メインクエスト:近衛木乃香の修学旅行期間中の護衛
サブクエストA:関西呪術教会への親書の配達
サブクエストB:????
メイン報酬:図書館島B10までの探検許可
サブA報酬:¥20万
サブB報酬:????
依頼主:学園長
内容:フォフォフォ、以前より関東魔法協会と関西呪術協会は仲が悪くての。ここらで一つ、仲直りと行きたいのじゃ。その尖兵としてネギ先生に親書を持たせたのじゃが、それはついでで主な目的は東西の交流じゃ。
じゃがそれを良しとせん者も西には多くてのう。ワシの孫の木乃香を攫って強引に東西の仲を引き裂こうとせん者もおることもたしかじゃ。そこで、修学旅行期間中、関西呪術協会から木乃香を守ってくれんか?
無事に修学旅行期間中護衛を勤めてくれれば以前より具申していた図書館島の探索許可を出そうではないか。
それと、出来れば、ネギ先生が無事関西呪術協会へ向かうための手助けもして欲しい。勿論、報酬は別途に出そう。噂によると、木乃香やネギ先生を襲うために傭兵まで加えていると言う。思わぬ手だれが居る可能性もある、十分に注意するように。
「ヒャッハァー!!!」
集合場所の駅の中で思わず叫ぶ。仰天したクラスメートたち…………がいると思ったのだが、周囲のテンションのほうがもっと高く、目立つかと思った自身の突然の奇行もクラスメートたちから見ればまだまだ、それ以外から見ても修学旅行ではしゃいでるだけくらいにしか見られていないようだった。
「の…………のどか? どうしました?」
ただ、夕映だけはそんな私を見て頬を引き攣らせていた。
けれど、夕映だってこれを聞けばそんなことも言えなくなる。
「申請が通ったよ、ゆえ!!」
「は………………ヒャッハァー!!!」
私の言葉の意味をすぐさま理解した夕映も同じく叫ぶ。
条件付きではあるが、ついに申請が通ったのだ、私もまた叫びたい気分だ。
簡単に言えば、図書館島の探索許可の申請だ。中等部に許されている現在の探索可能区域は、すでに粗方調べ終わったので、次の階に行きたいと以前から散々申請していたのだが、それがようやく通った。
と言っても、代わりに木乃香さんの護衛を頼まれたのだが。あとついでにネギ先生のも。
まあこっちの件は夕映には黙っておく。わざわざ言うことでもないし。
などと言うが、今回は私的な理由でそれを受けても良いと思っていたので、この報酬があるならラッキーと言うものだ。
「と言うわけですので、よろしくお願いしますね、桜咲さん」
「宮崎さん…………学園長から話は聞いています。お嬢様と同じ班にあなたが居て良かった」
学園長曰く、木乃香さんにはすでに護衛の人がおり、それがこの同じクラスの桜咲刹那さん。
実を言えば桜咲さんと共闘するのはこれが初めてと言うわけではないので、お互いそれなりに気心も知れている。
実力もお互い、それなりに知っており、だからこそ信頼もできるのだが。
「と言うか、いい加減、木乃香さんから逃げるの止めたらどうですか?」
この桜咲さん、護衛なのに護衛対象から逃げ回ると言う何と言うか本末転倒なことをやっている。
影から木乃香さんを付回すその姿は、護衛と言うよりストーカーに近いものがある。
正直、護衛対象は桜咲さんを無条件に信頼しているのだから、本来これほどやりやすい護衛も無いだろうに、と思うのだが。
「え、いや、その」
口ごもる桜咲さんを見て、まだダメか、と一人呟いた。
やれやれ…………どうなることやら、この修学旅行。
などと、言ってみたものの、到着するまではいたって平和だった。
高速で移動する新幹線は、一種の檻だ。簡単には逃げ出せない上に、同じ線上を時刻に沿って走る。さらには人も多く、紛れ込みやすいので奇襲するにはもってこいなのだ。
なのだが…………当初の予想を裏切り、何事も無く京都に到着する。
最初に向かうのは清水寺。
夕映は神社、仏像、仏閣マニアなのでさきほどからクラスメートたちに向けて、清水寺の薀蓄を語っている。
私は、と言えば適度に注意を払っているものの、折角の修学旅行なのだから一緒に楽しんでいる。
修学旅行は班行動なのだが、肝心の木乃香さんは同じ班なので何かあればすぐさま対処できることも私の緊張を和らげていた。
「しかし………………あれですね。一番意外な人が一番はしゃいでますね」
私の視線の先には清水寺から一望できる景色に大はしゃぎのエヴァンジェリンさん。その後ろにはその様子を見守り続ける茶々丸さんの姿が。
今回の護衛任務に当たるに際し、学園長から一つ許可をもらってきた。
