虎牢関
「全軍突撃ー---」
張勲の号令の下全軍が突撃を開始する。
二日前から始まった虎牢関への全軍による間断なしの攻撃。
董卓軍は必死に攻めているが遠目にも疲労がたまっているのがわかる。
すると虎牢関の扉が開いた。
「来ました。呂布です」
「わかりました。紀霊さん指示を」
「今はそのまま突撃してください。その後呂布が近づいた
時に恐れたように左右に分かれて呂布のみを進ませるのです」
指示通り将たちは進む。
そして呂布と激突する少し前に兵士たちは左右に逃げるように別れた。
その割れた先に袁術殿が見えるように位置を取りそれが見えた呂布は疑うことなく進む。
そしてその後続の兵士数人を槍で突きさ殺し間を作って分断した。
「恋殿!行くのです!」
陳宮は袁術軍の囲みの突破を図りつつ叫んだ。
馬鹿め、これが策とも知らずにいや違うな、信じているのだ。
呂布の強大な力を。何かしら策があるのもわかっているのだろうが
それら全てを粉砕することができると。
だがそれが失敗だ。
「今だ。銅鑼を鳴らせ」
指示に従い兵士が銅鑼を鳴らす。
すると呂布が操る馬の足元に太い縄が数本現れた。
これはもともと夜のうちに埋めておいた縄だ。
これに馬の脚をひっかけさせて転ばそうという策だった。
案の定馬は足を取られて転ぶ。
急なことで呂布も投げ出されて地面に前から落ち胸を強く打ち付けた。
「捕えろ」
周りにいた女性兵士十数人で呂布にのしかかり捕えようとする。
それでも呂布は起き上がろうともがいていた。
「マジかよ。すげー力だな。仕方がないか」
腰の竹筒の中の水を数滴、布にたらし鼻と口を押え眠らせた。
使ったのはこの時代にある薬草を使って吸入麻酔薬を作った。
苦労したがどうにか出来た。
「よし、眠ったな。しばらくは眠ったままだろうがしっかり拘束しておけよ」
「はっ」
「他は虎牢関に突撃!袁術殿に虎牢関突破という勝利を献上するぞ!」
『おおーーーーーー』
全軍で虎牢関に突撃を開始する。
陳宮は今だ突破しようとしているがどうやら撤退を決めたようだ。
「お見事でした。まさかあの飛将軍をとらえるとは」
「いえ、これも袁術殿がひきつけてくれたおかげでございます」
「ふふん。どうじゃ、妾の名演技は」
「はい。お見事でしたよ。お嬢様」
「では俺達も攻城戦に加わります」
「うむ、まかせるのじゃ」
「星、愛紗、行くぞ。虎牢関を取る」
「「承知」」
俺を先頭に千の部隊を突撃させる。
俺たちは袁術殿の部隊を追い抜き、陳宮の部隊に迫る。
「呂布の残党は捨て置け。このまま虎牢関への一番乗りを目指す」
『おおー----』
「あかん。陳宮が追い抜かれてもうた。あれじゃは間に合わん。はよ扉しめぇ。敵が来るぞ」
「させるかよ。速度を上げるぞ」
『おお』
扉を閉め始めるが遅い。そのままの勢いで虎牢関に入った。
「各所を制圧しろ」
「ああ。あかんわ、入られた。撤退、撤退や。ここで命散らすな」
そう指示し撤退した。
「負う必要はない。このまま袁術殿を迎えるぞ」
そうして扉をあけ放ち袁術殿に伝令を送る。
なおどうやら陳宮も捕えられたようだ。
「ご苦労じゃった。紀霊」
「はっ」
「後呂布の事じゃが妾たちのほうで見ておく」
「お任せします」
「では紀霊も休め」
「はっ」
俺たちは立ち上がりそれぞれの場所で休む。
「よろしかったのですか?識様」
「いいよ。別に俺達じゃ、捕えたままには出来んだろうからな
正直華雄だけで精一杯だ」
「それはそうですが」
どうせ逃げ出すだろうし。
「それにしてもまさかあのような手で呂布を抑えるとはな」
「武人としてはいささかふがいないがな。
勝てない相手に真正面からぶつかる必要はない。
その為の奇策だ」
「確かに」
そして夜、案の定、呂布は陳宮と部下を連れて逃走した。