「よっ、指揮官。残念だけどあんたの獲物は無いよ」
「心配しなくて結構。道中5体くらい倒してきた」
グローザは指揮官と呼ばれる男を見た。見れば見るほど「果たして指揮官なのか」と疑問が湧く姿だった。まずは頭部。頭にはバリスティックヘルメットを装備しており、顔を覆うようにガスマスクを装備していた。色はどちらとも黒。そのため表情が分からず、不気味さと威圧感を兼ね備えていた。視界を確保するための2つ穴が、唯一顔が分かる部分である。ヘルメットをよく見ると、バイザータイプのフェイスシールドらしきものが地面と平行になるように頭部上に装着してある。ここからだとよく分からないが、警官が装備するような半透明のバイザーでは無く、色合いがロシアングリーンに酷似していた。
次は胴体。服装は黒の戦闘服で、チェストリグもボディーアーマーも黒一色だった。右腕の腕章とボディーアーマーにはグリフィンを示すパッチを付け、M4A1を装備していた。見える限りで覗いてみると、レーザーポインター、ホロサイト、サプレッサー、グリップが取り付けられており、右手でグリップを握っていた。サイドアームは右腰に携行しやすい黒いホルスターに入っていた。腰回りにはメディキットや弾薬ポーチが並んでいた。その中で目を引くのは、特徴的なワッペンだった。模様はスパルタ兵が盾と槍を持って横に向いており、腰あたりに刻まれた文字には縫われていた。左胸にはナイフが鞘に収まっている。咄嗟に扱えるようにグリップは上方向に収まっていた。
最後に脚部。こちらも胴体の戦闘服と同様に黒かった。その上に黒のニーパットを装備している。膝だけでは無く、膝から数センチ下の方にもクッションがあった。
「マジ?漏れがあったの?」
「多分な。恐らくナパームの海を渡ってきたんだろう」
「アイツらも懲りないね。さっさとくたばればいいのに……」
赤の他人が聞いたら差別だと言われそうな発言をする。鉄血に対して憎悪と軽蔑を示しているのは明らかだった。しかし当の本人は気にしていなかった。再びポケットから飴を取り出して舐める。指揮官と呼ばれる男はグローザの方を向き、グローザの顔が見えるようにしゃがんだ。相変わらず表情は見えない。しかし、どうにも見られている気がして体が少しこわばる。それがひしひしと緊張を煽り、グローザの心拍数も上がっていくのを感じた。
「貴方がグローザ?」
先程の雑談に比べ改まった態度に少し困惑する。状況が読み込めておらず、まだ困惑しているのか、呼吸も少し荒い。
「この部隊の指揮官、ハンクだ。よろしく」
それと同時に右手を差し伸べられる。数秒の間が空く。その静寂を破ったのは指揮官だった。
「それで貴方の任務は?」
指揮官(と思われる男)はグローザに質問する。グローザは相槌を打ち、差し伸べられる手を掴み立ち上がる。
「本当に指揮官なの?」
質問を質問で返すグローザ。彼女の質問に対し彼は大袈裟に敬礼をした。
「グリフィンから派遣されたS027地区の指揮官、ヘンリー・ブラッドフォード・レイランド。指揮官ネームはハンク。指揮官コードはV61372」
淡々と個人情報を話す姿を見て唖然とする。特に指揮官コードは指揮官の住所と履歴書のようなものだ。これをグリフィンのデータベースにかければ、どんな経歴を歩んだのか一瞬でわかる。ちなみに戦術人形たちは、簡易ながらもそのコードにアクセス出来る。指揮官のなりすまし防止や、共同して指揮を取るために付けられた機能である。グローザは言われたコードを検索にかける。すると先程の言葉と一字一句同じ文章が並んでいた。ここで指揮官だと確信した。そしてすぐに敬礼し返す
どんなにボロボロでも疲弊しても人間ー特にグリフィンの指揮官なら、礼儀を見せるのが第一なのだ。
「先程の無線でも話した通り鉄血の偵察任務よ。それでこれが、」
そういうと自分がいた付近の土を掘りかえす。埋めていたフィルムケースを見つけ出す。静かにゆっくりと土を払い、じっくりとケースを見る。傷は無く、目立った外傷もない。グローザは掘り起こしたフィルムケースを指揮官の手に移した。
