無個性でもヒーロー目指す!。   作:斬る斬るティー

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告白するのは誰かしら~。


第71話:私は貴方を愛しています。

 

 

「なんのようだよオールマイト」

「・・・不死黒少年、私は君に言わなくてはならないことがある」

 

 午前10時ほど一騎の下にオールマイトが訪れていた。

 

 彼は主治医から一騎が目を覚ましたことを聞いて大人としてOFAの先代後継者として緑谷の師匠として一騎に緑谷との関係をちゃんと話すべく訪れた。

 

 

「なんだ?緑谷との関係か」

「そうだ。私と緑谷少年は・・・!」

「黙れ」

 

 関係を話そうとするも一騎は遮りオールマイトを睨む。

 

「お前からなんて聞きたくない。出てけ」

「待ってくれ!説明をさせて欲しい!」

「五月蠅い」

 

 否定されようとオールマイトは諦めず一騎に説明をしようとする。

 自分と緑谷との関係は自分が説明をしなければならない。だって人に話さないようにと釘を刺したのは自分だ。だがその結果、一騎に最悪なタイミングで最悪な人物から知らされた。ならば何が有っても自分がちゃんと話さなければならない、一騎と緑谷の関係に亀裂が入らないように。そして己の責任を果たすべく。

 

「緑谷少年が君に言わなかったのは私が――」

 

 

「五月蠅い!!」

 

 

 だが叫びで強制的に遮られる。

 

「五月蠅い・・・・・・うるさいうるさいうるさいうるさい!!!」

 

 頭を掻きむしり「うるさい」と叫び続ける一騎に驚きオールマイトは少し後退ってしまう。

 

「聞きたくない!なにも、()()()()()()()()()()()()()!!お前からなんて!!!・・・・・・帰れよ!」

「待ってくれ!」

 

「帰れ!出てけ!お前と話なんてしたくないお前の顔なんて見たくない!!」 

 

 オールマイトの顔に枕を投げつけ耳を塞ぐ。

 

「なんで、なんでお前からなんだ なんで・・・あっあぁあああああ!!!」

「ふ、不死黒少ね――っ!?」

 

 子供の癇癪の様に耳を塞ぎ叫ぶ一騎。

 見たことのない姿にオールマイトは驚くも直ぐに落ち着かせようと言葉をかけるも直ぐにとある光景に驚愕し言葉が止まる。

 

(不死黒少年の髪が・・・・!?)

 

 見たのは一騎の白髪が黒髪を浸食するように増えていき既に白髪の部分は7割になり黒髪の方が少なくなっていた。

 そして今も一騎の叫びに合わせるかのように白髪の部分が増えていっている。

 

「お、落ち着くんだ不死黒少年!」

 

「あぁああああああ!!!!」

 

 落ち着かせる為に声をかけるも一騎の叫びは止まるどころか更に強まる。

 オールマイトはどうしてたら良いのか分らず戸惑ってい一騎の白髪の割合が8割に程になったそのとき。

 

 ――ガラガラガラ!!

 

 突如勢いよく扉が開かれる。

 

「・・・」

「だっ誰だ君は」

 

 入って来た人物が誰か分らずオールマイトは驚くも一騎は部屋の間取りの関係で見ることが出来ず誰か分らない。・・・そもそもいまの一騎は絶叫して扉が開いた音にすら気づいていない。

 

「・・・っ!」

 

「あああああ!!・・・・・・!」

 

 入って来た人物は一騎の叫び声を聞くと歩きだす。そしてその人物を見た一騎はピタリと叫び声と白髪の浸食が止まり目を見開き凝視する。

 

「さ、さい・・・・・才せん・・・・ぱい・・・・・あぁ」

 

「・・・!」ギリ! 

 

 頭を掻きむしったことでボサボサになった髪、涙でグチャグチャになった顔、見たくなかった一騎の姿を見て才子はギシリと音がなるほど奥歯を噛み締めオールマイトを睨みズカズカと迫り近づく。

 

「き、君はだれ――」

 

 ――パチン!!

