新海底軍艦〜艦息のドラゴンフォース〜   作:あーくこさいん

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第十話 再戦(後編)

ドゴォォォォォォン‼︎

 

爆発音が鳴り響く…

 

だが、これは魚雷が空母“アドミラル56(イソロク)”に命中したのでは無く、迫ってきた魚雷が何かに妨げられて爆発した音だった。

 

オペレーター

「た…助かったのか?」

 

誰もが唖然とする中、横槍を入れてきた者の正体を知っている提督は指示を出す。

 

(横須賀)提督

「全艦戦闘体制を維持、ヘリを用いての救助を開始せよ‼︎」

 

提督の指示により艦隊全体が行動を起こす。

そんな中、提督は助けてくれた存在に向けてこう願った。

 

(横須賀)提督

(頼んだぞ…!)

 

 

 

 

 

一方、海中には日本軍の潜水艦やレムリア帝国軍の潜水艦以外にある一隻の潜水艦が100ktという速度で航行していた。

 

流線型の船体に漆黒のカラーリング、多数のミサイルハッチに艦首に超硬質ドリルを搭載しているまさしく万能戦艦と呼べる代物だ。

唯一違うところは万能戦艦の特徴でもある砲塔が無い事だろう。

 

その万能戦艦の司令室(ブリッジ)には数人の男女がいた。

その中央に艦長らしき男性と白を基調とした服装に身を包む女性が話している。

 

???

「これより、敵艦隊に殴り込みをかける……本当にいいんだな、アネット?」

 

艦長である男は隣にいる女性…“アネット”に聞く。

その問いに彼女は覚悟を決めた表情で答える。

 

アネット

「道を違えた以上、私達は止めなくてはなりません。たとえ血を流す事になっても…」

 

彼女の答えを聞き艦長は帽子を被り直す。

 

???

「これより雷撃戦に突入する‼︎対艦ミサイル発射用意、目標A型潜水艦、撃て‼︎」

 

次の瞬間、両舷のミサイルハッチから多数の対艦ミサイルが発射され敵艦隊に襲い掛かる。

 

???

「続いて艦首レールガン用意、後ろのデカブツを叩く‼︎」

 

その頃レムリア艦隊は突然の襲撃に驚愕していた。

 

オペレーター

「艦長、前方の所属不明艦がいる方向からミサイル多数接近‼︎」

 

艦長

「何⁉︎回避しろ、急げ‼︎」

 

オペレーター

「駄目です、間に合いません‼︎」

 

次の瞬間、A型潜水艦『アーガマ』3発のミサイルが命中し真っ二つに折れて沈んだ。

慌てて迎撃に移るが尋常じゃない速度に翻弄され次々沈んでいく。

 

そして16隻すべてが沈んでしまった。

 

オペレーター

「司令、前方に布陣していた潜水艦16隻すべてが撃沈された模様‼︎」

 

艦隊司令

「ば、馬鹿な…ありえん‼︎地上人の潜水艦にそんな力はない筈だ‼︎」

 

オペレーター

「前方に謎の潜水艦が接近…馬鹿な、100ktだと……」

 

敵が狼狽している隙を突き、謎の潜水艦…『轟天号』はさらに接近する。

 

艦隊司令

「ええい、狼狽えるな‼︎反撃開始‼︎」

 

司令の指示で3隻のC型潜水艦から魚雷とミサイルの雨霰が降り注ぐ。

だが轟天号の乗組員は慌てる様子は無い。

 

???

「メーザー砲、迎撃用小型レールガンで迎撃せよ‼︎」

 

敵艦隊に接近している轟天号は各種迎撃兵装を起動して、魚雷とミサイルを迎撃し肉薄する。

 

その間に艦首の四つの構造物が動き、中央以外の潜水艦に向く。

 

???

「艦首レールガン、発射‼︎」

 

四門のレールガンから徹甲弾が発射され、左右の2隻に命中する。

電磁力で勢い良く発射された徹甲弾は潜水艦の弾薬庫を貫通し誘爆、原子力空母並の巨体を誇るC型潜水艦は跡形も無く爆発した。

 

???

「トドメだ、艦首ドリル起動!冷線砲用意‼︎」

 

最後の一隻目掛けて轟天号は速度を上げる。

ドリルを回転させ、迫り来る轟天号にC型潜水艦『チャールストン』は回避を試みるも…

 

???

「冷線砲、発射ァ‼︎」

 

するとドリルの先端から青い光線が放たれ、チャールストンに命中する。

チャールストンは先端から凍りつき、やがて全体が氷の様に凍結した。

 

ズガガガガガガガガガ‼︎

 

それをお構い無しに突撃する。

氷結した事で物質の強度が著しく脆くなったチャールストンは轟天号のドリルで容易く砕け散った。

 

オペレーター

「敵艦隊、撃破…」

 

???

「通信長、羅號の場所は分かるか?」

 

通信長

「通信を傍受した所…羅號は敵戦艦モンタナと現在戦闘中との事!」

 

???

