さて、先程から二つの理由で難易度が上がっている。
1つ、奴が【すなかけ】を使うようになったこと。これはマジでやばい。今までは事前に相手の技のエフェクトを確認することで技範囲を特定し避けていた。
助走時からエフェクトを纏っていれば【たいあたり】
近づいてきてから腕にエフェクトが出れば【おいうち】
頭なら【ずつき】か【かみつく】
要するにエフェクトを見ることが回避の最低条件。それを隠す【すなかけ】のせいでかなり回避が面倒におっとこっち来た。
【すなかけ】
「だぁぁあぁぁ今度はなんだ!?」
とりあえずヒトカゲを抱えて体勢を低くして走る。殺気!
「あっっっぶねぇぇぇえええ!」
なにか嫌な感じがして止まったらこれかよ!目の前を通過した【おいうち】に冷や汗を流しつつ
「くっそ回りこめねぇ...!」
「もっと立ち回り考えなさいよ!」
「あぁ!?そっちこそちゃんとサポートしやがれ!」
「今喧嘩してる場合か!」
2つ目がこれだ。ルダンの案を実行するためにはルダンをデカグースの背後に回り込ませなきゃ行けないのだがこいつやはり立ち回りが上手い。自然の中じゃ多対一なんてザラなんだろう、こっちが思うように動けない。
ならどうする?決まっている。隙がないなら作るだけ!
「ルダンソティア!左から回れ!こっちは右から撃つ!合わせろ!」
「「りょ!」」
1文字だが実に信用できる言葉を耳に、デカグースの右側に回り込み温存しておいた音玉を
「撃て!」
─────パパン!!!!!
耳に直撃!左右から爆音をもろに浴びたデカグースが耳だと思われる場所を抑えてバランスを崩して
「背面ガラ空き!くらえ!」
後ろに回り込んだルダンが紅白のボールをデカグースに投げる。
そう、あの野郎案の定持っていやがった。子供は買えないから多分どっかで拾ったんだろう。そしてキャンプ中に良い奴がいたら捕まえようとか思ってたんだろう。
まぁルダンも俺達もこれで捕まるなんて思っちゃいない。奴が内部でちょっとでも暴れればすぐに出てくる。だが今奴は爆音をくらってすぐには動けない。そしてボールから1番近いのは...俺か!
「っしゃあ!視界良好!風向き良し!障害物無し!」
イメージは早く投げる野球よりかは遠くに投げる競技。前世にオリンピックダイジェストでちょっとだけ見たあの競技を
「イメージ円盤投げ!ぶっっっとべぇぇぇぇぇぇぇ!!」
その場で2回転からの遠投!狙い通りしっかり遠くまで飛ばされたことを確認し、
「水飲み休憩!どうせすぐ戻ってくる!」
「ゼニガメ大丈夫か?」
「フシギダネ喉乾いた?慌てずゆっくりね」
「もうやってるし...。ヒトカゲは水、は要らない?じゃあちょっと体ほぐしながら休めとけ」
ここでできるだけ回復する!
◓▫▫▫▫▫
デカグースは思考していた。
なんだあれは。
両脇から放たれた玉は先程宙に撃たれたものだろう。
そしてわずかな時間とはいえ自身を拘束した謎の攻撃。
背中になにか当たったと思ったらいつの間にかなにかの中に閉じ込められていた。
ニンゲン。
力は弱く、技も撃てない。しかしその知恵であらゆる脅威を作り出す。
デカグースがまだヤングースで、他とさして変わらなかった頃に群れの仲間から聞いたことを思い出す。
何よりも恐ろしいのは拘束されることではない。
自身の大きさがあの小バエ共よりも小さく、あのニンゲンの手に収まる程度まで小さくなったこと。
巨体というアドバンテージを活かしこの森で生きてきたこのデカグースにとってそれは何よりも恐怖すべきことだった。
もし小さくされた時に踏みつけられたら
もし小さくされた時に噛み砕かれたら
他者にそうしてきたように自分も大きなものに負けるのか?
