルコが口にした言葉が脳裏から離れないからだ。
例え血が繋がってなかろうが実の家族以上に思い大事にする。だが逆に血が繋がっているのに子を大事にしない。それにエンデヴァーは思うところが――いや、思うところしかなかった。
己も
だからエンデヴァーは水重の我が子を大事にしない姿に同族嫌悪を抱き。ミルコの血は繋がらなくても亡き強佳と今を苦しむ一騎の為に怒る姿を眩しく見え、口を出すことすら出来なかった。いや、心の何処かでは一騎達の為に本気で怒るミルコに自分なんかが口出しして良いわけがないと思っていた。
「・・・・俺は」
その不意に出た小さい言葉は誰の耳にとまることはなかった。
☆
「・・・」
会議室の有る建物を出て15分ほど走りミルコが辿り着いたのは一騎が入院している病院。
に、ついたのはいいがミルコは冷めた眼を向ける。その向けている先は病院ではなくその前。敷地の出入り口のフェンス付近にたむろっているマスg・・・マスコミにだ。
「・・・はぁ~」
マスコミが要る理由など簡単、一騎への取材だ。神野での洗脳されていたとはいえヒーローへに対しての戦闘行為。このような特ダネをマスゴ・・・マスコミが黙っている訳がない。
既に一騎の家にも大勢集まっている上に発目家や中学の同期を探しだして一騎に対しての取材を行なっていた。
それがたった1日でのことでミルコは嫌気が差し先ほどの事も有ってイラつくも今は怒鳴る気にもならないほど気が落ち込みひとっ跳びでマスコミを越えて病院の中に入っていく。その時にミルコに気づいた取材陣が何か言うも全てを無視して。
「勝手に入らないで、くだ・・・ミルコさん!?」
入って来たミルコに声をかけたのは夜勤担当のナースだった。彼女は最初は担当以外の警備ヒーローが来たことで注意するも来たのがミルコ分かり驚きの声を上げる。
「・・・悪いが一騎への面会さしてくれ」
「すみません。面会時間は過ぎてまして」
「・・・頼む」
「あ、わ、わかりました。書類は此方でどうにかします、ので・・・ど、どうぞ」
「助かる」
本当は良くない。既に時刻は0時に差し掛かろうとしていて、面会時間はとっくに過ぎていた為に出来ないのだが、いままでの男勝りの勝ち気な笑顔はなく暗い今にも泣き出しそうな表情に見えた為にこれ以上は断わりを入れることが出来なかった。
☆
「・・・」
目的の病室まで行くと静かに入室すると死人の様に静かに眠る一騎の側まで行くと膝を着く。
「・・・私は、どうしたら」
震える手で手を握り深く目を瞑り不安を口にする。
「どうしたらいい。・・・私はどうしたらお前を、守れる。このままじゃ生まれつきの個性持ちにされちまう」
多くの人はそれの何がいけない?と疑問に思うだろうが、一騎は目覚めれば事件のことで苦しむだろう。そこに追い打ちの如く個性持ちにされた、元々無個性ではなく個性持ちだったことになったなど更に気苦労をかけることになる。そうなればどれだけ心の強い一騎だろうと精神を病むかも知れない。
精神が病めば自殺するかも知れない。けど与えられた個性の影響で死んでも生き返り永遠に死ねない。そうなれば残るのが精神崩壊。それだけは避けたい何が何でも。でもミルコにはその方法が一つも無い。
「そうだ、他に問題になる事が有り会見を遅らせれば・・・・・
ミルコは知っている。水重が一騎を虐待していた事を。ただこれは一騎から聞いたのでは無く、発目明の母、そして不死黒強佳の親友の発目メトリからだ。彼女と久々に会った時に聞いた。
では何故その時にミルコが水重をこr・・・本気で蹴り飛ばしに行かなかったのかはメトリにある。
『あのクソ野郎!一騎を・・・!!』
『落ち着いてルミちゃん』
『なンでだよ!メトリ姉は許せるのかよ!!』
『そんな訳無いでしょ!! 一騎君の口から直接聞いたときは腸が煮えくり返ったわ!』
『だったら!!』
『けど!これは私達が勝手に問題事にして良いネタじゃないの!いいルミちゃん!
『・・・っ!』
『なにより。当の一騎君がそう思っているから問題にしていない。私達が問題にすれば一騎君の我慢や今まで耐えてきたことを水の泡にするの!だから勝手にこのネタを使うのはダメよ!!』
この様な遣り取りがあった。
更にメトリには愛する夫が居るし大事な愛娘も居る。もし下手をすれば命の危険が自分だけじゃなく家族にも行くかも知れない為に二重の意味で手が出せなかった。
「・・・ど、どうしたら」
握る手を額に合わせ震える声で呟く。
「私は
そこに居るのは常に勝ち気な笑みを見せ皆を安心させる強い女性『ミルコ』では無く。大事な家族を守る事も出来ず、手立てすら思い付かず苦悩し助けを求める1人の女性『兎山ルミ』だった。
ただ世間はそんなミルコの気持ちなど関係無く動く。
翌日の朝6時に全国にとある動画が大量に流れる。それは、水無月 水重が幼き一騎を虐待する姿だった。
そしてその一時間後には世間にオール・フォー・ワンの詳細、一騎が個性を所持していた理由などの情報が事細かに世間に知らされた。
~???~
「・・・終わる・・・遥か悠久の時をえて水無月家は 終わる」
次回「後悔」
それでは、期待せずにお待ち下さい。
よろしければ評価やコメントの方お願いします!優しいコメントが嬉しいな~。