無個性でもヒーロー目指す!。   作:斬る斬るティー

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今まで遅れました!ごめんなさい(_ _)


第80話:雷電橾術

「お久しぶりです。八百万百さん」

「えぇ、お久しぶりですわ。印照さん」

 

 才子と八百万がちゃんと話し合うのはI・アイランド以来の為に挨拶を交わす。

 

 一騎達が抜けて残った雄英生は開始と共に他校から一斉に襲われ、何とか奮闘するも皆がバラバラとなり八百万を初め耳朗、蛙吹、障子は才子達の居るビルに逃げ込んだ。

 逃げ込んだビルのエントランスには聖愛生徒3名が出迎えており才子が会いたがっていることを伝えられ会うことにした。

 

「それでお話しとは何でしょうか」

「単刀直入に言いますが、手を組みませんこと?」

「何故かしら?そちらにメリットなどないと思うわ。ケロ」

 

「確かにメリットなどありませんわよ。しかし何事も損得勘定だけではなくってよ」

「つまり?」

「確かめたいことがあるからでしょうか」

「確かめたいこと?」

「八百万さんの実力」

 

 耳朗が首を傾げて聞き返した言葉に才子は答え「そして」と付け加えると鋭い表情で告げる。

 

「一騎君が楽しそうに話してくれた『お友達』の貴方達がどのような人間か知りたいからでしてよ」

 

 キッパリと言われた言葉に八百万以外の三人は驚く。*1

 

「何故其処で不死黒ちゃんの名前が出てくるのかしら」

「言っていませんでしたね」

 

 失礼しました、といってから姿勢を正す。

 

「改めまして。私の名前は印照才子。そしてあなた方もよく知っている不死黒一騎の一番弟子。以後、お見知り置きを」

 

 カーテシーのお辞儀をする。

 

 八百万以外の三人は目の前の人物が一騎の弟子、しかも一番弟子だと知り驚愕を隠せなかった。

 

「ヤオモモは知ってたの!」

「ユエさんから話しは聞いていましたわ」

「それでどうします?」

「っ!」

 

「もし手を組まないとしてもあなた方が建物を出るまで手を出さないと約束しましてよ。ただそちらから攻撃した場合は別ですが」

 

 ニッコリと笑みを見せると椅子に座り足を組む。

 端から見れば無防備に見えるが、実際は隙がないことに八百万達は実力差を理解する。実際に今戦闘になっても才子は一人で四人を制圧する実力を有している為に警戒していない。

 

「できれば私は同じ師をもつ方と戦いたくはなくってよ」

「それは私も同じですわ」

「ということは・・・了承と捉えてもいいのかしら?」

「はい、提案に乗ります」

 

 二人はしっかりと目を見ながら握手を交わす。

 握手の後二人は離れると才子はインカムで連絡を初め、耳朗が八百万に耳打ちをする。

 

「よかったのヤオモモ」

「はい。今は無駄な戦闘を避けて確実にクリアする事を目指しましょう」

 

 耳朗をなんとか納得させるように言うが、八百万自身 才子と敵対したくない理由があった。その理由はコスチュームに着替える際にユエにアドバイスというより忠告されていたのだ。

 

『ももちゃん、試験内容は分らないけどもし才ちゃんと遭遇することがあれば逃げてね』

『何故でしょうか』

『才ちゃんもお兄様から二虎流を教わってるけど、四つの型の内【橾流ノ型】しか上手く使えなかいの。でも逆に苦手な型の克服では無く得意な橾流ノ型のみを鍛えまくった結果、橾流ノ型のみでいえばお兄様と同格レベル。詰まり今のももちゃんでは絶対に勝てない』

 

 その言葉が強く頭に残り八百万は才子と戦うことを裂けるほうで行く。

 

「でも信用できんの?」

「ではこれでどうでして」

「え?」

 

 才子は耳朗の話しに入ると自身のターゲットを自分で二つタッチし、残りを右手首に付けてる一つにする。

 

「なっなにして「もし!」 っ!」

「信用できないのでしたら私の最後の一つをタッチして貰ってよろしくてよ」

「・・・」

 

 驚きで何も言えなくなった耳朗を見て才子は薬と笑うと口を開く。

 

「ご安心を。私は絶対に貴方達を囮にもしなければ裏切ったりもしません。四人ともクリアさせて見せましてよ。私の師、不死黒一騎の名に誓って」

 

