Unbeständige Träume 作:gh0sttimes
夜。
薄暗く、人気のない居酒屋に霊夢はいた。
霊夢の胃にはアルコールが溜まっていた。
霊夢はお店で一番安いお酒を飲みながら、数ヶ月前に意識を飛ばした。
来夢は数ヶ月経って、か弱い子供よりも一歩進んだように見える。
数ヶ月前まで誰かの保護を受けなければ妖怪に食い殺されるか野垂れ死ぬかしていたかもしれないほど弱っていた。
それが今では家事を十分に手伝うことのできる、しっかりとした男の子に成長していた。
一ヶ月は一ヶ月だ。
しかし、霊夢の中では1年経っているように感じている。
霊夢がこの薄暗い居酒屋に来たのは休みたいわけではなかった。
お酒を飲みながら、過去を追体験したかったのだ。
「美しく、儚いわね・・・ 時の流れは・・・」
霊夢はアルコールに毒されながらも、思いを口にした。
「お客さん。流石に飲みすぎですよ・・・」
「そうね・・・ でも、お酒を飲んでないとやっていられないのよ・・・ いつになったら配備は終わるのかしらねぇ・・・ うう・・・ 頭痛い・・・」
霊夢は水を飲み、頭の痛みを和らげようとした。
しかし、頭の痛さは治らなかった。
しばらくして、霊夢は会計を済ませ、ゆっくりと店を出ていった。
<紅い過去>
夜。
来夢は眠れずに寝間着姿のまま縁側に出ていた。
月明かりが辺りを照らしている。
幻想的な光景だった。
来夢はその景色を見て、ため息をつくと自分の右手を見た。
そこには、傷一つない綺麗な手があった。
「綺麗だなぁ・・・」
来夢は自分の手を月にかざし、その美しさに見惚れた。
すると突然、来夢は背筋が凍るような寒気を感じた。
「ん?」
来夢は後ろを振り返る。
そこには、赤い血に染まった男の子がいた。
来夢はその男の子を知っている。
忘れられるはずがない。
2年前の幻想入りしてくる前の自分だった。
来夢は恐怖に支配され、動けなくなっていた。
そこに寝間着姿の魔理沙が来たことで来夢はようやく崩れ落ちた。
「来夢!どうした!?」
魔理沙は慌てて駆け寄り、来夢を支えた。
「あ、ああ、あ、あ、」
「落ち着け!ゆっくり深呼吸するんだ!」
魔理沙の言葉で少しだけ落ち着きを取り戻した来夢は震える口を動かし始めた。
「こ、ここに・・・ いる・・・」
「え?誰が?」
「ぼ、僕が・・・」
「お前が?」
「 今、僕の目の前に・・・」
しかし、そこには何もいなかった。
「誰もいないぞ?」
「え?・・・」
来夢はもう一度振り返ってみた。
そこには何の姿もなかった。
「疲れてるんじゃないか?早く寝ろよ?」
「うん・・・」
魔理沙はそのまま部屋に戻っていった。
(幻覚・・・?)
来夢は自分に問いかけたが答えは返ってこなかった。
ただ、恐怖だけが残っていた。
朝になり、来夢は目を覚ました。
そして、昨夜のことを思い出し、急いで布団から飛び起きた。
「あれは幻なんかじゃない・・・」
来夢は呟くと、鏡を見に行った。
そこには、見慣れた自分がいた。
来夢はほっとした。
あの時の自分は間違いなく存在していたのだ。
「よかった・・・」
来夢は安堵のため息をついた。
「おはよう!」
その時、後ろから声をかけられ、来夢は驚きながら振り向いた。
「わぁ!!」
来夢は悲鳴を上げてしまった。
そこに立っていたのは、魔理沙だった。
「驚かさないでよ・・・」
「悪い悪い。まぁ、そんなに驚くとは思ってなかったぜ」
「びっくりさせないでよ・・・」
「ごめんな」
魔理沙は謝ると台所に向かった。
「何か飲むか?」
「うーん。お茶ある?」
「わかった」
魔理沙は冷蔵庫を開けるとペットボトルに入ったお茶を取り出してコップに注いだ。
「ほれ」
「ありがとう」
来夢はそれを一気に飲み干すと大きく息をした。
「落ち着いたか?」
「うん。大丈夫だよ」
(魔理沙視点)
私は来夢が飲んだお茶を片付けながら、思考を形成していた。
昨日から来夢の様子がおかしい。
疲れからなのなら問題はないのだが、別の事が原因であるように思える。
「今日は来夢と寝た方が良さそうだな・・・」
私はそう思い、既に来夢が仕事を始めている境内に向かった。