無個性でもヒーロー目指す!。   作:斬る斬るティー

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 今回遂にあの少年が登場するぜ☆

 しんやてんしょん!


第8話:もう一人の無個性

 

 

「よし!完成!」

 

 様々な機具のある工房の中で一騎は何かを完成させ見ていた。そんな一騎の側に一人の男が近寄る。

 

「上手く作れてるじゃないか。不死黒君」

「トウシさん。工房を貸してくれてありがとう御座います」

「気にしなくていいよ。・・・にしても不死黒君のアイテムの設計図見せて貰ったけど凄いな。俺には思いつかないサポートアイテムだよ」

「無個性故に想像力が豊かなんですよ。あ、そろそろ出発するか」

「そっかそっかー。不死黒君にも(彼女)がね~」

「俺にもっていうか世間的に春の季節でしょ?」

「そうだね~(そういう意味じゃ無い)」

「ん?・・・あ、そろそろ行って来ます!」

「いってら~」

 

 楽しそうに手を振り見送るトウシ。そんなトウシの下にメトリが呆れ顔をして近づく。

 

「貴方、あんまり不死黒君をからかってはダメですよ」

「いやーつい、な。息子が居たらあんな感じかなーと思ってな。お前もそうだろ?」

「ええ。そうね『BOOM!!』・・・明また失敗したわね」

「したな~。今回は小爆破だったな」

 

 二人は楽しそうに話していた。

 

 

 

 

「春がね~ってなんか含みの有る言い方だったな」

 

 などと考えながら一騎はポッケに入れている先ほど作った物を入れた箱を触りながら目的地に向かう。

 

 

~数日前~

 

 

 エリが帰ってから月日が流れたある日、一騎の元に1本の電話がかかってきた。

 

prrrrrr

 

「もしもし」

『あ、一騎くん』

「はい、才先輩。どうしたんですか?なんて野暮なことは聞きません。どうだったんですか?」

『受かったわ。しかも首席で』

「おおー!!それはお祝いしないと!!」

『え、良いの?』

「はい!!その為に色々と使えるアイテム考えていたんです!」

『そうなの?』

「はい!」

 

 

 こんな感じで一騎はとあるサポートアイテムを作って才子との待ち合い場所に向かってる。

 

「アミ、後どれくらいで着く?」

《あと30分で着くと思われますマスター》

「了解」

 

ようやくだ。俺と才先輩の会う日にちがそうそうなくてあれよあれよとしてるうちに俺は中三になった。

それで待ち合わせ場所は俺と才先輩の住んでる所の中間地点にある街。折寺市で待ち合わせ。

 

 ☆

 

 

「早く来すぎたか。ゆっくり待とー」

 

 待ち合わせしていた時間は10時だが、一騎の見るスマホの時間はまだ8時になったばっかりだった。

 久しぶりに会えるからといって、昨日から殆ど無い私服を選んで早起きして準備してと気合い十二分で出たが、なにせん時間は早すぎた。だが、それは

 

「あら?一騎くん?」

 

 印照才子も同じだった。

 

 

「あ、才先p・・・!」

 

 才子の服装を見て一騎の思考は停止した。

 服装は白いシャツに薄手のロングカーディガン。下は紺色ジーパンにヒールといった服に春の爽やかさを表したような大人な服装をしていた。しかも一騎は才子の私服をそんなに見たことがないため尚更だった。

 

「に、似合うかしら?」

「・・・」

 

 聞かれても黙って静かにスマホを取り出す。

 

「い、一騎くん?」

「・・・」

 

 パシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャ

 

 突如連写する。

 

「ちょ、ちょっと!! 一騎くん!?」

 

 それを見て才子は一切スマホを見ずに連写する一騎に駆け寄りスマホを抑える。

 そこでようやく一騎は我に返る。

 

「は! 俺は一体何をしてたんだ・・・?」

「なんで何も言わずに連写するのかしら!」

「すみません。俺にもよく分からず」

「もう。恥ずかしいのよ・・・バカ//」

「・・・その赤面!100万ボルト!!」

「何言ってるの!!」

「いや、俺にもよく分からないです」

 

 答えながらも無意識に撮った写真を全部保存する一騎。

 その行為を見ていた才子は恥ずかしく思いながらも、嬉しく思い見て見ぬ振りをする。

 

「それでどう?似合うかしら?」

「凄く似合ってますよ」

「そう?」

「ええ、ほら」

 

