3-1 嵐の前触れ
ハンクと代表の2人は作戦本部で話し合っていた。本部の電気は最低限しか点いておらず、薄暗く不気味な雰囲気を醸し出していた。「先月の襲撃から鉄血の動向を追っていた工作員達からの報告だ。先週、彼らの装甲列車と貨物列車が不審な動きをしていた」
「具体的には?」
「積荷にジュピターが積んであった。それも5門だ。あと、通常の1.5倍ほど多く鉄血の素体が積まれてあったそうだ」
「偶然じゃないか?」
ハンクは代表の報告に疑問を抱いていた。確かに鉄血は貨物列車を使って物資を運搬していると聞く。しかし一部の列車は、レジスタンスグループが仕掛けた爆弾の被害にあって全く運搬出来ていないそうだ。そのため対人砲やジャミング装置などあらゆる防衛手段を用意していることが多い。
それでも爆破任務は続行し、今では2両の列車が無傷で鹵獲されているほど洗練されていた。
「今回だけたまたま数が多かったわけでは無い。ここ最近、積荷の量が増加傾向であるのは確かなのだ。それに先日のエージェントカールと指揮官達の報告によると......」
代表は資料をめくる。それと同時に画面が切り替わった。
それは暗く不鮮明なところもあったが、何が写し出されていたのかは分かった。ジュピターの砲塔と思われる部品と、起動していないストライカーが眠るように横に並んでいた。
「明らかに何処かに運ぶ予定だな......」
「ああ、カールが仕掛けたGPSによると占拠されたカタル駅に集められていた。積み荷がここに集まってるのは確かだろう」
代表は地図を映し出した。赤く丸がついている駅は、元は資材倉庫も兼ねていた軍事的に重要な駅だった。今では鉄血の手に落ちてしまい、以前の持ち主と同じような運用をされている。
ハンクはため息をついた。このような状況は間違いなく悪い前兆だと勘が告げていたのだ。代表は重々しく口を開け話し始めた。
「そこでだが今回の作戦は、まずこの列車の”積荷”になる。そして目標の駅を襲撃し、何故量が増えたのか、それを命令したのは誰かを突き止めることだ」
「待て。その
ハンクの言うことは概ね正しかった。まず、現在の主力軍は都市や治安維持活動に躍起になっていた。そのためグリフィンに駐屯している軍は2個中隊程度。さらに、後方支援や本部に帰還する人数を減らすと、使えるのは1中隊程度。
損耗を避けたい両者にとって、派遣するのにはリスクがありすぎるのだ。
また、レジスタンスグループは防衛戦に駆けつけた”抵抗者”以外にも存在する。しかし人数と装備の質に難がある。未だにAK-47や火炎瓶で渡り合うような勢力である。戦力として呼ぶには少々難があるのだ。しかし代表には考えがあるようだった。
「大丈夫だ。クルーガーと連絡を取り、話し合った結果別の地区の指揮官が援軍として派遣されることになった」
「それは何処だ?まさか10地区じゃないだろうな。あそこは精鋭と聞くが......」
「いや、8地区の人形達が派遣されることに決定した」
代表は椅子にもたれかかると、手元にあった水の入ったコップを手に取った。カランと氷がぶつかる音がモニター越しから響く。代表はハンクの目も気にせず一杯飲む。そして古い友人を思い出すように語り始めた。
「名前は......『ギムレット』
・会議から2時間後
ギムレットと呼ばれる人形ことM200とSAFは地下に向かうエレベーターに乗っていた。それに加えて2人の兵士が護衛として同行していた。同行していた兵士は2人ともM4を所持しており、素顔がわからないように目出し帽を被っていた。
1人は階層を操作するパネルの前に、もう1人はドアの前に立っていた。兵士以外の搭乗者は人形達だった。グリフィンでもお馴染みであるM200とSAFは兵士の後ろに固まって立っていた。見慣れない姿と場所が原因ですっかりと萎縮してしまう2人。彼女らと比べ1人、興味津々に話しかける人形が1人いた。
「このエレベーター、何処に向かってるの?話してもいいじゃない、お互い仲間なんだからさ」
その人物は戦術人形の中でも一際目立つ見た目をしていた。
深海のように深い青色のショートヘア。目も同じように青かった。その髪と目を強調するようなあまり目立たない紺色のスーツ。
