彼は勇者ではない   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ。


肥満!欺瞞?その考えは傲慢

ヤタガラスからもたらされた事実に疲れて休憩していた一同は、休憩を終えて状況の説明会を再開した。

 

「その神様が、端的に言えば神樹となっている他の神様と喧嘩されたのです。何でも神樹様から離れると主張されて……」

「神樹側に付いたとはいえ、そやつも元々は人間に懐疑的じゃったからの。故にこんな事態になったわけじゃ」

 

その神―――“造反神”は神樹から離れる為に星屑や御霊のない完成した星座型―――偽物のバーテックスを造り出して内部のパワーバランスを乱しまくっているそうだ。

 

「そんな芸当が本当にできるの?」

「はい。それぐらいの模倣ができる程、本当に位の高い神なのです。その神のおかげで勇者システムに一部、天の神の技術が流用されていますから……」

「精霊システムがその最たる例じゃ。概念への干渉に強いからこそ、伝承を再現して呼び出せるわけよ」

「本当に説明が上手い神様ね……」

 

風の感心するような呟きに、美森を除く先代組以外は確かにと頷く。具体例を出されるからこそ、理解も早いし情報を呑み込むこともできるのだから。

 

「それで?このままだと神樹様はどうなるの?」

「このまま行けば、土地神はバラバラとなり、その力を大きく失ってしまいます」

 

夏凜の質問に答えるように告げたひなたの言葉に、一同はその状況を正確に把握して息を呑む。神樹が力を大きく失えば、間違いなく四国を守る壁にも異常が出る。最悪の場合、消えてしまうかもしれない。

もしそうなれば、火の海に呑まれて全員死亡となってしまう。それだけは、阻止しなければならない。

 

「だからアタシ達が呼ばれたのね。この状況を解決してもらう為に」

「作用。通常では様々な問題があるから、時間の概念を消し去った特殊な空間とした上で主らを召喚したのじゃ」

「時間の概念がない?それはどういう意味なのでしょうか?」

 

ヤタガラスの言葉に引っ掛かりを覚えた美森が、今しがた感じた疑問をぶつける。ヤタガラスは特に表情を変えることなく説明を続けていった。

 

「言葉通りの意味じゃ。この神樹内部の世界には時間の概念は存在せん。じゃからここで何年過ごそうと、送還される際は記憶にも残らぬ刹那の出来事として処理されるのじゃ。無論、この世界で得た物も持ち帰ることはできん」

「ああ。だから“夢の世界”なんすね」

 

その説明で銀がようやく得心がいったように頷く。歳も取らずに記憶にも残らない。それは確かに“夢の世界”と例えるに相応しいだろう。

 

「夢の世界ね……神樹様の内部なのに学校そっくりなのもその辺りが理由なの?」

「はい。あなた達が過ごしやすいように、神樹様が実際の四国に見立てて下さっているのです」

「話の流れから予想が出来てますが……私達はしばらくここにいる事になるんですね」

「正解じゃ、犬吠埼樹。でなければこのような方法で召喚なんぞせん。ちなみにこれが現在の状況じゃ」

 

ヤタガラスは樹の疑問に答えつつ、指をパチンッと鳴らす。すると空中にディスプレイ画面のような四角いものが現れ、四国の地図らしきものが表示された。

 

「サンチョ布団といい、この画面といい……神様って本当に何でもアリね」

「何でもではないぞ。あくまでできることが多いだけじゃ」

 

風の呆れにヤタガラスはそう返しながらも、現在の状況を説明していく。

この四国に見立てた神の領域がほとんど赤くなっているのが現在の造反神の領域であり、土地神達はかなり追い込まれていることを。

 

「本当に危機的状況になってるのね……」

「我を見ても無駄じゃぞ三好夏凜。元々の協定もあるから我自らが解決に動くことはない。此度の我の召喚も協定の穴を付いたグレーゾーンじゃ。いきなり神樹に強引に呼ばれた時は本当に驚いたしの」

 

ヤタガラスのその言葉を聞いて夏凜を含めた勇者部一同は納得した。

自ら神樹に赴いたのではなく神樹に強引に連れてこられたからこそ、この神の世界と呼べる場所にいるのだと。

 