 

「・・・え」

 

「!?」

 

 まだ言っている途中のオールマイトに才子は容赦無く左頬に平手打ちをかます。

 突然のことに一騎は驚きオールマイトはユエのお陰で神野で負った怪我は全て治っていてもビンタの威力に負け蹈鞴を踏む。

 

 そして才子はオールマイトに冷酷な目を向けてから優しい顔で一騎に振り返ると小走りで駆け寄り少しベットに乗ると一騎を胸に抱きしめる。

 

「え?才先輩?・・・」

 

 抱きしめられた一騎は僅かに目線を上げ顔を見るとキリッとした表情でオールマイトを睨む表情が見え驚き声が漏れる。

 オールマイトはヒリヒリ痛む左頬に手を当て才子の敵を見る目を見て後退る。

 

「これ以上一騎君を傷付けないで!!」

 

 怒りの籠もった声で才子は言い放つ。

 

「違う私はそんなつもりは――」

「何処が違いまして? 聞きたくないと嫌がっている一騎君に無理矢理話そうとして苦しめて」

「それ、は」

「・・・貴方が凄い方なのは分ります。貴方にしか救えなかった命、貴方に救われた人の数など万を優に越えるでしょう、十人居れば十人が英雄と言うと思います。でも!」

 

 一騎を抱きしめる腕の力を強くしてギュッと抱きしめると言い放つ。

 

「これ以上 一騎君を傷付けるのでしたら!貴方は私に取って(ヴィラン)でしてよ」

 

 キッパリと言い切る才子に一騎は驚き動くも才子の抱きしめる力が強く抜け出せなかった。

 オールマイトは決してそのようなつもりはなかったが才子の向けてくる目が、先の一騎の姿を思い出し確かに自分の姿は(ヴィラン)だと思ってしまった。しかも暴力を振るタイプではなく、精神を攻撃するたちの悪いタイプ(ヴィラン)

 

「私は・・・」

 

「一騎君に無個性ではヒーローに成れないと巫山戯たことを言い、聞きたくも無いと言っていることを無理矢理話す。どれだけ一騎君を苦しめるつもりでして」

 

「なっぁ・・・・」

 

 一騎は才子の追撃の言葉に驚いた。

 才子に無個性ではヒーローに成れないととあるヒーローに言われたとは話したが、それがオールマイトであることを一言もいっていない。

 

「なんで、俺はそんなこと言って無い」

「そのぐらい分りましてよ」

 

 呟く一騎に才子は少しはなし笑顔を向けて答える。

 

 確かに才子はそのヒーローが誰か知らなかったが、出会った時から一騎はニュースやCMでオールマイトが出ると悲しい目を向け雄英入試以降は敵を見る目をしているのをよく見ていた。

 普通なら気づかない変化だが、才子は一騎が好きで二人っきりの時は一騎にバレないように顔を眺めていたからこそそれに気づいた。

 そしてオールマイトが言ったと確信したのは、一騎が言っていた日を中心にSNS等であの鍛練場の山の情報を調べていると件の日にオールマイトが山から飛び立ったのが撮られておりそれが確信の決め手となった。

 

「さぁ出て行きなさいオールマイト。いまこの場は貴方が居て良い場所では無くってよ!(そもそもどうやってユエさんが絶対に面会許可を出すとは思えない。まさか・・・)」

 

 冷たく言い放たれた言葉はオールマイトの心に深く突き刺さり何も言えなくなった。

 一騎の気持ちなど気にも止めず自分のことを優先した。いままで学校にいるときはなんだかんだ一騎は嫌な顔をしてもちゃんと話しを聞いてくれた為に緑谷との関係など今までにも幾度もなく話す機会などあった。なのに心の弱っている今話そうとしている。最低以外のなにものでもない。

 

「・・・すまなかった」

 

 謝罪しオールマイトは部屋を出て行くその前に横目で一騎を見るが一騎は自分では無く才子を見ていた。自分は一切見られていないかった。

 

「・・・」

 

 部屋を出てからオールマイトはズキズキと痛む左頬を触る。

 グラントリノに吐くぐらい殴られた拳よりも、オールフォーワンから受けた内臓を引きずり出される攻撃よりも、いままでのどのものより痛かった。

 

 

 ☆

 

 

 

