新海底軍艦〜艦息のドラゴンフォース〜   作:あーくこさいん

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第十三話 赫き凶星

ー小笠原鎮守府ー

 

羅號の母港である小笠原鎮守府にレムリア解放軍の潜水艦隊と海底軍艦『轟天号』が停泊する。

なんでもここ小笠原鎮守府にレムリア解放軍の前哨基地を置く事が決まったのだ。

 

ドックには轟天号をはじめ攻撃潜水艦『水神』、特殊潜水艦『須佐之男』が鎮座している。

どれも既存の潜水艦を凌ぐ程の性能を秘めている。

因みにここにいる潜水艦以外にも潜水艦はいるが、今は任務に出ていていない。

 

ドックに鎮座している潜水艦を艦娘達が見ていた。

 

伊8

「凄い…」

 

伊58

「見た事ない潜水艦がいっぱいいるでち!」

 

特に同じ潜水艦の子達が興味津々で見ている。

そんな彼女達に解放軍研究開発部所属である『山城(やましろ)スミレ』が説明する。

 

山城

「轟天号を除くすべての潜水艦にはレーザー核融合炉既存と電磁推進装置(キャタピラードライブ)を搭載しており既存の原子力潜水艦とは一線を越す性能を誇り、あとそれから云々かんぬん……」

 

彼女は興味のある事には熱中して話す為、解放軍の潜水艦の話がかなりの長話となった。

 

一方の執務室では小笠原鎮守府提督をはじめレムリア解放軍の総司令官アネットや轟天号艦長神宮司などの解放軍幹部、海底軍艦『羅號』と小笠原鎮守府第一艦隊の面々が集まっていた。

因みに羅號は第一艦隊:第一・第二戦隊とは別の『遊撃艦』として第一艦隊に所属している。

現在、提督が解放軍の置かれた状況を説明している。

 

提督

「……てな感じで帝国の侵攻に対し、解放軍は地理的に各方面へ対応しやすい小笠原鎮守府に前哨基地を築く事にしたわ。」

 

提督は続け様に説明する。

小笠原鎮守府に前哨基地を置く事に際して轟天号に現代化改修を施した第一艦隊を宛てがう事が決まった。

轟天号は強大な戦闘能力を持つ海底軍艦であると共に一個艦隊を収容・展開する事が出来る母艦でもある。

そこで小笠原鎮守府所属艦隊の中で練度も性能も高い第一艦隊に現代化改修を施し更なる戦力強化に努めた。

 

神宮司

「続いて海底軍艦の説明をする。別名『万能戦艦ラ級』は大戦時に枢軸・連合各国がレムリアの支援を受けて建造した新基軸戦艦の事であり、その戦力は一隻で艦隊を相手取る事が出来る。」

 

大戦時に造られた海底軍艦は全部で7隻存在し、

それぞれ…

 

日本艦:大和型四番艦『羅號』

アメリカ艦:モンタナ級一番艦『モンタナ』

旧ソビエト艦:ソビエツキー・ソユーズ級一番艦

      『ソビエツキー・ソユーズ』

イギリス艦:G3級巡洋戦艦一番艦

     『インヴィンシブル』

フランス艦:リシュリュー級四番艦『ガスコーニュ』

イタリア艦:ヴィットリオ・ヴェネト級三番艦

     『インペロ』

ドイツ艦:H級戦艦一番艦

    『フリードリヒ・デア・グロッセ』

 

そして海底軍艦の条件は…

 

重力炉(グラビティ・エンジン)を動力源とする事

②船体にドリルを搭載している事

③深度一万メートルの水圧に耐える完全水密構造を取っている事

 

この三つの特性が海底軍艦たらしめる所以である。

 

規格外の性能に艦娘達がざわめく中、突如として警報音が鳴り響く。

状況を把握する為提督は大淀に尋ねる。

 

提督

「何が起きたの⁉︎」

 

大淀

「たった今ショートランド・ブイン戦線にて異常発生!通信繋ぎます!」

 

大淀がそう言うとモニターが切り替わる。

映ったのは攻撃潜水艦『快竜』艦長『立浪洋(たつなみよう)』だ。

 

神宮司

「立浪、何かあったのか⁉︎」

 

立浪

『ああ、一刻を争う事態だ!まずはこれを見てくれ‼︎』

 

