Unbeständige Träume 作:gh0sttimes
博麗霊花は長いこと意識を手放していたが、意識を取り戻すことができたようだ。
霊花は、目を覚まして部屋を見回した。
何が起こっていたのか?
あれは幻覚だったのか?
霊花は血の気が引くのを感じながら、左の方向に目を向けた。
「お姉ちゃん? 大丈夫?」
すぐ横には心配そうな顔をしている来夢がいた。
「ええ。大丈夫よ・・・」
霊花はベッドから出ると、縁側に出た。
霊花がドアまでたどり着いたのは秒針の乾いたクリック音が数十回鳴り響いてからであった。
頭が痛かったが、今の彼女にとってそのようなことは重要ではなかった。
重要な存在がすぐ近くにいた。
周りでは鳥のさえずりが聞こえては消えていった。
霊花は縁側で隣りに座っていた来夢を膝の上に座らせ、思考を形成していた。
数時間後、霊花は形成した思考を無数の記憶の引き出しの一つに入れると、視線を来夢の頭に落とした。
「あら?」
来夢はいつのまにか眠っていた。
「良く寝る子ね▪▪▪」
霊花はゆっくりと来夢の頭を撫でた。
「お母さん▪▪▪」
そう囁いた来夢の頬には一筋の涙が伝っていった。
この子には母親がいなかったのだろうか?
それとも自分のことを母親だと勘違いしているのだろうか?
どちらにしても、霊花にとってはその問いは重要ではなかった。
ただ、目の前にいる男の子が自分の子供になり得るということだけは確信できた。
来夢の顔を見ると、心の中に暖かいものが流れ込んでくるような感覚を覚えた。
今まで、こんな気持ちになったことはなかった。
それが何なのかわからないが、とても心地の良いものだった。
霊花は来夢の寝息を聞きながら、10年前の霊夢の姿と重ねた。
10年前、霊夢はまだ一人の女の子に過ぎなかった。
10年経って、今では幻想郷の複雑な多角形の角に数えられているが、それでも霊花は霊夢を娘として見続けた。
しかし、別の世界が彼女の頭に浮かんでいた。
もし、霊夢が紅霧異変の解決に失敗していたら?
霊夢にはもう何も任せられなくなっていただろう。
霊花はそんな不穏な映像を記憶のゴミ箱に押し込み、現実世界に戻った。
それからというもの、霊花は毎日のように来夢に会い、そのたびに彼の成長を楽しんだ。
(博麗霊花視点)
二日後、私は再び博麗神社に来た。
「来夢。来たわよー。」
「あっ! 霊花おk・・・ お姉ちゃん!」
そういって、来夢は私に抱きついて来た。
まだ背が低いため、私の腰の辺りに抱きつく形となっている。
霊花は再び、意識を過去に送った。
新しい巫女服を着せた時の霊夢だったが、朝早くに起こしたために寝不足であった。
少なくともそれがその日の私と霊夢の共通点であった。
私が霊夢に新しい巫女服を着せた時、私と霊夢の態度は全く違っていた。
「うーん・・・」
霊夢はよほど眠いのか、小さく欠伸をしていた。
「やっぱり似合うわね。」
私は跡継ぎの巫女服姿を見て、ニコニコしていた。
あの時のことは今日でも鮮明に覚えている。
どんなものよりも輝いていた明るい記憶であった。