「トール」
「はーい!」
「ルナ」
「はいですー!」
「エシャルド」
「…………います。」
「ラナー」
「おはようございまーす!」
「ニース」
「はいはいー」
「で、今日の新入りのイオラね。」
「よろしくおねがいします」
「じゃあみんな、一列になっていくわよ。」
「「「「「「「はーい!」」」」」」」
さて、毎朝の恒例行事、点呼が終わったわ。
途中から私も気づいていたのよね。
毎日人が増えてることに。
それ自体は別にいいのよ?
だって勇者パーティに仲間が増えることなんて、実際はありがたいのよ?
でも、30人を超えたあたりから雲行きが怪しくなってきたのは確か。
何よ!?30人の勇者パーティって何よ!?
そのまま仲間ば増えることを止められなかった私は、結局100人を超えるパーティをまとめることになっていた。
パーティというよりも一つの軍団ね。
もう誰がいるとか訳分からないから、ある日から朝一に点呼をとるようになったものの。
声を張り上げながら100人の名前を詠みあげてると、時間はあっという間に過ぎていく。
今日だって9時に始めた点呼なのに、気づけば11時。
もう戦う前に疲れちゃったわ。
まあこれだけ人が居れば戦う必要もないし。
というか、もう数か月も前の話だから忘れてたけど、ミリスって魔王の側近だったのよね。
もう馴染み過ぎて分かんなくなってたわ。
というわけで、ミリスの先導で魔王城を探索中。
「ここが、ミリスたちのボスの魔王様がいる部屋なのですー!」
「「「「「おおぉぉーーー!!!」」」」」
といっても、ミリスが先頭に立っているせいで、魔物との戦闘もなし。
というかそもそも魔王所までの道中もほとんど戦闘してこなかったのよね。
魔王討伐というよりも、魔王城社会見学ね。
「ミリスただいま戻りましたのだー!」
「おお、愛しのミリスよ!ケガはなかったかい?誰かにいじめられてないかい?消したい奴はいないかい?」
「もーパパ、やめてほしいのだー!ミリスは子供じゃないのだー。」
一体私たちは何を見せられているんだろうか。
ここにあるのは、人類の破滅を望む魔王でもなければ、私たちの強敵になる魔王でもない。
ただの、どこにでもいる、子供を溺愛パパだった。
「さて、ミリスよ。なんだかすごく沢山のお友達がきているようだが、この人たちは?」
「みーんなミリスのお友達なのだー!パパに人間を襲うのをやめてほしいってお願いに来たのだー!」
「おぉ、それはそれは。長い道のりだったことでしょう。ミリスのお友達の要望であれば聞くしかありません。ささ、今日は友好の証にパーティを開催します。ぜひ楽しんでいってくだされ。」
「「「「「「はーい!!!!」」」」」」
ええぇぇぇ。
滅茶苦茶常識的じゃん。うちのパパよりも物わかり良いかも。
姫の冒険譚は、危険なんて起きないまま終わった。