 全員ここまで信頼させる物を示されるともう何も言え無くなった。

 その姿を見て「無理矢理でしたが信頼して貰えたかしら」などと考える。が、それと同時に障子と蛙吹の二人を見て目を細める。

 

 才子は林間合宿襲撃後調べて知っている。林間合宿で一騎のヴィランとのを邪魔した三人の内の一人の障子。それに加担していたくせに一騎の助けに動かなかった蛙吹。

 この二人が一騎のいうとおりの人間かどうかと一騎の友達に相応しいかの確認のために動いた。

 

「才子~ただいま~」

「才様無事にお話しが決まり安心しました」

 

 ジャンパーと隣の部屋にいっていてもらった子達が戻って来たことで才子はニッコリと笑みを浮かべる。

 

「では作戦を話します」

 

 

 

 ☆

 

 

 

「凄い・・・」

 

 才子が作戦を話してから僅か数十分で才子を抜いた全員がクリアした。

 

「あのほんとによろしかったのですか?」

 

 八百万が心配な表情で問いかける。例え一騎の一番弟子といえど既にターゲットの三つの内二つは信頼の証明の為に自分でタッチした上にまだ一人も落として無い。

 

「えぇ大丈夫でしてよ。ご心配なきよう。・・・あと二歩右かしら」

 

 心配を余所に才子は一切焦った様子なく部屋の中央に行くと僅か二歩ほど右にずれ目を瞑る。

 

「くそ! せめて一人だけでも落とす!!」

「危ない!!」

 

 背後から襲い掛かる受検者を見て耳朗が叫ぶ。

 

「橾流ノ型・風車(かざぐるま)

 

 だが才子は受検者が狙う箇所など一つしかないために焦らない。伸ばされた腕の手首を右手で掴むと体を反回転して受検者を前方に投げ飛ばしそのまま回転し、後頭部に回し突き蹴りを放ち壁に激突させ意識を奪う。

 

「しー。クリア者が口を挟むのはダメでしてよ」

 

 回し突き蹴りを放つとクルリと回り耳朗の方を向き右人差し指を唇前で立て優しく注意する。

 

「うぉおおおおお!!」

 

 壁をぶち破り大柄の男性が拳を振り上げ迫ってくるのを見ると半身を引いて左手を前にして構える。

 

「橾流ノ型・流刃」

 

 手の平、手の甲、時には肘を使い左腕1本だけで攻撃を逸らし切る。

 自分より遥かに小さい体の女に自分の連打が完全に逸らされたことで焦り攻撃が雑くなった瞬間、それを感じた才子は待っていたと言わんばかりに『柳』を使い大男のバランスを大きく崩すと顎をカチ上げる様に掌底を放ち意識を刈り取る。

 

「す、すごいわ」

「まるで不死黒みたいだ」

「いや、まんまじゃない?」

「・・・」

 

 才子の戦闘を目の当たりにした蛙吹、障子、耳朗は戦闘の姿に不死黒が重なり驚きながらも一騎の弟子だと再確認させられた。

 

《通過者は控え室へ移動してください。はよ》

 

「さて、お待たせしました。控え室に向かいましょうか」

 

 クリアして移動の音声が流れたことで皆と控え室に向かう。

 

「印照さん」

「どうしました八百万さん」

「改めまして。この度はありがとう御座いました」

 

 その前に八百万が呼び止め。今回協力の申し出をしてくれたことに頭を下げて礼をする。

 礼を言われると才子は優しく微笑み返す。

 

「気にすることは無くってよ。今回は私がやりたくてやったことですから」

 

「「「「!?」」」」

 

 返された言葉に八百万だけでは無く耳朗達も驚く為に才子は不思議に思い問いかける。

 

「どうかしまして?」

「今の言葉不死黒さんと同じで驚いてしまいまして」

「え?」

 

 やりたくてやったこと。それはよく一騎がいっていた言葉で必殺技作りの時も一騎にアドバイスを貰った時もよく一騎が言っていた。その為に驚いた。

 しかし才子は今までの記憶の中で自分が言うことがあっても一騎がそんな事を言った記憶が一度も無い為に首を傾げる。

 

「一騎君がそんな事言った記憶は無いわね」

「あ、もしかして才子の影響受けて言うようになったんじゃないかにゃ?」

「・・・一騎君が私の影響を受けて?・・・・・そう・・・ふふ」

 

 好きな人が自分の影響を受けてそれが口癖になっている。その事が才子には途轍もなく嬉しくて思わず頬がにやけ笑みを作る。

 

「かっ!!」

 

((((((KAWAII!!!)))))

