Unbeständige Träume 作:gh0sttimes
深夜。
博麗神社の寝室で目覚めた来夢は呼吸の仕方を忘れたかのように息を切らしていた。
しばらくして、眠っている霊夢を起こさないように台所に向かった。
台所には古びて錆びた包丁が忘れられていて、生ゴミが入っているゴミ箱からは酸っぱいような臭いが漂っていた。
来夢は一瞬吐き出しそうになったが、ぐっと堪え、水を飲んだ。
外から聞こえてくるヒグラシの鳴き声は来夢の小さな心にのしかかっていた岩をほとんど取り除いていった。
そして、最後に残った一欠片の岩を取り除かれると、そこにはもう憂いはなかった。
「ありがとう」
そう呟くと、来夢の頬に涙が流れた。
それは悲しさから来るものではなく、感謝からくるものだった。
「おやすみなさい」
来夢は静かに眠る霊夢の隣で目を閉じた。
そして、眠りにつく前に心の中でこう思った。
『明日も頑張ろう』と。
翌朝、来夢は朝食を作るために早く起きていた。
昨日のうちに米を研いでおいたので竃で炊くだけだった。
次に味噌汁を作ろうとしたが、肝心の出汁を取っていなかったため、冷蔵庫の中に残っていた昆布を取り出して水に浸して戻した。
その間に卵焼きを作り、ご飯を茶碗によそったところで霊夢が起きた。
「おはよう……早いわね」
寝ぼけ眼を擦りながら霊夢が言った。
「おはようございます。朝ごはん作ってるんで待っていてください」
「え?あぁ、うん」
霊夢はまだ完全に目が覚めていないのかぼんやりとした返事をした。
それから数分後、テーブルの上に並べられたのは和食だった。白米に豆腐とわかめの味噌汁、だし巻き玉子にほうれん草のおひたしだ。
「美味しそう……」
霊夢が目を輝かせている間に来夢は手を合わせて食べ始めた。
「いただきます」
来夢に続いて霊夢も「いただきます」と言って箸を手に取った。
「んー!このだし巻き玉子最高!」
口いっぱいにほおばった霊夢が幸せそうな顔をしている。
その顔を見た来夢の顔にも自然と笑みがこぼれてきた。
「ふふっ、喜んでくれて嬉しいです」
「あんたが料理できるなんて知らなかったわ」
「いえ、ほとんど母さんがやっていましたけど少しだけならできました」
「へぇ~」
二人は他愛もない話をしながら食事を楽しみ、気がつくとあっという間に完食していた。
「ごちそうさま。おいしかったわ」
「お粗末様でした。さて、今日は何をしましょうか?」
食器を流し台に置いていた来夢が尋ねた。
「そうねぇ、とりあえず神社の周りを掃除しましょっか」
「はい。分かりました」
こうして、二人は神社の周りの掃除を始めた。
まずは落ち葉などを箒ではき集めてゴミ袋に入れる作業から始めた。
掃いても掃いてもキリがないほどに大量の枯れ葉は二人の手によって集められていった。
「ふう……こんなもんかしらね」
霊夢は額に流れる汗を拭いながら言った。
「そうですね。でもまだ半分くらい残っています」
来夢の言葉を聞いて霊夢は苦笑いを浮かべた。