無個性でもヒーロー目指す!。   作:斬る斬るティー

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第79話:仮免試験

 

 

 

「――さま」

「・・・っ」

「お兄様」

 

 バスがもうじき目的地に着くためにユエは隣で寝ている一騎の肩を揺すり起こす。因みにバスの席は林間合宿の時と同じ。

 

「・・・っん? もう着くのか」

 

 うっすらと目を開けて周囲を見てもう着くと判断して背筋を伸ばす。首を動かしポキポキと音を鳴らし隣に座るユエと八百万が見ていることに気づき首を傾げる。

 

「どうした?」

「お兄様体調は大丈夫ですか?」

「なんで?」

「不死黒さん何度か魘されていましたよ」

 

 ユエの問いに疑問文で返すと八百万が答える。

 それで質問の意味が分った一騎は笑みを向け答える。

 

「大丈夫。ちょっと体外離脱でエリクにやられまくっただけだから」

「魘されるほどにですか?」

「そう。どの新しい技も初見で対応されるから。・・・だから大丈夫だよ」

 

 心配な顔をする2人を見て一騎は優しく2人の頭をなでる。

 

 

「おい、下りろ。到着だ」

 

 バスが止まるのと同時に相澤の下車の合図で一騎は手を放す。

 

「行こ。結花、千瀨(ちせ)

 

 

 ☆

 

 

 

「試験会場はここ国立多古場競技場で行う」

「才先輩と同じ会場だ」

「ですね。久々に会えますね~」

「だな」

 

 会場を見ても何処か分らなかったが相澤の説明で才子と同じ会場だと知り嬉しそうにする一騎。それを見てユエも笑顔になる。

 

「おい、あれ見ろよ」

「雄英の制服だ…」

「雄英と会場が被ったか…!しかも、あの顔」

「不死黒一騎と不死黒ユエだ!」

「一騎様とユエ様のツーショット。永遠の待ち受けですゾ!」

「良かったねミドコ」

「なにが様だよ。あんなヴィ「あぁ”?」 ごめんなさい」

「次またそんな巫山戯たこと拙者の前で言ったら・・・また埋めますゾ?」

「はいごめんなさい」

 

 一騎達はバスから降りて直ぐに周囲からの目線を集める。しかし一番集めているのは当然一騎とユエだった。

 2人は良くも悪くも有名人。一騎をヴィラン、ユエを狂人悪く言う人が居るがそれと同等かそれ以上に一騎とユエに応援の声を送る人も居る。2人のカップリング推しが出てくる程に。

 

「やっぱ目立つな不死黒とユエは」

「な~スッゴい撮られてるよな」

 

 周囲を軽く見渡すだけで一騎達を見て楽しい顔を向ける者と疎ましい顔を向ける者が多数いた。

 

「試験て何やるんだろう。ハー仮免取れっかなぁ」

 

 みんなが話してるなか、峰田が不安を吐露する。

 すると相澤がダランと力が抜けたかのように前屈みに成り峰田と視線を合わせると力い目を向け話す。

 

「峰田。取れるか取れないかじゃない。取ってこい」

「おっもっモロチンだぜ!!」

 

 言われたことばに元気に峰田が返すと相澤は背筋を上げると生徒全員の顔を一度見る。

 

「この試験に合格し仮免許を取得できればおまえらタマゴは晴れてヒヨッ子……セミプロへと孵化できる。頑張ってこい」

(お兄様はとっくに成鳥の気がするけど・・・)

 

 相澤のその言葉に皆は気合を入れ直す。

 

「っしゃあ、なってやろうぜ!ヒヨッ子によぉ!!」

「いつもの一発決めてこーぜ!!」

「お兄様!掛け声を!!」

「え、俺!?」

 

 ユエの唐突な振りに一騎が驚くと上鳴と切島が左右から肩を組み「委員長のお前以外誰がやんだよ!!」という。

 

「それじゃぁ・・・・・全員もれなく!!仮免取るぞ!!!」

 

「「「「「おぉ!!」」」」

 

「せーーのっ!!」

 