 一騎が指を差す方に視線を向けると沢山の人が自分たちを見ていることに気づいた。

 

「うわースゲぇ美人」

「お前声かけてみろよ」

「いや、ムリゲーだろ」

「ねえあの人綺麗じゃない?」

「モデルさんかな? 足長いよね」

「ねえちょっと、あの女見過ぎじゃない?」

「え、ああ、スマンつい」

「ついってなによ!」

「ご、ごめんって!」

 

「ね、才先輩」

「そのようね。でも」

 

 周りの評価の中には一騎への評価も混じっていた。

 

「あの男性も凄いイケメン」

「身長高いよね~」

「付き合ってるのかな?」

 

 一騎の評価を聞いて才子は両手を後ろに回し少し前屈みになり笑みを向ける。

 

「一騎くんも好評よ。その伊達眼鏡似合ってるわ」

「あはは。あ、そういえば才先輩来るの早いですね」

「そう言う一騎くんもね」

「そりゃあ男として女を待たすわけには行きませんから」

「ふふ、なにそれ。それで今日はどうするの?」

「そうですね、今日は学校が休校で明日は休みなので色々と時間はありますよ」

「私も学校は始まったけれど色々あって休校なのよね」

 

「ただ物渡して終わりは味気ないので何処か行きます?ゲーセン、ランワン、映画にショッピング!」

「買い物、良いわね。でも、一騎くんに任せるわ」

「了解しました。 お手をどうぞ、お嬢様!」

「もう!からかわないで!」

「すみません。それでは気を取り直して行きましょうか才先輩」

「ええ」

 

 そうして二人は楽しそうに歩き始めるが、そんな二人を二人組の人が止める。

 

「すみませーん」

「はい?」

「私達、週刊雑誌の者ですがお二人「あのー」はい?」

 

「私/俺」

「「そう言った物に」」

「興味有りません/興味ないです」

「「失礼します」」

 

 そう言って二人はまた歩き始める。そんな二人の後ろ姿を見た二人は呆然と立ち尽くしていた。

 

「あの二人、息ピッタリでしたね」

「・・・そうね」

 

 

 

 ☆

 

 

「それで何処に行くのかしら?・・・一騎くん?」

「うわーデッケー(ヴィラン)

「あ、ホントだ」

 

線路の上で巨人のヴィランと樹木の・・・何だっけ?若手のシンリン・・・シンリンカブリ、だっけかな?そのヒーローが戦ってる。

 

「必先制必縛ウルシ「キャニオンカノン!!」・・・・・え」

 

あ、樹木ヒーローが必殺技を使おうとした途端に女型の巨人がヴィランに跳び蹴りかました・・・。

 

「あれって手柄奪ってるよね?」

「ええそうね。横取りね。しかも物を壊してるから器物損壊罪に当たるわ」

「正義を行なうからって物を壊して良いわけではないのに。あの場合だと樹木ヒーローの拘束技の方が良いはずなのに・・・」

「でもあのヒーローは今日デビューみたいだからインパクトはあるわね」

「へー。正義執行の為なら物を壊しても良いと思ってるタイプのヒーローか」

 

「お見()()()おきを!」

 

「おみお知りおきをで尻を強調する必要あるか?」

「一騎くん、破廉恥です」

「ええ!?俺が悪いのっとと」

「ああ、ごめんなさい!」

 

 反論しようとした一騎は後ろからぶつかられて転けそうになるが、踏ん張って耐え後ろを振り向くと逆に尻餅を着いて見上げてる男性に手を差し伸べる。

 

「コッチこそすまない。立てるか?」

「はい。ありがとう御座います」

 

 緑がかった癖毛とそばかすに、大きく丸い目が特徴的な中学生と思われる男の子だったと。

 

「怪我は・・・なさそうだな」

「は、はい! あ!学校!!」

「遅刻するなよ~」

「はい!」

 

 走り去っていくその男を手を振りながら見送る一騎。

 

 彼はまだ知らない、その男がいずれ深く関わっていくもう一人の主人公との出会いだった。

 

「さて、行きましょうか」

「ええ」

 

 それから二人は色々と見て回り、買い物をし、今は良い感じのカフェテリアで休憩している。

 

