嗚呼、ここはポケモンの世界   作:後門の熊

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サトシくんがとんでもないこと言って引退してたけど本作ではポケモンマスターの定義は別でやります。(ゴリ押し)


時空を超えて、

 

・・・・・それは突然の出来事だった。

 

いつも通りの日常。親のゾロアークに連れられ、兄弟達と平原を歩いていたゾロア達に、それ(・・)は襲いかかった。

突如、空に出現した謎のヒビ。黒い渦を纏うそれは周囲の物を吸い込み始めた。

余りの出来事に唖然とするゾロア達を親のゾロアークが引っ張り何とか距離を取ろうとするもそれには余りにもヒビが近すぎた。

力の弱く、踏ん張りの効かなかった一匹のゾロアのみを吸い込み、そして他の兄弟たちや親のゾロアークを残して空のヒビは閉じてしまう。

 

連れ去られたゾロアは、一人だった。

 

 

 

ウネウネとグニャる空間と時間の狭間を流される間、一緒に巻き込まれた木々や岩石など、様々な物がゾロアに傷を付ける。身体を丸め、身を守ろうとするも時空間の歪みに沿って飛来するそれらを完全には防げない。

どのくらいそうしていただろうか。体力の限界を迎え、意識を失いそうになったその時、

 

 

再びヒビが開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◓◓◓◓◓▫

 

 

 

ルォーワカシティポケモンセンター。敷地面積の広いこの街には山に近い方と中心部、街の出口付近二箇所の合計四箇所がある。前世では戦闘で傷ついたポケモンの回復などがメインだが、そもそもここはポケモン専門の病院のようなもの。病気などでも利用する為、そこそこ数があったりする。

その内の一つ、山に近い方のポケセンにゾロア(?)を連れてきた俺たちは、窓の向こうから精密検査を受けるゾロアを見守っていた。

 

「大丈夫でしょうか、あの子・・・・・」

 

「さあな。だがジョーイさんも詳しくは分からないけど命に関わるほどではなさそうって言ってたし、それを信じるしかない」

 

ならばそれは専門家に任せるのが一番得策だ。俺は俺に出来ることをすべきだな。

 

「何処に行くんですか?」

 

「博士のとこ。タイプ結晶の提出ついでにあのポケモンのこととか何か知らないか聞いてみる」

 

幸い、この街にはこの地方で最もポケモンに詳しいと言えるような人がいる。

ジョーイさんに許可を貰い撮影したそのポケモンについても、何か知っているかもしれない。

 

 

 

 

 

 

◓◓◓◓◓▫

 

 

 

 

 

「いやー済まない。何も知らないね」

 

「マジっすか」

 

清々しいまでの空振りだな。この人ならと思ったが・・・・・そこまで上手くは行かないか。

 

「というかそのポケモンについてはさっきポケモンセンターから連絡を受けてねー。君が来るまで色々と調べていた所なんだよ」

 

「そうなんすか?すみません邪魔しちゃって」

 

「いやいや。他の研究員たちにも手伝ってもらってるからねー。僕一人抜けたくらいじゃ対して変わらないよ」

 

あははーと笑うニスト博士。だが直後、少し真面目な表情になって言葉を続ける。

 

「だが仮説はある」

 

「というと?」

 

「ポケモンセンターから届いたデータを元に調べた結果、確かに異なる点は見受けられるもあれは紛れもなくゾロアだった。特にゾロア、ゾロアークの固有特性、イリュージョンの仕組みが酷似している」

 

「ってことは・・・・・もしかしてリージョンフォーム?」

 

「流石。理解が早いね。だが残念な事にあの姿のゾロアは現状発見の報告がされていない。未開の地のどこかに生息している可能性はあるけれど、それよりも」

 

ス・・・・・とニスト博士の指が俺を指さす。

 

「え?俺?」

 

「君達が見たという空のヒビ。そちらが問題だ」

 

「あ、そっちか」

 

マジでビックリしたんだが。

 

「話を続けよう。結論から言うと僕の仮説は・・・・・君たちが遭遇した空のヒビ。それは時空間を超えて過去、或いは未来のどこかを繋げるモノだったのではないか、という事だ」

 

いつものにへら笑いを消して少し凍えるような笑みを浮かべた博士が言葉を続ける。

 

「ポケモンは・・・・・というか生き物はその生活環境に応じて姿形を何世代も経て変える事がある。先程君が言ったリージョンフォームがそうだ。だが現状あのゾロアは未発見の姿。ならば現代の環境とは全く異なる環境からの来訪者だと考えられないかい?」

 

「確かに。だがそれは時間を超えたと考えられる理由にはならなくないか?さっき言ったみたいに未開の地のどこかにいるかもしれないじゃないか」

 

そう言いつつも俺にはひとつ心当たりがあった。そしてその心当たりは博士にもあったようだった。

 

「君は実に賢くて話していて気持ちがいいね。さて、君の疑問だが最もだ。というか、時間を超えてきたと言える根拠は今の所無い。が、似た現象ならあるのだよ。それが・・・」

 

ウルトラホール(・・・・・・・)