「「「「「「PLUS……「ULTRA!!!」」」」」」

 

「「「「「え、誰!?!??」」」」」

 

 掛け声の中で長身でガタイのいい丸刈りで四白眼の男が混じってることに気づき全員驚愕する。

 

「勝手に他所様の円陣に加わるのは良くないよイナサ」

「ああ!!しまった!!どうも!!大変!!失礼!!致しました!!!」

 

 校訓に乱入してきた男は謝りながら地面に頭を打ち付けるほどおじぎをする。

 

「なんだこのテンションだけで乗り切る感じの人は!?」

「飯田と切島を足して2で割った感じだ!」

「いや、失礼すぎるだろ。」

 

 上鳴と瀬呂にツッコミをいれる。相澤はイナサと呼ばれた男を見て目を細める。

 

「この男は」

 

「あぁ…間違いない」

「西の有名な学校だよ!」

「東の雄英。西の士傑…」

(数あるヒーロー学校の中でも雄英に匹敵する程の難関校!士傑高校!)

 

「一度言ってみたかったっス!!プルスウルトラ!!自分夜嵐イナサって言います!!雄英高校大好きっす!!

 雄英の皆さんと競えるなんて光栄の極みっす!!よろしくお願いします!!」

 

「余り迷惑かけるなよイナサ」

「ウッス!」

「えっ・・・盲天!?」

「よ!一騎」

 

 イナサの肩に手を置き注意する男を見て一騎は驚き思わず名を呼ぶと盲天は軽く手を上げて声をかける。

 

「不死黒知り合い?」

「あぁちょっと」

「あっ!盲天さんが居るってことは」

「私もいるよ~ユ~エちゃ~ん」

「ミクちゃ~ん」

 

 盲天の後ろからヒョコっと顔を出した女性を見てユエは駆け寄り二人はひしっと抱き合う。

 

 

 荒天 盲天(あらたか もうてん)荒天(あらたか)未来(みく)。一騎とユエが職場体験を終えたあとに一緒に出掛けた(デート)で寄ったデパートで出会った二人*1

 

 

「士傑高校だったんだな」

「言ってなかったな。スマンスマン」

 

 驚く一騎に対し盲天は笑みを見せ手を差し出す。差し出された手を見て一騎もしっかりと手を握る。

 

「お互い全力で挑もう」

「おう」

 

「おい!あれ!!」

 

 二人が握手を交わすと野次馬の誰かの驚く声が聞えそちらに目を向ける。

 純白のワンピース型の制服に身を包み、列を乱さず歩く女子の団体。その先頭を歩く女子を見て一騎が呟く。

 

「あ・・・才先輩」

 

 歩いているのは印照才子を初めとした聖愛学院の人達だった。

 

「あら、ごきげんよう。 雄英高校と士傑高校の皆様」

 

「「「「「「「「ごきげんよう」」」」」」

 

 才子がカーテシーのお辞儀で挨拶をすると後ろを歩く他の聖愛学院のみんな同時に一切乱れること無く同じカーテシーのお辞儀をして挨拶する。

 

「ガチのお嬢様だけが通う日本トップ4のヒーロー校、聖愛学院じゃん」

「しかもあの先頭に居るのいま数々の難事件を解決し犯人を突き止める天才高校生探偵・印照才子だ! 本物!?」

 

「なぁユエ、才先輩って凄い有名人なの?」ヒソヒソ

「おっお兄様・・・」ヒソヒソ

 

 周りの才子に向ける言葉に一騎が耳打ちで戻って来たユエに聞くとユエは少しズッコける。

 そして一騎に耳打ちで教える。

 

「才ちゃんは今年の全国ヒーロー校・ヒーロー科生徒人気投票ランキング二年生の部ぶっちぎりの1位ですよ」ヒソヒソ

「そうなの!?そんなんあるの!?」ヒソヒソ

「それ抜きにしても数々の事件を解決したり、優雅に可憐に美しく遭遇したヴィランを倒し捕縛するごりっごりの武闘派としてテレビに引っ張りだこなんですよ?」」ヒソヒソ

「良くテレビ出てる?」ヒソヒソ

「出てます。超有名人です」ヒソヒソ

「スゥゥ~~~~知らなかった」

(まぁ才ちゃんはそういうの知らずに1人の女として接して欲しいみたいですから知らなくていいと思いますけど)

