やはり俺の青春ストーリーは不透明だ   作:Mr,嶺上開花

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特には無しです。


そうして比企谷八幡は約束を取り付ける

 

 

3月21日、春休み初日。

俺は奇異な体験をした。

 

この世に在らざる生命の存在を知ったのだ。

 

 

悪霊と言うのを知っているだろうか?…いや、言葉だけでは誰でも知っているかもしれない。

だが、実体験を通して知っているのは極少数である。

 

そもそも悪霊というのは様々な要因で恨み妬みを持って、生きている生物を襲う輩であってその被害を抑える人材が居なかったら既に地球上の生命はほぼ無いと考えてもいいだろう。

 

 

その理由の一つに、一般人には姿が見えないという厄介な特性が存在する。

 

一般人と言うのは、悪霊に直接的にも間接的にも関わったことの無い人間のことだ。

つまり悪霊は自分が被害者加害者の場合のみしか見えない。

 

しかしたまに最初から見えている人も居るらしく、そのような人は生紱人とか何とか呼ばれるらしい。因みに由来は知らん、自分で調べろ。

 

これらの法則性は、通称『紱魔の団』と呼ばれる悪霊を祓う組合が逐一解析をしているが、途中成果は乏しくないと言う。

 

 

まあ、そうして俺は前の春休みに被害にあった。

 

 

 

悪霊にはランクが存在する。D〜A、S、SS級までの7段階だ。Dが最低で、SSが最高ランク、特にSSなんて悪霊は世界ではまだ一体しか居ないらしい。

 

そして、俺を襲ったのはAランクのネーム持ちだった。ネームと言うのはまあ二つ名みたいな物と考えて欲しい。

 

 

そいつの名は、『黒狂大』。黒い容姿と、凶暴かつ強いことと兄妹しか襲わないことを掛けたらしい。

……とてもネーミングセンスは無いが、恐ろしい奴だった。

 

俺が偶然高位の霊佛士に助けてもらってなければどうなっていたか…。

 

 

そして悪霊に襲われた俺は、完全に悪霊が見えるようなってしまった。日常的に。

 

それが分かっていた俺を助けた霊佛士である、鳥井一文さんは俺を紱魔の団へと案内した。

 

まあそこから俺は流れるように入団し、紱魔の団の法、紱佛技という悪霊を倒す時に使う技、悪霊の倒した時の報酬などの全てに関してを教えられ、更には将来の就職先にはどうか?と勧誘までされた。俺の夢(専業主夫)が………。

 

 

そして時は流れに流れ、今に至り、俺もDランクの悪霊ならある程度の余裕を持って倒せるようになった。

 

 

「なあ、聴いてんのか?おーい」

 

 

…のだが、クラス替え早々、まさか呪符が見られるとは思わなかった。

 

悪霊討伐に使う道具は基本悪霊が見える人にしか見えないよう作られている。

何でも紱魔の団が数年前に『偶然』この武器の製造方法を見つけたらしい。本当に偶然かどうか分かった物でもないしな。

 

そうして作りあげられたのだが、これにはかなり大きなメリットがある。

それは、公共機関を使っても銃刀法違反だとか危険物所持だとかにならないし、何より生紱人と一般人の見分けに使える。この道具が悪霊討伐に大きく革命を起こしたことは言うまでもないだろう。

 

 

そんな道具の一つである呪符を見えるということは……。

 

 

「もしかしてお前……悪霊が見えるのか?」

 

 

「は?何だその、悪霊って?」

 

 

最初から分かってはいたが、どうやら紱佛士ではないらしい。まあやることは変わらないが。

 

 

「まあいい、ともかく今日学校終わったらこれから少し来てくれないか?」

 

「あ、ああ。別に構わないぜ。別に予定なんか無いしな」

 

 

それを聴いた俺はそそくさと自分の席に戻る。別に理由は無いが、何か話はあそこで終わり的な雰囲気を醸し出していたからだ。

 

 

 

「あ、比企谷君ゴメーン!ちょっと席借りてたわ!」

 

 

席に戻ると戸部が俺の席の椅子に座っていた。

葉山と話す為と分かって居るのだが、やはりウザいと思ってしまう俺は多分悪く無いだろう。

きっと俺は戸部の事を話し方を変えない限りはいつまでもウザいと思い続けると思う。

 

 

…今度摘発した方が良いのだろうか?