そう言うと立浪艦長は発射管(ランチャー)打ち上げ式無人観測機の映像を出す。

そこには鎮守府らしき施設がすべて炎上し崩壊している様だった。

 

提督

「鎮守府が…!」

 

立浪

『ショートランド・ブイン連合艦隊が出払っている隙にB型潜水艦と戦艦型の艤装装着兵からなる打撃艦隊が両方の鎮守府を砲撃、数分の内に鎮守府全域は壊滅!おそらく両提督はもう…!』

 

神宮司

「…そうか。」

 

立浪

『さらにそれだけじゃない!ショートランド・ブイン連合艦隊が海底軍艦らしき艦の襲撃を受けているとの事だ‼︎』

 

神宮司

「何だと⁉︎」

 

映像が切り替わり、ある光景が映し出される。

そこには…

 

艦尾のロケットブースターを噴かし、超音速の機動で艦隊を蹂躙する船体が赤い艦がいた。

 

 

 

 

 

少し前に遡る。

南方方面の最前線であるショートランド・ブイン基地は前々から計画されていた大規模攻勢作戦の為双方の主力艦隊からなる連合艦隊を結成し深海棲艦に対し攻撃していた。

作戦は順調に進んでいたが、事態は急変する。

突如として鎮守府周辺海域にB型潜水艦とソビエツキー・ソユーズ級、モンタナ級の艤装装着兵からなる打撃艦隊が現れ鎮守府に対し砲撃を開始。

苛烈な砲撃により鎮守府全域は壊滅、ショートランド・ブイン両提督は戦死と凄惨な結果となった。

 

そして鎮守府と連絡が取れなくなり動揺した連合艦隊に上空から奴が舞い降りた。

異変を察知したのは艦隊上空で待機している直掩機編隊だ。

当初は航空機が接近してくると思ったが、まさか戦艦とは思いもよらなかった。

直掩機編隊は慌てて応戦するが、機銃程度では万能戦艦『ソビエツキー・ソユーズ』に傷を与える事は叶わず数分で編隊は壊滅する。

 

武蔵(ショートランド)

「馬鹿な…編隊が壊滅しただと…!それも一隻の戦艦に…馬鹿も休み休みに言え‼︎」

 

浜風(ショートランド)

「武蔵さん、あれっ‼︎」

 

ショートランド基地所属の駆逐艦浜風が指差す方向を見ると、そこには……

 

陽炎(ブイン)

「何あれ…?」

 

飛龍(ブイン)

「嘘…」

 

長門(ショートランド)

「馬鹿な…有り得ん‼︎」

 

信じられないのも無理はない。

それは航空機などでは無く、赤い船体に艦首の大型ドリル、計10門の主砲に多数の副砲と対空砲、そして艦尾のロケットブースターを噴かしジェット機を超える超音速で艦隊に肉薄する万能戦艦『ソビエツキー・ソユーズ』だ。

 

連合艦隊は次々と弾幕を張るが、対18inch砲防御を施されている重装甲には歯が立たず、彼は落ち着いた様子で照準を定める。

 

ソビエツキー・ソユーズ

「…撃て。」

 

彼の主砲が火を噴き、それぞれブイン艦隊の赤城、加賀、翔鶴、瑞鶴に命中し轟沈する。

突然の事に艦隊全体が動揺する中、彼はスピードを落とし艦首ドリルを敵艦隊に向ける。

次の瞬間、勢いよく四つのワイヤー付き電磁クローが射出され次々と敵艦を貫く。

貫かれた艦娘は身体に穴が空き爆発、轟沈した。

 

この光景をレムリア帝国海軍先鋒艦隊司令官エルドラード=ツェリッペン少将は旗艦『ヨコスカ』で見ていた。

 

エルドラード

「フッ、流石だ。地上の猿共の飼い犬程度では手も足も出まい。」

 

彼女はソビエツキー・ソユーズの働きぶりに満足していた。

これなら総統閣下に良い報告が出来るであろう。

 

オペレーター

「司令官、打撃艦隊より入電。ショートランド・ブイン基地は沈黙した模様。」

 

エルドラード

「よし、直様揚陸作業にあたれ!我々の任務は解放軍の連中をここに誘き寄せる事だ‼︎」

 

彼女はそう指示し、基地の占領に成功した。

そしてソビエツキー・ソユーズも深海棲艦と連携して敵艦隊を殲滅した。

 

 

 

 

 