 

「・・・ふふ」

 

 片手で顔を押さえ天を仰ぐ一騎を見て才子は自分のことを何も知らなかったことを知ったことで天を仰いでいると直ぐに分かり少し笑う。

 

「才様お時間が・・・」

「わかりましたわ」

 

 左後ろにいた女性が耳打ちすると才子は時計を見て一騎達に近づく。

 

「お互いに頑張りましょ」

「はい」

「あぁ」

 

 代表として雄英は一騎、士傑は体毛が特徴的な毛深い男と握手を交わす。

 

「では又後ほど。・・・ごきげんよう」

 

「「「「「「「「ごきげんよう」」」」」」」」

 

 最初と同じくカーテシーお辞儀に挨拶をして試験会場に向かって歩きだす。

 

 そしてそのあと士傑生徒も会場に向かい、相澤から夜嵐イナサのことを皆にしらされ警戒しておくようにして、更に傑物学園と交流をして会場に向かう。

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 コスチュームに着替えた一騎達は説明会場に集まる。しかしその会場が受験者が1540人もいてぎゅうぎゅう詰めになっていた。

 

「ユエ、もっとこっちおいで」

「は~い」

 

 更に強く一騎の腕に抱きつきユエは幸せな顔をする。

 そんなとき2人の護衛を連れた目の下のクマが濃い公安委員会の人間が教壇の様な場所に立つ。

 

「えー…ではアレです。仮免のヤツをやります。あー…僕はヒーロー公安委員会の目良です。好きな睡眠はノンレム睡眠です。仕事が忙しくて碌に寝れない…!人手が足りてない…!眠たい…!そんな信条の下、ご説明させていただきます」

 

「相変わらず眠たそうな顔ですね~」

「知り合い?」

「私に自分たちの都合のいい回復道具になるように国のためとか綺麗事並べて説得に来た人間の一人です」

「・・・そっか」

 

 ユエの話しを聞いて一騎は鋭い目付きになるが直ぐに何時もの目付きに戻し話しを聞く。

 そして眠たそうにして締まりのない感じで説明が始まった。

 

「ずばりこの場にいる受験者1540人一斉に、勝ち抜けの演習を行ってもらいます。現代はヒーロー飽和社会と言われ、ステイン逮捕以降ヒーローの在り方に疑問を呈する向きも少なくありません」

 

 目良はその後少しの間ヒーローについて語ってから説明に戻る。

 

「―――そのスピードについていけない者ははっきり言って厳しい。よって試されるはスピード!条件達成者先着100名を通過とします」

 

 先着100名を聞いて会場がざわつき出す。無論それはA組も。

 

「受験者は全員で1540人。合格者は5割だと聞いておりましたのに」

「つまり合格者は1割を切る人数ということね」

「ますます緊張してきたぁ」

 

(合格出来る確率は低いけどエリクに勝てる確率に比べたらぜんぜん高いな)

 

 A組もざわつくが一騎は比べる基準が違い過ぎる物同士を比べて呑気に考えていた。

 

「それではルール説明を始めます

 受験者はこのターゲットを3つ、身体の好きな場所、ただし常に晒されている場所に取り付けてください。足裏や脇はダメです。そしてこのボールを6つ携帯します。ターゲットはこのボールが当たった場所のみ発光する仕組みで、3つ発光した時点で脱落とします。3つ目のボールを当てた人が"倒した"こととします。そして2人倒した者から勝ち抜けです。ルールは以上」」

 

 された説明に全員はこれがスピード勝負の勝ち抜け試験と言う事を理解する。

 

「えー……じゃあ展開後、ターゲットとボール配るんで。全員にいきわたってから3分後にスタートとします」

 