「それで学校生活はどう?」

「そうですね~目に見えての暴力とかはそこそこなくなりましたよ」

「その言い方だと、まだ地味な虐めはあるみたいね」

「はい。物を隠されたり捨てられたり切り裂かれたり落書きだったリですね。暴力は同級生はって感じです」

「大変ね」

「大変ですけど教科書の中身は全部覚えましたし、何より俺と仲良くしてくれる人も居ますよ」

「友達が出来たの!」

「そうなんですよ~。隣に引っ越してきた人なんです」

「それは良かったわね」

「はい!その家族もよくしてくれるんです」

「ふふ。(ホント嬉しそうね)」

「あ、そうだ」

 

そろそろ良い時間だから才先輩に渡さないとな。

 

「それでは、才先輩!こちらどうぞ」

 

 差し出されたのは正方形の箱だった。

 

「これは?」

 

 それを手に取り首を傾げる才子。

 

「開けてみて下さい」

「わかったわ。・・・えっとー・・・モノクル?」

「はい。でも只のモノクルではないですよ!着けてみて下さい」

「・・・?」

 

 言われるがままモノクルを左目に装着するが。何も起きず、よく分からず少し首をかしげる。その次の瞬間、

 

《装着確認。起動します》

 

 モノクルが動き出した。

 

「・・・!?これは!?」

「前にエリちゃんを預かるときにAI作ったと話しましたよね?」

「ええ」

「それの才先輩用のサポートAIです」

「え!?いいの!?」

「勿論」

 

 驚いてる才子に更に取り付けていたモノクルの画面に文字が浮かび上がる。

 

《起動完了、システムオールグリーン。 初めまして印照 才子様。私は貴女様のお手伝いをさせて頂くサポートAIです》

 

 このモノクルには、極薄の液晶ディスプレイが搭載されているためだ。だがそれを知らなかった才子は普段の落ち着いた雰囲気はどこえやら手を振りあわてふたしていた。

 

「い、一騎くんどうしたら?」

「とりあえず固体認証を色々して後はそのAIに名前を付ければ良いですよ」

 

 そのまま一騎の手助けのもと固体認証とスマホのワイヤレス設定を終え、後はAIに名前を決めるだけになった。

 

「確か一騎くんのAIの名前はアミよね?」

「はい。アミーゴのアミを取りました。あとはネットと言った意味でしょうか」

「なら貴女の名前はヨルよ」

《固体名ヨル。登録・・・完了。 これからよろしくお願いします才様》

「ええ、よろしく」

 

 色々とすませ、モノクルを外すと一息つき一騎を見る。

 

「ありがと。大切に使わせて貰うわね」

「はい。一応そのモノクルは防水、防振、防弾、帯電防止。水深10~25まではいける代物です」

「・・・すっご」

「これは取説です。どうぞ」

「ありがと・・・・・・よし!全部覚えたわ」

「はや!?・・・あ、そうだ。なんでAIの名前がヨルなんですか?」

「そ、それは・・・」

 

 名前の由来を聞かれ気まずそうに紅茶の入ったコップに口を付け目を泳がせながら一口飲む。

 

「?」

「名前の由来はその~えっと~・・・名前よ

「はい?」

「だから・・・名前よ!」

「え、あはい。・・・え、誰の?」

「それは~・・・内緒」

「そうですか。あ、そうだ。才先輩、少しじっとしといて下さい」

「?分ったわ」

「ちょっと失礼」

「え?(・・・え、ええ、ええええええ!?!?ちょ、ちょっとこれ、どう言う展開!?)」

 

 一騎は才子に顔を近づけると、右手を才子の左頬に添える。それにより才子は頬を赤く染め目を閉じる。

 

「よし、出来た」

「へ?」

 

 一騎が離れるのを気配で感じ添えられていた手の感覚もなくなった事に思わず変な声が出てしまう。そしてさっきまで触られていた左頬・・・正確には左耳辺りを触るとノンホールピアスが着いているのに気づく。

 

「これは?」

「ピアス型デバイスです! モノクルと同じように使えますがただ一つ違うのはそのデバイスは音声だけになります。連結は作るときにしたので設定不要です、よ?・・・どうしました?」

「ふん!別に」

「何か怒ってます?」

「べ!つ!に!」

「あ、はい。・・・スミマセン。少しお手洗いに」

「分ったわ」

 

 トイレに行く一騎の後ろ姿をただ黙って見つめると深い溜め息をつく。

 

(そうよね。一騎くんにとって私は何処までいってもただの先輩よね・・・)

 

 今日は一騎に何度か好意をにおわす行動をしたが、碌な反応を返された事が無いのを思い出す。

 

バカ

「ねえねえお姉さん綺麗だねー」

「一人?」

「・・・いえ、連れが居ますので」

 

 そんな才子に明らかチャラい男が数人が近づく。

 

 

 

 

「ふぅー」

 

なんで才先輩はあんなに怒ったんだろう?

