ー小笠原鎮守府演習海域ー
羅號は艦隊演習にてスタート地点から移動した。
羅號の性能を測る為の演習は羅號一隻に対して、
第一艦隊:
第一戦隊 旗艦:大和
僚艦:武蔵 信濃 矢矧 浜風 磯風
第二戦隊 旗艦:長門
僚艦:陸奥 大鳳 能代 陽炎 雪風
第二艦隊:
第一戦隊 旗艦:赤城
僚艦:加賀 蒼龍 飛龍 秋月 照月
第二戦隊 旗艦:翔鶴
僚艦:瑞鶴 摩耶 鳥海 涼月 初月
第三艦隊:
第一戦隊 旗艦:金剛
僚艦:比叡 榛名 霧島 利根 筑摩
第二戦隊 旗艦:神通
僚艦:川内 那珂 不知火 島風 黒潮
第四艦隊:
第一戦隊 旗艦:伊勢
僚艦:日向 扶桑 山城 鈴谷 熊野
第二戦隊 旗艦:最上
僚艦:三隈 吹雪 時津風 弥生 卯月
と、かなりの大艦隊だ。
羅號の性能を測るとはいえ、これだけの大艦隊を動かすとは珍しいが、羅號自体が既存の艦船とは比べ物にならない程の性能を秘めている為、大艦隊を動かした。
とはいえ、羅號にも“ハンデ”があった。
そう、対空火器が使えないのである。
正確には演習として使えないのだ。
本来演習用としてそれぞれの火器の口径に合わせたペイント弾が支給されるが、羅號の対空火器は『対空パルスレーザー』と『40mmレールガン』の二種類だ。
『対空パルスレーザー』は原子熱線砲と同じ所謂“光線兵器”である為、ペイント弾を載せる事が出来ない。
『40mmレールガン』は電磁力で砲弾を飛ばす砲だが、砲弾は純徹甲弾である為、これもペイント弾を載せる事が出来ない。
(砲弾の炸薬部に着色料を入れる為、純徹甲弾では無理。)
とりあえず航空機からの攻撃を避ける為に彼は潜航した。
その頃、第一艦隊ではーーー
長門
「どうだ、羅號は見つけたか?」
大鳳
「いえ、まだ発見出来ていません。」
四個艦隊総出で偵察機を飛ばし、羅號を探していた。
しかし、一向に発見出来ていない。
信濃
「第二、第三、第四艦隊所属の偵察機も羅號を発見出来ていないわ。」
武蔵
「とすると、考えられるのは…」
第一戦隊の面々は何故発見出来ないか、その理由を知っていた。
大和
「羅號は今現在潜航している。」
羅號と遭遇した際に彼は浮上してきた為、彼に潜航能力があるのを理解していた。
その為、他の艦隊に海の中の見張りを厳にせよと命令した。
しかし、その艦隊の下に探りを入れているものがいた。
一方、羅號は潜航しながら情報を集めていた。
すると8本の魚雷がこちらに向かってくる。
だが彼は慌てる様子も無く、魚雷もこちらに近づくと停止し両舷のハッチから回収した。
先程回収した魚雷は“自走魚雷『海遊』”
直径80cmもする魚雷は発射された後、各地を捜索し敵艦隊を発見するとスクリュー音等を聴音し、数を正確に把握する機能を持っていた。
その為、彼は全艦隊の位置・数・種類を把握したのだ。
収集した情報から彼は思案する。
羅號
(最後尾に位置する艦隊は空母を中心とする機動部隊…先頭は高速戦艦を中核とする艦隊…中央の艦隊は
しばらく考えた後、彼は行動に移す。
比較的浅い深度まで浮上した後、艦尾下部の2つのハッチが開かれた。
するとーーー
パシュン!!