 

 

 

そんな事を考えてるうちに戸部は席から退いて、葉山の机へと寄りかかった。まだ葉山とは話すつもりではあるらしい。

 

俺は軽く葉山と戸部、後もう一人忘れていたが三浦に加え、その他諸々云々の話し声を耳からシャットアウトする。

 

 

まあ、整理しよう。自問自答だ。

 

因みにこの自問自答というのは俺が俺自身脳内でどう考えているか、どう思っているかを整理する為に使う。整理して纏めて脳内保存する。

そうすることで自分の意思をいちいち確認する手間を省くのだ。ハイブリットなのだ。

 

まあとにかく、俺はまず葉山と戸部と三浦と話した。

最初に葉山に話しかけたら後々に戸部と三浦が引っ付いて来た形だ。

 

 

まず問1、俺はあのグループで過ごせるか。

…まあ考えるまでもなく無理だな。あれほど中身のない上っ面だけの会話だというのが分かり易いグループもそうそう無いだろう。

まあ何よりも話してもあまり楽しくない。本心としてはこれに尽きるか。

 

 

お次に問2だ。俺は寒川と仲良く日々を過ごせるか。

 

…まだこれについては保留にしときたいな。寒川という人物を判断する為の材料が少なすぎる。というか無い。

まあ、空欄で正解だろう。この自問自答に関しては無記入は決して悪いことでは無い。

これに関して一番悪いのは自分自身に嘘を付くことだ。それは自分を騙し、自分を傷つけ、自分を殺すのと同義だ。

 

だから自分だけは対象にしてはいけない。

 

 

 

……まあこの程度で良いだろう、有る程度は思考が纏まった。

 

そう思い、まずは葉山とこれ以上仲良くならないように俺は行動を起こした。

…と言ってもただ机にうつ伏せて寝るだけである。

 

 

こうして俺は新学期初日の自己紹介を過ごしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、まだ人が残っているHRが終わって間もない時間帯。

 

 

約束通りというか、約束を取り付けたのは俺なのだが、俺は寒川の元へ訪れていた。

 

 

 

「取り敢えず、お前には着いて来てほしい場所というか、施設がある」

 

 

「施設?んだその表現?体育館とか市立図書館とかそういうのか?」

 

 

「いや、全く違う。そんな公共機関ではないし、寧ろ今から行くのは秘匿されている所だな」

 

 

「待て待て待て!八幡!お前僕をどこに連れて行く気なんだ!」

 

 

「大丈夫だ、問題ない」

 

 

「そういう言葉が余計僕の不安を掻き立てるんだよ!」

 

 

少しばかりからかってはみたけど、意外と楽しいなこれ。ちょっとハマってしまうかもしれない。

 

寒川の表情は何故かまるで後一歩踏み出したら高さ1000mの場所から落ちるという恐怖に満ちた顔をしていた。あるいは閻魔大王に断罪される咎人の様な表情だ。まあ見たことないけど。

 

 

「な、なあ、八幡…。僕は別に強化人間的な物に発明されたり、変な電極を取り付けられたりしないよな?」

 

 

「お前はどんな勘違いをしてるんだ…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

徒歩で歩くこと約15分、総武高校の最寄り駅に俺と寒川は居た。

 

自転車通いである俺は切符を買い、寒川は定期を使うようだった。

因みに俺の自転車は学校に放置したままである。学校が閉まる前にはこの要件を終わらせるつもりではあるが、終わらなかった場合は置いて行くつもりである。面倒だしな。

 

 

「因みにどっち方面に行くんだ?」

 

「東京方面だな」

 

 

そう言うとくるりとターンをして切符売り場へ向かって行った。

 

……あいつの家千葉方面だったのか。何で余裕を持ちまくって定期を見せびらかしてたんだよ?

アレか?中学時代は徒歩通で、定期を使っての電車登校は始めてだったから自慢したかったのか?

 

……だがお前は高校2年だろうが。

 

 

そんなツッコミを呑み込んだ。ツッコんだら負けな気がした。

 

 

 

 

そんなこんな電車に揺られて20分、とある駅に到着する。

 

 

「…ここ、確か住宅街だったよな?ほとんど住宅街だったよな?」

 

 

「そうだが?」

 

 

「本当にお前は僕をどこに連れて行く気なんだ?」

 

 

「まあ敢えて言うならそうだな…人体か…んんっ!…楽しみに取っとくと良いぞ」

 

 

「今人体けまで出てたよな⁉︎まさか人体解剖とか人体改造とか言わないよな⁉︎」

 

 

「……まあそんな楽しみなら否定はしないけどな」

 

 

「楽しくねぇよ!寧ろ気分は没落とか暴落のレベル越してもう何かもう言葉に表せない最悪の気分だ!」

 

 

「そうか、それは良かったな」

 

 

「ちっとも良かねぇよ!」

 

 

荒い息継ぎをしつつツッコミを連発する寒川。ちょっとおい、本当にこのからかい好きになってきたかも。

寒川、俺の性格をたった数時間掛からずに変えるとは…。

何て恐ろしい奴…。

 

 

「まあそれは置いといて、歩くぞ」

 

 

「置いとくなぁぁ!せめて僕の安全を保証してから置いてくれ!」

 

 

「保証する保証する。

 

……上半身だけは」

 

 

「ちょっ、僕の下半身に何をする気だ⁉︎」

 

 

そんなくだらないやり取りがまたもや再発し、目的地に向かうまでこの後30分近くは掛かった。

 

 

 

 

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