アグレッシブな本屋ちゃんは嫌いですか?   作:水代

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一日一話で頑張ってたんですけど、昨日は書けなかった…………orz
これも全部、モンハンが面白すぎるせい…………。


十二話 決戦前夜の静かな一時

 

「へ…………合格ですか?」

 気の抜けたような声でネギ先生がそう呟く。

「はい…………合格です」

 そう言って笑顔で私が言うと、ネギ先生がどこか納得がいかない表情で尋ねる。

「ボク、茶々丸さんを倒せませんでしたけど」

「倒してたら不合格でした、いえ厳密に言うと…………教師であることを放棄した時点で不合格でした」

 私の採点基準を聞き、ネギ先生が溜め息を一つ吐き…………私を見てハッキリ言う。

 

「宮崎さんって………………性格悪いって言われませんか?」

 

 よく言われます。そんな私の答えに、がっくりと肩を落としたネギ先生だった。

 

 

 魔法使いの従者…………ミニステル・マギと呼ばれるそれは、主に魔法を詠唱する間の無防備な魔法使いを守るために存在する。

 その利点はいくつか有り、その一つとして、主人から従者への魔力供給が上げられる。

 と言っても、魔法使い同士の戦闘が激化していた大戦中ならともかく、争い自体少なくなった現代ではどちらかと言うと男女間のパートナー的な意味合いで結ばれることのほうが多い。

 魔法使いの従者になるための方法として、契約(パクティオー)と呼ばれる方法がある。

 その契約自体にも本契約と仮契約があり、私がネギ先生としたのは仮契約のほうだ。一般的にパクティオーと言うと仮契約のほうが一般的だったりする。

 

 一番簡単な仮契約の方法は陣を書いた上でキスすることだが、勿論女の子の唇がそんなに安いわけも無く。

「却下です」

 オコジョの提案を一蹴する。この可能性も考えて、学園長にはきちんと仮契約の方法などについても聞いてきている。

「女の子の唇を何と心得ますか」

 “Bad apple”に命令してまた少しお灸を据えよう、そう思いスタンドを呼び出し。

「待った! 待った! 頼むからその()()()()しまってくれよ、姐さん?!」

 

 今このオコジョなんて言った………………?

 

「今スタンドって言いましたか…………?」

「あ…………」

 しまった、と言う顔をしたオコジョを掴む。ネギ先生が慌てるがそれすら無視する。

「あなた、見えていますね」

 自身のスタンド、“Bad apple”の姿が。

 正直、こんなところで出会うとは驚きだが、スタンドが見える…………それが指し示す事実は一つだ。

「アルベール・カモミール…………あなたはスタンド使いですね?」

 

 冷や汗を流しながら、私の腕の中で…………オコジョが頷いた。

 

 

 意外な事実が発覚しながらも仮契約を手っ取り早く済ませた私は、ネギ先生と二人放課後の教室にいた。

 簡単に言って、魔法関連の話をできてかつ、周囲に人いない場所を探した時ここしか無かったのだ。

 放課後、すでにクラスメートたちも帰った教室だが、ネギ先生は担任教師だ、鍵くらい持っている。

 寮は同室の人がいるし、クラスメートたちの目が多すぎる…………彼女たちの行動力を持ってすれば平気で盗み聞きしてそうで怖い。

 

「さて…………まず何から聞きたいですか?」

 

