新海底軍艦〜艦息のドラゴンフォース〜   作:あーくこさいん

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第十一話 (レムリア)の記憶

ー大本営総本部ー

 

ここは大本営総本部。

そこの会議室に全鎮守府の提督達が集まっていた。

中には戦線の都合から現場を離れられない提督もいる為、その提督達はリモートで会議に参加していた。

そしてレムリア解放軍総司令官『アネット=ラ=コルドバ』、轟天号艦長『神宮司勇』、影山グループ総帥『影山昇(かげやまのぼる)』も会議に出席している。

 

開口一番に横須賀鎮守府提督兼本土防衛及び太平洋方面を担当する第一連合艦隊長官である『日向真鉄』が話を切り出す。

 

(横須賀)提督

「本日集まってくれたのは他でもない。深海棲艦の正体と新たな敵対勢力についてだ。」

 

提督の言葉に周りはざわつく。

 

(横須賀)提督

「まずはこの写真を見てもらいたい。先の作戦で偵察機が深海棲艦のハワイ基地を撮ったものだ。」

 

ハワイ諸島は太平洋における深海棲艦の根城であり、衛星写真だと原因不明のノイズがかかって詳細が詳しく分からなかったが、日本海軍の偵察機が危険を冒しながら強行偵察し見事写真に収める事が出来たのだ。

 

その写真には深海棲艦特有の(ハイヴ)の他に明らかに鎮守府のような軍事施設があった。

その周辺海域では潜水艦が航行しており、()()()()()()()()()()()()()()()光景が映し出されていた。

 

この光景に動揺が走る。

本来ならこういう艦船を見つけると軍用・民間問わず攻撃し沈めるのにそれを素通りするなど前代未聞だった。

 

(横須賀)提督

「この写真を見れば分かるだろう。すぐそばに潜水艦が航行しているのに素通りしている…まるでその潜水艦が味方だと認識しているように。この写真と()()の話で確信に至った。深海棲艦は帝国によって作られた生物兵器である事を‼︎」

 

周囲に動揺が広がる。

その潜水艦も異質だ。

長門型戦艦並の大きさに二基の連装砲を備えた、まさに潜水戦艦といえる代物だった。

 

(パラオ)提督

「て、帝国…?どの様な国ですか、それは?」

 

パラオ泊地提督兼第三連合艦隊長官である八田与一(やたのよいち)が質問する。

彼はトラック泊地とラバウル泊地の提督と同じで艦娘達の待遇が良く、長い間南方戦線で戦っている為南方方面担当の第三連合艦隊の指揮官をも兼任している。

 

(横須賀)提督

「それは彼女がよく知っている。アネット、説明してくれ。」

 

アネット

「皆さん初めまして。私の名は『アネット=ラ=コルドバ』、レムリア解放軍の総司令官を務めております。」

 

アネットはそう自己紹介をする。

聞いたことのない国名に皆首を傾げる。

 

アネット

「…知らないのも無理はありません。レムリアは言わば『超古代文明』…一万二千年前に栄え、一度滅んだ文明ですから。」

 

(佐世保)提督

「それは、ムー大陸とかアトランティスとかそういう伝説上の文明が本当に実在したという事か…?」

 

(タウイタウイ)提督

「貴様、適当な事を抜かすな!」

 

(横須賀)提督

「やめないか、とにかく続けてくれ。」

 

彼女の言葉にタウイタウイ泊地提督岩谷謙二(いわたにけんじ)が食ってかかるが、これ以上の混乱を避ける為日向提督がことのあらましを聞いて判断するように促した。

 

彼女は話す。

 

超古代文明レムリア…一万二千年前に存在した文明。

地上文明を遥かに凌ぐ科学力を持ち、繁栄を極めた。

 

だが、悲劇は突然訪れる。

 

アネット

「私達は北極に存在した大陸にて繁栄したのですが、その大陸が地殻変動によって一夜にして沈み人口の9割を失いました。生き残った私達は外宇宙探索用として開発されていた航宙船を改造し脱出。そのまま南極へと向かい、南極大陸の膨大な地下空間に都市を建設しました。」