「偵察結果。作戦は成功したけどメンバーは私以外全滅。そしてその私もご覧のザマよ……」
フッと軽くため息をつく。指揮官は彼女の右肩に手を置く。
「生きてるだけで充分さ。それでどれくらい歩ける?車まで500メートルあるが」
指揮官は励ますようにグローザに話しかける。グローザは質問に答えるために簡易的なスキャンを行った。足回りが壊れてるのは事実。だが憶測では話せないと思った。スキャンが完了すると指揮官に報告した。
「関節部に異常あり、酷使しすぎてフレームが擦り切れてるわね。それと同じ理由で金属疲労を起こしてる。走るのは遠慮させてもらえるかしら?」
「なるほど、歩きは?」
「歩く程度なら問題ないわね。ただそんなに早く歩けないわよ?」
指揮官はそこまで聞くと自分の肩を貸そうとしていた。グローザはそれに気づき、指揮官の肩を借りた。
「問題ない。エスコートなら任せてくれ」
その発言にクスッと笑うグローザ。対照的に「キモい」と野次を飛ばすAA-12。グローザは指揮官に微笑み返すと、
「エスコートは初めてかしら?丁重にお願いするわ。なんだってレディーですもの」
と自信満々に答える。指揮官を
「了解。こちら、デルタ1、対処をエスコートする。各員援護を頼む」
『指揮官くん〜了解!』
『あいよ、後ろは任せてくれ』
『了解しました。後方から火力支援します』
『こちらコブラ、ビンゴ*1!今すぐ帰投するわ」
「了解した。各員、支援を頼む。マジックは道案内を」
『了解、最短ルートをそちらに送信した。コブラは帰還を。各隊員は支援を』
展開してる部隊から続々と連絡が入る。指揮官たちも移動を始める。するとAA-12が何か思い出したのか指揮官に質問した。
「そういえばさ、それって周囲見えんの?」
確かにバイザーの防御力は高い。確かに銃弾を数発程度であるが耐えることができる。その代わり視界は制限される。指揮官は間を空けると独り言のように呟いた。
「背に腹はかえられぬ」
その一言を聞いたAA-12は深いため息をつき、
「ほんと、うちの指揮官ってバカだよね」
と痛烈に言い放った。
「よしっTEC-9!ここから移動して指揮官を援護するぞ!」
PM-9は右太腿に取り付けてあるマガジンを取り出しリロードを行う。明るく勇ましい姿と対照的に、常に心配しおどおどしてるTEC-9は頷いた。そして消え入るような声で返事をした。
「了解しました……ふぅ、やっと帰れますね」
「まぁな。けど気を引き締めないと。帰るまでが遠足っていうしな」
「はい、そうですね。もしかしたら敵がワラワラと向かってくるかもしれませんね」
その嫌な予想は的中した。茂みが揺れ、鉄血の群れが行進してくるのを感じた。前列はガード、後列はヴェスビドとリッパー、幸いにも人数は約20体。また服装や武装も焼けこげており動きは鈍い。そんな鉄血の群れを見つけたTEC-9は目を丸くした。そして口を大きく開け、叫ぶように報告した。
「て、鉄血です!応戦を!」
「あいよ、これでも食いやがれ!」
9㎜パラベラム弾の雨が鉄血に降り注ぐ。カードの盾もこの攻撃には防ぎきれず、後方の鉄血にも降りかかる。カードの頭部は配線や部品があらわになる。更に胴体が穴だらけになる者も現れた。しかし物量には勝てない。ジリジリと攻めてくる。その群れは歩みを止めず、仲間の亡骸を踏み越え近寄ってくる。その光景にPM-9は悪態をついた。
「クソ……まだやってくるのか」
PM-9が次のマガジンを取り出している。その傍ら、TEC-9はトマホークを持ち出した。バイキングのように左右の手で握っていた。
「PM-9さん、援護を。私が切り込んできます」
「OK、任せな」
