リアルで仕事が忙しくて、毎日更新する予定だったのが二週間以上延びてました。
「なーんて…………冗談ですよ」
唐突な私の告白の言葉に
「は、はは…………そ、そうですよね。宮崎さんが僕にそんなこと言うわけありませんよね、あはは」
それでもぎこちない動きのままそう言うネギ先生。
と言うかそれは一体どういう意味だろうか。ネギ先生の中で私は一体どんな風に思われているのかやや気になったりもしたが、それは後で聞くことにする。
「ふふ…………これくらいで動揺していたら、イギリス紳士の名が泣きますよ? ネギ先生」
「あはは…………はは、そ、そうですね。気をつけます」
何を気をつけるつもりなのか、私の言葉を理解しているのかも怪しいが、まあいいか、と流すことにする。
まあ所詮、
などと年上ぶってみるが、実際うちのクラスにはどう見ても十四歳とは(良くも悪くも)思えない育ち方をした人たちが多い。実際私など中の中だろうな、と言う現実に少しだけ物悲しくなった。
そんな風に笑っていられたのが昼のこと。
そして『やってしまった』と思わされたのが、夜のことだった。
私が冗談でネギ先生にした告白を聞いていた人たちがいたようで、それから旅館に帰るまでの間に。
ネギ先生が告白されたらしい。
しかもその後、ネギ先生を押し倒してキスしたらしい。
と勘違いと曲解と大げさな物言いによって伝言ゲームのように広まっていき、最終的に『ネギ先生が童貞を喪失したらしい』などと言う噂まで流れている始末。正直、女学校と言うのは、会話が生々しすぎると思う。
そしてこれにおおいに煽られたのが委員長こと雪広あやか。
「ネギ先生は私のものですわ!」
と言う主張にクラスのパパラッチ、朝倉和美が便乗した結果。
「第一回ネギ先生とラブラブキッス大作戦…………?」
クラス全員を巻き込む大規模な催しとなった。と言うか、十歳の子供の唇を無理矢理奪おうと言うのは倫理的にどうなのだろう、と思う。あと第一回って、二回目があるのだろうか、そして委員長のやる気が暴走していて正直引く。
幸いにも夕映はやる気はなさそうなので、良いのだが何故木乃香さんがやる気を出しているのだろうか?
まあ木乃香さんのことは刹那さんに任せればいいか…………そう考え思考を切り替える。
「ところでのどか」
そんな時、ふと夕映が私に問いかける。
「ネギ先生に告白したと言うのは本当ですか?」
「ぶふっ」
何で知ってるのか…………いや、そんなことよりも今の反応は不味い。
「うん? その反応、マジなの!?」
しまった、よりによってハルナに興味を持たれた?!
「いや、違うよ!!? 本気でしたわけじゃなくて」
「と言うことはやっぱりしたんだ!!?」
うぐ…………墓穴だった。
周囲を見渡すが、夕映もハルナもこちらに興味津々。木乃香さんはすでに部屋から出て行ってしまったし、神楽坂さんも木乃香さんとペアを組ん(二人一組で行なうイベントらしい)で出て行ってしまった。
先生方の見回りもさっき来たばかりでしばらく来る気配は無く…………。
「ご、後日改めて」
「「逃がさん!!」」
目を輝かせる二人を見て…………私は項垂れた。
旅館の中が
昨日の今日での襲撃は十分ありえることであり、のどかさんも十分に警戒しているだろうことは簡単に予想できた。
一方その頃ののどか。
「「さあ、さあ、さあ」」
「誰か助けて…………」
木乃香お嬢様の周囲には密かに式神を潜ませている、戦力的には全く期待できないが、異常があれば察知することくらいは容易い。後は自身が旅館の周囲を見回ることで内外の警戒をすることができる。
自身はのどかさんのようにスタンドと言うものを視認することができないのでそれだけは注意しなければならないが、のどかさん曰く、基本的にはスタンドはスタンド使い自身からそう遠くまでは離れられないらしいので、万が一スタンド動いていても、こうして歩いていればスタンド使いもすぐに発見できるだろう。
自身と隔絶した技量を持つ相手でない限りはこれで万全のはずだ。少なくとも昨日の少年、犬上小太郎なら補足は容易だ。
だからこそ。
こういうのは少しばかり予想外であったかもしれない。
まさか。
「こんばんわ~」
相手のほうから。
「神鳴流です~」
待っているなんて。
「おはつに、先輩」
そして少女が両手に持った小太刀を構え…………飛び出した。