 

「!!」

 

形は違えど笑みを崩さなかったニスト博士が初めて表情を崩し、驚いた顔をする。

 

「・・・・それを知っているのか」

 

「まあね。噂程度だけど」

 

「全く・・・・本当に賢い子だ。うちの研究員に欲しいよ。君の言った通りだ。アローラで昔から観測されている現象であるウルトラホール。内部に入ったものの証言では恐らくこの時代では無い別の未来の世界に繋がっていたらしい」

 

まあ知ってるの何も行ったことあるからな。ゲームでだけど。USUMでは思いっきり中に入れたからそこがどんなかもある程度知ってるし。アクジキングの場所とかモロ未来だよなあれ。

 

「また、シンオウの神話には時間と空間を操る伝説のポケモンの存在が記されている。あの手の伝説は馬鹿にならないからね。事実の可能性も否定できない」

 

「つまり総合してあなたの仮説は・・・」

 

「ああ。伝説の時間、空間を支配するポケモンに何かあり、時空間が歪んだ拍子に未来又は過去と空間が繋がり、あのゾロアはそこで生息していたポケモンではないか?というものだよ」

 

ニスト博士の言葉に俺は少し考え込む。可能性として今の仮説が最も高いであろうことは確かだ。そして俺には俺しか知りえない情報源、前世の情報がある。

俺が前世でプレイしていたのは剣盾までだ。だが、この世界に来て初めて知った地方というのはかなりある。ここロンフーシャやパルデアなど、新作の気配を漂わせる地方の存在を知った時にはかなり驚いたものだ。そして俺が転生する前、ダイパリメイクの噂もされていたことを考えると、シンオウの伝説二匹に何かしら起こる可能性は濃厚だ。

 

「・・・・・でもそれってさ・・・・」

 

「ああ、現状何も出来ない。あのポケモンを元の場所に返してあげることすらね」

 

「マジかーー」

 

要するにどうしようもない。再発防止も事後処理も、どちらも行うことが出来ないということだ。

 

「取り敢えず僕は他にも文献を当たってみる。シンオウの伝説を調べている人にも連絡とってみてるとこだしねー」

 

シンオウの伝説調べてる人ってチャンピオンでしょ?そう簡単に予定が合うとは思えないし、一先ず連絡待ちか。

 

「じゃ、俺は戻ります」

 

「うん。あのゾロアのケアをお願いするよ。かなり傷だらけだったし、辛い目にあったんだろう。そういうのは僕達研究者より、トレーナーの本分だろう?」

 

「りょーかいです」

 

俺より向いてそうなやつがいるから俺の出る幕なさそうだけどな。

 

 

 

 

 

◓◓◓◓◓▫

 

 

目を開ける。瞬間、眩い光に目が眩み、再び目を閉じる。自然の光しか知らなかったゾロアにとって、人口の光は少し強すぎた。

体を起こそうとして、動かそうとした瞬間に走った痛みにバランスを崩し、地面に倒れる。だが地面に倒れたにしては痛みはなく、それもまたゾロアにとっては初体験だった。

 

「あ!気が付いた!?ジョーイさん!!目を覚ましました!!」

 

「ホントですか!?少し待ってください!今向かいます!!」

 

声の方を向けばニンゲンの女が一人。だがゾロアの記憶の中の人間とは随分違う姿をしていた。

 

「初めまして!私はアキネ。あなた、空から落ちてきたんだよ。覚えてる?」

 

ニンゲン。ゾロアにとっては海の向こうから現れて自分達の住処を荒らす邪魔者だった。だが攻撃をするほどの体力はなく、威嚇の唸り声をあげることしか出来ない。

 

「ウウゥ・・・・・!!!」

 

「あ!そんな!何もしないから!!ホラ!!」

 

アキネはそう言って両手を広げ、何も持っていないことを示す。完全に事情を把握していた訳では無いが、このゾロアが人を恐れていることは分かったためだ。

 

「ね?私は何もしないから。あなたの身体を治してあげたいだけなの」

 

【ひっかく】

 

そのままゆっくりと手を差し伸べたアキネ。だがゾロアは痛む体に鞭打って一撃を繰り出した。いくら弱っているとはいえ、ポケモンの決死の一撃。一瞬、アキネは怯むも・・・・・その手を引くことは無い。

 

「っ!!・・・・・・大丈夫。大丈夫だよ」

 

腕にゾロアの爪が突き刺さったまま、アキネは笑顔を浮かべる。

 

「無理して動かないで。体が痛いんでしょ?」

 

「ウウゥ・・・・・・・!!」

 

「大丈夫。何もしないよ」

 

暫くの静寂の後、そっとゾロアが爪を外し、引っ掻いた傷跡をペロペロと舐める。

 

「ありがとう。優しいんだね」

 

「クゥゥン・・・・」

 

「大丈夫だよ。いきなりで驚いちゃったんだよね」

 

ジョーイさんが到着した頃には、アキネに撫でられ気持ち良さそうに目を細めるゾロアの姿があった。

 

 

 




そろそろ馬鹿三人衆の残り二人も出していきたい。

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