ただのモブで終わる筈だった。   作:食べる辣油

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巷で話題の怪文書を視聴しながら作成したので、変だったら修正するかも




#8

 

 

 ある日の放課後。

 いつも通りの気分で帰宅の準備をする。

 

 結局、親父が何をしたかったかは分からないし、試そうと思った時に限って誰とも会わないと言うね。

 

 わざわざ呼び出す程でもないから、結局Mk-Ⅱを動かす事はないし、なんなら親父が下手やってないか、あの後徹底的に分解整備することになった。

 

「お、悟」

 

「あ、マサルじゃん。どうかしたの?」

 

「なんか女子が呼んでるぞ」

 

 瞬間嫌な予感がしたので直ぐ様扉に向かって走る。が、扉の向こうには壁の様に佇む女子達が、背中には男子達を従えた女子の姿があった。

 

 流石はクラスの殆どが構成員のグループだ。耳が早い上に動きも早かった。

 

「はいはいこっちですよ〜」

 

「ちょ、え? は?」

 

 両腕を拘束され、女子に連行されるがまま椅子に座らされる。

 

 何がそんなに面白いのか、大半の人間がニヤニヤしながらこっちを観察している。そして対面にはこのグループ……と言うより、クラスを仕切る女子が優雅に着席する。

 

「さて、悟くん。なんで君がここに呼ばれたかご存知?」

 

「……さぁ…」

 

 最もらしく困惑して見せたが、「全てバレてるよ」と言わんばかりの澄まし顔から、CCMのある写真を掲示する。

 

 写っていたのは、三影と自分が2人でゲームセンターに入り、出て行く際の写真でだった。

 

「これはどう言うことかな〜?」

 

「え? それは…」

 

「隅におけませんな〜悟く〜ん?」

 

 いつ撮ったのか。画角が変わらないあたり張り込みでもしてたんだろう。

 

「方や大人しくて儚げな女の子、方や何もかもフツーの男の子……何をどうやったら巡り合ったのか」

 

「……なんか、悪口言われた気がする」

 

「そんな事は別にいいのよ。重要なのは……」

 

 対面の女子が席を立ち、自分の隣まで寄ってくる。

 勿論、いくら女子言えど両脇を拘束されると何もできない。あと、突破しても男子達に止められてしまう。

 

 自分の後ろに回り、女子が自分の耳元で小さく囁く。

 

「あんた達、付き合ってんの?」

 

「いや、ぜんぜん」

 

「…へぇ、そう……」

 

 答えを聞いて、対面に戻り着席する。

 そして スゥ… と一呼吸置いて…

 

「嘘付けぇ!!」

 

 怒りをあらわに叫んだ。

 何がいけなかったのか。実際三影とは付き合ってない、仲が親しいだけだ!(言い訳)

 

「あんなイチャイチャして付き合ってないとか恥を知れ恥を!!」

 

「なんでそっちが怒るの?!」

 

「これが怒らずにいられるか!!」

 

 握り拳を振り下ろし、バンと机をひと叩き。

 

 さっきの回答に理解を示せない様な表情だった。

 

 普段は冷静で居てかなり大人しく、クラスのムードメーカー的な立ち位置に居る彼女が、最早普段通りで居る必要もないと言わんばかりに腹を立たせていた。

 

 しょうがないじゃん。中学で恋仲って絶対ヤバいじゃん。下手すりゃ生徒指導だよ。自分はともかく三影にはさせたくないよ。

 

 

 さっさと白状しろ!

 

 そうだそうだ!!

 

 男らしくしろー!

 

 

「あ、自白しなきゃアンタ。私が奪うぞ」

 

「何から!?」

 

 中学一年生で、まだ小学生成分が抜けきっていないのか、おかしな言動を発し始めた。

 

 外野の男子達や女子達まで乗っかってきた。向こうは自白させる気満々で、最早逃げ場がない。

 

 あと血迷ったか、奪うとか言い始めた。

 どうなってるんだこのクラス。最早スラムじゃん、体育館裏のスラムとやってる事変わらないよ。

 

「さ、早く!早く!」

 

 真実を言っても納得してくれないのなら、相手が望んでいる答えを解答するしかない。

 

 明日からクラスの恋バナのネタにされるんだと、腹を括り口を開く。

 

「………悟」

 

 小さく、だけど何故かハッキリ聞こえた。

 

 声のする方を向けば、いつも通りの三影がそこに居た。

 

 

 三影?

 

 いついたんだよ

 

 どうする、来ちゃったよ?

 

 

 流石の本人登場に、周りもどよめく。

 

 それを我関せずと自分のいる方に歩いてくる。野次馬とグループのクラスメイトは次々と退き始め、遂には両脇の女子も知らず知らずに消えていた。

 

「………」

 

「…三影?」

 

 少しの間、さっきまで話していた女子を見つめる。

 

「…」

 

「え! ちょっと?!」

 

 次の瞬間、右手を掴まれ全力疾走。当然切り離すわけにもいかないから、釣られた魚の様に三影に追従して行く。

 

 廊下は走るなとか、

 

 

 

 

 

 

 

@_________@_________@

 

 

 

 

 

 

 校舎から逃げおおせ、気付けば河川敷まで走っていた。

 

 持久走でもあまり芳しくない数字で記録された体力が、露骨に出ていた。息は絶え絶えで、土手の草っ原に寝転ぶ。

 

 三影も流石に疲れたのか、肩で息をしていた。

 

「ふう……三影、ありがとう」

 

 口には出さないものの、頷きで答える。

 

 ここまでくる時、結構な人に見られた。知ってる顔も有れば知らない顔もある。驚いている目もあれば、ただ目に留まっただけ、と言うふうな目もあった。

 

 今思い返すと大分恥ずかしいし、それだけで顔が熱くて仕方がない。

 動いたのもあって、身体が熱いってレベルじゃない。バーニングゴジラの気持ちが少しわかる気がする。

 

「……ねぇ、悟」

 

「…ふぅ……何?」

 

「……ごめん」

 

「いや、うん……仕方ないよ」

 

 三影は謝るけど、もう終わったことだし、別に不満があった訳でもないから、追求はしないし、するつもりもない。

 

 ようやく熱も引いて、息も整え頭も回る様になった時。真っ先に浮かんできたのは三影の手の感触だった。

 

 考えてみれば、周囲からあれだけの距離感で見られてたのに、今の今まで、手すら繋いだ事無かったんだと気付く。

 

「…?」

 

 ボーっと三影を見ていると、不思議そうに見返してくる。

 

「……何でもない」

 

 ちょっと恥ずかしかったので、適当にはぐらかし、体を起こして右手を開いてまじまじと見つめる。

 

 これが俗に言う青春って奴なのかな? と思いつつ、心の中で愚痴って、空を仰ぐ。明日から学校どうしよう。

 

 あれじゃ最早、噂も秘密もあったもんじゃないし、悪い意味では無いにしろ話題にはなるし、教師にも目をつけられるかもしれない。

 

「…まぁ、いっか」

 

 どうせバレてるんだから、何を見繕う必要があるのか。半ば強引に言い聞かせる、やけになった方が気楽だと。

 

「三影、頼まれていい?」

 

「……うん」

 

 いつも通りに過ごす。なにも邪な事なんて無いんだから、考えるだけ無駄なんだ。なら堂々すればいいじゃないか。

 

 いつもの様に、キタジマに遊びに行ったり、適当にほっつき歩いたり、ただ隣にいるだけだったり、たまに食べ歩きしたり、気がすむまでLBXでバトルをしたりする。

 

 それが自分の、三影との日常なのだ。

 

 

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