恋姫♰無双 紀霊の章   作:秋月 了

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荊州占領編
24話 荊州


徐州彭城。

 

曹操率いる本隊が城に入った。

 

「先鋒の任、ご苦労だったわね、春蘭。琅邪郡での戦は聞いたわ。ひどい戦いだったと」

 

「はっ」

 

先鋒集団十万は琅邪郡で自ら足止めの為に残った者たちとぶつかった。

足止め、時間稼ぎの為に多くの者たちが文字通り我が身を惜しまず突っ込んできた。

結果、その全てを殺すことになった。

そして敵の狂気ともいえる行動に兵士が縮み上がってしまい行軍が思うようにいかず、

その結果、それ以降、戦もなく進んだにも関わらず当初の攻略計画よりも

大幅に遅れる結果となってしまった。

 

「それにしても、紀霊という男はよほど脅威ね。

その実力は求心力と魅力は劉備以上ね」

 

「花琳様。このまま、紀霊を追いますか?」

 

「い追わないわ。というより負えないというべきね。桂花、州の状況把握はどうなってるの?」

 

「はい、それが全ての資料が焼却されており、当初、放った間者が調べていた徐州の

内政状況を維持するには今すぐにでも取り掛からなければへたをすれば、

損ないかねないと言わざるを得ない状況です」

 

「そう、わかったわ。全く、紀霊はどうやら悪戯の才能もあるようね。

そういうわけで今は追撃をする余裕はあまりないわ。

春蘭、秋蘭。急いで全ての群に警備網を敷いて。

桂花、稟、風は急いで各郡の内政に関するすべての事を調べ上げて頂戴。

他の者もできる限り双方に協力するように」

 

『はっ』

 

曹操軍は部屋を飛び出し、行動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、紀霊たちは荊州の新野に入り

そこから紀霊は愛紗、雛里を連れて襄陽の劉表もとに来ていた。

 

「この度はわれらを迎え入れていただきありがとうございます」

 

「よい、君には袁術の独断行動の件で何度も世話になったからな。これくらい構わんよ

それよりもすまないね。このような寝所に呼んでしまって」

 

「いえ」

 

「紀霊殿、お久しぶりです」

 

「ご夫人も、お元気そうで何よりです」

 

「すまないが二人で話したい。悪いがほかの者は部屋から出ていてくれ」

 

「「「「はっ」」」」

 

夫人を始め、紀霊の部下たちも出ていく。

 

「さて紀霊、今の荊州が抱えている問題なんだがね」

 

紀霊は来たと思った。

ここからどう動かすかだとも。

 

「私は次の荊州の主にはぜひ君にと思っているのだよ」

 

「は?」

 

予想外の発言に紀霊は思わず素っ頓狂な声を上げる。

 

「ご子息がいらっしゃるのでは?」

 

「二人ともそれぞれに問題があるからな。琦は病弱だし、琮は幼すぎる。

はっきり言って今の荊州は蔡家が好き勝手しているような状態。

それは何としても止めたい。協力してはくれんか?」

 

紀霊が黙った。

それを劉表は察したような表情をして、

 

「なに、すぐに返事をよこせとは言わないよ。

しかし私も病床の身。長くは待てないよ」

 

「わかりました。近い内に何らかの返答をいたしましょう。では失礼します」

 

「うむ」

 

部屋を出た紀霊は三人と合流して深夜に戻った。

その帰り道、

 

「なぁ、雛里、愛紗」

 

「はい」

 

「なんでしょう?」

 

「俺、劉表殿から荊州の刺史にと言われたんだがどうするべきだと思う?」

 

「「はい?」」

 

あまりな事に二人は素っ頓狂な声を上げた。

紀霊は自身と同じ反応に思わずクスっと小さく笑ってしまった。

 

「帰って対策練るぞ」

 

「「はい」」

 

三人は新野に帰った。


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