「ふぅ~・・・」

 

 オールマイトが出て行き少しして才子は深く息を吐き張り詰めた雰囲気を解くと優しく一騎の頬を撫でると涙を拭く。

 

「大丈夫?一騎君」

 

 先ほどまでとは違い才子は優しい声や表情で問いかける。けど一騎は答えることはなくただ才子を見ているだけだった。

 そんな姿に才子は今は落ち着く時間が要るわねとごちるともう一度笑みを見せてから一騎が投げた枕を取りに行く。

 

「・・・」

 

 落ちてる枕を手に取り軽く側面を叩いて汚れを落とし近くの机においてクローゼットから新しい枕を取り出しベットにセットする才子。その姿を一騎はただじっと見ていた。

 

「わからない」

「え?」

 

 不意に漏れた一騎の一言に才子は疑問の声を漏らす。

 

「わからない」

「えっと。なにが分らないの?」

 

 何故一騎が自分に理解出来ない者を見るかのような目を向けるのか分らず困惑するも才子は笑顔を崩さず問いかける。

 

「わからない、わからないわからないわからない」

「っ! 落ち着いて一騎君」

 

 頭を抱えて背を丸める一騎に才子は驚くも直ぐに落ち着かせようと声をかけ手を伸ばす。だがその手は次の一騎の一言で完全に止まる。

 

「なんで才先輩は俺なんかに優しくしてくれるんですか」

「――!」

 

「俺なんかに優しくして才先輩に何の利益がありますか!何の特がありますか!何も無い、俺みたいな人間に良くして得られることなんて無いでしょ!それどころか中学の時は俺の為に怒って殴られたでしょ!」

 

 中学二年生、まだ自分が印照家の令嬢だと言う事を隠していた頃、才子は一騎を侮辱する三年に文句を言い撤回を求めるもそれが原因で殴られたことがあった。

 あのとき文句を言ったのも才子は『やりたくてやっていること』故に殴られた時も後悔は無かった。しかし一騎はそうでは無い、自分の所為で才子が殴られ気にしていた。

 

「なのに今回はオールマイトを相手にして!才先輩の評価や立場が悪くなってでも優先されるほど俺なんかに価値は無い!無価値なのに!」

「・・・」

 

「分らない。なんで俺如きに優しくしてくれるのか、なんで気遣ってくれるのか!何も分らない! 貴女(才先輩)の考えていることが何も分らない!!!」

 

 両眼に涙を溜め悲痛な表情で叫ぶ一騎。

 いつもの一騎なら絶対にこんなヒドイ事は言わないけど今の一騎の心は何時もとは違う。酷く傷つき弱り切っている。その所為で理解出来ない優しさは多大な不安にストレスになる。

 

「それは・・・私が――」

 

 やりたくてやっていること。いつものようにそう言えば良いのに才子は一騎の目を見て言えなくなった。

 言えなくなるも無理矢理言葉を発しようとしたが、口から言葉は出ずただ数度口を開け閉めするだけ。

 

「んっ・・・」

 

 才子だって分ってる。『やりたくてやったこと』などいまはただの逃げの言葉にしかならないことを。

 なにより、いまの一騎にそんな言葉は届かない。ちゃんと本音で話さなければ。

 

「すぅ~ふぅ~」

 

 そこまで考え才子は数度深く深呼吸を繰り返し近くにある来客用の椅子に座り一騎の手を握る。

 

 

「・・・なんで一騎君に優しくするかなんて決まっているわ」

「なん、ですか?」

 

「私が貴方の事を愛しているからよ」

「・・・はぁ?」

 

 朗らかな笑みの才子から告げられた言葉に一騎は意味が理解出来ず呆けた声が漏れる。

 

 何言っているのか分らないという顔をするのを見て物珍しさに才子は小さく笑うと頬を紅色に染めながらもキリッとした表情で一騎の目を見つめ言いきる。

 

 

「私は貴方を愛しています」

 

「・・・・!!?」

 

 恥ずかしそうに才子は「えへへ」と小さく笑う。

 そして一騎は驚きから 頭の中に恋から鯉・来いと文字変化するみたいに愛・アイ・あい・会い・合い・遇い?といろんな言葉が埋め尽くす。

 

