無個性でもヒーロー目指す!。   作:斬る斬るティー

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第82話:仮免試験終了

「すみません!この子をお願いします!」

「はい!」

 

 既に救助試験が始まり10分ほどが過ぎていた。

 

「何だこの気配?」

 

 緑谷が連れてきた子を診察して比較的に軽い怪我と判断して手当てする。

 しかしその直ぐ後に何か変な気配を感じその方に目を向けてから子供に笑みを見せてから手の空いたばかりの人に任せユエの元に向かう。

 

「ユエ」

「はい。彼方の方に体格的にギャングオルカを初め部下の社員の方が多数います」

「・・・そういうシナリオか」

 

 返答を聞いて一騎はこの後の展開を考えるとヴィランの襲撃が浮かびこれもシナリオ展開だと理解する。

 

「ブレインさん」

「行きなさい」

「え」

「貴方は貴方の成すべきことを」

「・・・ありがとうございます」

 

 まだ何も言ってないのに才子は呼ばれただけで一騎の意を理解し行くように言う。だが即座に来たその答えに一騎は驚くも直ぐに気を切り替えお礼を言うと走り出す。

 

「え!あの」

「大丈夫でしてよ。彼は彼の成すべきこと(ヒーロー活動)にいったの」

「! 分りました」

 

 一騎の行動に驚いた生徒が声をかけようとするも才子はそれを止める。そして手当をしながら言われた才子の言葉に納得してその受験生も新しく着た被災者の手当を始める。

 

 

 

 ――BOOOOOOOM!!!!

 

 

 そんなときに会場に爆発音が響き、目良のアナウンスが流れる。

 

『敵により大規模テロが発生。敵が姿を現し追撃を開始。現場のヒーロー候補生は敵を制圧しつつ、救助を続行して下さい』

 

 

 ☆

 

 

 

「救助と対敵。全てを並行処理…果たして出来るかな?」

 

 壁を破壊し現れたギャングオルかは呟く。

 

「わあああああああああ!!!」

「は?」

 

 直後、目の前を部下の一人が吹き飛ばされていく。

 目を見開いて驚き部下を見を見ると完全に気絶しており飛んで来た方向に目を向けると瓦礫の上に一人の男が立っていた。

 

「お前だったか、不死黒一騎」

 

 名を呼び目を細めるギャングオルカは一騎に警戒心を最大限高める。

 一騎の今までしてきた功績そしてあの一匹狼のミルコが異常といえるほど目をかけている。

 しかも今回の話しが来た後にミルコから珍しく電話が来て『一騎と戦うときは気を付けろよ。下手すると一撃で意識奪われるぞ』と言われたからだ。

 

 

「・・・!」

 

 瓦礫の上で佇み見下ろす一騎を睨むと軽く手を上げ振り下ろす。それを合図に立ち止まっていた部下達は再度侵略を開始する。

 

「フッ!」

 

 先頭に居た人がセメントガンを二発放つ。それを最低限の動きだけで躱す一騎。

 

(瞬時に固まった。あの液体、空気に触れることで即行で硬化するシアノアクリレートと同じ様な物か)

 

 後方で固まった液体を見てどういったものかを推測するも結局の所、喰らわなければいいと結論付ける。そして直ぐさま前傾で眼前に来たセメントガンを避け走り出す。

 

「イッ!」

「二人目」

「がッ!?」

 

 走り出しと同時に指弾で小石を飛ばし接近までの間を潰すのと同時に隙を作り間合いに入ると顎を殴り意識を刈り取る。

 意識を奪うと即座に背後に回り一目見ただけでセメントガンの構造を把握し、銃口を他のヴィラン役のヒーローに向けセメントを発射する。

 

「うわ!?」

「ヤバ!」

「この子射線の遮り方が上手い」

 

 臨時医療施設を襲撃しおうとするも一騎が邪魔で先に倒そうとする。しかしセメントガンを放とうとも上手く最初の敵役を盾として使い射線を遮りながらセメントガンを使い攻撃して来るために上手く行かない。

 

「なら!」

「これはどう対処する!!」

「こうでしょ」

「なっ!マジか!!?」

 

 前後からの挟撃を一騎は盾にしていた人の腹に腕を回し掴むとジャイアントスープレックスの要領で後方へと投げ後方を妨害すると、前方から来たセメントガンをそのまま仰け反って避け即座に指弾で石つぶてを飛ばし隙を作ると体勢を立て直し走り出す。

 しかしそう簡単にはいかず他の者が一騎の妨害をして、指弾の投擲を受けた人は直ぐに体勢を立て直し一騎を狙う。

 