 言葉に合わせ壁が倒れUSJの様な試験会場が姿を現わす。

 

「各々苦手な地形、好きな地形あると思います。自分を活かして頑張ってください」

 

 

 

 ☆

 

 

「全員にターゲットとボールが行き渡りましたね。それでは1分後に試験開始します」

 

 緊張感鳴く言い放たれた言葉に全員驚きながらも同じ学校の者達と共に試験会場の中に散っていく。

 

「じゃ、俺このへんで皆と別れるは」

「え!?」

 

 皆と別れて直ぐに一騎は立ち止まり皆と別れると伝える。すると当然緑谷を初め多くの者が驚く。

 

「なんで!」

「なんでって・・・理由要る?」

「けどひとかたまりになってる方が生存確率があかるよ」

「だろうな。雄英は体育祭で個性を知られてないというアドバンテージを捨ててる。なら最初に雄英を潰しに来るだろうし俺ならそうする」

「だったら!一緒に居る方がいいじゃねぇか!!」

「なぁお前等」

 

 しつこく引き留めようとするクラスメイトに一騎は溜め息を着き右手で前髪をかき上げると冷たく言い放つ。

 

「お前等ヒヨッ子になるんだろ?なのにいつまで俺に守られたいんだ?」

「そんなつもりは」

「無いってか?状況がそうさせんだよ。・・・それに」

 

 言葉を区切ると凍てつく様な目から穏やかな者に変わり笑顔を見せる。

 

「やりたい作戦があんだけど皆がいると出来ないんだごめん」

 

 手を合わせて謝ると一騎は走り出す。その際の横顔が真剣その者で誰も止める事が出来なかった。

 

「では私も離脱しますね」

「えユエさん!?」

「アッチに大量の水があるので。それでは」

 

 一騎が行ったのとは逆の方を指差し説明すると八百万が止めるよりも先にユエは走り出しみんなから離れていく。

 その後も爆豪が抜け着いて行く形で切島と上鳴も抜けて、大所帯では力が発揮できないとして轟も抜けた。

 

 

 

 

 ☆

 

 

「この辺でいいか」

 

 皆から離れた一騎は市街地を模したエリアの中央に立つと大きく息を吸って叫ぶ。

 

「いい加減出てこい!!それで隠れてるつもりか!!」

 

 声が響き渡り、少しの沈黙のあとにゾロゾロと大量の人間を連れた二人の男が出てくる。

 

「よく気づいたな、犯罪者」

「・・・」

 

 リーダーと思わしき男の一人が悪意を込めて言い放つ。

 いわれた言葉に一騎は何も言わずただ黙って次の言葉を待つ。

 

「俺達はお前の存在を認めない」

「お前が現れた所為で多くのヒーローが居なくなって無個性なんかが付けあがった。守られるだけの欠陥品の癖に」

「そして何より、お前はオールマイトを終わらせた!! オール・フォー・ワンの身内、終焉の象徴・不死黒一騎ィ!!」

 

 その言葉と同時に一斉に戦闘態勢を取るのをみて一騎は一切表情を動かさない。

 

「此所に居るのはお前を倒す257人の勇士達が集う軍隊だ!」

「だから大人しく終わりこの業界から消えろ。・・・終焉の象徴」

 

『カウントダウン始めます。10・・・・9・・・8』

 

 一切反応も反論もないままカウントダウンが始まる。

 一騎は少し見ただけで分る。相手はボールを手にしておらず、個性を使い普通に暴力で倒そうと考えていると。・・・だから取る作戦は。

 

『5・・・4』

「っ!」

 

「は!?」

 

 4秒前でもう接近する。

 

『3・・・2』

「せーの!」

 

 2秒前で持ってたボールを全て全力で上空に放り投げる。それに釣られ全員の視線が一瞬、一騎からそれボールに集まる。

 

「1・・・ゼロ、スタート!!」

 

 ――ドンッ!!