「は?え? あ、い?・・・・それは」

「当然Likeではなくloveよ」

「・・・なんでです?俺は才先輩に好かれることなど何一つしてません」

 

 気持ちをぶつけても一騎は自己評価が低く愛される理由が分らない。そんな姿に才子は深い溜め息をつき「自分の武術に関しては高い評価なのじ自己に対してはとことん低い」と考える。

 

「私が一騎君に惚れたのは初めて会ったあの異形型ヴィランの立て籠もり事件の時。そして好きと自覚したのは貴方が私の為に本気で怒ってくれた時よ」

「なっぁ」

 

 目を見開き驚いた顔をする一騎に才子は僅かに溜め息をつく。

 

(これでも好意をアピールしていたのに)

 

 分っていたこととは言え、やはり一切好意に気づいてもらえなかったことは悔しいと思うが告白した今は関係無いと切り替える。

 

「だ、から才先輩は俺に優しくしてくれるんですか?」

「そうよ。好きな人には優しくしたいものよ」

 

「・・・ダメですよ」

「なにがかしら?」

「俺なんかを好きになるなんて・・・。だって、だって俺は――「愛情を理解出来ない?」 なぁ!?」

 

 言おうとした事を先に言い当てられ驚きと共に何故それを知っていると困惑から何かを言おうとするも言葉は出ず、ただ口をパクパク開け閉めするだけだった。

 

「なんで知っているのって顔ね。ごめんなさい、ユエちゃんから聞いたの」

「・・・あ」

 

 ユエが教えたのならと納得と共に申し訳なさげに言う才子を見て一騎はやはりと思う。

 

「やっぱりダメですよ、俺なんかを好きになるのは」

「・・・なんで?」

「俺は愛がよく分からない。そんな(人間)より才先輩には似合う人は星の数ほどいます」

「居ないわ」

「いますよ。俺より出来た素晴らしい人間は」

「私が好きなのは例え泥にまみれようと目的の為に努力し続けられる人。時代を相手にしても決して諦めない人。なにより大事な人の為なら何処までも頑張れる人よ」

 

「俺はそのどれにも当てはまらない」

「一騎君しか当てはまらないわ」

 

「愛情がいまいち理解出来ない俺は、愛されても才先輩をちゃんと愛せない。幸せには絶対に出来ない」

「だったら、一騎君が愛情が分るようになるまで私が・・・いや、私達が一騎君を幸せにし続けるわ」

「・・・ん? 私、たち?」

 

 才子の言葉の『達』に一騎は思わず反応し疑問文で呟くと才子は笑みを浮かべ答える。

 

「あら知らないの?ユエちゃんは一騎君へのハーレムを作っているのよ」

「はーれむ?」

「あー・・・一夫多妻的なものよ」

「なっぁ・・・」

 

 ハーレムが何か知らず疑問文で呟くと才子の分りやすい説明で理解すると同時に驚くも直ぐに表情は直ぐに元に戻り僅かに俯く。

 

「でもやっぱり俺なんかより真面な人の方が良いですよ」

「・・・一騎君」

 

 ここまで言っても未だに自分を虚仮下ろす一騎に流石の才子も頭に来たのか語気が僅かに強くなる。

 

「私は一騎君のことが好き、愛してるし幸せにしたいし幸せになってほしい。これは誰が何と言おうと私の本音。だから本気だと証明してあげる」

「え?いったいなに――ムグ!?!?!?!?!?!?!」

 

 どういう意味か問おうとした瞬間、才子はそれを遮るかのように一騎の顎に指を添え顔を上げさせると唇を合わせる。

 

「んっ・・・んっ・・・・・・・・ぷは」

 

 キスをして数秒経つと才子は身を引いて唇を離す。

 二人の唇を繋ぐ銀の端が中央でたるんで途切れると才子は僅かに舌なめずりをして妖艶に微笑む。

 

「・・・しゃ、しゃいせんぱい//」

 

 突然のキスからいままで見たことの無い才子の表情に一騎は一瞬で顔を真っ赤にして右手で口元を抑える。

 