グリフィンの戦術人形なら当然のように持っている銃は、どこにも見当たらなかった。代わりに鉄血が所持していそうなレーザーライフルとハンドガンを装備していた。話しかけられた兵士は答えた。
「残念ながら、それは機密事項なのでお答えすることは出来ません。ましてや、グリフィンの人形でも無いのなら尚更です」
「それ、3回目よね? あなたてば人間なのに、私たちよりよっぽど機械らしいよね」
青髪の人形はつまらなそうに反応した。
S027地区では外部との接触がある場合、予め身元を示す書類と軍による審査がある。彼女はその中の1つである”人形か人間か”の回答に不備があった。書類には「人間」と書いてあったが、人形に反応する金属探知機とスキャナーが「人形」と反応した。更に「鉄血」と診断され、一時期現場はギスギスした空気が流れていた。相手側の指揮官からの申し出があり、味方だと判明するまで警備兵達は彼女に銃口を向け発砲する寸前だった。
「ギムレットさん、困ってますよ。ほら、離れて待ちましょう」
M200はギムレットの肩に手を置いた。ギムレットは振り返ると愚痴をこぼした。
「だって、遅いし話してくれないし......」
「虚偽申告したギムレットさんが悪いんですよ。ただでさえ鉄血の人形なのに」
その一言を突かれたギムレットは苦虫を潰した顔になった。
「だってさ、気づかれるなんて思ってなかったんだもん......」
SAFもM200の援護に入る。
「そりゃそうだよ。あれだけ指揮官から忠告したのに一切無視したんだからさ」
SAFの一言がトドメの一撃だったのか、ギムレットは苦笑いを見せた。その後もM200からの説教が続けられたが、彼女の目はSAFやM200を見ていなかった。彼女の目は前方の兵士を見ていた。兵士は無線機を取り出し連絡を取り合っていた。目出し帽のせいで口元が隠れていたが、彼女にとっては無意味に等しかった。聴覚モジュールの感度を高め目の前のやり取りに集中した。
『......もうすぐ......はい、わかりました。そちら......』
断片的に会話を聞き取り旅の終わりを察した。もっと情報を集めるため、視覚モジュールを制限し聴覚の感度を上げようとした。
「聞いてますか?ギムレットさん?」
M200の顔が目の前に現れる。まるでホラー映画のジャンプスケアのシーンを彷彿とさせるものだった。さらに聴覚の感度を上げていたせいで、小声にも関わらず雷鳴のような響きだった。予想外の出来事にギムレットの体は少し震えた。さらに思わず素っ頓狂な声を上げた。
「ヒャッ!びっくりした!」
「また人の会話を盗み聞きしてましたよね」
M200が呆れた声で再び説教し始めた。先程の偽装の罪に加えて盗聴の罪が上塗りされた。M200の説教は、少々長くなりそうだった。しかし2人の視線はギムレットから外れてしまった。エレベーターが目的地へ到着する音を告げたのだ。
エレベーターが到着すると2人の兵士が前に並んでいた。ドアがゆっくりと開き、別世界への景色を映し出した。3人はその景色に唖然とした。小さな街が形成されている――その事実に一同驚愕したのだ。27地区への最初の一歩を踏み出したのはM200だった。
「......!」
そこは、様々な人々の活気と大小様々な人混みに溢れていた。S08地区も同じように活気に溢れている。しかし治安の点について、S08地区はこことまったく比較にならない。例えば、一区を勝手に支配しみかじめ料を払うように脅すギャング。鉄血のせいで帰る家を失った不良達。M200はこの理想的な世界に思わず目を丸くし――そして、自然と笑みが溢れていた。ギムレット達も同じだった。まるで遠足に参加した子どもたちのように辺りを見渡していた。しかし、遠足気分は長くは続かなかった。
「ギムレットさんですか?」
突如ギムレットに話しかけてくる職員が現れた。年齢は20前後、服装は上下カーキ色の戦闘服。後方支援担当なのか半袖で身軽そうだった。髪もヘルメットなどが干渉しないくらい短かった。話しかけられたギムレットは頭を縦に頷き、敵意を感じさせないよう笑顔で答えた。
「そうだけど......貴方は?」
男はその場で敬礼をし自己紹介を始めた。
「マクディランです。ハンク指揮官から連絡を受けてここにいます」
「OK、分かった。で、その内容は?」
