Unbeständige Träume 作:gh0sttimes
八雲紫の屋敷。
彼女には2人の式神がいる。
一人目は八雲藍。
化け狐であり、寝ている時間の多い紫に代わって結界の管理をしている。
二人目は八雲緑。
性別は男。
見た目は3歳ぐらいの子供であり、八雲紫の式神であり息子である。
藍と同じく、紫に代わって幻想郷の見回りをしている。
「ただいま! お母さん!」
玄関に元気な子供の声が響いた。
その子供こそが八雲緑だ。
「あら。お帰り。変なことは起きなかった?」
「うーん。霊夢お姉ちゃんの近くに子供がいたよ。」
「その件についてはもう知っているわ。境界は?」
「うん。変なことが起きやすい無縁塚にも言ったけど特に何もなかったよ。」
「そう。なら良かったわ。」
そういうと、紫は2人分のお茶を淹れ、テーブルに置いた。
紫はほとんど寝ていたため、あまり子供の面倒を見てやれなかった。
だからこそ、緑は卒なくこなせるようにならなくてはならなかった。
勿論、幻想郷を管理する賢者の息子であるからそれは求められて当然のことでもあった。
しかし、まだ早すぎたのだ。
紫が考え込んでいるのにも構わず、緑は何やら、大量の資料をまとめていた。
20枚以上にわたる幻想郷の現状についてのレポートである。
普通の子供であればこの量はキャパシティを超えるだろう。
しかし、緑にとっては当たり前のことであった。
5時間ほどでレポートを書き終えた緑はいつの間にか眠っていた。
紫は眠っている緑を布団に寝かせるとレポートを読み始めた。
最初に書かれていたのは人里についてだった。
人里の北西部では小規模な暴動が発生し、数棟の家屋が焼失したようだ。
なお、この暴動は貧困層によるものであった。
次のページには妖怪による殺人事件の統計が詳細に示されていた。
今年の殺人事件の件数は743件。
昨年より15件増えたようだ。
その下にはその資料を見た感想が書かれていた。
しばらくして、その資料を読み終えると紫は布団に入り、眠りについた。
深夜。
緑は眠ることができず、寝間着姿で縁側に座っていた。
鳥の囀りは聞こえず、コオロギが大合唱していた。
普段はうるさいと感じるコオロギの甲高い鳴き声でさえも、今の緑には心地よく感じた。
緑にとって、幻想郷は大切な存在であった。
仕事の都合上というわけではない。
しばらくして、緑が眠っていないことに気がついた紫が寝間着姿で緑の横に座った。
「どうしたの? こんなところにいたら風邪引くわよ?」
「うん・・・」
「何かあったのかしら?」
「別に何も無いよ。」
「そう。でもね、貴方はまだ子供だから無理をしなくてもいいのよ。」
「無理なんかしてないよ。藍さんだって手伝ってくれるし。」