「ついでに神楽坂さんにも関西呪術協会との戦いに協力してもらいましょう」
そんな私の言葉にネギ先生が「え?」と漏らし、神楽坂さんが…………。
「かんさいじゅじゅつきょうかいぃ~?」
目を白黒とさせながら鸚鵡返しに問う。
「というか、そもそもなんで本屋ちゃんがいるの?」
続けて問われたその言葉に、同じ部屋に住んでいるのに知らないのか? と目でネギ先生に尋ねると、頷く。
「明日菜さんの記憶は何故か消せないので、黙ってもらっているんですけど、さすがにこれ以上甘えるわけにも」
と耳打ちされたので、なるほど、と納得する。
まあネギ先生なら考えそうなことだ。
「ちょっと、二人だけで会話してないで、答えなさいよ!」
ビシッ、と指を突きつけてくる。神楽坂さんはやや気が短いきらいがあるので、マイペースが心情の私としては、苦手なのだが、そうも言っていられないか。
「簡単に言えば、私も魔法関係者だからです」
正確にはスタンド関係者だが、一般人から見れば超常現象には変わりないし、一々違いを説明しても大して意味も無い。
「へ…………? 宮崎さんもなの?」
呆気に取られた様子の神楽坂さんだったが、こちらとしては朝食前の僅かな時間を割いているのだ、ゆったりとしている時間は無い、無理矢理にでも現状を認識してもらうことにする。
「簡単に説明しますから良く聞いて下さい」
そう前置きし。
「木乃香さんが狙われています。それを防ぎたいので手伝ってください」
その言葉に神楽坂さんの目を大きく開かれ…………そして。
「
手に持ったカードから零れる光。一瞬周囲にざわっと風が吹き…………そして光と風が収まると、私の手に残ったのは一冊の本。
アーティファクト、それはこの本を始めとするパクティオーカードが変化する強力な魔道具の総称だ。
契約する主側に強力な魔力、気が無いと生成されないこのアーティファクトに変化するパクティオーカードを、アーティファクトカードと呼ぶ。
と言う話をあのオコジョ妖精から聞いたのだが、何でネギ先生は知らないのだろうか…………?
時々ネギ先生が本当に魔法学校を卒業したのか疑いたくなる時がある。
それがネギ先生と仮契約したことによって与えられた私のアーティファクトの名前だ。
たかが本と侮るなかれ、その能力のあまりのえげつなさに、私自身思わず顔を顰めたほどだ。
「“Bad apple”」
自身がスタンドを先行させ、恐らく潜んでいるだろう参道の周囲の森の中を調べていく。
私のスタンドは時間遅延と言う能力とは別に、隠形に特化している。
音を立てず、姿を見せず、気づいた時には背後から暗器でぐさり…………完全にヒットマンだが本体を狙う、と言う意味では非常に有効なスタンドではある。まあ近距離パワー型と真正面から打ち合えるような力は無いが。正直ネギ先生が魔力を込めたパンチのほうがまだ強いと思う。
ただ隠れながら探索する分には使い勝手が良いので、個人的には非常に重宝している。
私とネギ先生が今いるのは炫毘古社と言う関西呪術協会の表の顔の神社の入り口だ。
ただ入り口に立ったまま入りはしない。
目前に見えるのは左右を鬱蒼とした木々に囲まれた鳥居が居並ぶ参道。
もし敵がいるならこれほど待ち伏せしやすいところも無いだろうと思うこと請け合いの場所だ。
真正面から行くなんて襲ってくださいと言っているようなものだ。
十中八九敵が待ち伏せているのにわざわざ罠にかかり行くなど馬鹿らしいのでスタンドを斥候代わりに敵を捜索中と言うわけだった。
「…………いました」
「本当ですか!?」
スタンドの射程限界に近いと感覚共有も薄れるのであまり遠くにいるようなら本体である私も参道に足を踏み入れなければならないところだったが、運が良いのか悪いのか、入り口から二百メートルもしないところの木の上に初日にエヴァンジェリンさんと戦っていた眼鏡の女性と私たちが戦った犬上小太郎がいるのを見つけた。
だがそれだけ、そうたった二人だけだ。初日にネギ先生が戦った少年はいない。
それと、今朝刹那さんが負傷していたが、巻いた包帯の内側から僅かに黒い染みが滲んでいた、あれは血だ、と言うことは切り傷。だが初日に戦った相手に刃物を持った相手がいるとは聞いていない。
と言うことは最低後一人は仲間が居るということ。
刹那さんもそうならそうと言って欲しいが、神楽坂さんのことで手一杯で聞きそびれていた。
となると最低後二人は自由に動いている人間がいる計算なのだが…………。
ここにはいない、となると狙いは。
「木乃香さんか」
あちらには刹那さんがいるが…………。
考えても仕方ない、と頭を振って思考を切り替える。
話を戻すが、相手はこちらには気づいていない…………と、するなら。
「ネギ先生」
隣で参道を奥を見つめる先生の名前を呼ぶ。
そして、知らず知らずの内に、私の口元は吊りあがっていた。
「なあ、あいつらまだ
「その内来るさかい、もうちいと待ちいな。やつらの持つ親書を奪うにはここが一番ええねんさかい」
少年、犬上小太郎が退屈そうな表情で呟く言葉に、女性、天ヶ崎千草がそう答える。
とは言うものの少しばかり遅い気もする。
今日が自由行動だと言う情報はすでに分かっている、教師と言う職に縛られたあの魔法使いの子供が動くとしたら昨日か今日…………昨日はこちらのメンバーの一人、月詠に見晴らせていたが、月詠曰く誰も通らなかった。
その月詠は夜に勝手に旅館に襲撃をかけたようだが…………まあそれは良い。元々あの戦闘狂が律儀にこちらの指示に従うとも思ってないない。相手を殺ず、騒ぎを大きくしなかっただけでも恩の字である。
となると、やつらが親書を持って関西呪術協会に来るのは今日か明日だが明日はもう最終日、全員帰るだろうから時間のかかるようなことはできない、となるとどうあっても今日しかないのだ。
そして少し考えれば分かるが、朝と夜…………襲撃される側にとってどちらがマシか、そんなことを考えれば朝の内に来るだろう。昼に来た場合、あの子供がどれほど真面目に教師やっているのかは知らないが、夜にまたあの旅館に帰らなければならないのなら選ぶ時間帯は朝から昼過ぎまでの数時間。
さらに陰陽師がこんなことを言ってはなんだが、礼儀と常識を鑑みるに、昼食時に他人の家には行かないだろうから、来るとしたら必然的に午前中、それも九時から十一時くらいの二時間前後だろう。
現在が十時半前…………時間的にはもう来ていてもおかしくは無いのだが。
「なんや遅いな…………まさか襲撃に気づかれたんか?」
折角結界を用意して待っていたのだが、こうなると一度外の様子を確認したほうが良いか?