「ミーティングルームに来てほしい、とのことです」
ギムレットはその一言で全てを感づいていた。
「了解、案内してもいいかな」
「ええ、勿論ですとも。ではついてください」
・9:53 ミーティングルーム
今回の作戦に参加する人形たちはミーティングルームに集結していた。その数は通常の作戦の倍近くにのぼる。普段は饒舌な人形ですら思わず黙ってしまう程、静まりかえっていた。普段はヘリポート前や仮想空間で簡易的に行う事が多い。そのため、このような正式なミーティングをするのは初めてだった。作戦に参加する人形達はパイプ椅子に座る。座った人形達は自身の銃を弄ったりヒソヒソと話したりしていた。人形たちが席について1分後、指揮官とその他2名の軍人がドアを開けて入ってきた。一人目は50歳後半の老将で、所々白髪が混ざっておりかなりの貫禄があった。二人目は30歳後半のタフそうな軍人で、こめかみから鼻の下に続く口ひげがトレードマークだった。その2人はスクリーンの隣にあるパイプ椅子に座った。指揮官はスクリーンの目の前に立つと、演説をするように人形達に話しかけ
た。
「これより、本作戦の概要を説明する。ガリソン少将、お願いします」
指揮官に呼ばれたガリソン少将と呼ばれる老将はゆっくり立ち上がる。ガリソン少将は腕組みをすると口を開けた。
「全員、飯は食べたか?」
その質問に各々答えた。タイミング、声量はバラバラだったが全員「YES」ととれる回答だった。それを聞いた少将は「そうか」と答えて一笑すると、すぐに真剣な表情に戻った。
「では話に戻ろう。先週鉄血の貨物列車に我が軍の工作員が潜入したところ、通常の運搬量より鉄血素体が多く積まれていた。またジュピターが5門、分解された状態で確認された。これらから推測するに、奴らはこれを何処か一箇所に集めていると思われる」
少将の説明が終わると同時に、スクリーンに映された画像が変化する。スクリーンには駅を真上から撮ったと思われる写真が映された。通常の駅とは違い、四隅には第二次大戦のような古い高射砲が構えていた。
「これは先月、鉄血に占拠されたカタル駅の上空写真だ。この四隅にある砲台はドイツ製120ミリFlak-58連装高射砲。敵機が侵入すると、赤外線レーダーで目標を追尾し射撃する。発射速度は大して速くは無いが、喰らうとひとたまりもないのは明らかだ。人形ですら蒸発して消えるかもしれんな」
淡々と事実を述べていく少将。しかし後半の内容があまりにも生々しく、一部の人形達はざわついた。
「これを掻い潜るには陸路しかない、と思うかもしれないが陸路のほうが危険だ。まず、この駅周辺は障害物がないため、高台からはこちらの侵攻がはっきりと見えるはずだ。恐らく、鉄血の弾幕に晒されることになるだろう。さらにこの高射砲、厄介なことに仰俯角が非常に取りやすい上に、地上目標ですら攻撃できる。つまりこちらが手出しする前に一方的にやられるだろう」
少将の発言から困惑の波紋が広がる。勝てるわけがない戦争をする、そう宣言するのとほぼ同義であるからだ。一気に困惑と疑問が伝播し騒ぎ始める。いくら戦い慣れている戦術人形ですらこの任務は不可能と考えていた。少将は「だが」という一言でその騒ぎを黙らせた。
「いくら強力な陣地とはいえ、人が作ったものには穴がある。コイツの弱点は排気の温度が低い航空機なら補足できない点だ。そこで我々が出した答えは空挺で降下、素早く敵陣を攻め落とすことだ」
少将が言い切るとスクリーンが写り変わった。先程まで高射砲が写っていたが、今度は双発機が映っていた。ずんぐりむっくりとしたエンジンが2機。そのエンジンと大きな翼に挟まれている巨大な胴体が印象的だ。その巨漢が鈍足で小回りが苦手なのは目に見えている。しかも銃座などの防衛装置は無かった。頭部が民間機にも見えるため、それがますます人形達の不安を誘った。
「コイツはC-47スカイトレイン、WW2で活躍した老兵だ。これに搭乗して、まず君等はここに降下する」
スクリーンは先程の上空写真に変わる。しかし、その写真は駅と貨物置き場に緑の丸が書き加えられていた