ピアスが気に入らなかったのかな?才先輩が気に入りそうな菱形のアクセサリーが着いているんだけどな~何がダメだったんだろうか?

 

「戻らないとな。・・・・・・・・・・・・あぁ”?

 

なに?あの男達。嫌がってる才先輩に何馴れ馴れしくしてるの?死ぬの?殺されたいの?

 

「とりあえずやるか」

 

 

 

「ね?良いだろ?奢るからさ~」

「結構です」

「良いじゃんか」

「ですから」

「お待たせ、()()

「!? 一騎くん」

「その人達は友達・・・では無いね」

「え、ええそうよ。知らない人達よ」

 

 いきなり才子と名前で呼ばれた事に驚くが自前のQI150でその意とを即座に理解する。

 

「それじゃ、そろそろ行こうか」

「そうね」

「あ?いや待てよ」

 

 二人はカフェテリアを出て行こうとするがソレを男達が進路場に立ちはだかり妨害する。

 

「なんで?」

「良いじゃねえか。才子ちゃん少し貸してくれよ」

「ナンデ? 才子は俺の女だ。疾く失せろ」

「なに~?彼女の前だからって調子付いちゃってるの?」

 

 

 男の一人が一騎の肩に腕を回す。

 

「何か言ったらd!?」

「は?」

「へ?」

「な、にが?」

 

 男達は何があったのか理解出来なかった。その光景を見ていた周りの人達もだ。

 一騎がただ肩に置かれた手を握った瞬間に男が宙を一回転して直立の状態で着地しただけのことだ。だがやられた男ですらただ呆然と立ち尽くし、なにされたのか理解出来ていなかった。

 

「まだやるかい?」

「え?」 

 

 ただ呆然としている男達に目を向け問う。

 

「だ、か、ら、まだやるのかと聞いている」

「ヒィ!」

 

 男は小さな悲鳴を上げる。当然だ、今の一騎の瞳には一切の光が無く、見るモノ映るモノ全てを飲み込む様な漆黒の瞳をしているのだ。

 

「い、いえ。やりません」

「そう。じゃあ行こうか才子」

「ええ」

 

 一騎は才子の手を引っ張りその場を立ち去る。残された男達は只ただその後ろ姿を見ていた。

 

「なんだよあれ」

「あんなの人間のする目じゃないぞ」

「化け物かよ」

 

 

 ☆

 

 

 

「迷惑かけてごめんなさい」

「なんで才先輩が謝るんですか?悪いのはあの男達ですよ」

「それもそうね」

「もし次に俺の目の前で才先輩にあんなゴミ虫が近づいたら・・・・・・」

「ち、近づいたら・・・?」

「容赦なく害虫駆除する」

「一騎くん!? 真顔のマジトーンで言うの止めて!?ヒーロー目指す者とは思わしき表情と声よ!?」

「冗談ですよ・・・・・・・・2割は」

「残りの8割は!?」

「あはは・・・!」

「?どうしたの一騎kって何処行くの!?」

 

 突如走り出した一騎に驚くが、才子も即座に走り出し一騎の後を追う。

 

「・・・え」

 

 野次馬の最前列に着いた才子が見たのは、金髪の少年を依代にしたヘドロ型の異形が暴れ回り、その両手から放たれた爆炎が商店街に火をつけていた光景だった。

 

「何コレ。ヒーローは?」

「居ますよあそこに」

 

 一騎に指で差された方を見ると昼間の女型の巨人、Mt.レディーが現れる

 

「私二車線以上じゃなきゃムリ〜!」

 

 だがビルの間を通れずに声を上げる。

 

「爆炎系は我の苦手とするところ……今回は他に譲ってやろう」

 

 樹木のヒーロー、シンリンカムイは、冷や汗を流しながらヴィランから近い民間人を救出して後方へ下がる。 

 

「そりゃサンキュー! 消火で手一杯だよ、消防まだぁ!? 状況どーなってんの!」

 

 消防士の様なコスチュームを纏うヒーローバックドラフトは、飛び火し状況が悪化しないようそのホースの様にした両手から大量の水を吐き出し消火活動をしながら辺りを見渡す。

 

「ベトベトで掴めねえし、良い個性の人質が抵抗してもがいてる! お陰で地雷原だ。手ェ出し辛え状況!!」

 