「あっあぁ」

 

 はずだった。 体勢を立て直す前に腹部に鉄棒を叩き込まれその場に蹲る。

 その鉄棒は一騎が神野で手に入れたエリクが使っていた鉄棒。それを三節根状にして間合いをカバーしダウンさせた。

 

 直ぐさま三節根を戻すとクルクルと振り回し1本の鉄棒にすると構える。

 

「君!退いて!」

「っ」

「油断」

「!」

 

 応援に来た真堂の言葉に一騎はそちらを見て退こうとするも、その隙を突いてギャングオルカは一騎に急接近すると、音波攻撃をしかける。

 

「フッン!!」

「グヌゥウウウ!!」

「釣られましたね」

 

 しかし必殺技の音波アタックは至近距離で近ければ近いほど威力は高いが、その分頭部を相手に向けなければならない。

 結果、一騎はギャングオルカの強面が眼前に来ても驚きで硬直することなく頭が下がった瞬間に反射的に強烈なアッパーを叩き込んだ。

 

「雲嶺毘湖鯉鮒」

「ガッヴァ!!?」

「しゃ、シャチョぉおお!!!!」

 

「フッ! セイィ!!!」

「グッオ」

 

 アッパーを振り抜いたことでギャングオルカが仰け反ると鉄棒を思いっきり振るいギャングオルカを吹き飛ばす。

 

「今です!」

「良くやった!!インターバル一秒ほどで畳み掛ける!!」

 

 一騎が退いたことで真堂は地割れの起きるほどの振動を起こす。

 

 

 ☆

 

 

 

(・・・流石はギャングオルカですね。全身が異形型の人は総じて耐久度高いですがお兄様のアッパーをモロに喰らってまだ意識がある・・・というか全く脳が揺れてないなんて)

 

 液体操作で戦況把握していたユエはギャングオルカのタフさに驚いていた。

 

「リキッド!現在の状況は」

「お兄様を初め8名にいってもらってます」

「他に向かわせられる人は」

「既に向かわせてます。数は24名」

「上出来でしてよ」

 

 考えながらも才子の質問に即座に答える。

 ユエの返答を聞いて才子は即座に思考を巡らせる。

 

(この場に居るのは21人。戦闘に32人、救助に残りの47人。・・・救助者達の中には自力で移動できない人も居る。21人では絶対に救助者達を移動しながらヴィランの攻撃から庇って無傷で移動させるのは無理。

 かといって戦闘から人を裂けば何かハンデがあったとしても歴戦のヒーローが相手では戦線が崩れる可能性は高く、救助隊から人を裂けば救助に時間が掛かる。・・・なら残るては一つ)

 

 一秒にも満たない時間であらゆる選択肢から行なった場合の結果を考え選択肢から外し最後に残った一つを行なう為人もう一度ユエに問いかける。

 

「リキッド」

「はい」

「防衛、任せられますか?」

 

 既にユエには救助者の位置特定にトリアージ判定と色々としている。その為に才子の言葉に周りに居た受験者は驚くが、ユエは笑みを浮かべ答える。

 

「無論です」

 

 答えると同時に指をパチンと鳴らすと救助所を覆う様に水のドームが出来上がる。

 

私だけの水層(アクアドーム)

 

 出来た水のドームに受検者だけではなくフックの人も驚いていた。

 私だけの水層(アクアドーム)は内側は何の変哲もない水の膜になっているが外側は高速回転しており物理攻撃を受け流す。更には水の中は細かい砂や鉄片を含み上下左右に動く荒い水流になっているためにもし物が入っても瞬時に粉砕する仕組みになっている。

 

「防壁ならば私にお任せ下さい」

「・・・流石ですわね。ジャンパー!キツいでしょうが外に出て此方に向かう人達を転移で連れてきてくれますか」

「了解」

「皆さん!私達は私達のヒーロー活動を全力でしますわよ」

 

「「「「「はい!!」」」

 

 ここ、救助所の医療班に居るのは戦闘や索敵に不向きな個性の者達。その為に苦手なこと(ヴィランとの戦闘)は得意な人達に任せ自分たちは自分たちの出来る事を全力で行なう。

 

 

 ☆

 

 

 

 

「クッソ!固ったい!?」

 

 真堂の攻撃で多くのヴィランを足止めできたがギャングオルカには効かず瞬時に距離を詰められゼロ距離からの音波攻撃に真堂が倒れた。

 現在はギャングオルカを抑えられる一騎が一人で戦い他の戦闘を緑谷達に任せていた。

 