否!
それは、それだけは断じて認められない!
自身は王。自身は頂点。特別な存在に生まれたからには上に立ち続けなければならない!
もはやあれらを獲物として見ることはしない。
敵として全身全霊で
叩き潰す
◓▫▫▫▫▫
「なーんかやな感じだな」
覚悟決めたみたいな雰囲気出しながらこちらへ戻ってきたデカグースを見て気を引きしめる。
何がやばいって顔だ。今まではなんというか調子こいてる顔だったのが真面目も真面目、真剣勝負の顔つき。
そして、
【ふるいたてる】
とてつもない咆哮と共にやつの体が薄く光で包まれる。ありゃなんかのバフ技か?そういやデカグースって【ふるいたてる】覚えたけどあれわざマシンとかじゃなかった?
てか攻撃あげてもどっちにしろオワタ式なんだから意味ないんだが...
なんだろう。とんでもなく嫌な予感がする。
体勢を低くして恐らく【たいあたり】であろう体勢の奴が何時動いても対処できるよう注視しながら、
【すなかけ】
!?ここで!?でも出てくればいずれすぐ...!?
【でんこうせっか】
「「ッルダン!!」」
速い!どう見ても【たいあたり】の速さじゃない!これまさか【でんこうせっか】か!?今まで使ってなかったろそんなの!
幸いゼニガメが殻に籠って盾になったおかげで木に衝突して気絶程度で住んでいる。
しかしあれを何発もやられたら...
【たいあたり】
「回避ぃぃぃぃ!」
なんで【たいあたり】!?【でんこうせっか】じゃないのか?連発できないのかそれともしないのか、前者と後者ではだいぶ意味が違うが今はそれどころではない。
ルダンが気絶したがそっちにトドメを刺しに行くことはしないようだ。正直さっきとだいぶ戦い方が違うので違和感を感じる。
「【でんこうせっか】撃たないのはエネルギー問題かしら?」
「いやそれは無いだろう。このレベルのポケモンが使わない方がおかしかったんだ。それはそれとして使われたら対処出来ないが」
考えてみれば変な話だった。この世界に技の数の制限は無いのだから【なきごえ】だろうとこいつは使えるはずだ。それなのに今まで【でんこうせっか】を使わなかったのはなんだ?
【すなかけ】
【かみつく】
【たいあたり】
くそっ連発してきやがって。もはやヒトカゲを走らせる暇がない。ヒトカゲを戻して回避に専念する。
【かみつく】
【おいうち】
攻撃に隙間がない。正直ゼニガメがやられたのが痛すぎる。【みずでっぽう】で即席のトラップが作れたんだがそれが出来ない。フシギダネの【つるのムチ】もあるっちゃあるが正直引きちぎられそうな気しかしない。ヒトカゲ?【ひのこ】でどうトラップを作れと。うちのは真っ向勝負がお好きなんだよ。
とりあえずこちらから攻撃をしないのなら開けた場所にいる意味もない。アイコンタクトでソティアと示し合わせて森の中に入る。ルダンとユイナが放置されるがヒトカゲ置いてきたから多分大丈夫だと思う。というか雄叫び上げながら暴れ回るコイツの近くに来たい奴はいないだろう。
【たいあたり】
木を薙ぎ倒しながら突進してくるデカグースにあえて木の影でしゃがむことでやり過ごす。
このまま時間を稼げればいいが...
ちょっと皆様にご報告。
この作品はオリジナル地方を舞台にしていますが私がオリジナルポケモン考えるの面倒臭いという理由でオリポケはいませんが、頭の中から湧き出たアイデアにより世界観がかなり決まり、加えてロンフーシャ編のラスボスが変わったため、一体だけオリポケが出てきます。
苦手な方はご注意ください。
ちなみに元々はなんか悪の組織がフーパを操って色んな伝説ポケモンを出してそれと戦うっていう感じにしようかと思ってました。
冷静に考えたら劇場版とほぼ同じって言う