「「はぁぁぁぁぁぁぁ」」
俺の槍と華雄の戦斧、金剛爆斧がぶつかる。
「紀霊、中々やるな」
「そちらこそ」
槍で突けば華雄が戦斧で弾き今度は華雄が戦斧を振り下ろす。
そうして攻防を繰り返していた。
そんな中でも華雄の隙を見い出す。
華雄は戦斧を振りおらすときが一番隙ができる。
「はぁぁぁぁぁぁぁ」
来た。戦斧の振り下ろし。
タイミングをミスれば待っているのは死だが行ける。
振り下ろしを紙一重で躱し、槍を突き出した。
「うぐっ!?」
だがそれは華雄も躱そうとするが間に合わず腹に当たり落馬する。
そして華雄に槍の穂先を向ける。
「俺の勝ちです」
「華雄将軍! これ以上は―――「来るな!」 し、しかし」
「ああ、私の負けだ。後は好きにするがいい」
「最後に言い残すことはありませんか?」
「部下たちを頼む。私に勝ったのだ。誰もが従うだろう。
いいな。貴様ら!この先は私ではなく紀霊殿に従え」
「華雄様・・・・・・・『承知しました。われら一同これより紀霊殿に従います』」
「わかりました。あなたの部下、千人の命はこの紀霊 白麗が預かります。
それともう一つ聞きたいことが、本当に董卓は都で悪行を働いているのですか?」
「それはない。それらは全て袁紹がばらまいた狂言だ」
「そうですかわかりました。では最後です。御覚悟を。
いえ、この言葉はあなたには不要ですね」
槍を突き刺し腰の剣を抜く。
「華雄将軍、覚―――「今だ皆、矢を放ってくれ!」」
誰か声と共に聴きなれた風切り音が聞こえてきた。
時はさかのぼり華雄と紀霊が一騎打ちを始めたころ。
「お兄ちゃん!」
「鈴々。なぜこんなところにいるんだ。華雄と戦う手はずだったろう?」
「それが鈴々が戦う前に紀霊が来て一騎打ちを始めちゃったのだ」
まずい。これで紀霊が勝てば俺たちはただ陣を混乱させただけになってしまう。
「とにかく急いで汜水関を押さえれば「はわわ、それはもう遅いです。
すでに孫策さんと袁術さんの部隊が攻撃を開始して孫策さんの部隊が
取りつき始めています。今から行ってもできることはありません」
なら偶然を装って華雄を討ち取れば「それはダメなのだお兄ちゃん!」なんで?」
「ご主人、様一騎打ちは武人にとって神聖なものでそれ自体が戦の花なんだよ
それを邪魔するのは絶対に許されないんだよ」
華雄に手を出そうにも、紀霊のやつが負けて敗走してくれないと不可能。
華雄を捨てて?水関を落としに行くにも孫策と袁術の部隊が既に向かってるから、
一番乗りも出来ない。何だよこの状況、八方ふさがりじゃないか。
俺は天の御使いだぞ。それがこんな事。
「決めた。こうなったら、強引にでも華雄を倒しに行く。朱里、雛里。
部隊の中でも腕のいい弓兵をを二十人ほど選別してくれ。
それが終わったらどっちかついてきて。鈴々は、俺達の護衛を
頼む。…乗り気じゃないのは分かってるけど、今は耐え忍んでくれ」
「ご主人様、私の話聞いてた!? 一騎討ちに水を差すのはダメなんだよ」
「桃香、俺達は戦のない世を作るために戦ってる。それを実現するためには、
どうしても力は必要になるんだ。……だから、ごめん。今回は名よりも実を取りに行く」
準備できました、という朱里の報告を受け、鈴々と朱里と弓兵達を連れて出撃した…。
いきなり矢による攻撃に華雄はとっさに目を閉じた。
しかしいくら待っても痛みが来ない。
目を開ければそこに立っていたのは紀霊だった。
見れば矢が背中や腕、足に刺さっている。
それを確認したと同時に紀霊が華雄のほうに倒れてくる。
華雄はそれを受け止め、その姿を見ながら茫然としていると、それぞれの部下達が近付いて来る。
「華雄将軍、ご無事で?」
「識様!」
「私は大丈夫だ。それよりも紀霊が」
「誰だ!一騎打ちを邪魔したのは!」
「矢が飛んできた方向に劉備の旗と丸に十字の旗を確認しました!恐らくは」
御使いです、と古参の部下の一人が言う前に星が槍を持ち直し馬に乗る。
「おのれ、御使い。神聖な一騎打ちを汚すか。
私と共に来い。「落ち着け、星」しかしだな、識」
「今はこの事を張勲に知らせろ。後は任せるともな」
「はっ」
一人が馬に乗り張勲のいる方向に向かっていく。
「紀霊、なぜだ?なぜ助けた」
「あなたと戦っていたのは俺だ。その決着がつく前に誰かにかっさらわれるのが癪だった」
「私はお前に負けた。われらは紀霊殿に降伏する」
「わかった。愛紗、星、あとは任せる」
「「承知」」
「とにかく今は傷の治療を天幕まで向かいます」
「頼む」
華雄が降伏したことで本陣付近の戦闘は停止。
同時刻、孫策率いる呉軍の将、程普と黄蓋、太史慈が汜水関を占領。
連合側の勝利に終わった。