ガンエボのアリーアクセスに落選しましたが私は元気でした。
「ふぅ……」
家に帰って、自室のベッドににダイブする。
今日は母さんに頼んで干してもらってたから、布団乾燥機をかけた並みにふかふかしてて、そのまま寝たいし実際寝そうになる。
少し前まで、あの喫茶店で明日のことで色々と話していた。
バンは親父の発明品が殺人に使われるのをよしとしない正義感から、アミはバン1人では危険だという仲間思いから、カズは新しいLBXとそれを自分のものにしたい、それと同時に無理難題に近い要求にどうすればと言う気持ちに板挟みにされながら。
三影は………あんまり気にしてなかった。いつもそうだけどどこか浮世離れしてるから、最近何なら驚くんだろと思ったりする。
かと言って、自分もあまり驚く訳でもなかったけど。
急な予定が入ると、次の日に起きれるか不安になって眠れないタイプだから、まだ5時手前だけどこのまま寝ちゃっていいかなと、眠気に体を任せて意識を放り出す。
「だらしない」
「痛ッ」
頬をつねられ、伸びてきた腕を辿って視線を向けると、犯人は何故か部屋にいる三影だった。
……あれ? なんで家に三影が居るの?
「
「あなたのお母さんが 通してくれた」
すんなり通したのが母さんだと聞いて納得しかねるが、事実ここに三影が居ることが結果として残っていた。
うちの防犯は大丈夫かと一瞬心配になった。
眠気も無くなりすっかり覚めたけど、ベッドから動くことはしない。今くらいだらしなくたっていいじゃないかと思ったからだ。
「で、三影はどうしてうちに来たの?」
「単純に 暇」
そう言って自分がいつも使っている作業台の、親父が言うに割といい椅子に腰掛ける。
なにやら工具やMk-Ⅱを見たり、手に取ったりし始めたが、三影だし大事にはならないだろう。
そう思って、三影を尻目に起こした体をまたベットに横になり、天井を見つめる。
「悟はさ。今回のこと どう思ってる?」
「ん〜……と、言うと?」
「今日のこと」
喫茶店で打ち明けられた事実。
国のトップが暗殺されかねない事態、警視庁長官以外の現職の要人が狙撃されるのは半世紀振り、ケネディ大統領暗殺以来の一世紀振りの不名誉な事件が世間のお茶の間に流れることになる。
しかもパレードだ。昔ならただ記者会見して、今後の政府方針を述べて終わりだったけど。財前って人、相当優秀な人物なんだろか。
総理大臣に任命されただけでパレードなんて、ただものじゃないんだろう。
これで暗殺が成功したら、他の組織がやっただの、内閣の中に不満がいるだの、犯人の背後関係が物理的に消されてるとか、警視庁にも犯人がいるとか、今思い立った事の大半が本当の事だから、余計笑えないんだけど。
「あぁ……正直、どうもしないかな。三影はどう思ってる?」
どっちかと言うと、自分よりカズの方が重責背負ってるから、緊張は半端ないはず。
その意味でも自分は気楽な方だ。
ミスは出来ればしたくないけど、しても大丈夫な範囲は広い。ミスした時のことを考えたって気分が落ち着かなくなるだけだって親父も言ってた。
「不安 不満 憂鬱」
三影の口から、今の心境を短くまとめた単語が出てくる。
「……まぁ、うん。原因は分かるけど、一応聞くよ」
「あの2人 胡散臭い」
交友が少なかったのもあったが、基本第三者の事で不満を漏らすことはない三影が、ついに不満を漏らした。
小学生の時は、自分と三影でやりとりが完結していた為に殆どそういった話は聞かなかっただけに、
「隠してる。 それで 私たちを利用してる」
「怪しいと思うのは?」
「オールバック」
即答だよ。
「……檜山さんは?」
「分からない。でも 何か隠してる。アミも 疑ってる」
描写がなかっただけで、この時点でアミからは疑われてたらしい。
散々な評価。これが大人かぁ……
「……まぁ、何とかなるよ。うん」
「悟 何も思わないの?」
「あなたも喋りなさい」という目で問いかけてくる。
「懸念があるなら、終わってからこっちをどうするか。こんな大事に巻き込んでおいて、日雇いみたいに放り出すはずないし……」