それは…………エヴァンジェリンさんを修学旅行に同行させる許可。
いや…………エヴァンジェリンさんを麻帆良から出す許可と言っても良い。
麻帆良は関東魔法協会の総本山。麻帆良に手を出せばただですまないことは全ての魔法関係者の周知の事実だ。
だからこそ、ある程度安全に暮らせていた。
だが、たった数日とは言え、ここにいるのは自身を含めた未熟な生徒たちと未熟な教師。
正直、魔法使い相手に一対一で負ける気はしないが、自分たちが向かうのは関西呪術協会のお膝元。
どれだけの敵がいるかも分からない上に、私のスタンドは多数相手には向かない。
そして、麻帆良からの援助も期待出来無い以上、たった一人で良い、頼りになる使い手が欲しかった。
そこで目をつけたのがエヴァンジェリンさんだ。
彼女は元々3-Aのクラスメートだ。修学旅行に同乗しても何の不思議も無い上に、麻帆良でも最強クラスの使い手だ。先日の一件で、気を良くしていたエヴァンジェリンさんだったが、京都に行けるということでさらに気を良くして、こちらの頼みにもあっさりと頷いてくれた。勿論、エヴァンジェリンさんを縛る呪いが解けるなら、と言う前提付きだったが。
因みに、さきほどからエヴァンジェリンさんと呼んでいるが、その一件で彼女からそれなりに信頼を勝ち取ったらしく、エヴァで良い、と言われた。と言っても私としてはいきなり略称はハードルが高いのでエヴァンジェリンさんと呼んでいるのだが。
学園長から許可をもらうのは中々骨が折れた…………正確には、学園長が他の魔法先生たちを説得するのに苦労しただけだが、エヴァンジェリンさんが麻帆良に来てから比較的大人しかったこともあってか、何とか説得できたらしい。それに、エヴァンジェリンさんの呪いは解けたわけではない、と言うのも一因にあったようだ。
正確には、麻帆良から抜け出しただけで、エヴァンジェリンさんの呪いは全く解けてないのだが。
この辺りは正直言って賭けだったのだが、無事に進んで何よりだ。
正直魔法の原理など知らないが、スタンド能力は時に魔法を無視して作用する。
今回の場合、それがたまたま上手く行っただけの話だった。
勿論、エヴァンジェリンさんもそのことは分かっているのだろうが、十数年ぶりの麻帆良の外にそれも気にならないくらいにテンションが上がっていた。
今さらながら、あの調子で大丈夫なのだろうか? などと思ったりもするが、まああれでも私たちよりはるかに格上の実力者だ。この間は様々な要因があって、退けたが、本気でやられればこの間の面子でもひとたまりも無いだろうな、と考え…………改めて今回エヴァンジェリンさんが味方であることの頼もしさを再認識した。
夕映がガイドを務めながら、みんなで各所を歩いていくと、音羽の滝に出る。
健康・学業・縁結びに効能のあると言う水の解説を夕映がすると、委員長他数名がこぞって水を飲み始める。
「縁結びに食いついたのかな?」
と、その時、流れ出る水の不思議な香りに、首を傾げ自身で柄杓を持って一杯注ぎ、口に含んでみる。
感じるのは苦味とほのかな熱。まるで胃の中が焼け付くようなこの感じは…………。
「酒か?」
いつの間にか隣にいたエヴァンジェリンさんが同じように柄杓に口付け、そう呟く。
と、そこで、酒の匂いをかぎつけた引率の先生たちがやってくる。
咄嗟に誤魔化そうとするネギ先生だったが、故意ならともかく、このような場合、単なる事故なので正直に言ったほうが良いと具申しておく。パクティオーカードってこういう時便利だと思う。
パクティオーカードとは、要するに魔法使いの従者となるための契約をした主従にだけ与えられるカードだ。
様々な機能があるが、その一つがカードを使った念話だ。
カードを額に当て、相手に言葉を伝えることができる。
私の言葉を受けて、事情を説明し始めるネギ先生を他所に、ふとクラスメートたちを見る。
半数以上が酔っ払って地面に寝転がっている。これを誤魔化すのはさすがに不可能だろう。
結局、誰かの悪戯、と言うことで話は片付き。
さすがに修学旅行を続けるわけにもいかず、今日の日程は全て潰れて嵐山の旅館に直行となった。
それを受け、エヴァンジェリンさんの機嫌が悪くなったのは、余談である。
エヴァがいるのはご都合主義。
エヴァがのどかを信頼するようになったのもご都合主義…………と言いたいが、そもそも本当に信頼しているのかな?
この辺に関しては、修学旅行中にエヴァ視点で出すかと。