「ちなみに協定を破ったらどうなるの?」

「破った瞬間に我は致命的なまでに力を失う。最悪、万年単位で眠りにつく位にの。逆に天の神は力を増すぞ」

「うん。協定を破ったらまずいことだけは良く分かったわ」

 

ヤタガラスの回答が予想の斜め上を行くものだった為、質問した美森は冷や汗を垂らして顔を引き攣らせた。

 

「と、とにかく!この造反神の領域を取り返せばいいのよね!?」

「ええ!土地を防衛し、奪還して造反神の勢いを削いでいくのです!!」

 

風の気を取り直すような発言に、ひなたが便乗するように頷く。

 

「確かにこれは長丁場になるわね……にぼしは足りるかしら?」

「でも神樹様の中で喧嘩が起こってるなら、止めないといけないよね!」

 

夏凜は時間が掛かりそうだと微妙にずれた心配をし、友奈は神様同士の喧嘩を止めないとと改めて意気込む。

 

「造反神が鎮まれば、また神樹様は従来通りに活動できるそうです」

「元々は人間への不振から独立を謳ったからの。お主達が解決すれば、あやつも大人しくなるじゃろ」

「もしかして、くろゆーが解決に動かないのはそれも含まれてる?」

「うむ。根本の解決には、主ら人間の可能性を示さればならんからの」

 

園子の疑問にヤタガラスは正解とばかりに頷く。どうやら規模に関係なく、千晶達は召喚される運命だったようである。

 

「ちなみに補給に関してはご心配なく。この世界には、実在と同じ町が広がり、実在と同じ人達が生活していますので」

 

ひなたがそう告げると、全員が揃って首を傾げる。そんな一同を代表するように、友奈が口を開いた。

 

「町の人達がいるって……?神樹様の内部なのに……?」

「主ら同様に魂を召喚しておるのじゃ。容れ物は神樹が用意したものじゃから、この状況に微塵も気付かずに普通に暮らしておる」

「え?つまり、この身体は本来のアタシ達のものじゃないってこと?」

「うむ。この世界の肉体は神樹が寸分違わずに再現した仮初めの肉体よ。じゃから力を振るっても反動はなく、歳を取ることなく肉体的な成長もない。上に伸びんだけで横に広がりはするがの」

「つまり太りはするのね……」

 

一瞬いくら食べても太らないのではと考えただけに、そんな都合の良いものはないと知って風は落胆する。他の女子メンバーも目を逸らしている辺り、同じことを考えていたようである。

 

「仮初めの肉体……俺が変身できないのはその辺りが理由なのか?」

 

千晶が自身が変身できなくなっている理由が今の肉体にあるのかと思って問い掛けるも、ヤタガラスは頭を振って否定する。そして、千晶が変身できない理由を語った。

 

「お主が変身できぬのは、簡潔に言えばバランスの問題よ。この世界で調整せずに変身すれば、神樹内部のバランスが崩れてしまうのじゃ。じゃから、我の調整が終わるまでは戦力外じゃ」

 

どうやら今のまま千晶が変身すれば神樹に悪影響が出てしまうからのようだ。そういった理由なら仕方がないと、千晶は諦めるしかなかった。

 

「じゃあ、アタシと園子は?同じ勇者だから悪影響なんてなさそうだけど……」

「乃木園子と三ノ輪銀の場合は出力が強すぎるからよ。例えるなら、馬力の高いエンジンで自転車を動かすようなものじゃ。当然、領域を奪われた今のままではその負荷に耐えることはできん。非常事態となれば別じゃがの」

「はい。お二人は緊急時の切り札という扱いと、神樹様から神託を受けています」

「強すぎるのも考えものなのね……」

「例えがすごく分かりやすい……」

 

園子と銀は強すぎる力ゆえに、緊急時の切り札扱いだったことに美森はしみじみと呟く。友奈も身近なものに例えられたことであっさりと理解できている。

 