 

 鈍い音が二つダブって聞えると、その直後に6回ピコンと電子音が鳴りドサリと倒れる音が聞える。

 

「ガッァ!! ア”ァアアア」

「グッゥゥ・・・お、オエェェエエエエ!!」

 

 皆の視線が戻るとリーダーの二人がお腹を押さえ地面に倒れ込み一人は蹲り一人はゲロを吐いていた。そして二人のターゲットは赤く光り一騎のターゲットは青く光っていた。

 

 

 全員の視線が自分から離れたのを確認した一騎は『烈火』を使い更に爆発的な速度で迫り勢いを乗せて二人の腹を殴った。そして直ぐに二人のズボンや胸ポケットに入っていたボールを奪いターゲットをタッチした。

 

『・・・は!?もう一人クリア!!!嘘でしょ!?だれ・・・・・ふ、不死黒一騎!!!!!』

『目良さん!?マイク!!!』

『あっヤバ。・・・・ゴホン、えー開始早々1名通過!! 眠気が吹っ飛びました』

 

 会場に居る誰も開始早々クリアする奴が出るなど思って折らずざわつき始める。しかも目良がマイクのスイッチを切らずに名前を言ったせいで全員が第1クリア者が分ってしまった。

 

 ――ぴこん

 

「は?」

 

 驚きで時間が止まったかと錯覚する程の静寂のなかまたしても機械音がなり、一人受験者が音のした方を向くと自身のターゲットが赤くなってるのに気づいた。

 なんで?と理解出来ない顔をしてるのを見て一騎はニヤリと笑い手を叩いて視線を集める。

 

「ほら、共通の敵が消えたいま隣に居るのは敵だ。他校の人なら尚更な?・・・だから頭の良い奴は動いた」

 

 演説感が半端ないがそれでも効果てきめんだった。そして狙ったかの様に追加で3回ぴこんと機械音が鳴る・・・・その結果。

 

「う、うあぁあああああ!!」

「待てって!彼奴がいなくなったら散会して仕切り直すてはずだろ!」

「ちょ!誰よ私のターゲットやったの!」

「はぁぁあ!!!俺じゃねぇよ!?なんで狙うんだよ!!!」

 

 共通の敵が居なくなり仲間割れが起きた。

 少し考えればそのボールは一騎が投げた物だと分る。しかしその思考を吹っ飛ばすほどに一騎が二人を倒しクリアしたのが印象に強すぎた。

 

 元味方同士で争う姿をみて一騎は冷たい目を向けながら視線を下ろす。すると一人は自身吐瀉物に突っ伏し気絶していたが、もう一人と目が合う。

 

「先輩、貴方の間違いを二つ教えてあげます」

 

 目線を合わすかのようにしゃがみ込むと右手で前髪をかき上げ話す。

 

「ア”ッアァ?」

 

「一つ、命を賭ける覚悟もない奴らが何十人何百人集まろうが俺には勝てない。二つ、貴方達は強固な絆で繋がった257人が一つになった軍団じゃない。1が257集まっただけの集団だ」

 

《通過者は控え室へ移動してください。はよ》

 

 青く光ったターゲットから声が聞え一騎はゆっくり立ち上がり薄ら笑いを浮かべる。

 

「それでは」

 

 逆光の所為で顔の殆どには影が出来見えなくなっていたが紅眼だけがハッキリと見えた。正にそれは

 

「化け物め・・・・うっ」

 

 人外の姿に見えた。

 

「俺はまだそっち側じゃないですよ」

 

 気絶した男に小さく返しニヒルに笑うとその場を去る。

 

 

 

 ☆

 

 

「流石はお兄様~♡」

 

 放送を聞いてユエは笑みを浮かべる。

 

「一瞬でクリアしてしまうなどシビれます」

 

「おい!居たぞ!!」

「一人だ!行けええ!!!」

 

 呑気に歩いてるとユエを囲むように数十人の受験者が現れる。

 

「雄英の水無月ユエだ!」

「油断するな!!」

 

「水無月ではなく、今は不死黒です」

 

 水無月と言うのを否定して指を鳴らすと囲んで居た受験者全員の周りに水の魚が漂う。

 

