思った以上に空いてしまった・・・・・
前々から違和感はあった。どう考えても進化レベルに達しているニャスパーが何故未だに進化しないのか、と。まぁ別にまだ無理矢理進化させる程切羽詰まって無いしいいかな、と思っていたんだが・・・・・こいつまさか負けそうな時に進化する為に調整してたとかそんな感じか?
光に包まれたニャスパーがその姿を変えていく。
少しずんぐりしていた体型はスマートに
ボサボサしていた体毛はきちんと整えられ気品すら感じる佇まい
尻尾は大きく伸び、見るからにモフモフの感じを出している。後で触らせてもらおう。
光が弾け、その姿があらわになる。青を基調としたその色はオスのニャオニクスの特徴。
【サイコキネシス】
進化したてのポケモンは通常よりも強い。毎度の事ながらなぜかは分からないがこの世界の常識だ。先程とは比べ物にならない威力で周りの岩を吹き飛ばす。だがダルマッカもタダではやられない。最後の抵抗とばかりに岩を大量に追加してからの
【ほのおのパンチ】+【あばれる】
=【れっかのごとく】
岩を足場に動き回る。その速度は先程の比では無い。岩から岩へ高速で動き回るその様は正に赤い閃光の様だがニャオニクスの目はしっかりダルマッカを捉えている。足場から足場へ、着地からジャンプするまでの一瞬の隙に
【サイコショック】
岩を逆に利用した一撃。足場の岩の周りの岩を一気にダルマッカに集中させる。動きが止まった瞬間に大量の岩を追加し、見事なまでの岩団子が完成する。それが開いた時には
「ダルマッカ、戦闘不能!ニャスパー改めニャオニクスの勝ち!!」
目を回したダルマッカが居た。
◓◓◓▫▫▫
「ふむ、【いわなだれ】を利用した空中戦はまずまずって感じか」
ダルマッカを戻したフーエンが呟く。検証ってそれの事か?と思いつつ俺もニャオニクスを戻す。
「あれ?戻すの?」
「進化ブーストがあるとは言え【ちょうはつ】残ってるからな。流石に戻すわ」
幾ら調子が良くてもメイン技が使えないんじゃ意味が無いからな。
「両者、次のポケモンを!!」
「初陣だ、ベトベター!!」
「ランプラー」
ランプラーか。ほのお・ゴーストタイプで毒は効きにくいが悪は効果抜群。特殊タイプだろうからさっきとは逆、こちらが何とかして近付かなければならない。まぁそこら辺は当てがあるからいいんだが。
「試合、再開!!」
【おにび】
【ヘドロこうげき】
ゆっくりと不気味な動きで迫る青白い火の玉をこれまた毒々しい色をしたヘドロの塊で迎撃する。陰気臭い組み合わせだなぁ全く!!
【えきかいどう】
【かみつく】
【ほのおのうず】→【ほむらまとい】
地面に染み込み高速で接近し攻撃。対してランプラーは【ほのおのうず】を自身を中心に展開、擬似的な防御膜を作り出す。
この世界では意識しなければならないのはパラメーターの数値や特性だけでは無い。そのポケモンの生態や身体的特徴も意識すべき点だ。アローラベトベターなどその典型だ。ベトベターの歯は猛毒の結晶。このベトベターは特性“くいしんぼう”だがそれでも流石に歯を使った攻撃にはどく、ないしもうどく状態になる危険がある。毒状態にさえすれば無理して近づく必要も無い。元々特防はアホほど高いんだからそれを利用しない手は無い。
【とける】→【ふんすい】
【かみつく】
【シャドーボール】+【おにび】
=【おんねんのほのお】
液状の体を生かしたジャンプ技。地面の深くまで染み込んで勢いを付けてからの跳躍は擬似的な【あなをほる】になる。溶ければ溶けるほど粘性は下がり、滑らかに動けるため速度は上がる。先程よりも速い動きでランプラーに迫るものの【おにび】よりも一回り大きな青白い炎が阻む。次の瞬間、
「なっ」
ベトベターの体に穴が開く。それは相手によって空けられたものではなく自発的に開けた穴。ちょうど【おんねんのほのお】より少し大きいくらいに空けられたその穴を【おんねんのほのお】が通過する。そして開けた穴を閉じる勢いを使っての【かみつく】がランプラーに直撃。
「振り払え!」
咄嗟のフーエンの指示にランプラーが反応する。だが既にこちらの目的は果たしている!