「それでは話を戻しますね。皆さん以外の方も召喚されているのは、皆さんの精神を安定させる為です」

「精神があまりに不安定じゃと、力を流す際に大きく乱れ、最悪の場合は精神が壊れてしまうからの。故に安全装置が働いて、勇者に変身できなくなるわけよ」

「あはは……そうだったんだ……」

 

ヤタガラスがもたらした洒落にならない事実に、一度勇者に変身できなくなっていた友奈は乾いた笑みを浮かべる。

 

「そういうわけで、普段の暮らしができるように多くの魂を召喚されているのです」

「じゃあ普通に私の家もあるし、お店ではサプリやにぼしも売ってるのね?」

「私は中学近くの空き物件を使わせて頂きますけどね。この時代出身ではないので」

「「「「「…………へ?」」」」」

 

ひなたが西暦時代の人間であることをまだ知らなかった友奈達は、さらりとひなたが口にした言葉に揃って抜けた声を洩らす。

そんな友奈達に、ひなたは改めて自身が西暦時代の人間であることを伝えていく。

 

「時間の概念がないと過去の人間も呼べるのね……」

「時間の縛りがないからこそできる芸当よ。じゃから、領域を取り返せば別の時代の勇者や巫女を召喚することができるのじゃ。あくまでお主らが呼ばれた時間以前からじゃが」

「ええ。造反神は強力ですから、歴代勇者の力を結集してコトにあたるよう神樹様から神託を受けています」

 

そう告げるひなたの目は何処となく輝いているように見える。そして、それは実際に輝かせていたとすぐに知ることとなった。

 

「ですから早く造反神から土地を奪還して、若葉ちゃんを……若葉ちゃん達を呼べるようにして下さい!」

「主は本当に相変わらずよのう、上里ひなた。乃木若葉への愛情はどの時間軸でも健在というやつか」

 

ひなたの目を輝かせての要望に、ヤタガラスは懐かしむかのように呆れている。そんなヤタガラスの態度に、風が今まで気になっていたことを聞くことにした。

 

「さっきから気になってたんだけど……ひなたとヤタガラスは知り合いなの?」

「厳密には我が一方的に知っとるだけよ。こやつの時間軸では、まだ我と会っておらぬからの」

「はい。私の方はあくまで神樹様の神託で知らされた程度ですので……」

 

ヤタガラスとひなたの話を聞く限りでは、厳密には知り合いではないらしい。普通は知り合ってからの方が話が通しやすいのに何故なのかと、風は疑問に感じる。

それを察してか、ヤタガラスは呆れながらも真剣な表情で口を開いた。

 

「勇者と巫女達の召喚は、最も実力と精神が安定しておる時間軸からじゃ。精神が不安定じゃと、此度の事態に集中できぬからの。逆に実力不足も同じじゃ。これ以上は言わずとも分かるじゃろ?」

 

ヤタガラスのその言葉に、千晶達は何も言えずに黙りこむ。それだけ、ヤタガラスの言葉には重みがあったのだから。

 

「……やはり、私達は苦難に満ちた道を進むのですね」

「当然よ。主の不安は理解するが、安易に教えるつもりは我にはない。最低でも未来を全否定する覚悟を持つことだの」

 

複雑で不安げな表情をするひなたに、ヤタガラスは無情とも取れる言葉をぶつけるのみ。少なくとも、ひなたにとっての未来の話をする気はないようである。

 

「非情と罵ってくれても構わんぞ?我は基本、気紛れで身勝手じゃからの」

「……いえ。ここで八つ当たりして甘える程、私は無知ではないつもりです」

 

ヤタガラスなりの気遣いの言葉に対し、ひなたはしっかりとした表情でやんわりと否定する。

その直後、友奈達のスマホから樹海化警報のアラームが鳴り響いた。

 

「このタイミングで敵襲か……どの世界でもバーテックスは空気が読めないみたいね」

「そうね。でも、色々とスッキリさせたい気分だから丁度よくもあるわね」

 

