嗚呼、ここはポケモンの世界   作:後門の熊

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我、霊を扱う善人と相対す
謎ジジイ、見参


 

「・・・・・・ここまで来れば大丈夫だろ」

 

まさか街を出る予定の日を何処からか聞きつけて街の門の前に報道陣が貼ってるとは思わんだろふつー。ニャスパーのテレポートと自前の脚力で何とか逃げ切って気付けば既にハニートーとホーヘルクの間の山、二番道路をいつの間にか超えてしまっていたらしい。

 

「確か『トウジャの山脈』だったか」

 

ロンフーシャ地方にはこのトウジャの山脈含め多くの山脈がロンフーシャの中央に聳える『トーラトス神山』から伸びているよく分からない地形だ。実際この地方がなぜこの形なのか、専門家もよくわかっていないらしいが・・・

だが俺に関係があるのはここがその山脈の一つだということ、そしてこういう山脈を今後たくさん超えなければならないということだけ、なんだが・・・

 

「改めて近くで見るとデケーなー」

 

心が折れそうになる。トーラトス神山から伸びる山脈は全て同じような高さだ。ということはつまり目の前のこれと同じくらいの高さの山を今後超えていかなければならないと・・・

 

「ロンフーシャだけハードモード過ぎでは?」

 

もっとこう・・・のどかなところは無いのか?街から街へ行くためにわざわざ山脈二つ超えるところがあるレベルだぞ?

 

「よし・・・行くか」

 

覚悟を決めて、いざ登山!

 

 

◓◓▫▫▫▫

 

 

 

「完全に森だなぁ」

 

暫くは山道みたいなものがあったのでそれに沿って進んで行ったがいつの間にか森林の中。既に昼時はすぎ、もう数時間もすれば日が沈むだろう。一応地図アプリのおかげで進む方向はわかるんだが何時どこから野生のポケモンが襲いかかってくるか分からない。

 

ガサガサ

 

「っ!気配!!」

 

ニャスパーを繰り出し、様子を伺う。草むらから出てきたのは・・・

 

「・・・・・・なんだコフキムシか」

 

幸いこちらに害を加えることもないようなので、そのままスルーする。

 

「しっかしこのままだと精神的に参っちまうな。開けたとこまで行ったら休憩するか」

 

そろそろいい時間だし、と気合いを入れ直し、やがて見つけた開けた場所にテントを張り、トレーニングを開始する。

 

「この調子なら明明後日、良ければ明後日にはホーヘルクに着くだろう。それまでに今回のジムの反省点を詰めていくぞ!」

 

「にゃ〜」

 

「カゲ!」

 

 

 

 

 

 

◓◓▫▫▫▫

 

 

 

 

さて、あれからしばらくトレーニングに励み、既に日も落ちた真っ暗闇。トレーナー一人でのぼっち旅なのでヒトカゲ、ニャスパーと交代で火の番をしていた。

 

「ホーシってやつにたどり着く前のトレーナーも地味に問題だな。座禅とかやったことねぇジム戦のためにもやってみるか」

 

えーと?あぐらをかいて手を体の真ん中で組んで・・・・・・こうか?写真を見る限りこうっぽいんだが・・・まぁ無駄にはならんだろ。やっておこう。

 

「背筋伸ばして・・・顎引いて・・・」

 

「ううむ、少し反りすぎじゃな。もう少し体勢を前に。そうそう。髪の毛を上に引っ張られているような感覚で・・・」

 

「こうか?」

 

「そーじゃそーじゃ」

 

「ふーん・・・・・・!!!?」

 

誰だこのジジイ!!!

 

 

 

 

 

◓◓▫▫▫▫

 

 

 

 

「いやーすまんのう!この暗闇の中灯りが見えたもんで近付いてみたら誰かが座禅を組んでおるではないか。見てられんもんじゃったからつい口を出してしもうた」

 

「ちょっと余計じゃない?じいさん」

 

「事実を述べたまでじゃよ」

 

どうやらこのじいさんもトレーナーのようだった。火の番を代わるから良かったらここで休ませてくれと頼まれたので了承したが・・・

 

「で?爺さんこの山になんのようなの?旅とか用事って感じの格好じゃなさそうだけど」

 

「見りゃわかるじゃろ。修行じゃよ修行」

 

「・・・いやまぁ、確かに見たまんまだけどさ・・・」

 

だってこの格好ってアレじゃん。カラテおうじゃん。稽古着着て裸足で山の中歩いてるとは思わなかったけど。

 

「しかしお前さん」

 

「カイトだよ」

 

「おおそうか。カイト。お主随分と貧弱じゃのう。わしより弱いんじゃなかろか」

 

「12歳だぞ。これでも鍛えてる方だっての」

 

「ふむ?お主旅を始めたばかりか。察するにホーヘルクに向かっておるのか?」

 

「ああ、二つ目のジムバッジに向けてって感じかな。ここでちょっと鍛えてくかもしれないけど」

 

「そうか。その歳でジムバッジを持っておるとは、随分と優秀じゃのう」

 

「まあね」

 

「じゃがホーシもなかなか強いからのう。油断していると瞬殺じゃぞ」

 

「しないよ油断なんて。てか知り合い?」

 

「うむ。ちょくちょく修行に付き合ってもらっておる。今回も奴の依頼でここまで来ているでな」

 

「なんかあんのか?この山」

 

「ある、というより居る、と言った方が適切じゃな。この山にはな、師範がおるのじゃよ」

 

「シハン?」

 

「そうじゃ。とは言っても、ポケモンじゃがな」

 

ポケモン・・・かくとうタイプってことか?しかしそれなら・・・

 

「なんでホーシってやつが出張らない?相性はいいだろ」

 

「そうなんじゃがのう。どうも自分が仕える主を探している!って感じらしくての。自分では追い詰めることは出来ても逃げられるんだと」

 

「・・・ほーん?」

 

「まぁ儂も振られたんじゃがな。カッカッカッカ!」

 

それはそれは・・・ちょっと見に行ってみるか。




ロンフーシャの地形は中央に聳えるトーラトス神山の一箇所から18本の山脈が全方位に伸びています。
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