そう考え懐から呪符を出したその時。
光が、周囲を覆った。
そして。
轟音。
位置情報だけを伝えたてネギ先生に一番強い魔法を撃たせたが、森が抉れていた。
やばい、関西呪術協会に親書を持ってきました、なんて言っておきながらそのお膝元を荒らしたなんてばれたら…………不味い。
「“Bad apple”!!」
まず必要なのは犯人確保。最悪の場合、こいつらがやりました、と言えば良い。共有した視界で見るが、幸いにも学ランの少年、犬上小太郎は魔法の直撃を喰らい、気絶している…………と言うかこれだけの威力で気絶で済むのか。
そしてもう一人の女性を探し…………。
「いない?! 先生、周囲を警戒してください!」
私の言葉にネギ先生が反応し、杖を構え。
直後、森の中から猿のヌイグルミのようなものが飛び出す。
ヌイグルミ、と言っても体長二メートル半くらいはありそうな巨大な猿だが。
猿の向かう先、狙いは…………私。
「やってくれおったな!!」
猿に遅れて出てくる眼鏡をかけた着物の女性。やはり無事だったか。
ネギ先生が魔法を詠唱し、猿が接近してくる。
スタンドを戻している途中の私は抵抗出来無いので、下がろうとして…………。
「ボーダーエンドォォォォ!!!」
ガンッ、と後ずさっていた背中に何かがぶつかる。
驚き振り返るがそこには何も無く…………けれど触れると硬い、確かな壁があった。
これは…………。
再度女性のほうへと振り返りそして見る。
女性の背後に佇む、赤ん坊くらいの何かを。
「スタンド!!!」
犬上小太郎がそうだっただけに、他の人間もスタンド使いの可能性はあった、がまさか本当にいるとは。
スタンド使いなどそうそうお目にかかれるものではないと言うのに、もう二人目だ。
「おらぁ、スタンドがいないスタンド使いなんざただの一般人や、いてまえ! 猿鬼ぃぃぃ」
猿がネギ先生を軽々と躱し、こちらに迫る。
振り上げられた拳。そのつぶらな瞳は私を捉えて離さない。
振り下ろされる拳。完全に直撃する軌道。
まあ普通ならば。
振り切られた拳の軌道に合わせ、手元の
振り切った自身の拳の勢いに振り下ろされた本の威力が加わり、一時的とは言え猿が仰け反る。
「なん…………やと…………?」
「何を勘違いしているのか知りませんが」
そう勘違いだ。そもそも私は。
「私自身が弱いとは言ってませんが?」
普段から高畑・T・タカミチと戦っているのだから。
そして、僅かに稼いだ時間で。
「
ネギ先生の魔法が猿を消し飛ばし。
「“Bad apple”」
すでにすぐ近くまで戻ってきた自身のスタンドが時間遅延により、抵抗の間も無く女性の背後から突進し。
ダンプカーのような猛烈な勢いのタックルで、女性を跳ね飛ばした。
ドスン、と派手な音を立てて宙に浮いていた女性が地に落ちる。
そして、痛みと衝撃でその意識は失っており。
「お疲れ様です、ネギ先生」
「お疲れ様です、宮崎さん」
こちら側の決着は一先ず付いた。
ようやく出てきたアーティファクト。
そして息を吹き返した原作ヒロイン明日菜。
段々本屋ちゃんに染まってアグレッシブになっていくネギ先生。
そして正々堂々なんて言葉は辞書に無い本屋ちゃん。
今回はちょっと書いてて面白かった。
あ、因みに。作中で本屋ちゃんが「弱くない」と言ってますが、別に強くも無いです。気も使えなければ魔法も使えませんしね。スタンドバトルのせいか、動体視力と反射神経はそれなりに良い本屋ちゃん。あと、基本的に攻撃に対して冷静な判断ができるので、相手が無抵抗な女子、と言うことであからさまに油断して打った拳くらいなら簡単に処理できます。原作メンバーみたいなガチバトルはできません。
要するに簡単な護身術はできるって感じでしょうか?
ところで質問。
この作品はジョジョ要素があるものの基本的にはネギまなのですが、ジョジョのキャラクターが出てきても良いと思いますか? 時系列的に考えて、四部くらいでしょうかねえ?
それとオリキャラいると敵スタンド使いとしてやりやすいのですが、オリキャラ出しても許せますか?