夏凜が呆れたように呟き、風は丁度良いストレス発散になると笑みを浮かべた瞬間、勇者五人は樹海へと召喚される。

部室に残ったのはひなたにヤタガラス、千晶に園子に銀と、巫女と切り札と戦力外の居残りメンバーだけとなった。

なんとなく気まずい空気となる中、ひなたが意を決したように口を開いた。

 

「ヤタガラス様。一つ聞かせてもらってよろしいでしょうか?」

「それは内容次第じゃの。未来のことなら即却下じゃぞ?」

「いえ。未来の話ではなく……当時の神々の判断についてです」

 

ひなたのその言葉にヤタガラスはスッと目を細める。それに対してひなたは言葉を続けていく。

 

「私の時間軸では、諏訪の状況は芳しくありませんでした。それに対し、神樹様は勇者達を四国の防衛の為に待機するべきと神託を下しました。それは……諏訪の犠牲を前提とした考えだったのでしょうか?」

 

嘘は許さないと雰囲気で伝えてくるひなたに対し、ヤタガラスは心底呆れた表情を向ける。しかし、その目には射殺さんばかりの怒りが込められていた。

 

「阿呆め。神樹も最初から諏訪を犠牲にするつもりで動いておらぬ。土地神同士の繋がりを確立させ、領域の確保と共に互いの力を強める予定じゃったそうじゃ」

 

ヤタガラスの心底冷えた声で発したその言葉に、ひなたは冷や汗を流しながらも驚きの表情でヤタガラスを見やる。そんなひなたを真っ直ぐに見据えているヤタガラスは言葉を続けていく。

 

「しかし、天の神はその繋がりを作ることを妨害し、諏訪の土地神を孤立させた。神樹も何とかしようと努力したが、自力の差からそれは叶わなかった」

 

ヤタガラスはそう言って指を鳴らし、例のディスプレイ画面を表示させる。それは四国の地図ではなく世界地図と呼ばれるかつての地球の地図。その多くが赤と緑に染まっており、青色はあまりにも少なかった。

 

「これが当時の神々の勢力図じゃ。赤が天で緑が中立じゃ。神樹……土地神達がどれだけ不利じゃったのか、よく分かるじゃろ?」

 

その神の勢力図を見せつけたヤタガラスに対し、ひなたはもちろんのこと、多少は知っていた千晶達でさえ何も言えなくなってしまう。

ここまで圧倒的な差では、冷酷な判断をするなと言うのは……あまりにも無責任だと叩きつけられたのだから。

 

「下手に戦力を分散すれば、その隙を付かれて噛み付かれる……人々を多く守る為にも、神樹は安全策を選び続けただけよ。諏訪の土地神も、自身が永き眠りに付くことになろうとも、勇者と共に在ることを選んだしの」

 

本当に冷酷であれば、諏訪を見限って神樹に合流するのが将来的に人類という括りを守るのに最適と判断して動いただろう。

だが、諏訪の土地神はそれを取らず、最後まで自身の力を削り続けて諏訪の者の為に抗った。その意志を把握しているからこそ、ヤタガラスは“犠牲を前提とした策”という侮辱と取れる言葉に怒りを覚えたのである。

 

「もしお主達が本気で諏訪の者を助けたかったのなら……お主達が覚悟を決めて動くべきじゃった。なのにぬくぬくと状況に甘え、あれこれ言い訳して動こうとせず、その結果を神々の判断のみとして責めるのは……あまりに傲りがすぎるぞ」

「……返す言葉もございません」

 

ヤタガラスのあまりにも正論過ぎる言葉を、自身の無知さと無意識に責任転嫁していた事を突き付けられたひなたは申し訳なさそうな表情で受け止めた。

確かに諏訪との通信でのやり取りで、諏訪の状況が芳しくないことは知っていた。それを自身の無力さを言い訳にし、方法の模索すらしなかった。

 

「それと、申し訳ありません。何も知らずに無礼なことを……」

「我に謝ってどうする?お主が謝るべきは諏訪の土地神に対してよ。神樹も、謗りを受けても仕方ないと考えておったしの」

 

強張った表情をしたひなたの謝罪に対し、ヤタガラスは謝るべきは自分ではなく諏訪の土地神に対してだと呆れた眼差しで告げる。

 