 鍛えられた体のヒーローデステゴロは、救助を行いながら手短に近況を報告する。

 

「うそ」

 

 思わず呟く才子。

 そして剰えヒーロー達は相性がどうのこうの、そして何より

 

「有利な個性持ちが来るまで人質の少年には耐えて貰おう」

 

 と言い出すヒーローの言葉を聞いて絶句する。一騎は奥歯を噛み砕く様な音が鳴り、手を強く握りしめる。

 

「―――――かっちゃん!!!」

 

 そんな中、一人の少年が静止を振り切り敵に向かう。

 

「なっ!」

「あの子!?」

 

 一騎達はそんな少年を知っていた。あさ巨人ヴィランの騒動の終わりに偶々自分にぶつかった少年だった。その少年が囚われている少年を助けに行ったのを見て目を見開く。

 その少年は攻撃が来る前に背負っていたリュックを投げ、間合いを潰しそれプラス偶々荷物の中身がヘドロヴィランの目に当たり少しだがヴィランの視力を奪うことにも成功した。

 

「デクゥ、何で、テメェが……っ!」

「分からないっ。足が勝手に動いたんだ、何でか分からないけど!!」

 

 ヘドロの下まで行き、一歩間違えれば死んでしまう状況に恐怖で怯える緑谷が、その両目に今にも零れそうな涙を蓄えて言う。その右手を突き出して、ヘドロに取り込まれた爆豪の手を掴み取るために。

 

「は、はは」

「一騎君?」

 

 その光景を見た一騎は嬉しそうに口角を上げる。

 

「君がっ! 救けを求める顔をしていた!」

 

 綠少年のその叫び声は商店街全域に響き渡る。だが、その声は沢山の野次馬や、止めに行くヒーローの声で掻き消える。

 

「は、はは。 格好いい・・・・な!!」

「い、一騎くん!?!?」

 

 と思われたが、一騎はその言葉を聞き取り笑う。そして一騎は一切躊躇わずに駆け出す。それを目で追えたのは隣に居た才子だけだった。通行止めした警察も少し先に居たヒーローも止めるのが間に合わない速度だった。

 

「もう少しなんだから、邪魔するなぁ!!」

「おい!ドブ野郎!」

 

 声に反応して振り向いたヴィランの目に爆破で砕けたコンクリの破片を投げつける。

 

「あ”? ガア!!」

 

 怯んで隙が生まれた瞬間に姿勢を更に低くして更に走る速度を上げ、綠の少年の下に駆けつけると少年を小脇に抱える。

 

「死ねガキ共ぉ!」

 

 振り上げた腕を振り下ろす。

 

「二虎流 火天ノ型・幽歩」

 

 全員が悲惨な光景を想像するが次に見たのは傷一つ無くただ立ってる一騎達の姿だった。

 幽歩、瞬時に相手の死角に回り込む歩法。

 

「次はコッチの番だ。魔槍」

 

 まだ自分たちを確認出来てないヴィランに声をかけると手を握らず指先を伸ばしたままヘドロヴィラン、その流動体の体に突き刺す。そして

 

「掴んだ!少年!!受け取れ!!」

「え?わ、わああ!」

 

 人質になってた少年を掴み引っこ抜く。その勢いのまま後ろに居る綠の少年に投げる。

 

「さて水斬りだ」

 

 手を抜き、ヴィランの表面に緩く握った拳を当てる。

 

「このガキぃ!」

「弾けろ」

 

 振り上げた腕を一騎に向け振り下ろす。だが、それよりも早くヴィランの体が言葉通り()()()()()

 

 

「「「「「「は?」」」」」」

 

 ヴィランがはじけ飛んだ瞬間に見ていた者達全員の動きが止り、炎の燃え盛る音だけがその場を支配した。

 

 それもそのはず、プロヒーローですら手をこまねいていたヴィランから人質を取り返すどころかヴィランをはじけ飛ばしたのだから。幸いヴィランは流動体の為死んではいない・・・はず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後直ぐに雨が一時的に振り鎮火した。そして人質に成っていた男、爆豪勝己だっけか?ソイツはよく耐えたとか将来サイドキック(相棒)に成らないかとか言われ称賛されていた。

 

そして1番の問題は彼を助けに行った綠の少年、緑谷出久はヒーロー達に怒られてた。

『なんて危ない真似をしたんだ!』とか

『君が危険を犯す必要は全然無かったんだ!!』

とか言われてたけどコレは可笑しいよな?あの場では緑谷が1番ヒーローらしい行動してたのに・・・。

 