(くそッ、他の万能戦艦が現れたか…しかもよりによってモンタナとは……)

 

アネット

「急ぎましょう、艦長!」

 

???

「ああ、そうだな!」

 

轟天号は羅號の元に急行する。

 

 

 

 

 

その頃、羅號は…

 

羅號

「このぉ‼︎」

 

モンタナ

「甘いわ‼︎」

 

『みかさ』の周りで羅號とモンタナは激しい戦いを繰り広げていた。

互いにドリルをぶつけ合い、モンタナは有利な位置どりで砲撃し羅號は隙を見て反撃する。

一進一退の攻防が繰り広げられる中、羅號が不利だった。

 

モンタナは注射器サイズの高速修復剤によって傷を癒し有利な位置どりで相手の砲撃を出来るだけ封じ、的確に羅號にダメージを与えていた。

 

羅號が疲弊していく中、モンタナはそろそろトドメを刺そうと仕掛ける。

 

モンタナ

「くらえ‼︎」

 

羅號

「ぐぁ…!」

 

モンタナの砲弾は右足に命中し、その一撃でバランスを崩す。

その隙をモンタナは見逃さなかった。

 

モンタナ

「うおぉぉぉ‼︎」

 

モンタナのツインドリルを起動して肉薄する。

羅號も応戦するが、砲弾が命中した右足から痛みが生じうまく踏ん張れなかった。

 

その為、競り負けてしまいモンタナのツインドリルが羅號本体に迫る。

 

が、羅號は咄嗟に第一砲塔を盾にしダメージを抑え、

 

羅號

「第一砲塔弾薬庫点火ぁ‼︎」

 

盾にした第一砲塔の弾薬庫を点火させ、その爆発でツインドリルの駆動回路にダメージを与える。

モンタナは離れるが、爆発をモロに受けた影響でドリルの駆動回路がやられ回転が止まった。

 

すかさず反撃に移る。

 

羅號

「主砲撃ち方始め‼︎」

 

羅號の第二砲塔から砲弾が放たれる。

モンタナは回避しようとするが、命中する。

命中によりモンタナは怯みよろけてしまう。

 

次に羅號は体当たりを仕掛け、『みかさ』から大きく引き離す。

 

続けて煙突部からパラボラアンテナ状の装置を展開し、熱線を放とうとする。

しかし、黙って撃たせる訳にはいかない。

 

モンタナ

「全主砲、オールファイア‼︎」

 

モンタナの主砲が火を噴き、羅號の煙突部に命中。

原子熱線砲を破壊した。

さらに砲弾が頭部に当たり、電探の機能が完全に消失・衝撃で眩暈を起こす。

 

モンタナ

「しめた…主砲、一気に叩き込め‼︎」

 

彼はこことぞばかりに砲撃を加える。

羅號も反撃するが、電探が機能しなくなった事で照準が狂い命中精度が著しく低下した。

 

その為羅號の砲弾は全く当たらず、モンタナの一方的な砲撃が続いた。

遂に大破し膝をつく。

 

羅號

「ぐっ……くそッ…」

 

モンタナ

「勝負あったな…」

 

モンタナがトドメを刺そうとし、周りにいた艦娘らが羅號を助けようと駆け寄る。

 

大和

「羅號ーーーッ‼︎」

 

その時だった。

 

ズドドドドドド‼︎

 

突如として海面からミサイルが打ち上がり、モンタナに襲い掛かる。

彼はすぐさま対空火器で迎撃しながら距離を取る。

 

突然の事にモンタナはともかく艦娘達や羅號も唖然となる。

すると…

 

ザバァァン‼︎

 

羅號の足元から何かが浮上する。

これでも十分驚く要素だが、浮上した潜水艦…否、万能戦艦がそのまま浮かび上がった。

 

そう、アドミラル56(イソロク)の危機を救いレムリア艦隊を全滅に追い込んだ万能戦艦『轟天号』だ。

 

羅號

「これは一体…」

 

モンタナ

「くそッ、後一歩の所で…」

 

そう悪態つく中、モンタナから通信が入る。

通信の内容を聞いたモンタナは…

 

モンタナ

「…了解した。羅號、この勝負はひとまずお預けだ。次こそは貴様を海の底に葬る…それまで首を洗って待ってろ‼︎」

 

そう捨て台詞を吐くと彼は勢いよく海中に潜り、そのまま離脱する。

戦いはひとまず終わったのだ。

 

だが艦娘達は未知の万能戦艦に警戒を向ける。

一触即発の空気が流れる中、轟天号から羅號に向けて通信が入る。

 

???

『大丈夫ですか、羅號⁉︎』

 

彼は通信を入れた女の声に聞き覚えがあった。

 

羅號

「もしかして…アネットさん⁉︎」

 

そう、大戦時に羅號を帝国の手に渡る事を防いだレムリア人であり、今はレムリア解放軍の総司令官として帝国に対し抵抗していた。

2010年のドック襲撃時に潜水艦で脱出したアネット達の安否を羅號は心配していたが、今この時無事であった事が分かった。

 

羅號

「良かった…無事で良かった……」

 

アネットの無事が分かった彼は嬉しさのあまり涙が出る。

 

???