と音を立てて何かが射出された。
それも片側6機、計12機射出され、その後また12機射出され、合計24機羅號の周りに展開した。
この戦闘機は“特殊戦闘機『氷龍』”
羅號の艦載機であり、空中だけでなく水中をも航行する戦闘機だ。
彼が戦闘機隊に指示を出すと、戦闘機隊は最後尾に位置している機動部隊に向けて移動した。
戦闘機隊が行ったのを見届けると、羅號は先頭にいる艦隊に向けて舵を切った。
しばらく進んだ後、先陣を切っている第三艦隊が見えた。
羅號は魚雷を装填し、金剛型戦艦4隻に照準を定める。
そしてーーー
羅號
「撃て!」
計16本もの魚雷が発射された。
その魚雷は発射された後、物凄い速さで進んでいき、数秒後大きな音が鳴り響き命中した事を確認した。
その後彼は艦首ドリルを構えると、
羅號
「ミサイル全弾発射!」
艦首から10発のミサイルが放たれた。
その頃、第三艦隊では突如雷撃によって金剛型戦艦4隻すべてが撃沈判定を受け、皆混乱していた。
第二戦隊旗艦の神通が指示を出そうとしているとーーー
不知火
「っ!何か来ます!」
不知火が指差す方向を見ると、ミサイルがこちらに向かって飛んできたのだ。
すぐさま対空迎撃に移るが、一般的な航空機より速いミサイルを撃ち落とすのは至難の業だった。
10発のミサイルは第二戦隊の上空で炸裂すると、大量の小型ミサイルがばら撒かれ雨の様に降り注いだ。
小型ミサイルの雨をもろに受けた第二戦隊の艦娘達はインクまみれになり、第三艦隊は壊滅判定を受けた。
一方その頃、第二艦隊では第三艦隊が壊滅した事を受けて艦娘達に動揺が広がっていた。
赤城
「…なるほど、つまりあの子の性能は予測以上ということね。」
加賀
「そうね、だからといって手をこまねいていたら…」
翔鶴
「偵察機より入電!敵編隊を発見、計12機の噴進機がこちらに向かってくる模様!」
噴進機…つまり『橘花』の様なジェット戦闘機が向かってくるのだ。
尚、赤城達は羅號に『氷龍』という名のジェット戦闘機を搭載している事を事前に知っている為、比較的冷静に対処した。
すぐさま艦隊防空にあたっていた直掩機を迎撃に向かわせ、迎え撃つ準備をした。
12機の氷龍隊は直掩機を蹴散らしながら第二艦隊に近づく。
秋月型防空駆逐艦や摩耶、鳥海が対空砲火を浴びせる中、氷龍は空母に狙いをつけてミサイルを放つ。
1機につき2発、計24発のミサイルが空母に向かって飛んでくる。
ミサイルを放った後、氷龍は一目散に引き返す。
第二艦隊の艦娘達は弾幕を張り数発は撃ち落とすが、残りのミサイルは空母に命中する。
この攻撃で飛龍、蒼龍、が中破判定、加賀、瑞鶴が小破判定と損害は比較的軽微だった。
すると、第四艦隊から通信が入る。
加賀
「これは…第四艦隊が羅號と接敵、現在応戦している模様!」
羅號はこの間にも第四艦隊に強襲を仕掛けていたのだ。
第二艦隊はこの機会を逃さなかった。
上手くいけば羅號にダメージを与えるかもしれない為、艦載機の発艦を行おうとした。
赤城
「この機を逃してはなりません!攻撃隊発艦よ…」
秋月
「っ!水中突発音確認、雷数24、魚雷です!」
その報告に皆驚愕する。
確かに羅號には魚雷発射管があるのは既に知っているが、羅號自身は今第四艦隊と交戦に入っていてここには居ない筈だ。
だが、彼女達は知る由もなかった。
羅號の艦載機『氷龍』は空中だけでなく水中も航行可能な特殊戦闘機だ。
先程の12機はいわば“囮”
水中を航行していたもう12機から目を逸らす為の囮だ。
そして水中の12機は2発のロケット推進式魚雷を搭載していた。
その魚雷は威力は高いが重く格闘戦には向かない為、上空の機体は対空ミサイルを搭載していた。
対空ミサイルでも対艦攻撃は出来るが、威力は限定的である為空母へのダメージはそれほど大きくなかった。
突然の雷撃に回避する暇もなく空母に全弾命中した。
その結果、6隻の空母は全て撃沈判定を受けたのだった。
赤城
「くっ…残念ですが第二艦隊は壊滅です…」
飛龍
「もー!さっきの魚雷は何なのか絶対問いただしてやるんだから!」
主力の空母を失った為、第二艦隊は撤退した。
長門
「一体、何をどうしたらこうなるんだ…?」
長門は頭を抱えていた。
無理もない。
開始早々第三艦隊が壊滅、第四艦隊に接敵したとの報告を受けて第一艦隊は急行していたが、その間に第二艦隊の主力である空母が全て撃沈判定を受けた為撤退するとの報告があった。
羅號の性能は桁違いとは聞いていたがまさか早くも二個艦隊が壊滅したのは想定外だ。
武蔵
「羅號の戦力が予想以上だっただけ、だろ。」
大和
「それはそうだけど…」
そう話している最中、悪い知らせが届く。
第四艦隊が壊滅したのだ。
第四艦隊との戦闘は実質不意を突かれた形で始まった。
第三艦隊が壊滅した為戦力の集中を図り、第一艦隊と合流しようとしていたところ、突如として羅號が浮上してきた。
浮上した羅號は主砲を第四艦隊に向けて放つ。
先手を取られた第四艦隊は直撃はしなかったものの、至近弾によって特に駆逐艦が大破・撃沈判定を受け、軽空母や重巡も中破判定を受ける中、伊勢、日向、扶桑、山城が負けじと反撃するが、彼女らの41cm砲では羅號の装甲を打ち破る事はおろか磁気シールドを突破する事は困難である。