 

 いつも稟とした表情をする才子の花が咲いた様な表情にジャンパーはニヤニヤと悪戯ぽい笑みを浮かべ他の聖愛の生徒達は両手を胸の前で握り悟りを開いたような表情をしていた。

 そして同性である八百万立ちですら思わずドキッとした。

 

「かっわいい~にゃぁ~! 彼ぴが自分の影響受けてると知って嬉しかったかにゃ?」

「・・・んっうん!」

 

 耳元で言われた言葉に才子は自分が笑みを作り嬉しさを隠せてないことを知り一つ咳払いををしてキリッとした表情を作りジャンパーを見る。

 

「ジャンパー」

「なにかにゃ~」

「控え室までの転移、お願いしますね」

「・・・え。 まっ待って!ここからだとかなり距離あるよ! しかもさっきと違って人数増えてるから更に消耗激しいんだけど!」

「お願いしますね」

 

 驚いて否定するが、才子は有無も言わさない影のある笑みを向けるだけだった。

 やぶ蛇だったと思うが既に遅く諦めて転移陣を作る。

 

「そんなに速く彼ぴに会いたいのね~

 

「なにか・い・い・ま・し・て?」

 

「っ!・・・それではみなさ~ん!転移しますので円から出ないで下さいね!3・2・1・はい!」

 

 ジャンパーが手を叩いた瞬間、全員その場から消える。

 

 

 ☆

 

 

 

 

「上鳴、なんで着いてきたんだ」

「君達が走って行っちゃうからさ~着いてきちゃったの~」

「うっせぇなァ!」

「えぇ~なにそのいいかた」

「止めろって!上に何人もいたようだし此所は三人で力を合わせていこうぜ!」

 

 八百万達が才子と協力していたころ、爆豪達は別エリアにある高速道路に上がる梯子を登っていた。

 

「しねえ!」

「ま~そうゆうな・・・っ!あぶねぇ!!」

 

 何かを見た切島は爆豪を押し退ける。するとナニカが切島を包み込む。

 

「切島!」

「くそっ!はなr・・・・」

 

 体に着いた何かを取ろうとするも出来ず、切島は肉の塊に姿を変えられてしまった。

 

「な、何がどうなってんだ」

「ようするに。ヤローの仕業ってことだ」

 

 肉塊になった切島を手に取るのは士傑校のコスチュームを着た男子生徒。

 

「我々士傑生は活動時、制帽を着用を義務付けられている。なぜか・・・それは、我々の一挙手一投足が士傑高校という伝統の名を冠しているからだ。これは示威である。就学時より責務と矜持を涵養する我々と粗野で徒者のままヒーローを志す諸君との水準差」

 

「嫌いなタイプだ」

「何つったあの人!?全然頭に入ってこねぇ!」

「目が細すぎて相手の実力が見えませんだとよ」

「私の目は見目よくちょうめいである!」

 

 普通に相手のコンプレックスをディスる爆豪。

 

「雄英高校を私は尊敬している。御校とごすることを誇りすら感じていたのに、それを諸君等は。・・・今年になり雄英は品位を著しく落としている。」

「さっきっからペラペラと口じゃ無く行動で示して下さいよォ~先輩!」

「原因の一つが貴様なのだよ!爆豪!!」

 

 走り出す爆豪。肉倉は背後から切島を肉塊にしたのと同じ者を複数作り近づく爆豪に差し向ける。

 

 立ち止まりA・Pショットで撃ち落とし近くまで来たのは爆破で対処する。上鳴もサポートアイテムを使い肉倉を狙うも簡単に避けられてしまう。

 遠距離攻撃を厄介と思い上鳴を狙うと爆豪が攻め込むが、それは罠だった。高架下を通った肉片の一つが爆豪を背後から捕まえ丸め込む。

 

「先ず一つ目。本当は奴がクリアする前に落としたかったが致し方ないか」

「一つ目? 先輩の目的ってなんなんスか」

 

 手に持っていた肉塊爆豪を地面に捨てながら呟く肉倉。上鳴は肉倉が言った『奴がクリアする前に落としたかった』と言う言葉が気になり問いかけると、肉倉はまた両腕を後ろに組み話し出す。