フラッ
「っ!毒か」
「当たり」
ベトベターの戦闘スタイル。それは通常のベトベターよりも優れた性能の【とける】を主軸に変幻自在の移動方法で相手に接触、体を操作して毒の結晶を相手にぶち込み毒状態にしてあとは耐える、というものだ。一つ致命的な弱点があるがまぁそれはそれで対策を立ててあるのでなんとかなるとは思う。地上でのベトベターは確かに遅い。だが粘性を下げて地中に染み込んだベトベターは攻撃が当たりにくい上に素早い。生来の特防と【とける】であげた防御があればそう簡単に負けない正に害悪ポケモンだ。
「将来的には更にエグくなってもらう予定だが・・・・・一先ずこのバトルだ!」
【えきかいどう】
【おんねんのほのお】
後が無くなったランプラーが大量の青白い火の玉を出現させる。ベトベター目掛けて一斉に放たれるも文字通り地面を這うように右へ左へ時には体に穴を開けて開始する。
このまま行けば毒で倒れる。だが相手はジムリーダー。そう簡単に敗れるとは思えない。何かしらの奥の手を・・・・・ッ!!
「まもれ!!」
【ナイトヘッド】+【れんごく】
=【しゃくねつじごく】
【まもる】
先程までの比では無い量の青白い炎がランプラー諸共フィールドを包み込む。トレーナーゾーン一歩手前まで広がった火の手はバトルステージ備え付けのバリアで防がれるが中のベトベターは間に合ったか・・・・・?
次の瞬間
突如、フィールド全体に拡がっていた青白い炎がランプラーに吸い込まれる。回転しながら炎を吸収するランプラーの周りを青白い炎が竜巻となる。炎を全て吸い込んだ時には
「・・・・・治したのか」
先程までの不安定感のない顔色の良くなったランプラーが居た。どういう理屈だ?確かにランプラーみたいなゴーストタイプは人の怨念を食っていそうなもんだが・・・・・特性もらいびなんかも影響しているかもしれない。なんにせよ重要なのは大量の炎を吸い込むとランプラーは回復するという点だ。
やはり流石はジムリーダー。一筋縄では行かない。
「狼狽えるな、ダメージは稼げてる。時間的にもあと一発でも当てれば充分勝機はある」
「・・・ベタ!」
十八番の毒を消されベトベターが少し動揺していたがまぁ仕方ない。ベトベターはトレーニングを除けばこれが初陣。その経験不足は俺がカバーしてやればいい。
「行くぞ!!」
【えきかいどう 】
【ヘドロこうげき】
【おんねんのほのお】
心無しか相手の炎の威力が上がっている。やはりもらいびを利用した技だったか。移動もしているベトベターの攻撃はそもそも特殊特化のランプラーの攻撃に劣る。だが数を減らせばその分避けて接近が容易になる。
【かみつく】
【おんねんのほのお】
あと一歩というところでベトベターの口の中に炎球が出現する。至近距離での爆発はベトベターを引き離すものの特防の高さに阻まれ大きなダメージには至っていない。
【おんねんのほのお】
追撃の【おんねんのほのお】がベトベターに飛来する。全方位を囲うように放たれた火の玉は直撃するかと思われたが爆発が晴れた時、既にそこにベトベターは居ない。地面に潜っている。【とける】を重ねて粘性を極限まで下げた今のベトベターは正に意志を持った水。地面に染み込み体を広げ、やがてえげつない事をするように育成した。
【どくガス】
ゲームセットだ。
フィールドの地面から紫色の気体が発生する。宙に浮いているランプラーにまで及ぶのは時間がかかるが、まぁ時間の問題だ。
「ッ!手当り次第に撃て!相手は全面に染み込んでる!」
【おんねんのほのお】
ベトベターからこれ以上仕掛けることは出来ない。実はこの芸当、ベトベターへの負担も大きいのだ。何せ気を抜いたら、粘性を失った体はバラバラになる。だからといって死ぬ訳では無いのだが戦闘力が大きく低下することに変わりは無い。この状態の利点は何より攻撃を受けにくいということ。そもそも地面の中にまで攻撃届かせることは難しい上に、当たっても薄く広げた体の一部だ。ダメージは少ない。欠点は攻撃性がほぼ皆無だということ。そして地面にまで届き、尚且つ体全体にダメージを与える。要するに地面にめっぽう弱くなる。だが今は特に問題にはならない!
バリアが張られているフィールド内にどくガスが満ちていく。こうもシステム的なフィールドを実感することも珍しいが紫の気体はまるで四角い容器に溜まる液体の様にランプラーを上へ上へと追い込む。フィールドに上方向の上限は基本無いが無限という訳でもない。やがてランプラーはどくガスを振り払いながら地面を攻撃する方針に切りかえたようだが振り払った所で入ってくるのはどくガスだ。ランプラーは長くは持たないだろう。
そして数分後、健闘虚しくどくガスに侵食されたランプラーが地面へと落ちた。
「ランプラー、戦闘不能!ベトベターの勝ち!」
ラスト一体。
ベトベターが書いててえげつねぇと思うけどまぁ上級トレーナーのポケモン達はあんな小細工無しに毒に対抗するよう鍛えてますから。どくガス戦法はハマれば強いですがそうなる前にベトベターを地面から追い出すレベルのダメージを与えれば行けます。そもそも自発的に【おんねんのほのお】をぶつけ合えば爆発がどくガスを上に追い払うのでランプラーは手数が足りなかった。