「もしそれでも悔いるのなら、これからの行動で示せば良い。どう示すかは、お主が決めることだがの」

「……ふふ。本当に手厳しい神様ですね」

 

ヤタガラスの激励とも取れる言葉に、ひなたは幾ばくか柔らかくなった表情で苦笑する。

もちろんひなたは全部に納得したわけではない。だからこそ、それを呑み込み糧とする。同じ過ちを繰り返さない為に。

 

「マジで凄い貫禄だったな。アタシも思わず呑まれちゃったよ」

「……うん。本当に凄かったよ。そんな神様に“直訴”したこーりんも凄いけど」

 

銀と園子はそう呟くと、どこかジトッとした視線を千晶に向ける。その視線を向けられた千晶は露骨に顔を逸らした。

 

「え……?千晶さんはヤタガラス様に“直訴”したのですか?」

「そうじゃ。乃木園子達を助ける為に力を貸せだの、今すぐ己を起こせと二度もな。その図太さはアヤツ……ショウイチ以上よ」

 

さらりと神に対して恐れ多いことをしていたらしい千晶に対して驚くひなたの質問に、ヤタガラスは嘆息と共に頷く。

 

「そのショウイチさんが千晶さんのもう一人の先祖なのですか?」

「そうじゃ。良く言えば前向き、悪く言えば能天気な人間じゃ。互いの子孫が結ばれたのか、当人同士が結ばれたかは分からぬがの」

「あら、そうなのですか……普通は当人同士と思うのでは?」

「その流れで言うなら、乃木若葉にも同じことが―――」

「もしかしてそのショウイチさんも、ヤタガラス様に直訴されたのですか?」

「先の己の言葉をなかったことにしとるの……」

「あれ?なんかデジャブ……」

 

ひなたにとっての最悪の話に発展しそうな瞬間、ひなたは先ほどの話を完全になかったことにした。その反応にヤタガラスは呆れ、銀は似たような事があった感じがして首を傾げた。

ちなみに園子様はそっと銀から視線を逸らした。一応、自覚はあるようである。

 

「まあ、先の質問に関してじゃが……ショウイチは直訴はしておらん。我の忠告を関係ないとほざいて蹴りはしたがの」

「それは間違いなくこーりんの御先祖様だね~」

 

壁の外の事実を関係ないと蹴っ飛ばして助けに向かったと知っている園子は、千晶の頬をウリウリと人差し指で押していく。対して千晶は視線を明後日に向けて誤魔化そうと必死だ。

 

「ああ。なんて気軽なやり取り。あれを若葉ちゃんがやってると思うと……はふぅ」

「まるで須美みたいですね。ひなたは……」

 

そんな二人の姿を恍惚とした表情で見つめるひなたを見て、銀は苦笑いしながら軽いツッコミを入れる。それに対し、ヤタガラスは異を唱えた。

 

「我からすれば、郡千景の方が東郷美森に近いぞ。色々な意味での」

「さらっと不穏な事を……否定しきれないけど」

 

何せ美森は暴走して壁を壊して集団自殺を図り、千景は暴走して仲間を殺そうとした。暴走したら洒落にならないレベルの事案をやらかすという意味では確かに近い。やらかし具合は美森が圧倒的に上だが。

そんなユルユルと化した雰囲気は、友奈達が帰還するまで続くのであった。

 

 

 




「そういえば~、くろゆーは普段の名前はどうするの?」
「言われてみれば確かに。ヤタガラスのままだと色々な意味でマズイッスね」
「そうじゃの……無難に烏丸友奈と名乗るとするかの。気軽にカラスと特別に呼んで構わぬぞ?」
「意外と気さくな神様なんですね……」
「まさか友奈ちゃんの姿だけでなく、名前まで真似るだなんて……!今すぐ滅ぼしてくれるぅ!!」
「ちょっ!?落ち着きなさい東郷!!」
「仮にも神様なんだから!早くそのライフルを降ろしなさい!!」
「やれやれ……本当に面倒くさい人間じゃの」

※この後、友奈本人がお揃いだと笑顔で受け入れたことで解決しました。
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