 

「先も言ったように今年の雄英は品位を著しく落としている。・・・その原因は二つ」

「・・・・・・二つ?」

「一つ目は爆豪勝己。言葉と態度は横暴にして乱暴。雄英生になる前にヒーローを目指す者としての品位(資格)が無い。・・・そして二つ目は不死黒一騎、奴だ」

「・・・はぁ?」

 

 憎憎しげに一騎の名前を出されたことで上鳴は自分の中でナニカが切れかれたのを感じる。

 

「奴は長年裏社会を牛耳り、そしてオールマイトを終わらせた悪の帝王の血をも持つ者。にも関わらず今も雄英に居座りヒーローを目指すだと?なんと厚顔無恥で身の程知らずのことか!

 神野事件を切っ掛けにヒーローを止めた者など数知れず。なのに奴は知らん顔でのさばっている」

 

 神野事件以降、一騎がトップヒーローや若手実力者ヒーローを遊び感覚で戦闘不能にしていったのが原因で、テレビでその光景を見た一部のヒーローは心が折れ自主的にヒーローを止めていった。

 でも確かに一騎が切っ掛けではあるがそれはその程度の覚悟しかなかったヒーローにも原因がある。なのに全てが一騎が悪い見たいに言われ上鳴は荒ぶる感情を抑え聞き返す。

 

「じゃぁあなんすか、全ては不死黒が悪いって言うんすか。」

「そうだ」

「っ!」

 

 質問に肯定で返されたことで上鳴は睨む。それを意に返さず肉倉は言い放つ。

 

「オールマイトが引退し、多くのヒーローも退職し、今の社会や市民がヴィランの脅威に今まで以上に晒されているのは!AFOと不死黒一騎の所為!奴らなど存在してはいけなかった。

 

 生まれて来たこと自体が間違いだったのだ」

 

 

 

 

 

「黙れ」

 

 

「っ!」

 

 今までに感じたことの無い憤りそして殺意に上鳴自身、聞いた事の無い低い声が出る。

 

 先ほどまでの情けない男からは想像できない殺意の含まれた声に肉倉は一瞬怯み一歩後退るが、直ぐに切り替え上鳴を見る。

 

「確かに、爆豪は口が悪く人のことを名前で呼ばないし直ぐに死ねとか殺すとか言うっすから雄英の品位を落としてるって言われても可笑しくないかもっすよ。

 それにこの世には生まれたことが間違いの奴は居ると思うっすよ?けど彼奴は・・・不死黒は違う」

 

「何が違う」

 

「彼奴は何時も明るく笑って、勉強で分らないところがあれば馬鹿な俺にも分りやすいように説明してくれるんだよ。

 何より俺等を守る為に何時も一番前で危険と戦うんスよ。そんな良い奴が生まれたことが間違いな訳無いでしょ!!」

 

 ――バチバチ。

 

 感情のままに上鳴は叫ぶ。それに呼応するように漏れ出た電気がバチバチと音を鳴らし周囲に走る。

 

 

 この時、上鳴の脳裏には一つの光景が浮かんでいた。それは、滅多に使われることの無い男子トイレで声を殺しながら泣いている一騎の姿。

 頼んでいたサポートアイテムを取りに行き、帰りに説明書を読みながら遠いトイレにいって偶々見てしまったのだ。そして知ってしまった、一騎が何時も無理をしている事を、人の言葉に傷ついていることを。

 

 だから、肉倉精児の言葉を許せない。

 

 

 

「なんであんたはそんな心無いこと言えるんすか。彼奴の心を考えたことあんのかよ」

 

 一歩足を踏み出すと肉倉の下まで電流が僅かに走る。

 

「あんたみたいな人間の言葉でどれほど彼奴か傷ついてると思ってる」

 

 一歩踏み出すと電流が地を這い街灯まで届き高電圧に寄り電球を破壊する。

 

「感情的な話しではない!立場を自覚しろと言う話しだ!!馬鹿者め!!」

「その為なら、心無い言葉で何も悪くない奴を傷付けていいのかよ・・・・・何も知らない奴が!俺の(ダチ)侮辱し(ディスっ)てんじゃねぇ!!!」

 

 肉倉が肉塊を飛ばす。しかし!そのどれもが上鳴を中心とした10メートル内に入った途端、電流に貫かれその場に落ちる。

 

