恋姫♰無双 紀霊の章   作:秋月 了

12 / 29
12話 決着

これは紀霊が南陽を出る数日前にさかのぼる。

 

「この書状の内容は本当か?」

 

「はい。わが主、孫乾様の意思をそのまま記したものでございます」

 

その日、俺の私室に一人の密使が来ていた。

相手は孫乾公祐だった。

なんでも徐州を挙げるという。

手紙の内容は新しく州牧になった劉備と御使いが無能すぎるから

変わってほしいとの事。

 

「そこまで徐州はひどいのか?」

 

「ひどいと言いますか、全く治世が行き届いておりませぬ。

御使いとか言う男は政務をサボってばかりで結局その全てを

孫乾様と諸葛亮様、鳳統様の三人で行っているのが実情です。

それでやっと生産高と産業の状況を把握が来たばかり。

このままでは早晩袁紹か曹操に攻められても何もできません」

 

「それで俺達に徐州を取ってもらおうと?」

 

「正確には紀霊様にです。孫乾様は徐州をあげるからそこで天下に名乗りを上げてほしいと」

 

「わかった。しかし、どのみち俺が取って代わっても俺じゃ曹操には勝てないぞ。いいのか?」

 

「はい。その後の事は全て任せるとの事です」

 

「わかった。この話受ける」

 

「ありがとうございます」

 

こうして孫乾と紀霊の間で密約が成立した。

 

 

 

 

 

 

 

そして時間は元に戻る。

 

 

 

 

 

 

「しかし麋竺達が来た時は驚いたぞ」

 

「あの子たちは隠し事ができないので、知らせていませんでした。

それにあの子たちに負ける程度ならば天下に名乗りを上げるには値しませんわ」

 

「なるほど、それで俺は合格か?」

 

「はい。わが軍への対応力、そしてその武勇。お見事でございます」

 

「そうか」

 

「では私も下がらせていただきます。内応は近いうちに」

 

「ああ」

 

孫乾は下がっていった。

 

「しかし驚いたぞ、識。いつの間に孫乾殿と内通を?」

 

「南陽を出る数日前にな。さて左翼は追い払った。

作戦通り中央を横から叩くぞ。愛紗は?」

 

「少数部隊を率いて追撃している」

 

「予定通りだな。行くぞ星」

 

「承知。と言っても飛将軍相手に押され気味のようだがな」

 

「ははっ。確かに」

 

中央のほうは恋の部隊に完全に押されており、

あと一押しといったところだろう。

 

「行くぞ、お前ら!突撃ー---」

 

『おおー---』

 

中央軍に突撃した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃中央軍では

 

「まだやる?」

 

「り、鈴々はまだまだ平気なのだ」

 

「わかった」

 

傷一つ負っていない恋対して傷だらけで満身創痍の張飛が立ち会っていた。

 

「恋殿~~~~~~。紀霊殿が敵の横っ腹を突いたのですぞ。

敵は後退を始めましたです。紀霊殿はそのまま本陣に向かいましたぞ」

 

「わかった。あなたたちの負け。降伏して?」

 

「くっ、まだまだなのだ」

 

張飛は丈八蛇矛で恋を突く。

しかし恋は冷静に方天画戟で打ち上げた。

その拍子に勢いに負けた張飛はしりもちをついて倒れる。

そしてその鼻先に戟を向けた。

 

「これであなたの負け」

 

こうして張飛も捕えられた。

 

 

 

 

 

 

諸葛亮SADE

その本陣では。

 

 

「申し上げます。左翼公孫賛様華雄に敗北。撤退しました」

 

「右翼。麋竺様、麋芳様、孫乾様の隊が敗走しました」

 

さっきから凶報しか入ってこない。

さっきからご主人様の声が荒々しくなってきていた。

すると本陣が騒がしくなってくる。

 

「なんだ」

 

「御使い様。お逃げを。敵が本陣に」

 

「くそっ、逃げるぞ。朱里」

 

「でも、まだ鈴々ちゃんが」

 

「俺が死んだら意味ないだろう。急ぐぞ」

 

本気で言っているのですか?

確かに私たちが捕えられればこの戦は負けです。

ですがそれ以前にやることがあるではないのですか?

そそくさと逃げようとするご主人様、いえ御使いに私は愛想をつかした。

 

「そんなに逃げたいのならおひとりでお逃げください。私は残ります」

 

「何を言っているんだ?お前も一緒に逃げよう」

 

「いいえ。負けたのは軍師の私の責任です。全ての責任は私が取ります」

 

「くそっ、勝手にしろ」

 

数人の部下を連れて出て行った。

さて私も動きましょうか。

私は天幕を出て叫んだ。

 

「大将の北郷一刀は逃げました。もう戦う必要はありません。戦をやめてください。

袁術軍の皆さん。我々は降伏します」

 

「わかった。全員武器を捨てて手を頭の後ろに」

 

「紀霊さんの指示に従ってください」

 

全員が武器を捨てる。

 

「諸葛亮殿。先ほど大将が逃げたと言っていましたね。それは本当ですか?」

 

「はい。先ほど紀霊さんが本陣に突入したと同時に逃げました」

 

「わかった。諸葛亮。お前にも来てもらうぞ」

 

「はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

下邳城に帰還した俺たちはまず孔明から話を聞いた。

 

「なるほど」

 

「要は御使いの暴走という訳か」

 

「はい。その結果私は御使い殿を抑えられずに」

 

「敗北したという訳か」

 

「はい」

 

「わかった。公孫瓚と孫乾は敗走中央の軍や本陣の守備部隊も逃げ出した。

このまま彭城を取るか。だがその前に孔明」

 

「はい」

 

「俺たちの軍に加わらないか?」

 

「え?」

 

「このまま俺たちがお前を解放しても行き場がないんじゃないのか?

どのみち、今の一刀はお前たちの話を聞くとは思えない。

ならこのままここで軍師として働いたほうが楽じゃないのか?」

 

これは本心だった。

話を聞く限り一刀は二人を活かせていない。

俺も武一辺倒だが今の一刀よりは活かせるはずだ。

それに孔明は一刀をこれまでのようにご主人様と言わずに御使い殿と呼んだ。

無意識かはわからないが愛想を尽かしているのだろう。

黙っている孔明をただ待った。

 

「わかりました。どのみち軍師として話を聞いてもらえないのなら

あそこにいても意味がありませんし

私をここで使っていただけませんか?」

 

「俺としては孔明の頭脳には期待してる。

見ての通りねね以外に頭脳労働が得意な奴はいなくてな」

 

「はい」

 

「それと一度は返還したがこれからはこれまで通り識でいいからな」

 

「はい、識様。私の事も朱里とよんでくだしゃい。ああ、かんじゃった」

 

「気にしないさ。これからも頼むぞ」

 

「はい」

 

こうして俺には新たな助っ人が加わった。

 

「申し上げます。孫策殿が謀反」

 

「失礼します。孫策殿より使者が参られました」

 

一難去ってまた一難。どうやら俺に休む時間はないらしい。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告