ただのモブで終わる筈だった。   作:食べる辣油

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コンニチハ(松ぼっくり)

Vガンダムの最初脚本みたいに三影との話書きたいけど話進めないと行けないなぁ……で、気づいたら全然書けてない。

悲しいねバナージ



#13

 

 

「ここがエンジェルスター……」

 

 普段はトラックが往来する搬入口の門は警備員と門によって完全に閉ざされている。

 

 警備は至って普通。検問所もあるが警備員の数も多いとは言えないし、ただ制服を羽織ってる以外に何かを所持しているわけでもない。

 

 監視カメラも一概に多いとは言えず、あくまでも警備員の視覚を補うレベルの配置だった。

 

「で、どうすんだよ。正門から行くって訳にはいかないだろ?」

 

 カズの話は最もだ。

 ただ裏口と言っても従業員用の正門は見当たらないし、エンジェルスターは広い。丁寧に探していたらあっという間に日没になってしまう。

 

 ただ考えてるだけじゃ何事も進まない。こんな時は兎に角手探りで動けば何かしら見つかる……筈。

 

「兎に角探しましょう。何処かに別の入り口があるはずよ」

 

 アミの言葉をはじめに取り敢えず裏口探しへバン一行、自分と三影の二手に分かれる。

 

 近場に従業員の団地があるとは言え、中学生が興味を引くような物があるはずが無い工場近辺。そこを子供がうろつくというのは中々人目を引く。

 

 ただ不審だからと警察に電話する人間は少ないだろう。これが大人数人だったら話は別だったけど。

 

「見つかる?」

 

「非常用の避難経路くらいはあるんじゃないかな。学校にだって備え付けられてるんだし」

 

 裏の顔があるとは言え神谷重工として操業している以上、従業員の安全や施設の保守管理は国が見ている筈だから、避難用出口くらいはある筈だ。

 

 塀とたまにあるフェンスを辿りながら歩くが、そうそう裏口は見つからない。

 

 しばらく進めばただフェンスで仕切られているだけの区画にあたって、裏口どころかほぼ施設から離れた場所に来てしまっていた。

 

「こっちには無さそうだね」

 

「引き返して バン達と合流しよ」

 

「うん……うん?」

 

 流石にないかと引き返そうとした時にCCMに着信が入る。

 着信ランを開けば、避難用通路を見つけたとアミからメールで送られていた。

 

 探す手間が省けたと言いたいけど、割と苦労した身としては分かれなきゃよかったと言う考えがよぎってしまう。

 

「見つかった?」

 

「らしい。急ごう」

 

 CCMを鞄に放り込んで走り出す。

 

 中学生になりたての子供だ。体力は有り余っているしただ走るくらいなら息も上がらない。

 

 ただ走っている最中。少し疑問に思ってしまった事がある。

 

 

 アミに連絡先って教えてたっけ?

 

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 

 

 

「それで、博士とはもう会ったのかね?」

 

 エンジェルスターの中央に位置する中央管理棟、その上層に位置する来賓兼会長室で会話は行われていた。

 

 一方は神谷重工の会長である神谷籐五郎。もう一方はイノベーターの一組織であり黒の部隊の元締めである八神英二。

 

 普段の活動から両者が顔を揃えるのは珍しい事で、その理由は山野淳一郎の説得である。普通の科学者なら脅しても問題ないが、山野淳一郎はそうではなかった。

 

「いえ、これからです」

 

「八神くんだから心配はないと思うが、くれぐれも貞松くんみたいな事はしないでくれたまえよ?」

 

「はい、承知しております」

 

 黒の部隊の他には3つの部隊がある。そのうちの赤の部隊を率いているのが”貞松 四郎”である。

 

 イノベーターの中で、言ってしまえば正規軍の様な役割であるが、彼の性格は1世紀前の軍人の様な高圧的な態度と性格である。

 

 軍人としては他の部隊長や八神も認めるほど優秀ではあるが、反面(まつりごと)や人事、科学者への尋問などの事柄は壊滅的な才能であり、海道義光を持ってして自分の職務を全うせよ(勝手なことするな)と言わしめるレベルである。

 

 神谷重工をアナハイムとするなら、彼は差し詰めイノベーター(ティターンズ)のバスク・オムだろう(暴言)

 

「本当に困ったものだよ。海道先生の部下とは言え、君みたいにキチッと礼節をわきまえてほしいものだ」

 

「彼については先生自ら対処を行いました故、問題ないかと」

 

「そう願ってますよ」

 

 椅子に深く腰を下ろして一旦彼の愚痴は治る。

 