山野淳一郎のお墨付き。その上息子でもあるバンを放っておく訳でもなく、ズルズルと引きずられ結果的に最終回に至る。
このまま決まった道だけを進んでくれればありがたい。無駄な心配もせず、ただその時を待つだけだから尚更気が楽になる。
「……不思議だよね。悟」
「そうかな? 三影達が重く見過ぎなだけだと思うよ」
気負いしすぎて成功するなら、世の中に失敗なんて言葉はないしもっと多くの人間が成功してる。
大事なのは平常心、不安と苛立ちは心身共に悪影響しか与えないし、判断力を鈍らせる。でも失敗しないよう常に臆病でいなきゃならない。
以上のような難しい事を理不尽に要求されるのが、社会人なんだ。
「ていうか三影。帰らなくて大丈夫?」
セラピーみたいな事をしてるうちに、時計の針は進んで5時半を差そうとしている。
中学生とは言え、年齢的にも未だに親の庇護下だから、三影の家は知らないが家が家なら所構わず電話越しで怒鳴り散らしてくる。
「大丈夫。今日 泊まるから」
「泊まる?」
三影の言葉に少し引っ掛かる。
最初に出たのは女子内でアミの家。
でも帰るにしたってウチからは遠いし、それに帰りがけにわざわざ泊まりに行くかな?
次点でバン達4人でお泊まり会。
カズもアミもバンも、それぞれ明日に向けて色々頑張ってるので論外。
最後に祖父母の家。
うちの近くに有るとは聞いた事もないし、それなら家の周辺でもっと頻繁に会ってる。
流石に母親が許さないから無理な筈。
「まぁ、気をつけてね」
「? 泊まるのは ここ」
そう言って三影が部屋の床を指差す。
「……え、ウチ?」
「うん」
「親の許可は?」
「してくれた」
「うちの母親は!?」
「いつも仲良くしてた娘ねって」
「それだけ?!」
「うん」
えぇ……
@_________@_________@
女の子っていい匂いするよね。
変態じゃないよ、やましい事なんてないし、自分の良心と親が許さないんだからね。
何食わぬ顔で食卓に並ぶし、母さんはまだしも親父は何も言わないし、当たり前のように自分のベッドに入ってくるしで中々危険な夜だった。
距離感がもはや兄弟姉妹と変わらないくらい近い。
お陰で眠れないし寝違えるしで溜まったもんじゃない。
異性には耐性があった、あったけど適正距離ってもんがあるでしょうよ。あれは無理、近すぎる。否応に意識せざるを得ない。彼女がいなかった身としては刺激が強すぎる。
「ふぁ〜…あっ……」
「大丈夫か悟?」
「うん…まぁ、眠いけど」
同じ遅刻組として、途中で合流したカズが心配してくれるが、気の入らない返事して出せない。
上げられない左肩と派手に立った寝癖、隈はできてないものの、気を抜いたらそのまま瞑ってしまいそうなくらい瞼が重く、眠気も晴れない。
湿布を貼ったからマシになると思うけど、正直立ってるだけでも辛いから座っていたいのが本音。
「これ」
「……ありがと」
三影が渡してくれた缶コーヒーを一気に飲み込む。
慣れてる筈だけど、やっぱり無糖は苦い。苦いけどそれのお陰で瞼の重りが外れて、眠気も治まってくれた。空き缶をゴミ箱に放り込んで、できる限り寝癖も直す。
集合場所は最寄り駅の直ぐ近場、パレードが行われる街道の脇道、そこから入れるビルの裏通路だ。連絡はないけどバンもアミもあそこで待ってる筈。
「……よし。急ぐか」
「あぁ、待たせると悪いしな」
「アミに くどくど言われる」
車列が来るまでまだ時間があるが、芽を摘むなら早い方がいいし、悪性の物なら尚更だ。
ただし怪我はしないように、出来るだけ気をつけたい。無人機のおもちゃとはいえ撃って当たれば大怪我レベルの傷を合わせることが出来る。強化ダンボールが世に出回るまで発売禁止にされるだけあるだけに、当たった時のことを考えると恐怖でしかない。
痛いけど、当たらなければどうって事はない。
気楽に行こう。うまくいかない時に世の中を甘く見過ぎたって、バチなんて当たらない。
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