「な、なんだこれ!?」

「誰のだ!」

「知らない!」

「これ、水だ!! まさか!!」

 

私だけの水族館(アクアリウム)

 

 

「キャァ!」

「ボガ!ボボボボボボ」

 

 水の魚達は次々に受験者達の顔に当たり顔を覆う水球になる。

 当然、顔を水で覆われれば息は出来ない。よって受験者達は水を取ろうともがくが液体にの為に掴めない。中には個性を生かし、顔を覆う水をどうにかするも鼻や口ではなく呼吸器官そのものを水で塞がれ息が出来ず窒息して気絶していく。

 

「私思うんですよ。よくゲームで出てくるスライムって雑魚表現されがちですけどあれって表現可笑しいですよね。液体のために物理攻撃無効、魔法で殺すにするも一瞬で燃やすか凍らせるかです。そのため、スライムに自我があれば絶対に強キャラに成りますよね」

 

 呑気に話すユエの周りには白目を剥き失禁しながら失神して居る者が多数いた。

 

「あ、一応一人だけ」

 

 一人だけ倒すとユエはクリアする事なく歩きだす。

 

「私はまだやるべき事が有る」

 

 大量の水を操り気絶した受験生を回収しに来た公安職員を横目で見て空を飛びしか1エリアに向かう。

 

「先ずはお兄様を狙った奴ら全員落とすところかな」

 

 

 

 ☆

 

 

「流石は一騎君ね」

 

 市街地エリアで一番高いビルの屋上に立つ才子は一騎がくれたモノクルの望遠鏡機能を使い戦いの姿の全てを見ていた。

 

「さてと。・・ジャンパー、準備はどうでして?」

 

 望遠鏡機能を切って今も戦ってる一騎を落とす軍団に襲来する大量の水の魚を見てから才子は背後に目を向ける。

 

「ちょい待ち、あと少し」

 

 ジャンパーと呼ばれた少女はお嬢様とは到底思えない地べたに胡座で座り、ケーキにチョコと高カロリーなものを漠々と次々に食べていた。

 

「よし!カロリー補給出来た。・・・にしても扱い雑くない?」

「あら、貴女なら出来ると信じてお願いしてるのですけれども?」

「物は言いようだニャ~。この人数を最初の位置からここまで転移するのに8000キロカロリー消費したんだよ~。・・・まぁやるけど。ショット行くよ」

「はい」

 

 渡されたおしぼりで手と口元を拭くと立ち上がり茶髪のロングに特殊なサポートアイテムを右手に嵌めた少女を呼ぶ。

 

「それじゃ」

 

 軽く手を振りジャンパーとショットの足下に魔法陣のようなものが出来るとその場から消える。すると次に付けていたインカムが通信を受信する。

 

『才子聞える?』

「えぇ聞えてましてよ」

『こっちは言われたポイントで警戒始めるね~』

「お願いします。・・・・・さぁみなさん、行きますわよ」

 

「「「「「「「はい」」」」」」」

 

 

 簡潔に会話を終わらせると才子はビルの中に入るそれに続くように聖愛生徒も続きビルの中に入っていく。

 

 

 

 

 ☆

 

 

「じぁショットは才子の居る建物の周辺警戒を私は少し休憩」

了解(ラジャー)

 

 返事を聞くとジャンパーは適当に歩きスコープを取り出し周辺を見渡す。

 

「やっぱり雄英生は最初に潰しにかかるよね~。・・・! うそ・・・」

 

 大人数で一騎を遅い返り討ちに遭った人達はどうなったかと思い見てみると一人しかたっていなかった。しかもその足下には少なくとも100人以上が倒れており公安職員が必死に救護していた。

 

 立っているのは巫女服に身を包み長い髪を後ろで1本に纏めている少女。

 

「あの子は才子の彼ピの妹のユエちゃんだったよね?」

 

 そんな事を呟いた瞬間、ゆっくりとユエの顔がシャフ度で此方を向く。

 

「マズッ!?目が合った(バレた)!嘘でしょこの距離で? はは・・・・・触らぬ神に祟りなしってね」

 