『まったくだ…とにかく無事だったんだな、羅號。』

 

すると男の声がする。

この声の主を羅號は知らなかった。

 

羅號

「えっと…あなたは?」

 

神宮司

『おっと、初対面だったな。俺の名は神宮司勇(じんぐうじいさみ)、新型海底軍艦『轟天号』の艦長だ。』

 

神宮司という男はそう自己紹介する。

すると提督から通信が入る。

 

(小笠原)提督

『羅號くん、大丈夫⁉︎それにその艦は…?』

 

羅號

「あっ、提督さん。安心して、敵では無いよ。」

 

そう説明していると、今度は横須賀鎮守府提督日向真鉄からすべての部隊に向けて通信が入る。

 

(横須賀)提督

『諸君…本作戦において合流予定のアメリカ連合艦隊がつい先程、正体不明の敵勢力の猛攻を受け……壊滅した。』

 

突然の事に皆驚愕する。

それと同時に今遂行中の作戦が失敗した事を理解した。

 

本来であれば日本とアメリカの連合艦隊で深海棲艦の一大拠点であるハワイ諸島を攻略する手筈であったが、そのアメリカ連合艦隊が壊滅した事により作戦自体が瓦解した事を意味していた。

 

このまま単独で乗り込んでも成功するとは思えないのは目に見えていた。

当然、長年練った作戦がこんな形で失敗するなど無念という言葉では済まされない。

艦隊の動揺と悲壮感は大きかった。

 

(横須賀)提督

『皆の気持ちも分かる…数年かけて練った今作戦が失敗してしまった事は無念という言葉では済まされない……だが、生きていればまた機会があるんだ……情けなくて悔しいかもしれないが今は耐えろ‼︎』

 

提督の命令により連合艦隊は反転し撤退。

 

沈んだ僚艦から乗組員を救助し、残った艦に収容しながら撤退する彼らは悔しさを滲ませていた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃…

 

本作戦においてアメリカ連合艦隊はハワイ諸島奪還に向け最新鋭原子力空母『アポロノーム』を総旗艦とし、日本以上の艦娘を率いて作戦に臨んだ。

 

だが、突如としてミサイル・魚雷による飽和攻撃を受け、アポロノーム以下多数の艦艇が撃沈・航行不能に…

 

その混乱に乗じて5隻の万能戦艦が強襲を仕掛けた。

 

先陣を切ったのは万能戦艦の一隻…『ソビエツキー・ソユーズ』

 

上空から飛来した【赫き凶星】は航空隊、そして艦隊に殴り込み大打撃を加えた。

 

続いて万能戦艦『ガスコーニュ』の特殊砲弾による超長距離射撃により敵旗艦を的確に潰し、指揮系統を混乱させた。

 

その隙に残りの万能戦艦が突撃を仕掛ける。

 

無論、アメリカの艦娘達は負けじと応戦するが『インヴィンシブル』のシールドドリルに阻まれ、『インペロ』の持ち前の砲戦能力と高速の機動により傷口をさらに食い破る。

 

そして、『フリードリヒ・デア・グロッセ』の20inch速射砲による砲撃で艦娘に反撃の隙すら与えず蹂躙していった。

 

容赦の無い殲滅戦により艦娘達は恐慌し皆我先に逃げ出した。

逃げ出した艦娘に対し退路に待ち伏せていた深海棲艦により、さらに数を減らし運良く逃げ出したのは全体の2割に過ぎなかった。

 

燃え上がる艦艇の残骸と艦娘の死体が浮かび上がる海域に、万能戦艦5隻がいた。

 

フリードリヒ・デア・グロッセ

「皆、お疲れ様。」

 

インペロ

「いや〜疲れた〜〜♪」

 

インヴィンシブル

「ええ、いい運動になりましたからね…」

 

ガスコーニュ

「でも、まだまだ撃ち足りないわ!」

 

ソビエツキー・ソユーズ

「………フン。」

 

各々がそう反応する中、通信が入る。

 

ゼノン

『ご苦労だった、諸君。君達の働きによりアメリカ連合艦隊を壊滅に追い込んだ事を嬉しく思う。』

 

インヴィンシブル

「いえいえ…ところでモンタナは?」

 

ゼノン

『ああ、羅號を大破まで追い詰めたが反乱軍の横槍で第三艦隊は全滅…だが、そっちの目的は達成されたので撤退した。』

 

フリードリヒ・デア・グロッセ

「あら…」

 

ゼノン

『まあそれはそれとして作戦は成功だ。君達に休暇を与えよう。次の戦いに備えて英気を養うといい。』

 

インペロ

「やったー!」

 

ゼノンの計らいにより万能戦艦6隻に休暇が与えられ、彼らは喜んでいた。

 

この戦い以降『深海大戦』は“未知の生命体の戦い”から“レムリア帝国という未知の軍事国家との戦い”になった………




遂にレムリア解放軍と接触。

アネットの口から超古代文明【レムリア】の詳細・歴史が語られる…

乞うご期待ください。
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