「一騎君はどうか分らないけどこれは私の 初めての口付け(ファーストキス) よ」

「!?」

 

 ファーストキスがどれだけ大事な物かなど流石の一騎も一応知っている為に困惑を隠せずにいるのに才子は僅かに顔を赤くするだけで恥ずかしがる様子を見せず口を開く。

 

「一騎君、私は決めたわ。何が有ろうとユエちゃん達と絶対に一騎君を幸せにすると」

「え?」

「印照才子の名にかけてね」

 

 立ち上がりキリッとした表情で告げる才子は思わず一騎が見惚れてしまう程美しいモノだった。

 

「それじゃまた来るわね」

 

 優しい笑顔で別れを告げると才子は荷物を持ってそそくさと部屋を出て行く。

 嵐が過ぎ去ったと思える程静かになった部屋の中で扉がある方を見続けた一騎はゆっくりと唇に触れる。

 

「才先輩ってあんなキャラだっけ?」

 

 そんなことを思いごちるも そもそも才子が変わったのは一騎が原因である。

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

「ふぅ~~~・・・・・っ!」

 

 部屋を出た才子は一度大きく深呼吸をして歩きだす。

 

「うおっと」

「あぶ!」

「きみ危な――「すみません」 いって歩くのはやぁ~」

 

 周りが少し見てしまうほどの速歩きで移動し非常階段まで行く。

 

 

「・・・」

 

 階段の折り返しの場で感知識のライトに照らされ才子は人が居ないのを気配で把握すると両手で顔を抑える。

 

 

(やっちゃったやっちゃったやっちゃったやっちゃったやっちゃったやっちゃったやっちゃったやっちゃったやっちゃったぁっ~~~~~~~~~~~////////////)

 

 顔を真っ赤にしてめっちゃ狼狽えていた。

 

(しちゃった。一騎君とキスをしちゃったぁ~!!!あ、でもでも一騎君も初めてだったらどうしよう!? そしたら私一騎君の初めてを奪ったことになるじゃない! やり逃げみたいじゃない!! 最低じゃない!!! )

 

 頭を抱えながらその場に座り込み壁にもたれると少しして僅かに顔を上げライトの点いていない下の階の暗闇を見る。

 

「・・・」

 

 思い浮かぶは簡単に壊れそうな一騎の姿。

 子供の癇癪のように叫んで頭を掻くむしっている姿なんて見たこともなかった。 

 

 才子にとっての一騎は強くて頼りになり目的の為に頑張る人でクソボケで鈍感な人だった。でもそれが一騎の一部の姿だと分った、一騎にも弱い面が脆く壊れそうな所も有ると知った。

 

「・・・よし」

 

 だからこれからはユエの様に頼れる存在は無理でも時には弱音を吐けるはけ口になり一騎がまた進めるように支えれる様な人になると心に誓う。

 

「あ、ユエちゃんに報告しないと・・・・・・」

『もしもし?』

「・・・・はや」

『才ちゃん?』

「あ、ごめんなさい」

 

 まさかワンコールで出ると思って無かった才子は驚きの声が漏れるもユエの心配する声で我にもどる。

 

『お兄様はどうでしたか?』

「・・・酷く弱っていたわ」

『・・・・そう、ですか』

「ごめんなさい」

『才ちゃんが謝ることは無いですよ。それで今回はどの要件で?』

「ユエちゃんに報告と謝罪を」

『報告と謝罪?』

「えぇ」

 

 電話越しでも首を傾げるユエを幻視しながら才子は一度深呼吸をして覚悟を決める。

 

「一騎君に告白したわ」

『・・・はいィ!!???』

「そいれとユエちゃんがハーレムを作ってることを話しちゃった」

『え?あいえそれはいいんですけど告白したんですか!?』

「えぇ成り行きで」

『ふぁ~~・・・あ!じゃぁあ』

「私も一騎君のハーレム計画に関わらせ貰うわ」

『う~よしっ!』

 

 ガッツポーズして喜んでいるユエの姿が容易につき才子は思わず笑ってしまう。

 

