簡潔に言うと賊討伐は戦闘開始から五分ほどで終了した。
意気揚々というわけではないが出陣してみれば敵は何ということはない。
賊は百人にも満たない集団だったのだ。
これに孫策殿は完全に意気消沈。
俺も倒れそうになった。
作戦も決めることもなく攻撃を開始。五分ほどで戦闘終了。
賊は捕えるなり殺すなりして撤退した。
「とんだ時間の無駄だったわ」
「そうですね」
俺にとって幸いは孫策殿と交流を深められたことだろう。
とにかく報告に戻る。
「そうか。ご苦労じゃった。下がれ」
これだけ?普通なぜこうなったのかとか、詳細を聞くもんだろう。
腐敗ここに極まれりだな。
それから部屋に戻り残してきた仕事の続きを行う。
それから二日後。
「「「「「終わったー--------!」」」」」
全員が筆をおいて背伸びをして終わりを宣言する。
「よし、帰って寝るぞ」
「「「「はい」」」」
全員が追加が来る前に急いで部屋を出て帰宅した。
そんな感じで日々を過ごして数週間。
都で変が起こった。
董卓が現皇帝、霊帝を無理やり退位させその後継者に献帝を即位させたのだ。
それに伴い何進や何太后、十常侍は殺され、粛清を謳い多くの都の将軍や宦官を
殺しており、宮中は血生臭い匂いが充満している。
さらに董卓は相国という漢においては最高位についているとも。
そんな話を今、孫策殿と袁術殿というより張勲殿より聞いていた。
「それで袁術殿はいかがなされるおつもりで?」
「無論董卓の悪行は見過ごせん。
しかし妾はめかけの娘なんぞの下には付きたくはない。
そこで妾は妾で動こうと思う」
「それがいいと思います。お嬢様」
マジかよ。勘弁してくれ。袁術の弱兵で関を突破できるわけがない。
行軍は遅いし、統率も取れていない。おまけに軍の頭である張勲は
袁術に言われるまで何もしない。
少々天然な所はあるが能力はあるのだ。特に防衛戦では特に能力を発揮する。
黄巾の乱でも南陽を責められた際にあの弱兵を巧みに操って
追い返している。決して無能ではないのだ。
要は彼女の思考の全てが袁術に対してのみ向けられているのだ。
横を見れば孫策殿も明らかに嫌な顔をしている。
そして
「でもいいの。袁術ちゃん?」
「なにがじゃ?」
「今から私たちが独自で動いても諸侯は当然袁紹の下に向かうわ。
それを勝手に動いちゃったら下手したら袁術ちゃんが悪者になりかねないわ」
確かにな。へたしなくても勝った側からは不穏分子扱いだ。
そして連合の戦力の全てが南陽になだれ込むだろう。
それは勘弁してほしい。
「ここは連合に参加しておいて面倒ごとは全て袁紹に任せて
いいところだけかっさらっちゃえばいいじゃない?袁術ちゃんの得意技でしょう?」
「総大将というのはそれはそれで面倒なものです。
失敗すれば全ての矢面に立たされるわけですし、
常に敵からは狙われる位置にいるわけですし。
そのようなものは袁紹に任せておけばいい」
「ふむふむ。何やらそちらのほうが良い気がしてきたぞ」
「そうよ。それでうまくいけば袁術ちゃんこそが相国になれるかもしれないわ」
「妾が相国!」
「相国…新相国美羽様万歳! やりたい放題万歳!」
「七乃、妾は相国になるのじゃ!」
「なりましょ〜♪ 美羽様、相国になったら蜂蜜水もごま団子も
桃まんも食べ放題に飲み放題ですよ!」
本当に単純な奴らだよ。本当に。
うまくいってもいないのに浮かれておだてられた言葉に浮かれちゃってさ。
まあ、わかってておだてたんだろうけど。
「では妾たちも連合に参加する」
「そうですね。それが一番いいと思います。
それで戦力ですが十万でいいでしょう。
孫策さんにはその半分をお願いしますね」
は?何を言っているんだ、この女は?
今の孫呉にそれほどの権力はない。
そんなのほぼ不可能だ。
「袁術殿。お待ちを。それはあまりに「お主にはしゃべっておらん。黙っておれ」ぐっ」
「紀霊!」
発言しようとすれば周りの老人から扇子が飛んできた。
あたりどころがわるかったのか。血が流れているようだ。
「それでどうするのですか?孫策さん。出来ないようなら足りない分は
私たちで用立てます。ですがその場合は揚州からも用立てることになりますが」
屑共め。孫策がそう言われれば断れない事を知っているんだ。
普段から何もしないくせしてこういう事ばかりに知恵を回しやがって
「わかったわ。五万でいいのね。必要な兵糧もすべて私たちで用意するわ」
「おお、そうか。では任せるぞ。紀霊もさがっていい」
「わかりました」
疲れた。
孫策殿と周瑜殿と三人で歩いている。
「紀霊。あなたその頭、大丈夫なの?」
「ええ感覚ではありますが見た目の派手さのわりに傷は浅そうです」
「そう。よかったわ。それとありがとう。孫呉のために止めようとしてくれて」
「いえ、当然の事をしただけですよ。それでは俺はこれで」
部屋に戻り薬を塗って布を巻く。
さて星と愛紗のところに向かうか。
二人は兵士の訓練をしている。
最近、俺たちの軍は五百から千に増えた。
今はその訓練をしている。
「星、愛紗」
「識様!いかがされ、どうされたのですか?その額は」
「まぁちょっとな。それより話があるんだ?」
俺たちは評定で決まった事を二人に伝える。
「なるほど」
「ならば兵士をもっと鍛えなければ」
愛紗、話を聞いていたであろう奴らの顔が青くなってるぞ。
「ほどほどにな」
「わかっています」
俺も少し体を動かすか。
「愛紗、星少し付き合え。俺も体を動かす」
「わかりました」
「では最初は私からだな」
「ああ、来い」
その後三人で何度も模擬戦をした。
やはり競い合うのは楽しいな。