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~心操side~
「お、人使。もう行くのか?」
冬が明けて4月。今日から俺は雄英高校に入学する。俺たちは、学校に行く準備を終えて玄関で靴を履いている。すると、父さんにそう声をかけられた。
「ああ。今日は入学式だし、早めに行こうと思ってな」
「そうか。いい心がけだな」
父さんの言葉に俺はそう返す。そんな会話をしていると、
「あら、今日は2人の方が早いのね」
と、母さんも声をかけてきた。そのまま、3人で会話を続ける。すると、
「お~い!!早く行こうよ~!!」
いつの間に玄関のドアを開けていたのか、小傘はすでに外に出ていて、俺のことを待っていた。
「じゃあ、父さん。母さん。そろそろ行くよ」
「ああ。これから頑張ってこいよ!」
「小傘ちゃんも、人使のことよろしくね」
「了解!!」
そんな会話を終えて、俺たちは雄英へと向かって足を進めた(小傘は飛んでいるが)……。
雄英高校に着いた俺たちは、自分の教室を目指して歩を進める。
「1ーA、1ーA……っと、あったあった。ここか。思ったよりも早く着いたな」
「そうだね~。まだ30分近く余裕あるし。それにしても、大きい扉だね~」
小傘とそんなことを話しながら、俺は『1ーA』と書かれた扉を開ける。一番乗りかと思ったが、中にはすでに、眼鏡を掛けた真面目そうな人がいた。彼はこちらに気がついたのか、
「初めまして!ボ……俺は私立聡明中学出身、飯田天哉だ」
「ああ。俺は心操人使だ。これからよろしくな」
自己紹介を終えた後、俺は自分の席を見つけたので、そこに荷物を下ろし、席に座る。すると小傘が、
「ねぇ、あの飯田って人、なんでわざわざ『僕』って言おうとしたところを『俺』に直したのかな?」
『ん~……多分だけど自分の事を『坊っちゃん』と思われたくないとか、キャラ作りとか。そんな感じじゃないか?』
そう聞いてきたので俺はそう
小傘と話し始めて少し時間がたった。すると……
「机に足をかけるな!雄英の先輩方や机の製作者方に申し訳ないと思わないか!?」
「思わねーよ!てめーどこ中だよ端役が!」
と、こんな会話が聞こえたので騒いでいる方に目を向ける。すると、先ほど自己紹介した飯田と別の生徒が言い争っていた。
ツンツンと四方八方に伸びた金髪に着崩された制服。後ろからなので顔は見えないが、恐らくかなり悪い顔をしているだろう。そして、飯田の自己紹介を聞くと、「ブッ殺しがいがありそう」なんて、とんでもないことを言い出した。
『ホントにヒーロー志望なのかアイツ……』
「さ…さあ……?」
思わずそう呟くと、小傘も困惑したような表情でそう答える。喧嘩を止めようかと迷っていると、0Pを殴り倒した緑髪の少年が入ってきた。飯田君の気がそちらに逸れることで言い合いが止む。そこに試験会場で物を浮かせていた女の子が加わることで空気が一気に軽くなる。
緑髪の子が緑谷出久、ショートボブの子が麗日お茶子という名前のようだ。すると突然、
「お友達ごっこがしたいのなら他所へ行け」
そんな言葉がドアの方から聞こえてきた。その方向を見るとそこには、
「ここは……ヒーロー科だぞ」
そんなことを言いながらゼリーを吸い込む1人の男性がいた。
その不審者のようにしか見えない人の登場に俺や小傘を含め、A組全員がドン引きする。
「担任の相澤消太だ。よろしくね」
不審者擬きが担任ということに俺は驚く。小傘も顔を引き攣らせていた。
「早速だが、コレ着てグラウンドに出ろ」
頭が追いつかず未だ反応を見せない生徒に対して先生は一言「急げよ」と告げて教室を出て行ってしまう。
「えっと……心操くん。とりあえず先にグラウンドに行っとくね」
『あ、あぁ。分かった』
とりあえず言う通りしようと、俺は急いで着替えて、グラウンドへ向かった。
~小傘side~
「20……21。全員揃ったな。ではこれから個性把握テストを行う」
体操服に着替えてグラウンドに集合したものの、全員がこの状況を把握できていないところに先生から予想外の言葉が出た。
「個性把握テスト?!」
「えぇ?!入学式は?!ガイダンスは?!」
これから始めることを知ったA組の人たちは驚いていた。それはそうだろう。入学案内によるとこの後行われる本当の行事は、体育館での入学式と説明会である。私だって驚いた。
でも先生はただ一言「そんな時間はない」と切り捨て、早々にテストの概要説明を始める。どうやら先生曰く「中学での個性禁止による体力試験は合理性に欠けていて意味が無い」らしい。今日は個性をフル活用することで結果がどうなるかを見るみたい。すると相澤先生は
「爆豪、中学の時ソフトボール投げ何mだった」
「67m」
「じゃあ“個性”を使ってやってみろ。円から出なきゃ何をしてもいい。早よ。思いっきりな」
そう言って相澤がボールを渡すと、爆豪はボールを受け取って円の中に入る。
「んじゃまぁ……」
そういいつつ、
「死ねぇ!!!」
と叫びつつボールを投げた。すると、
という爆風と共にボールは遠くに投げ飛ばされる。
(((…死ね?)))
A組の人たちは爆豪の罵声にドン引きしていた。いや、「死ねぇ」はないでしょ。アイツ、ホントにヒーロー志望?
すると、しばらくしてボールが着地し、相澤の持っていた端末から『ピピッ』と音がする。
「まず自分の最大限を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段」
そう言って相澤が見せた端末には、『705.2m』と表示されていた。
すると、他の生徒達は“個性”を使っていいテストを面白がり一気に湧き出した。
「なんだこれ!!すげー面白そう!」
「705mってマジかよ!?」
「“個性”思いっきり使えるんだ!!流石ヒーロー科!」
すると、その言葉に相澤先生は反応し……
「面白そう……か。ヒーローになるまでの三年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?……よし、トータル成績最下位の者は見込み無しと判断し、除籍処分としよう」
先生の静かに放った言葉に一瞬全員が凍りつく。しかし、すぐに我に返った生徒たちが抗議の声を上げていく。うん。そりゃあ抗議するよね。せっかく苦労して雄英に合格することが出来たのに、入学初日に除籍処分をされたのでは堪ったものではない。さらに声を上げる生徒達に対して、先生は言葉を重ねる。
「生徒の如何は教師の自由。ようこそ、これが雄英高校ヒーロー科だ」
髪をかき上げ、ニヤリと笑う先生に気後れしつつも、麗日さんが理不尽だと言い寄る。
「今日まで日本は大規模な自然災害や凶悪犯罪の脅威にさらされてきた。ここは理不尽に塗れている。そんな理不尽を覆してこそヒーローだ。いいか、これから三年間、我々はこれから全力で君たちに苦難を与え続ける。
(いや、その使い方はひどくない?)
私は思わずそう思った。一方で、先生は挑発するように人差し指をクイと曲げ不敵に笑う。
すると心操くんがこちらにやってきて、
『小傘。分かっていると思うけど……』
「ん。分かってるよ。体力試験に手は貸さない。けど、応援してるから。頑張ってね」
やっぱり、自分の力だけで挑戦するみたいだ。そうして、除籍を懸けた体力試験が始まった……
いつもより長く書いてみました。長いのであれば、短くします。