(硬さはUSJの時の脳無と為を張れるぞ。しかも初撃のアッパーもモロに入ったのに脳を揺すった感覚がない。恐らく首のあの分厚い首の筋肉と骨で衝撃を殺したのか)

 

 何度か良い一撃を叩き込んでるのにたいしたダメージが見られないことから普通の打撃では効果がないと悟り作戦の変更を考えると、一度大きく後ろに引く。

 

「不死黒!」

「ショート! 氷撃!!」

 

 後ろに引いたと同時に轟もやってきたことで直ぐに作戦を思い付き轟に叫ぶ。

 戦況は分らないが轟は言われるままにギャングオルカに向けて氷劇を放つ。

 

 怒濤の氷塊に合わせ一騎もギャングオルカに迫る。本当は挟撃をしたかったがこれは居た位置が悪かったと諦め迫る。

 

「ほぉう、氷撃と共に迫り懐に来るつもりか。・・・だが甘い!!」

「ヤバ!!」

 

 出力最大の超音波アタックを放ち迫り来る氷塊をほぼゼロ距離で砕き押し返す。その姿を見て先ほどまで人に放っていたのとは威力が違うと悟り咄嗟に横に跳んで範囲外からにげる。

 

「クソ!右腕少し当たったか?シビれる」

 

 右手を開いたり閉じたりを繰り返しシビれ具合を確かめていると突如「吹き飛べぇえええ!!」という叫び声と共に来た強烈な突風に反応する前に周囲の氷塊と共に吹き飛ばされてしまう。

 

「数は四人。火天ノ型・れっ――」

 

 更には上手く五点着地したと思ったら目の前に敵の人達がいたために攻撃を仕掛けようとした瞬間、横から来た炎に飲み込まれる。

 

「・・・えぇえええええええ!!!????」

 

 一騎の1番近くに居た人はヴィラン役を忘れガチの叫び声を上げて炎が過ぎ去った後に佇む一騎に近づき心配する。

 

「きっ君大丈夫!いまガチで炎喰らったよね!?」

「大丈夫です。反応出来なかった俺が悪いので」

 

 流石にいまのを見たギャングオルカを初め部下の人達は一騎に同情の目を向けてから二人に目を向けると。

 

「なんで炎なんだ! 熱で風が浮くんだよ!」

「さっき氷が防がれたからだ! お前が合わせてきたんじゃねぇのか!? 俺の炎だって風で飛ばされたっ」

「あんたが手柄を渡さないよう合わせたんだ!」

 

 一騎所か戦況すら見えて無いのか言い合いを始めていた。その事に再度全員の同情の目が一騎に向く。

 当然一騎はその目の気まずさから顔を背ける。それをみたギャングオルカは棒立ち状態の自分たちに未だに攻撃してこない馬鹿2人に溜め息を着いて部下と共に行動不能に追いやる。

 

「なんて言うかその・・・・が、がんばれ!」

「辞めて下さいマジの同情は」

「ごめん。・・・その止めに行かなくてよかったの?」

「あの2人には良い薬です」

「そ、そう?・・・それじゃお互い離れて再開しよっか」

「はい・・・ッ!」

 

 途轍もない気まずい雰囲気になり2人はお互いに仕切り直すために後ろを向いて歩きだす。本当は戦わないとだがこんな雰囲気で直ぐ気持ちを切り替えて戦うのはちょっと無理だった。

 そして歩いてる最中地面に倒れた人達を見た時に目を見開いた。

 

 何故ならまたしても轟は炎を夜嵐は風をはなった。その結果炎と風はギャングオルカ達を裂けるかのようにあらぬ方に行き、炎が真堂の方に向かう。

 その光景を見た一騎は火天ノ型・烈火を使い即座に炎より先に真堂の元に行きコスチュームを掴み空高く放り投げる。何故なら・・・。

 

「デクゥ!!」

 

 自分と同じ様に真堂を助けようと動く緑谷を見たから。

 空に投げ飛ばされた真堂を見た緑谷はフルカウルを使い即座に跳躍して真堂を受け取る。

 

 上手くいったのを見届けると即座に鉄棒を取り出し地面に突き刺すとその上に逆立ちするような体勢で炎を躱す。

 

「危なかった」

 

「2人とも、何!やってんだよ!!」

 

 着地した緑谷が2人に対してそう叫ぶ。その言葉にはっとした2人は自分の過ちに気づく。

 お互い協力して炎と風の合わせ技の炎の牢獄でギャングオルカを閉じ込める。

 

「ヤベーぞ!乾燥に弱いシャチョーが炎の渦に閉じ込められた!!」

「とりあえずどちらか気絶させろ!!」

「させねぇよ!!」

「グァ!」

 

