ただのモブで終わる筈だった。   作:食べる辣油

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昨日の深夜はすみません(土下座)



#3

 一度離れた学校にまた戻ってきた。

 

 目的はスラム。体育館の裏に続く通路を辿っていくと、スラム方面に向かう下り階段があり、そこをさらに降っていく。

 

 昔の大通りだったか、そこそこ広いコンクリートの道の先に[立ち入り禁止]と書かれた看板とフェンス、雑に施錠されているフェンス扉があった。

 

 何もかもが錆びたり朽ちたりしていて、インドとかバングラディシュのスラムとか、中国の九龍城みたいな空気感が漂う。

 

 行政が開発予定地として残してるのか、厄介者の溜まり場になっていて下手に手が出せないのか、再開発するにしても優先順位が低いのか。

 

 まぁそれらの理由があったとして、中学校の裏にスラムって流石にどうなってんだろうね。

 

「ここがスラム…」

 

「表は静か 中に入れば、無事で戻れない」

 

 三影も郷田がいる場所がスラムだとは分かっているが、スラムの何処にいるかまでは分かっていない。

 

 だからスラムに入る必要があったんですね。

 

 ただ、スラム内に入る前に、一つ聞きたい事がある。

 

「カズ、大丈夫か?」

 

「え?俺か?」

 

 本来なら、学校でカズがバン達と一緒に郷田と戦うかの葛藤があった。

 

 それがないという事は、カズが途中で抜けるかも知れないし、なんならなぁなぁで進んでいる現状に不満を抱いてるかも知れない。

 

 そのための確認だ。

 

「郷田って名前を出した時、少し不安だったろ?」

 

「…あぁ」

 

 カズが頷く。

 

「うん。郷田先輩がうちの学校でなんて呼ばれてるかは…まぁ、知ってるよな」

 

「破壊神 郷田。だろ?」

 

「カズは大丈夫?」

 

「大丈夫…じゃない。けどよ、ここまで来といて逃げるってよ、流石に後味が悪いぜ?」

 

 そう言って手をひらひらさせる。

 

 人数がいる安心感か、来る途中に覚悟完了していたのか、カズは俺たちと共に来る様だった。

 

「じゃ、行くか」

 

 

 

 

 

@_________@_________@

 

 

 

 

 

 フェンス扉の鍵が破壊されてたから、そこからバンを先頭にスラム内に入っていく。

 

 途中途中にいる不良達から視線を集めたが、絡まれる事はなく上層に続く坂道に向かう。その途中で

 

「待ちな!」

 

 こっちを見つけたのか、小道から身長差が激しい2人組が現れる。

 

「ここはあんた達みたいな優等生が入ってくる場所じゃない。ほら、回れ右!」

 

 大声で俺たちにー警告を発してくるが、当然右に回るはずも無く、バン達は身構える。

 

 それを見た少女、矢沢リコが笑う。

 

「へぇ、ここが何処だか分かってんの?」

 

「痛い目を見るだけでごわす」

 

 その後ろで年齢に見合わずデカい、巨漢の少年。亀山テツオが腕組みをして前に出る。

 

「だから来たんだ! 郷田って奴を捜しに!」

 

「郷田って奴、泥棒なのよ!」

 

 バンとアミがスラムに来た理由を述べ、真っ向から対立する。

 

「ヘェ〜、泥棒(ドロボー)ねぇ…」

 

 泥棒という言葉に反応したのか、さらに奥から現れる人影がいた。

 

 使っているLBXに自分を似せたのか。猫背で肌色が悪い少年(年齢詐欺)、鹿野ギンジだ。

 

 リコとテツオに近づきながら、こっちを見定めて

 

「リコ、テツオ。郷田君が言ってたのはこいつらだ。プラスアルファは居るがよ……」

 

 放課後に郷田について聞き回る事がなかったせいか、郷田が事前に追ってくる人間について教えられていたらしい。

 

 なんならリュウもいない。

 まぁ、リュウ自慢のブルドを破壊されないだけマシか。

 

「お前ら、郷田の仲間だな?」

 

「仲間じゃくて、同志でごわす」

 

「一緒みたいなもんだろ…」

 

 俺らに聞こえる程度の声でカズが反論する。

 

「ウチラを知らないんか? ここら辺で自己紹介とか行っちゃう?」

 

 行くでごわす!と意気込むテツオと反対に、あれをやんのか……と乗り方はないギンジ。それを気にしないリコ。

 

 ギンジとテツオが土台になり、リコを担ぎ上げる。

 

「クイーンのリコ!」

 

「ナズーのテツオ!」

 

「マッドドッグのギンジ!」

 

 

『我ら 四天王・郷田三人衆!見参!!』

 

 

 パチパチパチ

 

 手を叩く音が2人分聞こえただけで、通路には彼らの声がしばらく響き渡った後、静寂が訪れた。

 

 隣を見てみれば、バンもアミもカズも、少し引いていた。

 

「だから嫌だったんだよ…」

 

「三影からは聞いてたけど、割と迫力あるな」

 

「でしょ?」

 

 少し引いているバン達と、割と疲れている三人衆をよそに、率直な感想を述べた。

 

 眼前でやられると、割と迫力がある。

 

 テツオが年齢の割に巨漢なのと、愚痴を言いながらもギンジがなんだかんだで参加しているのもあって、チームワークを感じられる。

 

「でももう一度見たいと言われたら…」

 

「一回で 十分」

 

「うん」

 

「そこ! 好き勝手言うんじゃないよ!」

 

 割と小声で話していたつもりが、向こうにダダ漏れだったらしく、リコに突っ込まれた。

 

 体制と心の平静を整えた3人衆が、改めて俺たちの前に立ちはだかる。

 

「ここに入った奴がどうなるのか、思い知らせてやるわ!」

 

 そう言って、三人衆からバトルを挑まれる。

 

 





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