『あでも才ちゃんは大丈夫なの?』

「というと?」

『ほら家的に』

「あ~大丈夫でしてよ。どうとでもするわ」

『ワーオ~たくまし~い』

「ふふ。 っと時間取らせてごめんなさい」

『いえ大丈夫ですよ」

「・・・それじゃぁまた」

『はい、またです!』

 

 電話を切りスマホをバックの中に仕舞うと才子は大きく息を吐いて目を瞑り考える。

 

(でも確かに私は変わったわ。一騎君と出会って)

 

 印照才子は不死黒一騎と出会って確かに大きく変わった。今までなら汗臭い鍛練はせずその頭脳を使い作戦参謀として後ろの安全圏にいた。でも一騎と出会い汗や泥にまみれる程の鍛練をしたり血が出ても努力し続けた。その結果、作戦参謀としてるが必要とあれば最前線に出て戦闘を行ないながら指揮をしたりもするようになった。

 

(凄く良い方向に変わったと思うわ私『印照才子』は・・・・・・・・だから一騎君の為なら何だってする。)

 

 右手を口元にあて薄らと目を開け影のある不適の笑みを浮かべる。それは昔一騎とチェスをして思い通りに進み思わずしてドン引きされたためにしないようにしていたゲス顔。

 

「まずはお父様とお母様を納得させれるネタを見つけるところからでしてよ」

 

 これからする事を考え獲物を見据える獣のようにペロリと舌なめずりをして笑う。

 

「・・・・・・・ッ~~~~~ー//////」

 

 舌なめずりした瞬間脳内に一騎とキスしたのが浮かび一瞬で顔を真っ赤にしてその場にしゃがみ込む才子だった。

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 ~USJ事件後初めてユエと才子が出会った日~

 

 

 

「私と一緒にお兄様のハーレムを作りませんか?」

「・・・・・・え」

「・・・」ニッコリ

 

 思わず思考停止するも僅かに頬を染めながらも満面のを浮かべるユエを見て才子は言葉の意味を理解し段々顔を真っ赤にしていく。

 

「えぇええええ!? なっなんでハーレム!!?」

「なんでってそりゃ~ハーレムなら勝つことは無くとも負けることは無いから!」

「えぇぇ」

「あとハーレムなら妹の私が居ても可笑しくない!!」

「えぇぇぇぇぇ」

「まぁでも本命は他にありまして・・・」

 

 出てきた理由に僅かに呆れながら声が漏れるも次のユエの真剣でいて何処か悲しげな表情を見て才子は真剣な表情になる。

 

「才ちゃんはお兄様が恋愛に鈍感と感じましたか?」

「えぇ。鈍感クソボケと」

「あはは、・・・でも違うんです」

「違う?」

 

「お兄様は愛情を理解出来ないんです」

「――え」

「幼少から無個性を理由に虐待と虐めを受けてました。私はお兄様が居たから愛情を持てました、でも私がお兄様のそれに気づいた時には手遅れでお兄様は愛情をLoveとLikeの違いを理解出来てませんでした。」

「・・・」

「そして愛情を理解出来ないからお兄様は自分を愛せず平気で危険なこともするんです」

 

 思っていた以上に一騎の心が深刻で才子は絶句するのと同時に今まで気づいてくれないことに不満に思っていた事に罪悪感を抱く。

 

「だからユエちゃんは一騎君の」

 

「ハーレムを作るんです。いろんな女性からいろんな角度の愛情が注がれればお兄様は少なからず愛情を理解出来るかも知れません。理解出来れば自己愛も持てて少なからず自分のことも大事にしてくれるかもしれません。

 それに今まで辛い事ばかりだったので誰よりも幸せになって欲しいんです」

 

「そう」

「はい♪なので才ちゃん、私と一緒にお兄様のハーレムを作りませんか?」

 

 先ほどと同じ言葉を継げて手を伸ばすユエのその手を才子は微笑みながら取る。

 

「えぇ」

 

 その事にユエは嬉しさで笑みを零す。

 

「あ、でもちゃん告白はして下さいね」

「え//」






才ちゃんは初めてのキスだったが、一騎は子供の頃にユエと・・・・。

次回「一騎の秘密」


それでは、期待せずにお待ち下さい。
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次回はお休みです!
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