 ギャングオルカを助け出そうと部下達は轟や夜嵐を狙うもそうさせまいと一騎が鉄棒を三節根に変え暴れ回り次々気絶させていく。

 だが直ぐに炎の牢獄が破壊される。それは当然他の誰でもないギャングオルカ自身の超音波に寄ってだ。

 

「で、次はどうする」

 

 炎の牢獄を破壊したギャングオルカは腰にぶら下げていたペットボトルの水を被ることで乾燥を防ぐとペットボトルを投げ捨て、死角から来た緑谷の蹴りを片腕で受け止める。

 

「次は?」

「!」

 

 死角からの一撃を受け止められた事に緑谷は驚く。のだがそれがよくなかった、驚くことで生まれた隙をギャングオルカは見逃さず緑谷の足を掴み地面に叩き付けようとするが。

 

「オラ!」

「うっ」

 

 肘を側面から強く打撃され表情を歪めるギャングオルカ。その視線の先にあるのは鉄棒。

 

「緑谷」

「え!」

 

 直ぐに部下達を行動不能にすると三節根から鉄棒に変えた一騎はギャングオルカの腕を狙って投擲したのだ。

 そして痛みで握力が緩み緑谷が自由になると緑谷にメリッサがくれたサポートアイテム『万里ノ鎖』を巻き付けて引き寄せ戦線離脱させると入れ替わるようにギャングオルカの前に立つ。

 

「「・・・」」

 

 一騎とギャングオルカは微動だにせずお互いに見つめ合う、相手の一挙手一投足を見逃さない為に。周りの人はさながら達人の侍やガンマンの様にみえていた。

 

「・・・っ!」

 

 先に動くはギャングオルカ。必殺技の超音波アタックを放とうとする。 だが――。

 

 ――ドサ。

 

「は?」

「え?」

「しゃ、シャチョー?」

 

 超音波を放つどころか前のめりに倒れ込む。

 

 0.5秒。

 

 人は意識するのに 0.5秒遅れてやってくる。有るか無いかのその刹那、それを狙い一騎はギャングオルカに拳を放った。

 しかも只拳を放ったのではない。鉄砕で拳を固めギャングオルカの顎先を擦るように殴り顎を僅かに揺らした。それは結果的に脳も僅かに、しかし超高速で揺らした。

 

 結果的にギャングオルカは攻撃しようとした瞬間に脳に予想外の揺れが起きそのまま倒れ込んだのだ。

 

「一瞬気絶したが何をした」

 

 無理矢理体を動かし仰向けになると自分を見下ろす一騎に問いかける。

 

「殴っただけですよ。只早く貴方が認識する前に」

「・・・マインド・タイムか」

「そうです」

 

 一騎の返答にギャングオルカはそんなこと出来る人間がいるとすれば時間に関する個性の者だけだろと思うも、既にあらゆる概念を打ち壊してきたこの男ならば出来ても不思議ではないかと妙な納得をしてしまう。

 

(流石はあの御方の孫だな)

 

 ギャングオルカの脳裏に浮かぶのはオールマイトの前の№1ヒーロー。

 

「それでどうしますか」

「・・・立って動くことは出来る。だが戦うには数分必要だが、それもあれば試験は終わるだろうな」

「といいますと」

「降参だ」

 

 ギャングオルカは目を瞑り負けの宣言をする。それと同時会場にブザー音が鳴り響く。

 

『えー、只今をもちまして配置された全てのHUCが危険区域より救助されました。誠に勝手ではございますが、これにて仮免試験全行程は終了となります!』

 

 いやにハイテンションでの目良の声で試験終了が言い渡された。

 

「どうぞ」

「すまないな」

 

 アナウンスを聞いて一騎は手を差し出す。ギャングオルカはその手を取り立ち上がると服に付いた砂をはたき落とす。

 

「にしても良いタイミング。ユエ狙ったのかな?」

「あながち否定できんな。ありえそうだ」

「あはは」

 

 ギャングオルカの降参宣言とほぼ同時に救助者全員の保護が終わったことで2人はユエは自分たちの戦いが終わるのを計算して救助を調整していたのでは無いかと勘ぐってしまう。

 

 因みにそんな事は断固としてない!本気(ガチ)でタイミングは同じなだけだった。




今年最後だ!

次回「俺と全力で戦え」

それでは、期待せずにお待ち下さい。
よろしければ評価やコメントの方お願いします!優しいコメントが嬉しいな~。
あとここすきも嬉しいです!

皆さん!よいお年をお迎えください!!

緑谷が秘密を自分の意思で話すか選んで!

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