「なに!?」

「知ってます先輩。切り離した体を操ったりする系統の個性対策。「何を言って」 人間の体は動かすのに脳から電気信号が流れてるんですよ。それを切り離した体を操るときはラジコンみたく電気信号が切り離した部位に飛んでるらしんすよ。

 だから電撃を当てれば操作信号は狂い操作できなくなるみたいなんすよ。アンタが侮辱した不死黒が教えてくれたんです」

「何を言っている」

「じゃぁ分りやすく。 アンタは俺にはもう勝てない」

「っ!・・・なんだ、なんなのだその個性は」

 

 人差し指を向け宣言すると同時に上鳴の稲妻が黄色から真っ白な『白雷』へと変わる。

 その変化に肉倉は驚くのと同時に脳裏に個性の覚醒がちらつき驚愕と共にこの様な男にはあり得ないとの感情が表情に浮かぶ。

 

「さぁ~何なんでしょうね。・・・・あ~でも言うなら個性の進化(覚醒)

 

 上鳴自身個性(帯電)が違う物になっているのに気づいた。

 必殺技作り期間、寮でユエが個性の覚醒したことを皆に聞かれ答えていたのを上鳴は聞いていた。

 

『個性が覚醒しても驚きはあっても違和感みたいな物はないんです。もとからそう見たいに、息をするように使い方が分るんです』

 

 その説明通り上鳴は自分の進化(覚醒)した個性を普通に使える気しかしない。

 

「それじゃぁ行きますよ先輩!!」

「ふ、巫山戯るなぁ!!」

 

 走り出し、迫り来る上鳴に肉倉はまた大量の肉塊を放ち、今度は点での攻撃では無く面での物量で攻め込む為に肉塊の壁を作る。

 

 対して何時もの上鳴なら叫んで逃げていたが今の上鳴は逃げないどころか速度を落とさず肉塊の壁に突っ込む。

 何も知らない奴に親友を侮辱された上鳴は一人の()として絶対に逃げるなんてことはしない。

 

「邪魔。 雷電橾術」

 

 握られた拳からバリバリと電撃が漏れ空気を裂き雷音を響かせる。

 

「雷閃!!」

 

 電気を纏った拳が肉塊の壁と接触した瞬間、肉塊の壁に上鳴の拳を中心に周囲に稲妻が走り肉塊の壁を炭化させ崩れさせる。

 

「なん・・・だと!」

「逃げんなよ先輩」

「!?」

「あんたが侮辱した二人はどんなに苦しい立場でも決して逃げない男でしたよ」

「クッ!」

 

 目の前で肉の壁が崩れるのを見て肉倉は撤退を考えるも上鳴の言葉で先ほどああ言った手前、撤退(逃げる)ことが出来ない。しかし肉倉にはもう、立ち向かう術も上鳴をどうにかする術も無い。

 

「不死黒・・・・・教えて貰った技、使わせて貰うぜ」

 

 間合いに入った上鳴は拳を握り呟く。

 

 

 

 

 

 ~~~~~~

 

「フシエモ~ン!」

「おう?どうしたいきなり」

 

 皆が必殺技を作るのを離れて見ているときにいきなり腹に飛び込んで来た上鳴に驚きながらも頭を撫でる。

 

「俺にも必殺技のアドバイスとか何かくれ~!!」

「どゆこと?」

「ユエちゃんとヤオモモ既にいくつか必殺技作ってるじゃん?」

「うん」

「だから聞いたらお前のアドバイスのお陰って言うからさ~」

「なるほど。理由は納得した」

「頼むよ~フシエモ~ン!!」

「仕方無いな~」

 

 腹に顔をぐりぐり押し当ててくる上鳴に一騎は子供の我が儘を聞く親のような仕方無いと言った優しい笑みを浮かべていた。

 

「それで?上鳴は考えていた必殺技とかあるか?」

「おう!子供の頃から電撃ソードとか」

「電撃ソード、字で簡単に書くと雷の剣だよな?」

「ん?おう」

「でもお前の個性じゃ難しいな」

「だよな~」

「でもけんはけんでも、剣のけんじゃなく拳のけん。雷拳なら出来ると思うぞ」

「おぉ!!・・・どゆこと?」

「拳を作りその中に雷を溜める。そして相手を殴ったと同時に拳の中の雷を解放して相手に電撃攻撃を仕掛ける。言わば打撃と電撃の二段攻撃だ!」

「おぉ!!何かスゲェ!! でも俺に出来るかな?聞いてるだけでも難しそうだし」

「まぁやりかたは追々として。出来るか出来ないは関係無い、今はやるかやらないかだ。挑戦しないと出来るかどうかも分らないし、挑戦し続ければ出来なかったことも出来るようになるかも知れないからな」

「っ!」

「それにお前は個性の発動箇所を自由に選べてスマホを充電する精密な電圧調整も出来る。お前なら絶対に出来るさ、自身を持て雷電」

「おう!」

 

 頭を優しく撫でる一騎。上鳴は自分をちゃんと見ていたことに驚くも元気に返事を返す。ただ最後に名前を間違えたのは残念と思う。

 

「あ、因みに技の名前とかあんの?」

「ん?」

 

 上鳴の質問に一騎は少し考え何かを思いついたのか笑みを浮かべる。

 

「じゃぁ、・・・雷と武を司る神の名を貰ってそのなも『雷拳』――」

 

 

 

 

