恋姫♰無双 紀霊の章   作:秋月 了

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17話 正体

「北郷、俺から聞きたいのは一つだ。お前何者だ?」

 

「は?いまさら何言ってんだ?」

 

「しらばっくれるな。正直に答えろ」

 

二人の間に沈黙が流れる。

 

「はぁ~。わかった俺の負けだ。

確かにお前の言うとおりだ。俺は北郷一刀じゃねぇ。

俺の名前は于吉。お前と同じ転移者だ。

お前もそうなんだろう?」

 

「なぜそう思った?」

 

「もし違ったらお前からあんな質問でねぇだろうよ。

それに恋姫無双にも革命にも紀霊なんてキャラ出てねぇし。

予感は最初からあったよ。

そもそも史実の紀霊とは全然行動が違うし」

 

「そうか。それで本物はどこ行った?」

 

「知らねぇ。揚州で偶々見つけて衣服奪って幽州に来て劉備に取り入った。

俺、劉備が推しだし」

 

「その劉備に関しても疑問がある。なぜああも変わった?」

 

「そりゃあ俺が催眠をかけたからな」

 

「催眠?お前が得た技能か?」

 

「そうだよ。俺も突然メールが来た。

それで設定したときに選んだ技能が催眠と変装能力だったわけ。

それでこうやって劉備を操って俺の女にしたって訳。

ホントは関羽や趙雲にもかけたんだけどな。

精神的に強かったのか、かからなかった」

 

「すぐに催眠を解け」

 

「無理」

 

「は?かけたんだろう。なら解けるだろう?」

 

「解くことが出来ないんだって。解くには俺が死ぬしかないな」

 

無責任なこいつの存在が腹が立った。

最初は同協という事で助けることも考えたがやめた。

 

「最後に答えろ。お前以外に転移者はいるのか?」

 

「ああ、いた。俺が知る限り三人。呉の大橋、小橋姉妹。

魏の蔡文姫。それが俺の知ってる転移者だ。殺したがな」

 

「俺は呉で練師、益州で鮑三娘という転移者に会ってる。勿論殺したが」

 

「なら俺で最後だな。俺が知る限りこの世界に飛んできた転移者は北郷を除いて七人。

この戦いはお前の勝ちだ」

 

「そうだな」

 

それはある日急に頭の中に流れてきた言葉。

七人の転移者を討ち取り勝者になれ。

さすればこの世界をやるという。

まるっきり信じてなかったが。

まさか事実だったとはな。

 

「さぁ、ささっと終わらせようぜ」

 

「ああ。さらばだ于吉」

 

首を斬り飛ばした。

 

「終わったな。そして始まる」

 

 

 

 

 

 

 

外に出て北郷の死を宣言した。

湧き上がる喝采。

俺はどこかむなしかった。

そして俺は本城を下邳から彭城に移した。その軍議場。

 

「なんとではあれは本物の御使いではなかったと?」

 

「ああ。あいつ本人がそう言った」

 

「しかしいつ入れ替わったと?変わったようには思えませんでした」

 

「最初から北郷一刀を名乗って近づいたようだ。

そして劉備玄徳を催眠術の力で操った。

劉備が一刀に会って豹変したのはあいつに催眠術をかけられて

操られていたからだったんだ」

 

「なるほど」

 

「それで劉備は?」

 

「急に倒れて今は部屋で寝かせてるわ」

 

「そうか」

 

「あいつらの事はわかったのです。そのうえでこれからどうするのです?」

 

「ああ北郷の話はどうでもいい。

集まってもらったのはこれからの事だ。

さっき入った情報によれば袁紹が官渡で曹操に負けた。

袁紹軍は壊滅。袁紹、文醜、顔良、田豊は行方不明との事だ」

 

「なら河北四州は曹操の手に渡ったわけね」

 

「そうなるな。そのうえでこちらの動きについてだ」

 

「と言ってもほとんどとれる選択肢は限られている。今のうちの勢力で曹操に勝てるわけない。

それを理解したうえで戦を挑むか。後は逃げるか」

 

「ねねは逃げるに一票なのです。死んでしまっては何も残らないのです」

 

「私も逃げるべきだと思います。生きていれば再起を図る事は出来るはずです」

 

詠の示した選択肢にねねと月は逃亡を選択か。

そのほかの軍師組、武将組も頷いていることからも同意見だな。

 

「よし、俺たちはここからの逃亡をしあに入れて動く。そのうえでどこに逃げるかだが

俺はまず荊州がいいと思う」

 

「理由は何かあるの?」

 

「まず荊州の劉表殿とは個人的に懇意にしていたからな。劉表殿の下で

ある程度体制を整えたのちに益州に入る」

 

「私は益州についてはよくわかりませんが南蛮や羌族がいたはずですが」

 

「朱里の懸念は理解しているつもりだ。だが益州は多くの山々がその侵攻を防いでいる、

天然の要害と言える地だ。それにあそこには懇意にしていた人がいるしな」

 

「その人物って誰の事なの?」

 

「厳顔殿だ。巴群を預かってると聞いているし、そこには黄忠殿もいると聞く」

 

「今更だけど識って結構、顔が広いのね」

 

「それなりに長い時間旅をしていたからな。各州、色々な所を周った」

 

「そうなのね。それで劉璋はどういう人なの?」

 

「一言で言えば無能。周りの文官も無能ではないんだが自身の欲を優先しているからな。

はっきり言えば、腐敗の温情だ。あそこは」

 

「だからこそ、私たちが入りやすいともいえるわけですか」

 

「そういう事だ」

 

この後、全会一致で俺たちは益州に向かうことに決まった。

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