あると思います。
(早くドロドロしたの書きたい)
今日はキタジマ模型店に俺と店長である北島小次郎と2人きりだった。
うちのクラスの授業が早く終わり、他クラスと終業時刻がずれ込んだから、いつもより1時間くらい早く終わった。
帰ってもやる事もないし、三影がいないからゲームセンターに行っても別段やることなぞない。なのでバン達が来るまでキタジマに居座ることになった。
店長は気さくでいい人だ。
人当たりもいいし、LBX初心者には手取り足取り教えて、子供達の練習相手もしている。
それのおかげかキタジマ模型店は割と有名な店らしい。品揃えも多いし店長は優しいし、買ってその場で作れたりといたれり尽くせりだ。
問題があるとすれば、たまに惚気話を聞かされるハメになるため、話の振り方には注意が必要だ。
「グラディエーターの整備終わりましたよ」
「ありがとな悟。沙希がいないから、店の事で手一杯で中々手が回せなくってな」
整備したグラディエーターをカウンターの上に置く。
整備といっても、適当に関節部にグリースを塗って、異常がないか動かしたりバッテリーが消耗してないからなど、車で言うところの日常点検とかの程度の軽いものだ。
ただ店長が貸し出しているLBXはグラディエーターだけではない。
ウォーリアー、ムシャ、ブルド、タイタン、クノイチ、アマゾネスに………あとはクイーンやマッドドックとかか。
大体10弱のLBXを貸し出していて、程度の軽い点検でも時間を食われてしまうらしい。
なので俺は整備できて楽しいし、店長は仕事が減って楽ができる。
今の店長と俺の関係はまさにwin-winと言うわけだ。
「よし、悟。手伝ってもらったおフライングでお前に面白いものを見せてやる」
整備した機体をそれぞれ箱に保管して一纏めにして、店の奥へと持っていく。
しばらくして店の奥から店長がカウンターに現れ、少し前に面白いものと言っていたものが手に取られていた。
「これがナイトフレームの新作だ」
カウンターに箱を立てて、表紙をこっちに見せてくれる。
特徴的な頭のトサカやマント、外見から武装まで多分参考にしたのはスパルタのスパルタ兵か、アテネの重装歩兵で間違いない。
「店長、これの名前は?」
「アキレスって名前らしい。ただ、今月のLBXマガジンにこいつのことは載ってないし、業者も違ったんだ。ただ手続き自体はしっかりしててな。多分、忘れてるだけで何処かで発注してたのかもしれん」
そう言って店長は頭に手を当てる。
俺は頭を抱える。
今考えてみると、あの親父バンの周りが見えすぎていないかと少し訝しむ。
囚われの身のくせして、好き勝手データを外部に移送するし、科学者のくせに生身の身のこなしとLBXバトルも強いときた。
そしてこのアキレス。
十中八九、ギリシャ神話「イーリアス」のアキレウス。
これのラテン語読みのアキレスから取っている。
名前のアキレウスも、機体のデザインになったと思われるスパルタ。どっちも巨悪とは言わないが、相手が強大な敵でありそれを撃ち破ってはいる。
まぁどっちも最後は全滅するまで戦うか、勝利目前で死んでいるので、あまり良い名前ではない気もしない訳もない。
ただ、世界大会でアキレスが勝利目前に、エンペラーの自爆に巻き込まれて粉々になると言うのは、アキレウスの神話を知った後だと何処となく納得できる。
「店長、まさか本当に覚えてない?」
「端末から履歴を漁ったんだが、それっぽいのも無くてな。多分ここ最近発注したのじゃ無いかもしれん」
ま、バン達には内緒でな? と言ってアキレスを店の奥へ戻しにいく。
戻って来た店長と一緒に、今度はグリースやドライバーなんかの整備用品のチェックを始める。
アキレスがキタジマに来たのが今日で、店長はその日のうちにバン達にアキレスを見せるつもりだ。
今日、この瞬間からダンボール戦機という一つのストーリーとして、この世界の時間が進んでいく事になる。