俺?俺はただ今絶賛

 

「わかってるの一騎くん!」

 

正座して才先輩に怒られてます、はい。

 

「聞いてるの?」

「はい!聞いてます! 才先輩のお言葉でしたら一言一句聞き逃しません!!」

 

「はー。確かにね、相性がなんだ、個性が何だと言って剰え有利な個性を持ったヒーローが来るまで人質の子に耐えて貰おうとかヒーローらしからず無責任で、有利な個性をもった人が来る前に人質の子が死んだらどうするのと考え無しの発言と行動のヒーローに呆れてあの綠髪の子の勇敢な行動に感化されたってのも分るわ。

それにアナタならあの程度のヴィランは子供同然だから危ないとか思わない!。でも!

 

ヒーロー達の面子もあるでしょ?自分たちが手こずってた事を学生が難なくこなしてたら面子も何も無いわ!

現に、醜態しか晒してなかったのに勇敢な行動をした子に自分の行動を棚に上げてもっともらしいこと言って大人ぶって怒ってるだけなんだから。大人として、ヒーローとしての面子を潰してあげては可哀想でしょ?」

 

「あの」

 

「ヒーローも人気商売なの!此所で立派なヒーロー、立派な大人を演じて人気を集める必要があるの。それを取ってはダメ!

 

 二車線以上の広さにしか入れないんだったらなんで来たのとか、木が火に弱いとか勝手に決めつけて諦めるし、力しか取り柄がなくなんの役にも立ってなく、考え無しだったとしても仕事なの!取って邪魔したらダメよ!!

そんな人達も今は偉そうに怒っているけど」

 

「あの!才先輩」

「なに?」

「さっきからお説教のお言葉が俺よりも後ろに居るヒーロー?の人達の心に突き刺さってるみたいです」

 

 言われて後ろを振り返ると言葉を聞いていたであろうヒーロー達が全員気まずい表情で俯いていた。特に緑谷を叱りつけていたヒーローは更に酷い表情だった。

 

「・・・あー・・・まあ、この人達は・・・自分に思うところが有ったのよ」

「そうですか」

「さて、それじゃ帰りましょうか」

「はい」

「ま、待って下さい!」

「なに?」

 

 差し出された手を取り立ち上がり一緒に帰ろうとした一騎を緑谷が呼び止める。

 

「ぼ、僕は無個性なんですけど!貴方みたいに強く成れますか?」

「え?」

 

こいつ、無個性であんな事したのか!?なんだよそれ。は、はは。

 

(な、何聞いてるんだ僕は!?あんな技個性に決まってr「成れるんじゃない?」え?」

 

 質問した後にバカなことを聞いたと思い俯いた緑谷は一騎の返答を聞いて顔を上げる。

 

「だってアレ個性じゃ無いもん」

「ええ!?そうなの!?」

「おう。武を身に付け鍛え上げたものだよ?」

「じゃじゃあ!」

「えっとー名前緑谷だっけか?」

「は、はい!」

「お前凄いよ。ヒーローの素質あるよ緑谷」

「え」

「あの場で1番格好良ったぜ!俺は雄英を目指してる。だから雄英で会おうぜ!」

「・・・!」

 

 この時、緑谷は後ろを向き沈む太陽の方に歩く一騎の後ろ姿に自身の憧れるヒーロー、オールマイトが重なり感動した。

 

「じゃあな同類」

 

 その場を立ち去りながら手を振る一騎。才子はそんな一騎の後ろ姿を嬉しそうに少し見つめてから緑谷に礼儀正しく一礼して一騎の下まで駆け寄る。

 

 そして緑谷は立ち去る一騎に綺麗なお辞儀をする。そして爆豪は自身に全く触れられ無かったことに内心イラつき舌打ちする。

 

「一騎くん凄く嬉しそうね」

「同じ無個性同士ですもの。それに同じ無個性であそこまでの度胸見せられたら嬉しくも成りますよ」

「ふふ」

「あー雄英で会えるの楽しみだな~」





そう!出てきたのは緑谷だぜ!
因みに一騎がヒーローや警察に怒られなかったのは才子が家の権力を使ったからです。


大変長かったですけど遂に次回から本編開始です!
本編始まるまでに8話も使うなんてね。

てか、お気に入りが100を越えるなんて思って無かったので嬉しいです!
それでは、余り期待せずに次回をお待ち下さい! では!
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