Unbeständige Träume   作:gh0sttimes

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第二十一話 夜

目覚めた来夢は呼吸の仕方を忘れたかのように息を切らしていた。

周りを見渡すと、月明かりに照らされて、幻想的な名もない木々と来夢の隣で眠っている魔理沙がいるだけだった。

名もない木々の中にある、いつも通りの博麗神社である。

暴力を振るう者は見当たらず、見えるわけもなかった。

危険な者がいなくなったのは確かだが、忘れられたわけではなく、忘れられるのは何年も先のことである。

幻想入りする前、来夢はまだ小さくてボロボロな子供であったが、今ではしっかりとした男の子になり、心配してくれる『姉』もいる。

何も出来なかったということは来夢のすべてを犠牲にしたが、今では新天地で新しい生活をしている。

魔理沙を起こさないように慎重に立ち上がると、縁側に向かって歩き、座って限りなく黒に近い空を見上げた。

そこで何度か深呼吸をしていると、目覚めた魔理沙に話しかけられた。

「どうしたんだ? また悪い夢を見たのか?」

魔理沙は来夢の横に座った。

「うん・・・」

魔理沙は来夢を優しく抱きかかえた。

「大丈夫だ・・・ 絶対に守ってやるからな・・・」

「うん・・・」

来夢の目には涙が浮かんでいた。

しばらくして、来夢の口から過呼吸のような嗚咽が漏れ出した。

そんな来夢を魔理沙は強く抱きしめた。

 

秒針が何千回も動いた後、来夢は眠っていた。

「はあ・・・ 私も寝るか・・・」

魔理沙はゆっくりと立ち上がり、来夢を抱きかかえたまま眠るべき場所に入った。

火を消し尽くすのは別の火であり、苦痛を和らげるのは別の苦痛である。

絶望的な悲しみには別の悲しみを持ってくることだ。

人生とは懲役である。

魔理沙はそんなことを思いつつも、眠りについた。

 


 

(来夢視点)

 

翌朝。

僕は目を覚ました。

横を見ると、魔理沙さんがまだ眠っている。

まだ早い時間なので、僕はもう一度眠ることにした。

再び目が覚めると、隣にいたはずの魔理沙さんがいない。

起き上がって辺りを見回すと、朝食の準備をしていた。

「おはようございます」

「おう! 起きたか!」

魔理沙さんの笑顔を見るだけで元気になる気がする。

「僕にも何か手伝わせてよ」

「そうか! じゃあお湯を沸かしてきてくれないか?」

「分かりました!」

台所に入るとお湯を沸かすための場所がある。

そこに移動して、魔法瓶に入っている水を取り出して鍋に入れた。

火をつける前にふと気になって後ろを振り返ると、魔理沙さんがいた。

「あっ! ごめんなさい!!」

謝ると、魔理沙さんは微笑みながら言った。

「気にすんなって! ほらっ! 早くやらないと冷めちまうぞ!」

「はい!」

その後、二人で朝食を作った。

ご飯を食べた後、魔理沙さんが急に真剣な顔になった。

「お前▪▪▪ いや▪▪▪ 来夢くんは過去に何があったの?」

そういう魔理沙さんの口調は今までのような口調ではなく、僕を弟か子供のように見ているような優しい口調だった。

僕は話そうとした。

しかし、喉に石が詰まったような感覚に陥り、声に出すことは出来なかった。

代わりに出てきたのは涙だった。

どんな感情から来たのかは僕には分からない。

しかし、1対の目から流れ出した涙が顔を伝っていく感覚と魔理沙さんに抱き締められる感覚は流れる涙の量を増やしていった。

僕はしばらくの間、魔理沙さんの胸の中で泣いていた。

 

<その子供は器用でもあり、不器用でもあった>

 

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