ただのモブで終わる筈だった。   作:食べる辣油

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「?」は後日談扱いでストーリーが進む訳じゃないです。

誤字報告してくださるユーザーの方々、ありがとうございます。



後日談
# 1


 

 いつからだったか、三影がよく家を訪れる様になった。

 

 長期の休みとか、夏休みの合間とか、学校が早く終業した日とか、割と家に出入りする事が多くなってきた。

 

 別に赤の他人じゃないから断る理由もないし、対戦ゲーやったりホラゲーやったり、たまに親父の秘蔵フィルムから映画借りて鑑賞したりするくらいだけど。

 

「入って 大丈夫?」

 

「うん。くつろいでって」

 

 で、今日も遊びに我が家を訪れている。

 

 しかし、今回はただ遊びにきたのではない。

 三影もLBXを買ってもらったと言うので、お互いにどんなものかを見せ合う事が目的だ。

 

 自分の場合は買ってもらったと言うより、共同作業で作ってもらったんだけども。

 

「じゃ、私から」

 

 先に三影が鞄から取り出す。

 機体はアマゾネス。ストライダーフレームでクノイチで有名なサイバーランス社製ではなく、タイニーオービット社が出している女性向けのLBXだ。

 

 最初はナイトフレームを中心に出していたタイニーオービット社だが、まだ手をつけていなかった女性シェアをサイバーランス社のクノイチに掻っ攫われてしまい、負けじと開発された経緯がある。

 

 性能は別段クノイチに劣っているわけでもなく、射撃もこなせて格闘もできるナイトフレームよりな性能でクノイチと差別化を図っている。

 

「アマゾネスか」

 

「最初はクノイチ。でも 扱い辛かった」

 

 やはり難しいみたいだ。

 ゲームだとフレーム載せ替えでパパッと扱えるが、現実はそうもいかないらしい。

 

「悟のは?」

 

「あぁ、ちょっと待って」

 

 クローゼットの中からダンボールを引っ張り出す。

 

 家で作った訳じゃないし、車での移動だからダンボールと中を紙屑の緩衝材に満たして厳重に梱包したから、少し出すのが手間だ。

 

「これ」

 

 我ながら渾身の出来栄えだと自負している。

 

 ツインアイでありながらどのフレームにも属さない顔付きに、ティターンズカラーを意識したブルーの塗装。

 

 頭部のV字アンテナが特徴的ないい機体だ。

 

 武装はまだないけど、ここにバルカン ライフル サーベル。あと追加でバズーカを持てるから今だとかなり重武装の機体になる予定だ。

 

「どこの?」

 

「いや 親父と一緒に造ったんだ。見てみる?」

 

「うん」

 

 物珍しいのか、三影は手に取って裏に表にと観察する。

 

 そういや、ハンドメイドのオリジナル機体って今だとまだ珍しい方だったか。

 

 敵中に虜囚の身でありながらLBX設計して外部に送信したり、爆弾造って脱出したと思ったら悠々と世界大会に我が物顔で参加する世界の敵(山野淳一郎)を除けばだが。

 

 あれ、絶対声でバレるでしょ。

 

「これ ナイトフレーム?」

 

「建前上はナイトフレームだけど、割とブロウラーフレームも使ってるからどっちでもいいんじゃないかな?」

 

 実際問題、大会とか出るとして所持機体の登録の時ってどうするんだと言う問題はある。両方書くのかな?

 

「動かせる?」

 

「うん。出来るけど、装備が出来てからの方がいいかなぁ。見栄え的にもそっちの方が格好いいし」

 

 それに武装なしで屋外で動かしたら拗らせた思春期の少年に腹いせに強奪される可能性もある。

 多分郷田が許さないタイプの不良少年だろう。

 

 紛いなりに空手やってるからなかなか良い勝負が見れそうだし、捨て台詞が「ざまぁないぜ!」だから配役的に似合ってるのが困る。

 

「ま それはそれとして、今日どうする?」

 

「いつもの」

 

「OK。色々取ってくるからちょっと準備してて」

 

「ん」

 

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 

 

 時刻は夕刻。

 ホラー映画はポップコーン片手に薄暗い部屋で見るのが定番だけど、時間感覚が薄れる問題がある。

 

 例に漏れず、時計を確認しなかったせいで日没間近で辺りが暗くなり始めていた。

 

 で、このご時世でも不審者はいるから流石に一人で返す訳にも行かない。

 

 片付けは後回しして付き添いで三影を家まで送っている。

 

「悟」

 

「なに?」

 

「進学しても 来ていい?」

 

「え、うん。構わないよ?」

 

 男女の趣味が変わって本格的に相容れなくなるのが中学生から。それまであやふやだった境界線が一気に表面化される。

 

 今時はLBXで再びあやふやになってはいるものの、やっぱり小学校よりかは交流が薄れていく。

 

「三影が来たいなら別に構わないよ。準備して待ってるから」

 

「…ありがと」

 

 そう言って肩を密着させてくる。

 本当にこの距離の詰め方は卑怯だと思う。中学生のやる事じゃないし、避けたら避けたでそう言う人間だと思われてしまう。

 

 最初から拒否権は与えられていないと言う不平等極まる内容だ。不平等条約だったら速攻解消ものだよ。

 

「なんか買ってく?」

 

「いいの?」

 

「うん」

 

「…じゃあ ココア」

 

 少しの寄り道くらいなら許されるだろと、少し遠回り気味に歩く。

 

 これから起こる出来事に巻き込まれるとこんなゆっくりしてられる時間の方が珍しくなる。

 

 だから今くらいはゆっくりしていたい。

 

「悟」

 

「何?」

 

「これから”ずっと” よろしくね」

 

「うん。よろしくね」

 

 流石にずっとは過言だろうなぁと思いつつ、街灯が照らす歩道を2人で歩く。

 





こう言うのって最新話で投稿した方がいいのか、前の章にぶち込んだ方がいいのか分からないので、有識者の方コメントください(切実)

取り敢えず最新話でぶち込みますけど。
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