嗚呼、ここはポケモンの世界   作:後門の熊

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一顧の礼

 

「じゃあの。お主も達者でな。またどこかで会おうぞ」

 

「ああ、爺さんも元気で」

 

下山方向の爺さんと登山方向の俺では行く方向が真逆なのでここでお別れとなる。

あの後せっかくだし、と思ってヒトカゲやニャスパーのトレーニングを見てもらってアドバイスを貰っていたのでなんだかんだ既にお昼時だったので昼食を食べ、それぞれの方向へ向かう。

 

「そういや爺さんって呼んでたけどあの人名前なんて言うんだ?」

 

・・・まぁまた会おうって言ってたし次会った時にでも聞けばいいか。とりあえず爺さんが言ってた師範とやらの所まで行くか!

 

 

 

 

◓◓▫▫▫▫

 

 

 

「ふふふ、なかなか面白い小僧じゃったの」

 

山をおりながら老人は先程まで一緒だった少年のことを考える。

 

「おおそうじゃ。あの童にも伝えておくか」

 

Prrrrrrr

 

『もしもし、なんだよカンガク。いま忙しいんだけど』

 

「イベラルか。忙しいと言ってもお主、どうせ食べ歩きとか観光とかそんなとこじゃろ」

 

『いやまぁそうなんだけどさ・・・で?要件は?』

 

「お主が前に言っておった三人の内の一人に会ったぞ」

 

『・・・・・・へぇ?で?どうだった?』

 

「ま、お主が好みそうなトレーナーだとは思ったわい」

 

『でしょ?誰にあったの?』

 

「確かカイトとか言っておったの」

 

『カイトか。あれは特に僕に喧嘩売った奴だからね』

 

「じゃが、可能性は感じたぞい」

 

『ふーん。四天王(・・・)たる君にそこまで言わせるとは。やっぱり彼らは面白いね』

 

「そうじゃな。用件は以上じゃ。またなんかあったら連絡するぞい」

 

『はーい。じゃあね〜』

 

 

 

「ふふふ。やはりあの小僧で間違いなさそうじゃの。戦えるレベルまで成長するのが楽しみじゃ。そう思わんか」

 

答えるものは無い。しかし腰のボールから感じる圧にカンガクは笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

◓◓▫▫▫▫

 

 

「確か山頂付近の洞窟が近い開けた場所って言ってたな・・・ここか?」

 

それっぽい場所には着いたが・・・ポケモンが一匹もいない。普通ここまで広い場所だと大体ポケモンが何匹かいるもんだが・・・

 

「今はいないのか?」

 

だがなんだろう・・・静かすぎる?普通はもっとむしポケモンの鳴き声やらなんやらでうるさいはずの森がここだけ静かだ。

 

「洞窟にも特に何もいないっぽい・・・・・・!?」

 

そこにあったのは自然界においてあまりにも異様な光景。何十体ものかくとうポケモンが皆一様に座禅を組んで黙想している。俺が入っても銅像が何かと思うレベルで微動だにしない彼らは一種の神々しさえ感じる。

 

「奥に道が・・・この先にいるのか?」

 

黙想をするポケモン達の間を通って行くと、一段高いところで黙想をするコジョンド。

 

「お前が・・・」

 

その姿を見ただけで確信する。他のポケモンたちとは一線を画する完璧な座禅。昨日今日と爺さんに教えて貰って知ったがちゃんと座禅を組もうとすると意外と体に負荷がかかる。それをここまで完璧に、しかも周りを見る限りこれは5分10分の話ではない。辺りに足跡や動き回ったあとはなく、コイツがゆうに1時間を超えるほど長くやっていたことが分かる。

 

「・・・・・・反応無し。奇襲・・・いや、ここは俺も礼儀を尽くすときだな」

 

はるか昔、三国志で有名な中国の劉備玄徳は天才軍師諸葛亮孔明を迎え入れるために三顧の礼を尽くしたと言われている。要するに何度も訪れて自分の本気度を示した訳だが俺はそれを一回でやり遂げてみせる!

コジョンドの目の前に座り、荷物を置いて座禅を組む。爺さんに教わったこと全てを意識して姿勢を正す。

半眼で薄く目を開け、鼻から短く吸って口から長く吐く。正直既に普段使わない部分を酷使しているせいで中々キツいが・・・・・・これでもマサラの血を引く者。この程度で音を上げたりはしない!

どうせならとヒトカゲとニャスパーを出して一緒に座禅を組む。

一瞬コジョンドがこっちを見たがすぐに戻ったので許可されたのだと思おう。

 

「フゥゥゥーーーーーー」

 

さぁ我慢比べだ。

 

 

 

◓◓▫▫▫▫

 

 

 

約一時間後、大分この姿勢にも慣れてきたが既にニャスパーがギブアップ。まぁあいつは特殊系だから仕方ないか。ヒトカゲと2人でコジョンドの前で座禅を続け・・・・・・遂にその時が訪れる。

ゆっくりとコジョンドが目を開き、体をほぐしながら立ち上がる。他のポケモンたちもそれにならうように立ち上がり、そしてコジョンドがこちらを見て

 

クイクイ

 

着いてこい・・・ってことなんだろうこちらに手招きして洞窟を出て、広場に出る。まぁ正直このコジョンド相手にに一匹で勝てるとは思えないので

 

「二匹同時でいいか?じゃないと無理だと思うんだが」

 

コジョンドが頷き、了承したのでニャスパーもだして作戦会議をする。

 

「正直、まともにやり合って勝てる相手じゃない。鍵はやっぱり相性有利を取れるニャスパーだ。基本的に【ねんりき】使いまくってアレの動きを妨害、出来れば【チャームボイス】とかで攻撃頼む。ヒトカゲは前衛だ」

 

「ニャ!」

 

「カゲ!」

 

頼もしい返事に心強く思いつつ周りを確認する。洞窟の周辺には先程まで一緒に座禅をしていたポケモンたち。

広場の少し外は普通に森だが、あっちに逃げ込んでの戦闘はむしろ逆効果だろう。

 

「ま、ダメで元々。死ぬ気でやってやろうじゃんか!!」

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