TEC-9は背を低くしガードに突っ込んでいく。左手に握ったトマホークを1体のガードに向かって投げる。頭部へ流れるように弧を描く。重々しい一撃が頭部に被弾し、そのまま地面に倒れる。空いている左手にTEC-9を装備する。低い姿勢のまま2体目のガードに向かう。流れるように首元へトマホークを刺し込む。頭部と胴体に繋がる配線を切られたガードは腕をだらんと伸ばした。そして持っている盾と銃を地面に落とし崩れた。3体目のガードは盾をTEC-9に近づけた。盾とトマホークの距離を狭くし追撃を防ごうとしたのだ。しかしその盾の合間を縫うように、胴体に銃を突きつける。目と鼻の距離、返り血を浴びそうだがそのままトリガーを引く。残弾は20発ほど。本来TEC-9はセミオートである。しかし安価でお手軽にフルオートに改造出来るため、彼女の銃もその改造を施していたのだ。軽く弾けるような音と共に、ガードの胴体に風穴が空く。いくらガードといえど生身に対し至近距離による攻撃は、装甲が厚いとされるガードですら耐えられなかった。9ミリの雨を浴びたガードは腑抜けたようにその場に倒れる。TEC-9は攻撃を警戒しトマホークを構えたが、後方の敵は反撃してこない。後方に陣取っていた鉄血達の頭には風穴が空いていた。全てPM-9が処理したのだ。PM-9は構えていた銃を下げTEC-9に近寄る。
「よくやったな。指揮官も喜ぶぞ」
そう言うと我が子のようにTEC-9の頭を撫でる。撫でられるTEC-9は驚きと恥ずかしさが混ざったような顔をした。そして恐る恐る口を開けた。
「あの……返り血とかついてます?」
「返り血……?あぁ、目元にな。ちょっと待ってくれ……」
PM-9はTEC-9の目元についてた返り血を人差し指で拭った。黄色い手袋に乾いた鮮血がこびりつく。TEC-9にそれを見せると「ヒィッ!」と悲鳴を上げ体が萎縮した。数秒後我を取り戻した彼女はぺこりと体を曲げ御礼をした。
「あ、ありがとうございます……自分じゃ拭けないので……」
「大丈夫、これくらいなんともないからさ。それよりもここから撤退するか」
「はい!そうしましょう」
2人は鉄血の残骸を後にし撤退を開始した。
時を同じくして
「ねぇ、K11?榴弾まだなの?」
SIG MCXは辺りを見渡す。こちらも襲撃を受けていた。しかし森林のせいで向こうが見えず、数や種類が未だに不明なのだ。SIG MCXは試しに向こうの木々の合間に数発撃ち込んだ。すると10倍になって返ってくる。SIG MCXは木の後ろに隠れると、発砲元がどこか観察した。そしてじっと寝てるように静かに見つめていると、襲撃者が何者か判明した。プラウラーを盾にヴェスピドとリッパーが前進し、後方にはイェーガーが辺りを捜索していた。またプラウラーの他にもダイナーゲートが数体、先行していた。プラウラーと共に行動してるため歩調は同じくらいだった。早く片付けたい……そう思っていると左肩を叩かれる。振り向くとK11がグレネードランチャーの弾を2発持っていた。その顔は玩具を買ってもらった子供のような顔をしていた。
「へへ、どれがいいか迷っててさ」
「ふ〜ん。なら相手にとって、忘れないほど刺激的な一杯を鉄血に奢ってくれない?」
「OK、それじゃこれにすっか」
そう言うと、弾頭が赤く塗られている方を装填する。見るからに危険物だと分かるような色だった。それを手際よく装填すると、SIG MCXに着弾地点の指示を仰いだ。SIG MCXが人差し指で突くように指示を出す。K11はSIG MCXが指したところに照準を合わせた。そして
「どーーん!たまやーー!!」
の掛け声と共に榴弾が発射される。ポンと軽く炸裂する音が鳴った。その数秒後、轟音と爆風が2人を襲う。爆風により髪が揺れ、轟音のせいで周りの音が聞こえにくくなった。爆発の威力は相当なもので、鉄血の手と思われる部品が足元に飛んできた。
「……ちょっと炸薬盛りすぎたかもな」
K11は撃った先をみてボソッと呟いた。それを聞いたSIG MCXはK11の方を振り向き頷いた。
「確かに盛りすぎよ。AUG大丈夫かしら」
「あいつなら平気……だと思う」
2人は木陰に隠れながら鉄血の行進を迎え撃った。