 ~~~~~~~~

 

 

 

 

 

建御雷神(タケミカヅチノカミ)!!!!!!」

 

 

 

 放たれた拳は碌に防御を取ることも出来ない肉倉の腹に突き刺さる。次の瞬間眩い光りが肉倉を包み背中から太い稲妻が天へと昇る(落ちる)

 

 ――ゴロゴロゴロゴロゴロ!!

 

 試験会場全体に耳を劈くような雷鳴が轟く。

 見ていた公安の人間や各学園の教師陣は白雷を纏い電撃で周囲に稲妻を放つ上鳴の姿を見て全員同じく『雷神』の言葉が頭に浮かんだ。

 

 

「聞えてないかもですけど一応言いますね、先輩」

「ガッアッアアアアア」

 

 地面に倒れ打上げられた魚の様にピクピクと体を痙攣させる肉倉に上鳴は非常に冷たい目を向け告げる。

 

「例え先輩だろうが誰だろうが、俺のダチを侮辱する奴は絶対に許さないんで。そこんとこよろしく」

「うっ・・・・」

 

 言い終わると同時に肉倉は気絶し付けていたターゲットは三つともショートして小さな爆発を起こし壊れる。

 

「ふぅ~・・・あ」

 

 白雷を納めた上鳴は息を吐いて心を落ち着かせると個性が解除されて人の姿に戻った切島と爆豪に気づいて二人の下に向かう。

 

「お~い!」

 

 いつもの顔で駆け寄る上鳴に切島は安心し爆豪は上鳴が一歩前に進んでいるようで舌打ちする。

 

「気絶すると個性は解除されんのか」

「通りで遠距離しかしてこねえわけだ」

「ありがとな!上鳴!」

「遅ぇんだよ!アホ顔!!」

 

「ひっでぇな!俺頑張ったんだよ!? やっぱお前だけディスられてもしかたねぇわ!!」

「アァ"」

「まあまあ」

 

 怒る爆豪を切島が落ち着かせようとしていると他の肉塊にされていた生徒が起き上がる。

 

「次は俺達の番だな!」

「ブッ殺ス」

 

 見ていた切島は硬化した拳をぶつけ爆豪は小さな爆発を起こして構えるが、其処で上鳴が待ったをかける。

 

「ここは俺に任してみてよ!」

「?」

 

 二人の前に立ち正拳突きの構えを取る。

 先ほどの戦闘を見ていた他校の生徒は上鳴の強さを知ったためにその構えだけで警戒する。

 

「雷拳・建御雷神(タケミカヅチノカミ)!!!」

 

 拳を放ち雷を打ち出す! 

 

「あ、あれ?」

 

 が、何も起きず何時もの周囲に何時もの色の帯電を放っているだけだった。

 雷の個性は一時的な感情の高ぶりに寄り進化しただけであった。つまりは『雷電橾術』は一時的な強化状態のようなものだった。

 

「ぎゃあぁああ!!助けてぇ~!!」

「スッ込んでろアホ顔!!」

「次は任せろ!」

 

 逃げてくる上鳴に変わり切島と爆豪は走り出し敵に肉薄して戦闘を始める。

 

 

 

 

 

 

 

「上鳴さんは個性覚醒の一歩手前ですかね?もし完全に覚醒したら私でも出来れば戦いたくないほどだな~」

 