 

さらに彼女は話を続ける。

外宇宙の進出を視野に入れた彼らは過酷な環境下でも問題なく活動できる様に長い間ナノマシンによる身体拡張を兼ねた冷凍睡眠(コールドスリープ)に入った。

 

アネット

「目覚めたのは西暦1910年。目覚めた私達は地上文明の把握を行った後、自衛の為軍備を増強しました。ですが、地上人とコンタクトを取る上で対等な立場で接するべきと唱えた共存派と卓越した科学力を武器に地上を支配すべきと唱える制圧派との派閥争いに発展しました。私は地上人との人口差が開き過ぎている現状から支配は現実的では無いと考え共存派の代表を務めていました。一方、制圧派の代表は私の双子の姉…アブトゥが務めていました。」

 

(トラック)提督

「因みにどちらを選択したのだ?」

 

アネット

「最終的に父上…先代の国王『ロードス=ラ=コルドバ』が私を後継者とに指名するという遺言の元、共存派の方針が採用されました。しかし…」

 

ここで彼女は1930年に起きた悲劇を語る。

 

突如としてアブトゥが急死した。

死因は体内に埋め込まれていたナノマシンの暴走によるものだった。

それから程なくしてアネットが逮捕、拘禁された。

罪状はアブトゥ殺害についてだ。

現にアネットは科学に精通しており才女とも呼ばれた存在だったが、完全に濡れ衣だった。

 

アネットを逮捕し、暫定的指導者に就いたのは制圧派の一人にして国軍の最高指揮官であった『ゼノン=ガーゴイル』であった。

 

彼女は長い間幽閉されていたが、共存派の面々が彼女を助け出す。

彼らの調査の結果、アブトゥを殺したのはゼノンだった。

それを対立している共存派の代表であるアネットに罪を着せることで共存派を失脚させる算段だった。

 

アネットが幽閉された後、共存派は粛清されたが何人かは生き残りアネットと共に秘密裏に建造した潜水艦『ブルーノア』で脱出した。

 

そのまま潜伏していたが、本国に残していた諜報員(エージェント)によりレムリアの技術(テクノロジー)の一つ…『重力炉(グラビティ・エンジン)』を地上人に与え新基軸戦艦『万能戦艦ラ級』を作らせ、遠隔操作装置で自らの武器にしようと暗躍していたのだ。

 

アネット

「私達は制圧派の企みを止める為に列強各国に接触しました。しかし、当時の列強は戦争(第二次世界大戦)に勝つ事に夢中でまともに取り合ってくれたのは初代羅號の艦長と副長だけでした…」

 

そして1945年8月6日、小笠原沖で羅號とモンタナは戦闘に入った。

結果相打ちとなって沈み、副長はレムリアの真実を後世に伝える為に艦載機で脱出し、アネットは艦内にあった冷凍睡眠カプセルに入り生きながらえた。

だが、逆に言えばこの二人以外は皆艦と運命を共にした。

戦争終結からしばらく経った後、全てのレムリア人は一時休眠した。

 

(室蘭)提督

「休眠って、何故?」

 

アネット

「いくらナノマシンで強化されているとはいえ、一万年以上寝ていた為身体に不調をきたし一時的に再調整する必要に迫られました。これは共存派・制圧派共に想定していたので全てのレムリア人が再調整を受け1985年、再び活動を開始しました。」

 

活動を再開して10年間、帝国はまず諜報活動による現状把握とこれから起こる事のシミュレーション、装備の更新に専念した。

1995年から地上進出に向けて着々と準備していた。

 

無論、共存派も手をこまねいている訳にもいかない。

脱出した影山貢副長は解放軍のカモフラージュの為に会社を興し、1969年に沈んでいた羅號を引き上げ距離的に近かった小笠原諸島の島の一つに運んだ。

 

秘密ドックにて修復し1995年に羅號の重力炉が復活、動力炉に直結していたアネットのカプセルが動き彼女も目覚めた。

そのままアネットを総司令官として共存派は『レムリア解放軍』と名を変えた。

 

