三月も過ぎ、ようやくひと段落ついた矢先なのですが。
大変残念ながら四月から進学する運びとなり、今週末に福岡に引越しをします。
さらに進学先での新生活もあり、これ以上の更新は難しいと判断し、今作品を打ち切りとさせていただくことなりました。
これまで多くの方に読んでいただき、感想も頂いてきました。
その読者方に対して、大変申し訳ないとは思う所存ではありますが、残念ながら学業との両立は非常に難しいとの判断により、このようなこととなったこと皆様にお詫び申し上げます。
来週からは、アグレッシブな本屋ちゃんは嫌いですか?Ⅲ を投稿予定です。
第マイナス5話 邂逅
あ、と思った時。
すでに遅かった。
抱えこんだ積み重なった本が、ぐらりと揺らぐ。
階段脇から足を滑らせ落ちる。
高さにして三メートル近い…………大怪我必至、もしかすると、死ぬかもしれない。
嫌だ。
そう思った。
死にたくない。
そう思った。
けれどどうにかするにしてももう遅い。
過ぎ去った時間はもう、戻らない。
私はもう、足を滑らせる前には戻れない。
後悔する。
あの時ああすれば…………そんなことを思う。
けれどもう遅い。
もう遅い。
遅い。
一瞬の浮遊感。
それが自身の体が自由落下している感覚なのだと、そう気づいたその時。
地面はもうすぐ傍まで迫っていて。
死んだ。
思わずそう呟いた。
もう激突は必至。
思わず目を閉じた。
直後。
ふわり、と体が何かに包まれる。
そしてどれだけ待とうと体を襲う衝撃は無い。
目を開く。
そこに。
赴任したての、担任教師がいた。
第マイナス4話 告白
「好きです」
言われた言葉の意味が一瞬理解できなかった。
顔を真っ赤にしてこちらを真っ直ぐ見つめる彼女の視線にどこか気恥ずかしさを感じ、けれど反らすのも躊躇われ、結局俯く。
一瞬の静寂。
直後、言われた言葉の意味を理解し、ボンッ、と顔が沸騰する。
「そ、その…………そういう意味ですよね」
何かの勘違いではないのか、そんな思いに縋るように尋ね、後悔する。
「はい…………伝わりませんでしたか? わ、私は、先生のことが、一人のだ、男性として、好きです」
逃げてしまった。勝手に思い込んで、彼女の思いから。
そのせいで、彼女を傷つけてしまった、一瞬だが、傷ついた表情をさせてしまった。
自分で自分を責める…………その傍ら、必至に答えを探す。
自身は一体なんと答えるべきなのだろうか?
紳士を自称する身としては、女性を傷つけるようなことを言うべきではない。
だが、自身は彼女の思いに答えれるのだろうか?
ぐるぐるぐるぐると思考が回るが答えが出ない。
ぐるぐるぐるぐると考えるが言葉は出ない。
「僕は………………僕は…………」
第マイナス3話 学園祭
ぐるぐると思考が渦巻く。
「どどどど、どうしよう」
思わず勢いで誘いはしたものの、自分と先生がでででで、で、デートなんて。
恥ずかしすぎて、今すぐ自殺してしまいたい。
ああ、どうしよう、昨日からずっと悶々と悩むが、何も答えは出ない。
もうすぐ待ち合わせの時間だ。
自分の他にも先生を誘った人が多く、その全てに答えようと時間割りを決めているので、早すぎてもいけないし、時間をオーバーしてもいけない。
待ち合わせまで後三十分。
まだ時間はあるが、先に行って心を落ち着かせよう。
そう思い、待ち合わせ場所へと向かう。
なのに。
「な、なんでもう…………」
「えっと…………なんだか楽しみで、早く来ちゃいました」
すみません、とにへらと笑う先生の表情を見た瞬間。
悶々とした気持ちが全て吹き飛んだ気がした。
第マイナス2話 結婚
「…………………………」
「…………………………」
互いに気恥ずかしさのせいか目を合わせない。
『好きに決まってるじゃないですか、愛してるに決まってるじゃないですか……………………僕はもう逃げません。彼女の気持ちからも、自分の気持ちからも!!!』
ふとその時の光景が蘇り、顔を赤くする。
先生も思い出したのか、顔を真っ赤にして俯いている。
「「あ、あの」」
そうして沈黙に耐え切れず何か喋ろうとし…………被る。
「「す、すみません、そちらから」」
瞬間、なんだかおかしくなって噴出す。
先生も同じだったようで、緊張の糸が一気にほぐれた。
「先生、先にどうぞ」
「…………分かりました、では言わせてもらいますね」
互いに譲りあっても話が進まないのは以前の時に学習済みなので、先生に譲り、先生も一回でそれを受けた。
そして、どこか顔を強張らせ、ぐっ、と何かを決心するように拳を握りしめ。
「好きです、愛しています。僕と結婚してください」
予想はしていたつもりだった。
あんな言葉を聴いた後なのだから。
今更と言えば今更なのかもしれない。
けれど。
自分を見つめて、自分を向き合ってそう言われた瞬間。
自分の中で、何かが弾けた。
第マイナス1話 終焉
終わる、終わる…………終わってしまう。
このままでは、何もかもが。
それはダメだ。
それだけはダメだ。
けれど一体自分に何ができるというのか。
今の死に掛けた自分に、何ができるのか?
後悔。
またも後悔。
「…………あの時…………学園祭の時に、あなたを見逃すべきじゃなかった」
後悔。どうしようも無い後悔。
「だが私はここにいる。それが全てだ」
男が言う、憎き敵が、そう嗤う。
だがその通り。学園祭の時、私はやつを見逃し、そしてやつは今ここにいて、私たちを殺した。
私もあとどれだけ生きていられるか。
加速する。
人が、時が、世界、宇宙が、全てが。
その時、ふっ、と嗤う。
何を諦めているのか。
決めたと言うのに、あの日、あの時、あの場所で。
生きるために足掻くと。
この競争に打ち勝つと。
そう決めたのに。
何を諦めようとしているのか。
嗤う、嗤う、嗤う。
ぐっ、と拳を握り、叫ぶ。
「“Bad apple”!!!」
そうして、次の瞬間。
私の意識は闇へと沈んでいった。
『それじゃあ、皆さん、ご一緒に』
『イッツ オールフィクション』
『はい、これで前書きは無かったことになったよ』
『今日はエイプリルフールだからね』
『僕のスタンド“大嘘吐き”の効果を試すにはもってこいだろ?』
『僕が誰かだって? おいおい、そんなことはどうでもいいだろ?』
『君たちが問題にしなければダメなのは“本文がどこまで嘘なのか”と言うことさ』
『こんなこと僕が言ったって信じられないかもしれないけれど』
“今回の話は全て本当のこと”だよ。
『まあ、君たちが信じるかどうかは任せるけどね』
『それじゃあ僕はそろそろ帰らせてもらうよ。僕の出番はエイプリルフール一日だけだからね』