 会場の上空にユエは個性を使い浮かんで空から観察していた。

 

「あ」

 

 そして目的を見つけたのか真剣な目で見る。

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

「俺は時間と足の許す限りは時間にクラスに貢献したい。兄さんならそうする、俺の行動は俺の夢の形でもある」

 

 クラスの皆がクリア出来る様に一人奮闘していた飯田は青山と合流して一緒に逃げていた。

 一緒に逃げる前に言われた言葉を思い出し青山は「夢の形ね」と小さく呟くと握られていた手を振り払い大きく仰け反りブリッジを取る。

 

「ネビルレイザー!」

「・・・待て、何をしている!? いやほんとに何をしている!?」

「目立ってる」

「とってもな!?いや違うそうじゃない」

「僕を庇ってると共倒れ。目立ってる僕はもう二箇所ターゲットをやられてる。後一箇所で僕アウト!」

「!」

「目立ってる僕を狙ってる人の裏を取るんだよ! 君のスピードなら余裕でしょ?」

「なにを急に言っているんだ!」

「急に聞えるだろうけどね、僕はずっと対等になりたかったんだ」

「っ」

「そろそろ来るよ!準備して!!」

 

 青山の作戦通り四方八方から他校の受検者が一斉に集まり遅いに来る。

 飯田の速度なら余裕だが彼のプライドとしてクラスメイトを友にヒーローを目指す仲間を見捨てることなど出来ない。どうすればいいか考えているときだった。

 

私だけの水族館(アクアリウム)!!!」

 

「これは!!」

 

 空から水で出来た魚が一斉に降り注ぎ他校の個性とを襲いだす。その光景を見て青山はレーザーを止め飯田と共にふわりと着地する少女を見る。

 

「ユエ君!」

「どうして」

 

 飯田は驚き青山はユエの実力を知るためにまだクリアしていないことに声が漏れる。

 

「・・・」ニコ

 

 そしてユエは飯田を見てから青山を見ると小さく微笑み笑みを見せると声をかける。

 

「お二人ともま戦地ですよ。気を引き締めて下さい」

「いやそうだが・・・」

「それに来たのは私だけでは無いですよ」

「「え??」」

 

 ユエが両手を広げ振り返ると。

 

「深淵闇躯・黒き腕の暗々裏!」

 

 ダークシャドウを纏った常闇が腕を伸ばし相手を怯ませると相手は地面に撒かれていた模擬もぎに足を取られる。動けなくなったところを尾白が尻尾で叩き倒し模擬もぎを使い地面に固定する・

 更に葉隠に芦戸、砂藤と次々と皆が合流するその光景にどうしてと青山が呟くとユエが答える。

 

「あれほどキラキラとまばゆく光る柱を見たら皆さん集まりますよ」

「ユエ君」

 

 優しい声で言うユエに青山はユエを見るとユエは振り返る。

 

「さあ行きますよ二人とも」

「あぁ!」

「ウィ☆」

「フ・・・さぁ来なさい!私の子供達!!」

 

 二人の返答を聞いてユエは小さく笑うと水の魚たちに声をかける。すると水の魚たちは次々に他と融合して巨大な水球を作る。

 

「青山さん!」

「メルシー! ネビルレイザー!」

 

 ユエの合図で青山は特大のネビルレイザーを水球に放つ。

 

光水球・乱(こうすいきゅう・らん)

 

 ネビルレイザーは水球にあたると中で屈折し周囲にレーザーを拡散する。更にユエが水球を操ることで拡散したレーザーに指向性を持たせ攻撃範囲を選ぶ。

 そして、駆け出した飯田と青山は共にクリアする。

 

(よかった。林間合宿でお兄様が命を懸けてまで守った貴方が諦めることをせず、最後は誰かの為に怖がりながらも立ち上がり戦ってくれて)

 

 心の中で呟くユエは直ぐに一人倒して100人目でクリアする。

 

「私の心配は杞憂でしたね」

*1
耳朗はI・アイランドで才子を見かけたがあるが一騎との関係は知らない。




ようやく諸々が片づいた!なので残りの仮免編頑張るよ~!次の投稿来週だけど・・・。

次回「休息」

それでは、期待せずにお待ち下さい。
よろしければ評価やコメントの方お願いします!優しいコメントが嬉しいな~。
あとここすきも嬉しいです!

緑谷が秘密を自分の意思で話すか選んで!

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