ガキン
咄嗟に抜いた太刀に二本の小太刀が鍔迫り合あっていた。
「小太刀二刀…………神鳴流が?」
基本的に神鳴流の技は野太刀一刀を基準に作られていると言うのに、神鳴流だと名乗る目の前の少女、月詠が持つのは小太刀二刀。服装と言い武器と言い、どうもアウトローな印象を受ける。
だが。
「強い…………」
初撃を防ぐだけで分かる、目の前の相手が剣士として自身と同等かそれ以上の技量を持つことを。
「簡単に勝てる相手では無さそうだな…………」
刀を持つ右手に、意図せず力が篭った。
月詠と戦い始めてから一体どれだけの時間が経ったのだろう。
五分ほどしか経っていないのか、それとももう一時間以上経っているのか。
時間の感覚が曖昧になるほどの極限の戦い。
「にとーれんげきざんてつせーん」
放たれる二閃の残光を必殺の一刀を持って返す。
下から掬い上げるような一撃を月詠が右手の一刀を持って受け流す。
だがそれは折込済み、右下から左上へと薙いだ一刀の一撃はそのまま真横への一閃の構えへと変わる。
フッ、と軽い音と共に振り切られた私の一撃は、けれど左の小太刀によって受け止められる。
「…………ふふ、やっぱりええなあ、先輩」
呟く月詠の表情には恍惚とした笑み。けれどきっと自身の表情は対称的に苦々しいのだろう。
簡単に勝てる相手では無いのは分かっていたが、こうまで拮抗するとは。
左右からほぼ同時に振られる小太刀を一歩下がることで避け、逆に野太刀で薙ぐ。
月詠が懐に潜り込むようにそれを躱し、詰められた小太刀の間合いに私が下がる。
私の使う野太刀はそのリーチの長さの分、懐に入り込まれるとその大きさの分、一手遅れる。
逆に月詠の使う小太刀は、間合いが狭い分懐に入ってからの回転力の高さは手が付けられない。特に二刀流を完全に使いこなしているため、懐に潜られたらまず負ける。
結局のところ、さきほどからやっていることは一つだ。
懐に潜りたい月詠と突き放して戦いたい私の間合いの取り合い。
私の太刀の一撃を躱し、私の懐に月詠が潜り込もうとすれば私が下がる。
ずっとこれの繰り返しだ。
時折月詠も一気に間合いを詰めようとするのだが、それをすれば体勢が崩れ私の太刀を受けきれなくなるのが分かっているのか深くは入れずにいる。
私は両手で太刀を持っており、月詠は片手で持っている。片手で鍔迫り合いになればあっさり私の太刀が月詠を跳ね返し、無防備な月詠を一刀の元に切り伏せるだろう。
だからこそ。
そう、だからこそ。
目の前で思い切り片手で剣を振るってきた月詠の行動が分からなかった。
振り下ろされる小太刀、左手は構えすら取っておらず、このままならさきほど考えた通り、私の勝ちだ。
勝負を焦ったか? そんなことを思うが、けれどやることは変わらない。
この太刀を受け止め、そして……………………。
「“オーエン・ソウエン”」
ずぶり、と。
月詠の小太刀が私の左肩を切り裂く。
「…………っな!!!?」
驚きのあまり硬直する私。すぐ様それが付け入る隙でしか無いと構える、が。
「…………く、ふふ」
目の前の月詠は笑うばかりで追撃をしてこなかった。
いや、それどころか構えすら解いて。
「今日はこの辺で失礼しますえ」
そう言って、立ち去って行く。
思考が空回る。
どうして? そんな言葉だけが頭の中でぐるぐると回る。
どうして小太刀は当たった?
どうして月詠は追撃しなかった?
どうして月詠は去った?
どうして自分は立ち上がれない?
そう考えた途端…………全身から力が抜けた。
ドスン、と尻餅をつく。
土の上に座っているが、そんなことすら気にならない。
「…………負けた?」
言葉にして初めて自覚する。
自身は。
月詠に。
負けたのだと。
本作ののどかはお姉さんと言うより、姐(あね)さんって感じ。作者のイメージ的に。
原作にもあった唇争奪戦。原作優勝者ののどか姐さんがいないわけですが、さて…………誰が優勝するのだろうか。
月詠に出番が無かったので、今回出てもらいました。
見事に刹那さんを負かして…………あれ? 月詠が勝つのは次のはずなのに、どうしてこうなった。一回目は「ふ、やるな」「お前もな」みたいな引き分けにしようと思ってたのに。
あと月詠ってどんなしゃべり方だっけ?
現在原作読書中。感じが違ったら密かに修正します。