「まずAチームは駅へ、Bチームは貨物倉庫、Cチームは防衛装置へ強襲をかける。駅には貨物列車が止まっているため、これを速やかに奪取する事が先決だ。Bチームは貨物倉庫に潜む鉄血を倒した後、列車に積み荷を運んでくれ。Cチームは対空砲、出来れば鉄血に指示しているコンピュータの起動を停止させろ。この緑で囲った地点は、安全に降下出来る地点だ。君が1人で戦争を終わらせるつもりなら、どこに降下しても構わない。ただし支援はないと思え」
「最後に、君たちが降下し終えて数分後に弾薬などの支援物資が降下される。支援物資は緑の地点から数十メートル離れた先に降下される予定だ。さらに作戦当日は、レシプロ機による支援が見込まれる。敵の混乱を突いて迅速に行動しなければならない。では最後に君達の隊長達を紹介しよう」
そう言うと指揮官と髭が目立つ軍人、ショートヘアの気さくそうな女性が立ち上がった。
「まずはAチームはハンクこと、指揮官だ。紹介はいいだろう。私より君たちのほうが知ってるからな。次にBチームはバリー・プライス大尉だ」
プライス大尉と呼ばれた軍人はその場で敬礼を行なった。
「彼は元SASで今は我が軍の特殊部隊の隊長を担当している。最後にCチームだが、これは御本人から紹介したいと要望があったので任せる事にした」
Cチームの隊長こと青髪の女性は敬礼を行なった。しかし大尉とは違い、どこか親しみやすい印象だった。
「私の名前は’ギムレット’S08地区の戦術人形。こう見えても指揮はバッチリだから安心して背中を任せて」
ギムレットの一言に辺りがざわついた。戦術人形の多くは指揮ができない。その上見た目は戦術人形より人間に近く、異様な存在に戦術人形達は互いに顔を見合わせそうになった。 しかし少将の一言で辺りは水を打ったように静まった。
「作戦は2時間後。チーム編成はこのミーティングが終わり次第発表する。必ず目を通しておくこと。では解散」
その一言で人形達は、蜘蛛の子を散らすように席を離れた。人形達がいなくなったことを確認すると大尉はギムレットに話しかけた。
「なぁ嬢ちゃん、1つ質問がある」
「何?答えられる範囲ならなんでも聞いてもいいよ」
「実弾系の銃は持ってるのか?」
その一言に固まってしまうギムレット。それもそのはず、彼女が使う武器はエネルギー関係が多いのだ。ギムレットは開き直るようにして質問し返した。
「何か問題でもあるの?」
大尉は大きく頷いた。
「あぁ、かなりの大問題がある」
大尉は辺りを見渡すようなジェスチャーをとる。その動きは大きく受け手にとっては煽ってるように見えた。ギムレットは思わず首を傾げた。顔には疑問の二文字が浮かんでいた。
「簡単な話だ。俺の所属は”グリフィン”だ、それは分かるよな?」
「当たり前じゃない。それがどうしたのさ」
「グリフィンの使う武器は大抵実弾兵器だ。お前が使う武器はレーザー兵器だ」
「あぁ......なるほどね」
ギムレットはニッコリと笑みを浮かべた。その笑みは何を言われるのか完全に理解していた笑みだった。
「つまり私の存在が”イレギュラー”ってことね。存在したらお偉いさんに不利益だから」
「そのとおりだ。上はちゃんと空薬莢が出て硝煙の匂いが無いとイチャモン付けるクレーマーだからな」
「はは、結構言うね......それで武器庫はどこ?」
その一言に大尉は眉をひそめた。額のシワは寄り表情は困惑色に染まる。反対にギムレットは笑顔を絶やさなかった。
「案内してよ、武器庫にさ。大丈夫、適当に見繕ってくるだけだからさ。映画みたいに」
その一言に傍観を貫いた指揮官が待ったをかける。
「すまんがそれは無理だ。一応武器庫にある銃は軍のものなんだ。だからおいそれと持ち出して、部外者に渡すわけにはいかないんだ」
「そのとおりだ」
大尉は指揮官の言葉を肯定する。大尉はギムレットの顔を見ると笑いかけた。その笑みは今までと違った。何か腹黒いことを考えている、そんな笑みだった。
「ただ例外がある。アンケートには答えたか?」
「あぁ、あの町中で配ってそうなアレね。全部答えたけどなんで?」
ギムレットは困惑していた。理由は単純、話の関係性が全く無いからだ。アンケートの内容は”どんな武器が好きですか”や”最も交戦する距離は?”といった質問が大半を占めていた。大尉は短い笑い声を上げるとギムレットの肩に手を置いた。
「そんな良いこの君に、我々が景品を用意した。飛行場の格納庫の中に黒のバンが止まってるはずだ。そこで景品が受け取れる。絶対に損はしないぞ」