羅號は落ち着いて狙いを定め、主砲を放つ。
放たれた51cm砲弾は戦艦4隻に命中し、大破・撃沈判定を受け戦闘継続は不可能と判断し撤退した。
こうして第四艦隊は壊滅したのである。
羅號は潜航せずに第一艦隊に向けて進んでいく…
長門
「とうとう我々だけになったか…」
第四艦隊が壊滅した為、残る艦隊は第一艦隊のみになってしまった。
偵察機からの情報によると羅號は真っ直ぐ第一艦隊の所に向かっているとの事。
陸奥
「あらあら、最後は戦艦同士の撃ち合い?燃えてくるわね。」
戦艦達がそう意気込む中、信濃と大鳳は艦載機を飛ばし羅號に先制攻撃を仕掛ける。
一方羅號は帰投してきた艦載機を即座に収容し、再出撃に備え急いで補給していた。
彼は第一艦隊との決着は主砲の撃ち合いによって決めようと意気込んでいた。
魚雷の方が手っ取り早かったが、彼も戦艦の端くれである為砲撃で決着をつける事を決めた。
すると多数の航空機が接近している事を電探で把握する。
羅號は直様氷龍を発艦させ、迎撃にあたらせる。
氷龍隊と信濃・大鳳艦載機が戦闘を行う中、羅號は進み第一艦隊を射程に捉える。
羅號
「全主砲、撃て!」
羅號の12門の50口径51cm砲が火を噴き、砲弾が第一艦隊に向かって飛んでいく。
第一艦隊は発砲音を確認した後、直様回避行動に移り数秒後彼女らが元いた場所に巨大な水柱が立った。
長門
「危なかったな……」
大和
「ですがここからは私達の距離です!」
武蔵
「遠慮はしない…撃て!」
回避した後、大和達4人の51cm砲が火を噴き砲弾の雨が羅號に降り注ぐ。
彼も速度を上げ、スラスターを噴かし回避行動に移る。
急速な回避行動により初弾は回避に成功する。
さらにーーー
矢矧
「発砲音確認、来ます!」
大和
「くっ、早い…」
羅號の新型装填装置によって主砲は毎分2発の発射を可能とした。
次弾は直撃はしなかったものの至近弾によって駆逐艦や軽巡に大破等のダメージを与えた。
その後大和達が放った砲弾が羅號に迫るが、
ガァァン!!
磁気シールドによって弾道が逸れて遥か彼方へと飛んでいったり、威力が減退して思った通りのダメージを与えれなかった。
陸奥
「もう、さっきから何なのよ!あの壁みたいなもの!」
大和達も苛立ちは隠せない。
彼もそろそろ決めなきゃと思い、狙いを定める。
まずは全主砲を武蔵に狙いを定め、撃つ。
数秒後砲弾のほとんどが武蔵に命中し、大破判定を受けた。
武蔵
「まだだ…まだ沈まんぞ……」
武蔵はそう言うが、もう戦闘継続は不可能というのは明らかだった。
長門
「なんて威力だ…!」
すかさず大和に狙いを定め撃った。
大和も大破判定を受け、動きを止めた。
彼は艦隊全体にトドメを刺す為、艦首ドリルを構える。
羅號
「これで終わりにするよ、艦首ミサイル発射!」
次の瞬間、艦首から10発のミサイルが放たれ残りの敵に向かって飛んでいった。
長門
「回避急げぇぇぇ!!」
長門達が回避しようとするが、ミサイルが艦隊の上空に到達した瞬間炸裂し小型ミサイルが雨霰の様に降り注ぎ、残っていた4隻を大破にまで追い込み第一艦隊は敗北した。
これにより艦隊演習は羅號の勝利に終わった。
南極某所
ー総統官邸ー
一方、ここは南極大陸。
この大陸には誰も知られていない地下空洞がある。
その地下空洞には都市が建設されていた。
ベージュや灰色の大小様々な建物が立ち並び、都市の中心には黒一色の正方体の建物があった。
この黒一色の建物はレムリア帝国総統“ゼノン=ガーゴイル”の執務施設であり、彼自身の住居も兼ねている総統官邸だ。
総統官邸の一室で総統を始め政府・軍の高官が“ある映像”を見ていた。
そう、艦隊演習の様子を映した映像を……
高官A
「これは……」
高官B
「素晴らしい…」
科学者
「はい、反応速度・戦術判断共に高水準を叩き出しています。」
この映像を見ていた多くが羅號の性能に感激していた。
高官A
「しかし、よろしいのですか?これだけの逸材を破壊しようなど…」
ゼノン
「構わん。味方にしたかったが、敵として立ち塞がるなら破壊する方が手っ取り早い。地上制圧を目指す我々にとって羅號は1番の脅威なのだからな……」
ゼノン自身は羅號が敵として立ち塞がるなら破壊する事に躊躇はないというスタンスをとっていた。
その後、物資の備蓄の様子や各地の軍の配備状況などを確認し会議を終了しようとしたその時、会議室のドアからノック音が聞こえた。
ゼノン
「入れ。」
宰相の許可を得て1人の兵士が入る。
兵士
「報告します。只今要塞司令官より万能戦艦6隻の最終調整が終了、実戦に投入出来るとの事!」
その瞬間、会議室からどよめきが上がる。
そんな中、総統は静かに右手を上げどよめきを鎮める。
ゼノン
「遂に来たか…諸君、とうとう我々が歴史の表舞台に立つ時が来た。我らレムリア帝国の力を
その瞬間、会議室には歓声が上がった。
次回は、万能戦艦6隻の容姿が明らかになります。
乞うご期待ください。