なんであんな産廃同然な性能なんですかね(DX9)
今頃、海道ジンが颯爽と現れ何食わぬ顔で授業を開始している頃だろう。
なんで予測系なのかは今の体調の悪さのせいだ。
昨日の今日でどこからもらって来たのか、それとも慣れないことをしたせいでストレスが出て来たのか。
解らない原因は置いといて、熱、頭痛、倦怠感、果てしなく動きたくないと程には体調はすぐれない。
結局夜遅くまで外にいたのを母親に怒られたが、この有様だから深く追求はされなかった。そこだけは風邪でも何にでも感謝しておこう。
しかし、今時風邪か。
どう言う原理で風邪になるのかは知ってるけど、それにしたって症状の個人差がひどい気がする。
もうインフルエンザの域だ。
食欲は湧かないし、熱で息苦しい。
おまけに頭を動かすと苦痛のレベルで頭痛が引き起こる。
段々、思考もネガティブよりなってく。
もしかしたら併発で何か別の病気になってるんじゃないかとか、そもそもこれ風邪じゃないんじゃないかとか。
不安だけは次々出て来る。
「はぁ……」
寝たくても寝れない。
でも起きていたくもない。
こんな時、三影が居てくれたら……
……なんか、もう。三影がいる事が当たり前になって来てる気がする。
今更だと思う。
思えば小学五年生、そんな時期からお互いの距離感が壊れていて、それをどうとも思っていなかった。
いや、思わない様にしていた。
そしたら、こっちの感覚が破壊された。
一緒に学校に通っていて、困った時は頼り合って、遊ぶ時は必ず一緒だった。
家に遊びに来ることなんてしょっ中だった。
そのせいか、母親が三影を認知して今じゃほぼ顔パスで通れる様になった。
今じゃ母親が手招きするほどだ。
……いや、一人息子の友達だからってそんなホイホイ家に招いちゃダメでしょ。片付けたってしなきゃいけないのに。
三影に見られたくない事だってあるんだ。
その辺の配慮がうちの親には欠けている気がする。
「…三影」
「呼んだ?」
ん?と思いつつ、扉の方に目をやると雑煮をこさえた三影が居た。
そしてはと考えた。
今日は平日。学校は時間通り8時45分から。
今は10時を回った頃、つまりここに三影はいない筈。
ついに幻覚まで見えて来たららしい。
やっぱり何か良くない病気も併発してるかも。
「……気のせいかな?」
「気のせいじゃない」
「三影がいる気がするんだけど…」
「居るよ?」
「なんで居るの⁉︎」
「悟が心配だったから」
嘘じゃん…本当に目の前に三影が居る…
中学生って、家の事情とか、病気とかが原因以外で学校休むのに結構なハードルの高さだったはずなんだけど……
「授業受けなきゃマズイでしょ⁈」
「いいよ。一日くらい」
「一日って……」
思わず呆けてしまうし、気にせず部屋に入って作業を続ける三影に動揺を禁じ得ない。
もっと言いたい事はあったけど、もう頭が痛すぎて自分の為にも口を紡ぐ。
落ち着いて考えた。
結局、三影は自分が寝込んだせいでここに居る様なものだと。
なら、自分がするべきは三影の行動を非難するんじゃなくて、感謝して受け入れるべきだ。
「……三影」
「なに?」
「ありがと」
「…気にしないで。ほら、あーん」
鳥の雛みたいに口を開けてスプーンを受け入れる。
味は……まぁ、雑煮だから不味いって言う事はない。ほんのり醤油が効いてて卵とニラが入ってる好みの味だった。
腹が膨れたからか、少しマシになった気がする。食欲はなかったけど身体が栄養を求めてたらしい。
だから気付くことができた。
「……三影」
「なに?」
「…似合ってるよ」
普段見ないからこそ新鮮だった。
いつもの様なツインテールじゃなくて一本に纏め上げたポニーテールで、それが思ったより長くて、その姿が綺麗だった。
「……うん、ありがと」
そう言って三影は微笑んで見せた。
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「で? 三影はなんともないのか?」
「悟の介抱してた それだけ」
翌日、三影と一緒にアミ達とキタジマに集まっていた。
母親が三影の家に電話入れてくれたお陰で欠席扱いだったけど、その分俺が叱られる事になった。
理不尽とは言わないけど、そう言うのはせめて親父相手にしてほしいとは思う。
身が持たなくなる。
「で? サトルは平気なの?」
「まぁ、ちょっとぼ〜ッとするけど。概ね」
「あんまり無茶しちゃダメよ?」
「そうするよ」
大人しく椅子に座ってもたれ掛かる。
「そう言えば、悟はアングラビシダスには出るの?」
いよいよ本題に入る。
エンジェルスターで得た、山野淳一郎の居場所を知る条件がアングラビシダスと言う非公式大会での優勝。
ただし、タダでは勝たせてもらえない。
海堂義光秘蔵の養子、海道ジンを投入してあわよくばアキレスを破壊、エターナルサイクラーの設計図を得ると言う所までちゃっかりしている。
そして非公式大会は6日後。
バン達は全員参加、バンを優勝させる為に実力者と当たって潰すのが目的らしい。
「実力が伴ってるなら…」
「三影とやり合えるなら十分だろ?」
それって褒め言葉なのか?それとも煽りか?
カズを訝しんだ。
やり合ったと言うか、練習と言うか。
そもそも一対一で三影に勝ったことなんてほぼ無いし……
「……申請とかは?」
「2日前。で、今回はアルテミスの出場権だから相当集まるらしい」
ルール無用の大会に、大勢集まるプレイヤー達。
大胆な改造もOK。
戦闘の結果、相手の機体を破壊しても罰則はない。
大会主催は檜山ことレックス。故に性格に難ありな人間も居るが、少なくとも難癖付けて揉め事を起こす様な度胸のある奴は居ないはず。
制約がないなら、その環境でMK-Ⅱの性能を最大限発揮させてみたい。
「分かった。参加する」
「私も」
「そう来なくっちゃ!」
三影も参加するらしい。
「…で、そのバンってどうしたの?」
いつもなら3人セットが普通だけど、今日に関してはバンが欠けていた。
アミにもカズにも心当たりがない辺り、どこかで道草を食ってるのか、それとも別の訳があるのか。
「ごめん遅れた!」
噂をすればと言うのも当てになるらしい。
バンが急ぎ足で店内に入って来る。
この分だとただ道草食ってただけみたいだ。
「で、今日もやるのか?」
「あぁ! 店長にも手伝って貰ったんだ。大会まで一日だって無駄にしたくないからさ」
そう言って鞄からアキレスを取り出しす。
あぁ、この分だとあの
せめて半分の大きさならカタログスペックでも納得できたが、容積は取るし同サイズのモーターの方が低燃費だしでセットした後にすぐ取り外すので有名な奴だ。
売却できるなら金にしたいと思うくらいの性能だ。
酒飲んで設定したんじゃないかな?
「で、悟達も大会には出るの?」
「うん。三影と一緒に」
「よろしく」
「あぁ!お互い頑張ろうぜ!!」
バンも来ていよいよ本調子と言うわけか、バン達はすぐ様Dキューブへ移動してバトルを開始する。
ルール無用の大会だ。
どうせなら機体に積めるだけ詰め込んでみるか。
「三影」
「なに?」
「ちょっと手伝って欲しいんだけど、いい?」
「いいよ。何する?」
まずキタジマ店内で目ぼしいフレーム、装備品を探すところから始める事にした。
初戦でお通夜ムードでバトオペしてましたが、逆転勝ちしてるとは思わなかった(Wカップ)