「おにーさーん!おねーさーん!朝だよー!おはよー!」
「おはようございます。ピースさん。」
「おはよー、ピースちゃん。」
「…………。」
「バウ!」
昨日の夜の来訪者は、気づけば私たちのパーティの仲間になってた。
両親のいない、いわゆる孤児。
出会ってしまったが運の尽きね。オルガが見捨てるわけないものね。
にしても
「アンナおねえちゃん!おはよー!」
「…………。んぅん。寝起きなんだから……、もうちょっと静かにしてよ。」
「ピースちゃん、このお姉ちゃんは今機嫌が悪いから話しかけちゃだめよ。」
「でも朝はちゃんとあいさつしなきゃ怒られちゃうよー。」
ここまで煩いのは迷惑ね。私は朝は優雅にウダウダ無駄な時間を過ごしてからにしたいのに。
うわー。ゆすってくるじゃん。マジでやめてよ。あと1時間。
…………。
「ダーッ!分かったわよ。起きればいいんでしょ起きれば!」
「おはよー、あんなお姉ちゃん!」
「はいはい、おはよう。」
旅が始まってから3回目の朝。
最初オルガと話してた予定の半分も来てない気がする。
疲れがたまるほど歩いてるわけじゃないから寝付くのも大変よ。
そして
「さあ朝ご飯の時間よ。」
「ローズさんいつもありがとうございます。」
「何言ってるのよ、妻として当たり前のことじゃない。」
「ローズお姉ちゃんありがとー!」
「うーん、お姉ちゃんでもいいけど、お母さんって呼んでもいいのよー。そしてオルガはお父さんね。」
「おいしー!」
完全にスルーされてるけど、ローズが家族計画頑張ってるわね。
次の街についた私たち。予定よりもメチャクチャ遅い到着。
魔王討伐って人数が多い方が良いと思ってたけど、もしかして道中は少ない方が良いかも?
だって
「ねえおにーさん!あれなにー!?」
「あれは屋台ですね。食べ物を作ってくれるのですよ。」
「そんなのがあるのかー!?ピース食べたい!」
「バウバウッ!」
「では少し寄ることにしましょうか。姫、ローズさんよろしいですか?」
「もちろんじゃない!旦那と娘と一緒に休日の外食。いい思い出だわ。」
「…………。」
私、一応姫なんだけど……。
滅茶苦茶無視されてるわ。
っていうのもあるんだけど。
こうやって寄り道が多すぎるのよ!
意味わからない時間使いまくってるの本当に無駄!
「いたっ!」
「ああ、ごめんなさい!」
うわー、めちゃくちゃうわの空で歩いてた。人にぶつかっちゃった!
「ごめんなさい、大丈夫ですの?」
「いてて……。いえ、大丈夫です。こちらこそすいません。」
うわうわ。すごい周りに果物落ちちゃってるじゃん。あーあー、オルガも拾い始めてるなー。
あ!?
これってもしかしてフラグ的なやつじゃないの!?このまま拾わせてたらオルガとこの女とフラグがたってまた仲間が増えるじゃない!?
それはまずいわね。ここは私が何とか集めきらないと。
「「あっ!?」」
あらま。手が触れちゃったわ。でもそんなこと気にしてたらいくら時間があっても足りないの!早く!オルガよりも早く!果物を集めなきゃ!
「はい、これで最後ね。もう慌てて落としたらダメよ。」
「……。はぃ……。ありがとう……ございます。」
「じゃあ私はこれで。」
よしっ!なんとか旅の仲間が増えることは回避したわ。とりあえずしばらくはこの人数を維持しなきゃね。
ん?
「あ、あの……」
「どうしたのかしら?」
めっちゃ私の服引っ張ってくるじゃん!何!?もしかして姿を見ただけでオルガに恋したとか?
なんて厄介な勇者様なのかしら。
「あ、あの……」
「…………。」
「…………。」
なんで黙ってるのかしら。もう無視して行ってしまおうかしら。
そうよ、少しくらい乱暴に服を引きはがしても、どうせ追ってこれないでしょ。
それでいいわ。
「ではね。」
滅茶苦茶ちゃんと服掴んで屋がりましたわね。でもなんとか手をはがすことはできましたわ。あとはそそくさとここを立ち去ってしまうだけですわね。
「あの!!!!」
「ひゃっ?」
「私も一緒に連れて行ってくれませんか?」
「…………。」
うわー。恋する乙女の顔してるじゃない。マジでかー。もうオルガを外に歩かせちゃだめかもしれないわね。
「あのね、親御さんはどうするの?」
「今から説得してきます!」
「悪いことは言わないけど、ライバルは少なくないわよ?」
「大丈夫です!私、認められるように頑張ります!」
「…………。」
「…………。」
逆に断りにくくなっちゃったわね。
私だってね、多少なりとも有用だったら仲間に入ってもらってもいいけどね。
オルガを中心にして円陣ができちゃって、それで歩くのが遅くなるのは頂けないのよね。
「あなたの得意なことは何かあるかしら?」
「え!?えーっと。…………。料理が少し…………。」
まあ料理が上手なのに越したことはないかしら。
でも、憎たらしいことにローズが料理上手だから、料理枠は要らないのよね。
「申し訳ないけれど、それだけではオルガに認められないかもしれないわ。」
「でも!私はお姉さまに認めていただければ!それだけでいいんです!」
「ん-。私に認められてもさ。オルガの嫁にはなれないのよ?」
「大丈夫です!」
ん?なんで大丈夫なのかしら?
「どうかされましたか?姫?」
「え?あー、この子が仲間になりたいって。」
「お姉さま!下がって!」
「「「「は!?」」」」
「お姉さまは私のものです!勇者様といえども私からお姉さまを奪うことは許しません!」
「えええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!」