帝国・解放軍共新技術の開発や戦力の増強などを行ったが…

 

アネット

「2010年、小笠原の秘密ドックに帝国が傭兵部隊を雇い差し向けてきました。瞬く間に羅號のいたドックは制圧され命の危機に瀕しました。ですが影山貢さんが自ら囮となり傭兵部隊を道連れに自爆、私達はその隙に脱出し本土の基地に退避しました。」

 

そして2011年8月、帝国は地上人勢力を弱体化するべく『想念固定化』を用いた生物兵器…『深海棲艦』を世界中の海に解き放った。

 

『想念固定化』とは人の思いを物理的な力に変換するレムリア特有の超技術であり、深海棲艦には先の大戦で沈んだ軍艦の乗組員達の恨み、怒りなど負の感情を深海生物に組み込んだ物だ。

 

そこで解放軍は深海棲艦の残骸を回収し、それを応用して軍艦乗り(乗組員)の誇り、軍人としての覚悟・矜持・使命感など想念固定化により形にした存在…『艦娘』・『妖精さん』を生み出し、その製造方法を世界中に公開した。

そして今日に至るまで日本政府と協力関係を結びながら帝国の侵攻に備えていた。

 

アネット

「まぁ何にせよ、今言えることは現状では帝国との戦力差において不利だと言う事です。」

 

(呉)提督

「その根拠は?」

 

彼女は話す。

帝国軍と解放軍との彼我兵力の差が20:1以上である事。(深海棲艦も含めるとさらに戦力差は広がる)

大戦時に造られた万能戦艦7隻の内6隻が帝国の手に渡っている事。

現在帝国軍は新兵器を開発している事。

 

途中までは騒ぎ立てていた連中も話が進むにつれ段々と口数が少なくなっていき、終いには誰も言葉を発することさえ無かった。

ここで日向提督が口を開く。

 

(横須賀)提督

「…と、この様に状況は今のところ不利だがこちらも対応策はある。」

 

先の大規模作戦にて初めて使用された現代化改修兵装…それの量産体制が整ったという。

その兵装の供給は第一連合艦隊が5、北方方面担当の第二連合艦隊が3、第三連合艦隊が2の割合で行う事が告げられた。

 

この決定に南方方面の一部を除く提督達は反発する。

南方方面は強力な個体が数多く存在する為、強力な兵装を欲しがるのも仕方が無かった。

だが、南方方面の提督の艦娘に対する待遇の悪さ、横領疑惑など腐敗具合からあまり渡したくないのが大本営の本音だった。

現に羅號が深海棲艦の大艦隊を圧倒した事を受けて、羅號を小笠原鎮守府から引き抜こうとしていたのだ。

流石に大本営に止められたが、それが相まって南方方面では優先的にパラオ、トラック、ラバウル泊地に現代化改修兵装を配備すると決定した。

 

南方方面の提督達の反発を元帥の鶴の一声で黙らせた後、これからの対応が通達される。

深海棲艦の対応はこれまで通りとするが、レムリア帝国軍の艦船や万能戦艦が現れた時はまず報告をして、その後の対応はレムリア解放軍に任せる事が決定した。

 

(横須賀)提督

「これにて会議を終える。」

 

会議が終わり提督達が退室・ログアウトした後、日向提督と有坂提督、レムリア解放軍の面々が話をしていた。

 

影山

「これで帝国に対する戦力にが増大するといいが…」

 

神宮司

「問題は南方の奴らだな…馬鹿げた真似をしなければいいが……」

 

アネット

「彼の事ですから、侵攻の際に南方方面の状況を徹底的に利用する事でしょう。」

 

各々が懸念点を挙げる中、有坂提督はある事を思い付く。

 

(小笠原)提督

(そういえば羅號くんで開発とかしてなかったわね、どんな装備が出来上がるのかしら……?)




レムリア帝国に対抗する為、有坂提督は羅號に開発任務を与える。

彼の力でどんな装備が開発されるのか………

乞うご期待ください。
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