「へぇ......貴方、かなりのワルだね」
ギムレットは再びニヤリと笑い出す。景品と称したブツがなにかすべて察しがついたのだ。
・作戦開始から30分前 オリント飛行場
ギムレットは貸し出されたバイクに跨がり舗装された道を走っていた。スピードは80キロと少々速いが、ハイエンドモデルの前では些細な問題だった。髪が風になびきそのたびに心地よくなる。エンジンを吹かし道の先を目指す。そして目的地の全貌が明らかになった。飛行場には軍と思われる警備隊が数名巡回していた。金網越しから見える双発機達は暖機運転の真っ最中だった。エンジンの爆音が、離れた位置にいるギムレットにも聞こえていたのだ。ギムレットは飛行場に到着する。入り口にいる警備兵達に、グリフィンに所属していることを示すIDカードを見せる。カードの確認を終えた兵士たちはギムレットを通すと直ぐに業務に戻った。黒いバンを見つけるのに時間はかからなかった。機材や飛行機に携わるエンジニア、整備用のコンパクトな車両。そんな雰囲気とは別の空気を醸し出していたのだから。ギムレットはバンに近寄ると操縦席のドアを2回叩く。そして数秒間おき次は3回叩く。すると操縦席の窓が下がる。完全に下がり切るとメガネをかけた男がこちらを見ていた。
「ギムレットさんですか?」
「そうだけど......貴方は何者だい?」
メガネの男は一度会釈をする。
「申し遅れました。私、プライス大尉から景品を預かってるものです。今から贈呈しますので、お待ちください」
男は後部座席へ振り向く。すると大きなアタッシュケースを取り出していた。男は助手席から車を降りるとギムレットにアタッシュケースを手渡しした。ギムレットはアタッシュケースを貰うと中身を確認した。
「はは、予想通り......」
アタッシュケースを地面に置くと、手に持ってるものを慎重に眺めた。景品はMP7A2、H&K製のPDWと分類される小火器だ。しかしオリジナル品と比べ改造が施されていた。まずはグリップとフォアグリップ。持ち主が人形ということを考慮してあるのか磁石が内蔵してあった。人工皮膚腰からも分かるほど吸着し手に馴染みやすい。次はストック。スライドストック特有の金属音が軽減されている。どんなに乱雑に扱っても大きな金属音がしなかった。これらの改善点はいずれも使用者の要望を全て叶えていた。ギムレットは銃を触りながら思わずため息をついた。
次はアタッチメント。これはMP7が入っていたアタッシュケースについていた。まず取り出したのは×1〜2のドットサイト。接近から混戦になることが多々ある事が多く、素早く敵の頭部に狙いを付けれるようにするためである。次に取り出したのはサプレッサーとフラッシュハイダー。サプレッサーは潜入や奇襲を行いやすくするため。フラッシュハイダーは敵との戦闘時、少しでも居場所を悟らせないようにするために全て本人が望んだものである。いずれも消耗品のため2つずつついている。最後にレーザーサイトを取り出す。ハイエンドでも精密射撃を外す恐れがある。そのリスクを少しでも減少させるため要望したものだ。色合いは赤だがポインターとしては小さい。それでもギムレットは精密射撃出来る自信があった。
「ありがとう、弾薬は?」
「トランクに。様々ありますのでお好きなものを」
ギムレットはトランクに移動すると両手でトランクを開けた。トランクが大きく弧を描くように開く。男の言う通り弾薬があった。しかし想像以上の光景が広がっていた。そこには様々な弾薬が10マガジン以上あった。通常の4.6×9ミリをはじめ焼夷弾や徹甲弾。中にはHE弾や電気ショック弾といった見たことが無いものまであった。ギムレットは通常弾と徹甲弾、そして焼夷弾を3マガジンほど拝借する。ギムレットは
「ありがとう、なにからなにまで」
と感謝の言葉を告げると後ろを振り返る。
そこには、パラシュートを背負った人形たちが列をなしていたのだ。
次回、「エアボーン」お楽しみに。
メダルオブオナー エアボーンとかCODヴァンガード見てると「空挺って命がけなんやな......」って思う反面、やっぱロマンを感じる。
今回も添削してくれた方々に感謝を。ありがとうございます。