 撤退~と内心で呟きながらショットの元に戻る。

 

 

 ☆

 

 

「あれ? 逃げちゃった。これらの仲間じゃないのか。・・・まぁいいや」

「待ちなさい!」

「ん?」

 

 立ち去ろうとしたユエに一人の公安職員が呼び止める。

 立ち止まると冷たい目をしながらも顔を向け話しを聞く姿勢を見せる。

 

「何故これほどの数を倒しておいて君はクリアしないんだい! 君の目的は何なんだ!!」

 

 最初の時も今も既にユエは200人以上の受験生を気絶させ落としているが決してクリアしない。その事を職員は問い詰めるもユエは只冷たく返す。

 

「あなた方には理解出来ないことですよ」

 

 それだけ言うとユエは又何処かに飛んでいく。誰かを探しに。

 

 

 

 ☆

 

 

「さてさてあれからまた一人クリアしたけど、今の動きは~。・・・・うそ」

 

 ユエの蹂躙の後、しばらくして二人目のクリア者が出たことでそろそろ動きがあると思いジャンパーは周囲を見渡すと四人の生徒が才子の居るビルに近づくのが見え驚く。

 

「もしもし才子」

『どうかしたかしら?』

「相変わらずどんな思考回路してんのさ。未来予知じゃん」

『と、言う事は私の予想通りの方々が来たのですね』

「うん。八百万家の一人娘の八百万百、耳タブがプラグになってる子、ガタイのデカイ異形型の男子に蛙っぽい子だよ」

『分りました。もう少し周辺警戒をお願いいします』

「りょ~」

 

 軽く返事を返し通信を切るとごろんと横になるジャンパー。その姿を横目で見たショットは口を開く。

 

「ジャンパー様。何故才様は雄英生徒と協力しようなどと思ったのでしょうか」

「ん~?不満?」

「いえ!不思議に思っただけでして決して不満があったわけではありません!」

「わかってるよ。慌てすぎW」

 

 慌てて否定するショットを見て小さく笑い話しの続きを始める。

 

「それで何故かだったけ?」

「はい」

「気になるんじゃない」

「気になる、ですか?」

「そっ。妹弟子がどんなんか」

「なるほど」

(まぁ後は彼ぴの友達に相応しいかどうかかな)

 

 などと内心で思いスコープを覗き八百万達と五人きりで話している才子を見つめる。

 

(ほんと可愛くなったにゃ~)

 

 昔は可愛くなかったのにと思い過去の才子を思いださす。

 

(昔の才子は家の為にと生きて小学生ながらつまんなくて可愛くなかった。なのに聖愛の入学祝いのパーティーで再開したときは人が変わってた。

 印照家の令嬢として相応しい姿や服を意識していたのが、彼ぴに可愛く見られたい為に行動しちゃって。彼ぴの体育祭応援に行く時は私に頭を下げてまで服装のこと聞いたりして可愛かったにゃ~)

 

『ジャンパー、聞えまして?』

「良好だよ~ん」

『協力関係は結べましたので戻って来て下さい』

「りょ~」

 

 通信を切るとショットを連れて共に才子の居る元に転移する。

*1
第46話で登場





 オリキャラ

 天移 行子

 個性【転移】
 大きさを自由に変えれる魔法陣の様な物を作り何処にでも瞬間移動が出来るが、転移する際にカロリーを消費する。
 しかも行く場所はしっかりと頭に浮かべてないと移動出来ないうえに、行く距離と人数や物が増えれば増えるほどカロリー消費量が増える。
 
 容姿。
 金髪のストレートヘアに両耳にピアスをしているのが特徴。

次回「雷電橾術」

??「何も知らない奴が!俺の(ダチ)侮辱す(ディスって)んじゃねぇ!!」

それでは、期待せずにお待ち下さい。
よろしければ評価やコメントの方お願いします!優しいコメントが嬉しいな~。
あとここすきも嬉しいです!

次回投稿できたらするよ!(涙

緑谷が秘密を自分の意思で話すか選んで!

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