一方、第一艦隊を収容した轟天号は最前線に急行していた。

艦内のブリーフィングルームにて作戦会議を行う。

 

神宮司

「さてお前ら、ショートランドとブイン連合艦隊を殲滅した艦はこれだ。」

 

モニターの映像が切り替わると、そこには連合艦隊を殲滅するソビエツキー・ソユーズの姿が映し出されていた。

 

神宮司

「旧ソビエト艦『ソビエツキー・ソユーズ』。艦名から分かる通り旧ソビエト海軍の海底軍艦であり、唯一戦後(1949年)に完成した艦だ。主砲は50口径16inch砲10門、装甲は対18inch砲防御装甲とかなりの重装甲だが一番の特徴は何と言っても艦尾のロケットブースターだ。」

 

映像が切り替わり、合計五基の艦尾ロケットブースターが映し出されていた。

 

長門

「…この艦を設計した奴は気でも狂っていたのか?」

 

神宮司

「気持ちは分かるが、ロケットブースターにより超音速の機動力を確保している。」

 

大和

「でもこんな大きなロケットブースターをどうやって…?」

 

神宮司

「おそらくナチスドイツから持ち帰ったV号ロケットの技術をそのままこの艦の推進機構に採用したのだろう。実際ソビエツキー・ソユーズは奪われたが、ソ連のロケット関連のノウハウは蓄積され人工衛星や有人宇宙船に役立っている。」

 

オペレーター

『艦長、まもなく目標海域に到達します。』

 

目標海域に到達し各員は持ち場に着く。

 

神宮司

「間に合わなかったか…!」

 

既に連合艦隊は壊滅していた。

 

神宮司

「羅號、準備はいいな?」

 

羅號

『大丈夫です。』

 

神宮司

「よし、羅號発進‼︎」

 

艦中央部のハッチが開き、羅號が発艦する。

羅號は低く飛びレーダーなどを確認して索敵する。

海域には無数の艦娘の死骸が浮かび上がっている。

すると…

 

羅號

「っ!きた!」

 

何かが浮上し羅號に砲撃を仕掛ける。

羅號は磁気シールドで防ぎ、距離を取る。

浮上した陰は姿を現す。

 

ウシャンカを被り寒冷地仕様のコートを羽織り黒色の軍用ブーツを履いており、目つきは鋭く身体は屈強なまさに軍人と呼べる艦息…『ソビエツキー・ソユーズ』だ。

艤装は羅號と同じx100番フレームで左右の艤装は三連装砲と連装砲を一基ずつ合計10門の砲を備え、外部は重装甲に身を包み右手には四基のワイヤー付き電磁クローと四基の大型ジェットスラスターが付いた艦首ドリルを持ち、艦尾には煙突と五基のロケットブースターを搭載していた。

 

羅號とソビエツキー・ソユーズは対峙する。

 

ソビエツキー・ソユーズ

「…貴様が羅號か。」

 

羅號

「そうだよ。小笠原鎮守府所属の海底軍艦羅號。」

 

ソビエツキー・ソユーズ

「私の名は万能戦艦ソビエツキー・ソユーズ。貴様に恨みは無いが帝国の為ここで沈んでもらう。」

 

彼らは艤装を構え対峙する。

轟天号も着水し第一艦隊を展開する。

すると…

 

オペレーター

「艦長、敵旗艦から通信です!」

 

神宮司

「繋げ‼︎」

 

モニターから敵旗艦の艦内が映し出される。

そこには黒色の士官服に身を包んだ女性とオペレーターが数人いた。

 

エルドラード

「我が名はエルドラード。帝国の忠実なる将の一人。貴様の名は?」

 

神宮司

「俺の名は轟天号艦長神宮司勇。レムリア解放軍の一員だ。」

 

エルドラード

「フン、解放軍とは随分と大層な名だな。所詮は反乱軍の分際で…!まぁいい、はるか昔に地下に追いやられた我らレムリア人にとって地上進出は長年の夢…我らこそ地上の正統的支配者だ‼︎地上人共は我らに跪け‼︎」

 

神宮司

「地上は誰のものでも無い!レムリア解放軍の名にかけて、貴様らの蛮行を止める‼︎」

 

羅號とソビエツキー・ソユーズ、レムリア帝国軍とレムリア解放軍、双方の死闘が幕を開けた………




次回、駆け付けた羅號とソビエツキー・ソユーズが空中にて激闘を繰り広げる。

乞うご期待ください。
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