 私たちがここに来たのは、今だ情報不足で頭を抱えるネギ先生がこちらの事情を聞きたいというからだ。

 私としてもいくつか話したいことがあったので、こうして話し合う機会を作った。

「宮崎さんは…………いつから魔法を知っていたんですか?」

 そして、それがネギ先生の最初の質問。

「いつから…………と言われれば小学生の頃ですね、もう六年以上前になります」

「宮崎さんは魔法使いじゃないんですよね?」

 是。と答えれば、どうして記憶を消されていないのか、と言う問いが来るのは分かっていたので、先手を打って答えておく。

「そうです、ただその時に魔法関係者になりました。だから記憶は消されていません」

 私の答えに納得したのか、なるほど、と言った表情でネギ先生が頷いた。

「じゃあ…………父さんのことについて何か知っていますか?」

 父さん…………と言うと、ナギ・スプリングフィールドについて。

 と言っても私自身はナギ・スプリングフィールドと出合ったことは無い。

 ただ話自体は紅き翼の一員だった高畑先生から良く聞く。

「なので高畑先生から聞いたほうが早いかと」

 と言っても、高畑先生とネギ先生は旧知のようなのですでに聞いているだろう。なので実質的には何の情報も無い。

 そう言うと、逸早く思考を切り替えたネギ先生が、これが最後なんですが、と前置きして。

 

「スタンドって何ですか?」

 

 私たちの秘密の根幹を問うた。

 

 

 

「スタンドとは『パワーを持った像』、持ち主の傍に出現し、様々な超常的能力を発揮して、他人を攻撃したり持ち主を守ったりする守護霊のような存在。一言で言えば超能力が具現化したものです」

「超……能力……ですか?」

 と言っても持ってない人にはスタンドの説明をしても分からないだろうから、一番そのままな例えで説明する。

 

「幽霊です」

「は…………?」

「物に触れることができて、その主人、私たちの言うところの本体の指示に従って行動する幽霊、それがスタンドだと思ってください」

 

 実際、スタンドと言う存在を知らない人にとって、スタンドの存在は背後霊のようなものだ。

 千雨さんなどがもろにそうだったように、物をすり抜ける上に、他人には見えないのだ、丸っきり幽霊である。

「イギリス人には幽霊では通じませんか?」

「い、いえ…………ゴーストですよね、分かります」

 そう言えば、某番組のせいで日本人にとって幽霊と言えば着物を着た髪の長い女が真っ先に出てくるだろうけれども、海外の、特に西洋の人間からすれば幽霊と言えばポルターガイストのような存在のほうが一般的なのだろう。

 と言っても、スタンド自体が必ずしも人型とは限らないので、あえて訂正はしなかったが。

 

「スタンドにはいくつかルールがありますが、ネギ先生に知っておいて欲しいのは二つです。一つ、スタンドはスタンド使いにしか見えない。二つ、スタンドに触れることができるのはスタンドだけ」

 実を言えばこれも例外があったりするのだが、ほとんどのスタンドに適用されるルールなので間違いとも言えない。

 この他にもルールがあるが、この二つだけをネギ先生に教えたのはちゃんと意味がある。

「何が言いたいかと言うと、スタンド使いではないネギ先生がスタンド使いを倒そうとするなら、その本体を倒してください」

 スタンド使いの弱点は本体だ。スタンドがいくら強力であろうと本体を叩けばスタンドも倒せる。

 幸いと言うべきか、あのオコジョ妖精がスタンド使いなお陰で、敵がスタンド使いかそうでないかは簡単に分かる。用は、ネギ先生に見えずあのオコジョ妖精に見えたならそれはスタンドだ。

 ただし、基本的には逃げることを推奨する…………ネギ先生にはスタンドが見えないのだ、それはどうしようも無い上に非常に大きなハンデだ。

「だからもしスタンド使いを相手にしようとするなら、決死の覚悟を決めるか、もしくは私に言ってください」

 魔法使いは私の管轄では無い…………代わりにスタンド使いは学園の管轄ではなく私の、否、私たちの管轄だ。

 

 

「さて…………今度は私からの話です。いえ、身構えなくてもいいですよ、文句じゃなくただの打ち合わせです」

「…………打ち合わせ、ですか?」

「ええ…………次にマクダウェルさんと戦う時のための作戦会議です」

 そう言う私の言葉に、ネギ先生の表情が変わった。

 自覚が成長を促した…………以前とは変わったネギ先生の顔つきを見て。

 

 少しだけ…………そう、ほんの少しだけ、期待に胸を膨らませた。

 

 




すみません、エヴァとの決戦は次でした。
今回にしようと思ってたら、予想以上に長引いた。

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