 山野淳一郎が特別扱いではないが、かと言って待遇がいいわけではない。必要以上のものを与えると、気が付けば扉を破壊する程度の爆薬やハッキングツールを作成される為に、下手に優遇するわけにはいかなかった。

 

 下手すれば彼の部下より扱いは下だ。

 具体的には部下達は最低限とは言え、ほぼ不自由ない虜囚生活を送れる環境に居るが彼は監視カメラで24時間監視は当たり前。

 

 何かにつけて制限しないと何処からともなく物を錬成する為、その都度独居房を家宅捜索するなどプライベートは無いに等しい。

 

 差別している訳ではないが、そんな状況の彼に高圧的な軍人が手を出せば余計面倒な事になるのは目に見えていた。

 

 現に、こうした行いが海道義光にとって目障りな存在となり、釘を打たれる結果になったが。

 

「ところで、”探し物”は如何ですか?」

 

「持ち主は判明しております。ただ……」

 

 その後に続く言葉を発しようとした時、神谷藤五郎の端末に急報が入る。

 

「どうしたのかね?」

 

『申し訳ありません、神谷会長。エンジェルスター内に侵入者です』

 

「何?」

 

 普通ではあり得ない事態だ。

 八神の頭に浮かんだのは、最近になって存在が明らかになったイノベーターと相対するある組織だった。

 

『監視カメラの映像を送信します』

 

 映し出された映像には、八神には報告書や部下が持ち帰った資料映像で見慣れた顔が映っていた。

 山野バンとその友人達、そして彼らが扱うLBX達である。

 

「我々は侵入者の対処に向かいます」

 

「いや、君には山野博士の護衛についてもらいたい」

 

 立ち上がる八神を止める。

 エンジェルスターがイノベーターの秘密工廠であり、創設以来から警備は秘密裏に強化され続けていた。

 

 警備能力は高い方だと藤五郎も自負している。

 しかし慢心ではない。対策すべき所は対策してあるし、警備LBXは常に装備的には最新のものに更新されている。

 

 今回は地上の工場までは手が届かない、そう言った部分を突かれた事で発生した事態であり、そこまで焦る必要を藤五郎は感じなかった。

 

「良いのですか?」

 

「どうせ下層には入ってこれませんよ。先ずは博士の移送が先です」

 

 侵入者の監視ができている以上、彼らの行先はこちら側がいくらでも指定できるのだ。

 

 山野淳一郎の居場所さえ相手に悟られなければ、いくらでも巻き返しができる。

 

「当初の移送計画通り、彼を官邸に運んでください」

 

「解りました。では、失礼します」

 

 そう言って八神は来賓室を後にする。

 残った藤五郎は社内回線を開いて侵入者を確認する。

 

「管理室、映像を回せ」

 

 ダクト内に配置していた警備LBX(インビット)の残した映像。

 破壊こそされたが、侵入者の姿をしっかり捉えていた。

 

 クノイチ、アマゾネスと総理暗殺の際確認された新型LBX、そしてアキレス。

 

 イノベーター。いや、海道義光が一番欲しているものが詰め込まれたギリシャの英雄の名を冠したLBX。

 

 しかし、藤五郎はここで気付く。

 アキレスの影に、別のLBXがある事を。

 

 疑問に思った彼は映像を再生する。

 

「これは……」

 

 黒を基調としながらも独特の配色と形状、他のLBXとは何か違うツインアイとフェイス。

 

 何より今までのLBXと違い全体が細く、背中に推進器を背負う独特の設計であり、型式では最新である自社のLBX以上の機動性を発揮していた。

 

 スピードもさることながら、足底部に取り付けてある推進装置によって急な方向転換を可能にし、かつ細身な機体である為こちらの攻撃はまるで当たらない。

 

 極め付けはその火力。

 秘密裏に開発していたレーザーやエネルギー武器。それらとは一線を画す程のものであった。

 

 一瞬、銃口が光ったと思えば映像が途絶え砂嵐が画面を埋め尽くす。

 

 被弾面積を減らし大型のシールドを装備し、背負式の推進装置によって生み出される機動力と運動性能。何処から供給しているか解らず、重装甲を無に等しい価値にした攻撃力。

 

 潜在的な脅威度は、アキレス以上なのだと言う事は藤五郎にも理解できた。

 

 備え付けの通信機器を取り出し、自社の部署に連絡を入れる。

 

「私です………あのLBXを解析してほしいのですが……えぇ、そうそう、あの黒いのです…………えぇ………映像は送ってあるはずです…………そうですね、当面は「角割れ」とでも呼んでおきましょう………えぇ、期待しています」

 

 やる事はやったと椅子から腰を上げ、八神に続いて来賓室を後にする。

 






MkⅡの派生機は好きですか?
私は好きです(隙自語)

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