AUGは1人耐熱と耐爆を施している迷彩のマントを被っており、茂みに隠れ木をうかがっていた。片腕、片足を失った鉄血達がゾロゾロと行進するのをじっと見つめてる。息を殺し、観察するついでにサプレッサーをつける。列が最後尾になるとゆっくりと立ち上がりマントを脱ぎ、そして最後尾から鉄血を襲撃した。その静かな暗殺者は手際よく頭部に銃弾を当て、最も近い鉄血から順に各個撃破する。鉄血の銃声が皮肉も彼女の足音をかき消す。後ろを振り返るリッパーを見つけると、左手で髪の毛を掴み木に殴るようにして押し付ける。その衝撃でリッパーは武器を落としてしまう。必死に左腕を離そうと両手を絡ませる。しかし無慈悲にも眉間に銃口が置かれ、曇った銃声と共に亡骸となる。そして周りを見渡し、鉄血にまだバレてないと分かると狩りを再開した。
挟み撃ちにあった鉄血達はどんどんと数が減り、とうとう誰もいなくなった。静まり返る中、鉄血の残骸からゆっくりと散歩するように歩いてくるAUGを見て2人は安堵した。
「AUG、怪我は無いか?あたしの榴弾、炸薬盛りすぎたからさ……」
「いえ、怪我はありません。とても良い榴弾でしたわ」
そう言うとAUGはスカートの丈をぽんぽんと叩く。埃や灰が舞い上がるが、マントを着ていたお陰で目立った外傷は無かった。
「あのマントが焦げたくらいですわ」
AUGはまるで玩具の人形のように、表情を一切変えずに受け答えしたor答えた。一方のK11は、コメディアンのように忙しく表情を変え、その返事を聞いた時にふぅと一息つき微笑んだ。
「そいつはよかった。あたしの発明で味方を傷つけたくはないからな」
「ありがとうございます」
そんな当たり障りのない会話をしてるとSIG MCXが2人を呼んだ。2人は振り向くとその異様な光景に驚きを隠さずにはいられなかった。SIG MCXは手にダイナーゲートを抱えていた。付近には、彼女が撃ったと思われるテーザーガンのカートリッジが転がっていた。高電圧で回路がショートしたのだろうか、手足を伸ばしきっていた。
「何だそれ」
「何って、ダイナーゲートだよ。指揮官くんが欲しいって言ってたからさ」
「うちの指揮官って変人だよな……」
「えぇ、私も指揮官さんの考えてことは分かりませんわ」
「あたしも分かんないのよ。指揮官くん、ペットショップでも開くのかな?」
そんなたわいも無い話をする。そして撤退の連絡を聞き撤退を開始する。ふとK11は後ろを振り返ると右手の親指を立てた。それは、SIG MCXやAUGに向けられたものではなかった。離れた位置にいたT-5000はスコープ越しにそのハンドサインを確認すると、自信満々に微笑んだ。
一方、K11達が戦闘を開始した頃
T-5000とM200はK11達の援護をしていた。具体的には、イェーガーやジャガーといった後方にいる鉄血を狙撃する。アサルトライフルでは届かない距離のため、ライフルである彼女達の出番なのだ。確認できたイェーガーは5体。T-5000は頭に照準を合わせると引き金を引く。数秒後、頭部の一部が破裂し部品や配線が飛び散ると、同時に後頭部から倒れる。それを確認するとボルトを引き、次弾を給弾する。空薬莢が落ちるのと同時に次のイェーガーに狙いを定める。自身が狙われているとは知らないイェーガーはこちらに銃口を向けていない。M200と共に狙撃し最後の1人となった。最後の1人になってもイェーガーは狙撃を続ける。T-5000は最後のイェーガーに狙いを定める。
「我が命を懸けて……仲間を守ってみせる!」
そう呟いたT-5000は最後のイェーガーに照準を合わせ引き金を引いた。パーツや配線が吹き飛ぶ。致命傷を負ったイェーガーはそのまま地面に倒れていった。ふぅと一息つきながらボルトを引く。それを横目にM200は、間を置いて質問した。
「さっきのセリフ、特撮ですか?」
思わず口にしてしまったと知り、恥ずかしさで赤面した。目を丸くし頬も赤くなった。
「そ、その……迷惑でしたか……?」
語尾も所々裏返りてんやわんやしていた。脳内は軽くパニック状態である。一方のM200は落ち着いていた。そしてゆっくりと口を開いた。
「いえ、ボクも何か熱中する趣味が持てたらなぁと……」
そうしみじみと言うM200。その姿を見ていたT-5000はだんだん落ち着きを取り戻すと、どこか物悲しそうなM200の肩に手を置く。
「M200さんならすぐに見つかりますよ」
T-5000は微笑みM200を慰める。その表情を見たM200はニコッと笑みを見せてくれた。その数秒後2人の無線機からSIG MCXからの報告が入った。
『2人ともお疲れ様。後ろからの援護ありがとうね。帰ったらワンゲーム、いかが?』
「すみません、報告書を書かないといけないので見送らせていただきます」
「私も装備の調整があるので……すみません」
2人からNOと言われたSIG MCXは残念そうに、
『そっかぁ。それじゃまた後でね』
と言って無線を切った。SIG MCXがK11達と合流するところをスコープ越しに確認する。3人が談話し撤退を始める。その時K11がこちらに振り返る。そして親指をこちらに見せるように立てる。そのジェスチャーを見て、T-5000は微笑んでいた。守る仲間が生存していること。それは彼女達にとって掛け替えのないものだった。仲間からの感謝なら尚更だ。
突然後ろから肩を叩かれる。2人はほぼ同時に振り返る。するとモンドドラゴンがしゃがみながら、
「指揮官様からの連絡です。撤退を開始してください」
と手短に伝えられた。2人もその連絡を聞き機材を回収し始める。モントドラゴンはその2人の姿を見ながら、追加で話し始める。
「辺りの安全は確認は出来ました。それと
彼女自身、護身術や体術に長けている。そのため、不意の接近戦にも対応出来るため頼りにされているのだ。T-5000とM200は自身の銃と機材を背負い撤退を開始する。その際、モントドラゴンに感謝の言葉を伝え軽くお礼をする。素早く撤退した2人に対し、モントドラゴンはその場にしゃがむ。周囲をゆっくり見渡す。そして付近の安全を確認すると、音を立てないように時間をかけてゆっくりと立ち上がる。そのあと2人の後を追った。
指揮官とグローザは鉄血の襲撃を避けながら脱出ポイントに移動した。その間、鉄血から銃撃があったがAA-12が盾となり時間を稼ぐ。また撤退を始めた部隊たちも指揮官の時間を稼いだ。その間にも2人は歩みを止めなかった。30分後、目的地と思われるところまで移動した。森の入り口のところには戦術人形とハンヴィーが待機していた。さらに様々な戦術人形たちが待機しており、銃種はもちろんのこと、ローエンドの人形達から入手しづらいハイエンドの人形までおり統一感がまるで無いように思えた。
「指揮官!こっち!」
先頭にいたハンヴィーの窓からグリズリーが身を乗り出し、そして大きく手を振っていた。ハンディーの車載銃架上には備え付けのM2HB重機関銃と共に、戦術人形であるM2HBも一緒にいた。普通の車載武装と違うのは2丁あることだろう。正直これではオーバーキルすぎるのと、弾薬の消費が激しすぎる。もちろんグローザはそれについて指揮官に質問した。指揮官は間を置いた。そしてAA-12にバイザーの有能性を疑問視された時と同じような受け答えをした。
「俺のロマン」
そう言われた時、グローザは乾いたため息をついた。この指揮官の考えてることは全く分からない、そうつくづく感じた。グリズリーが乗ってるハンヴィーに近づくと、操縦席のドアを開ける。次に後部座席のドアも開ける。そしてグローザを抱え、後部座席に座らせる。AA-12には後部座席に乗るよう指示をした。そして指揮官は操縦席に座ると、エンジンをかけた。側にいたグリズリーは、
「ルートはこれ。この道なら安全だってマジックが」
「了解。M2HB!援護頼む!」
「了解〜♪どんな敵も八つ裂きにするわ!」
そう言うと車載武装のM2HBをコッキングする。カチャと重厚感がある音が響く。そのあとアクセルをふかし、ハンヴィーは唸りをあげ移動し始めた。待機していた人形達も乗ってきたハンヴィーに乗り、後を付けるように追ってきた。
「デルタ1からマジックへ、グローザを確保。これより撤退する」
『こちらマジック。了解した、そのまま撤退を開始せよ』
そしてハンヴィーの車列は激戦区を後にした。
高評価、しおり等ありがとうございます。UAが193(今現在)行った時はとても嬉しかったです。
それと推敲して下さったお二人に感謝を。ありがとうございます