ただのモブで終わる筈だった。   作:食べる辣油

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#16

 

 

「行くよ三影」

 

「ん」

 

 Dキューブに互いの機体を投入する。

 アングラビシダスに向けて3日くらいかけて新しく作った追加武装、その試運転をしてる最中だった。

 

 三影のアマゾネスが近接戦を仕掛けに懐に入ってくる。

 

 バルカンポッドと新しく取り付けた二連装ビームガンを撃ちまくって進路を制限する。

 進路を変えればその先に続けてまた弾幕を形成する。

 

 しかしそれでもアマゾネスは近づいて来る。

 遮蔽物を使って射線を切りつつ、有利な位置へと移動している。

 

 そして大胆な行動に出る。

 手持ちの武器(パルチザン)を投げつけて来た。

 

 付属シールドでそれを防いで、ビームサーベルを抜くとアマゾネスはシールド片手に直ぐそこまで迫って来ていた。

 スパイクシールドで殴りつける気だ。

 

 攻撃を跳ね返す為にブースト全開でタックルを吐く。

 見事にシールドに当たって跳ね返したはいいものの、反動を利用して大きく宙返り。

 また距離を取られてしまう。

 

「駄目かぁ」

 

「動作が重いから 動きが読みやすい」

 

 最初は初代FAみたいに全身を覆う設計だったけど、やっぱり途中で重すぎてバッテリーとスラスターの消耗が激しいのが足枷になって装甲をだいぶ削った。

 

 脚部背面、腕部、バックパック、スラスターの被覆部や胸部の必要ない部分も削って漸く重装備のブルド並みの足回りになった。

 勿論、装甲は削ったせいで当初より打たれ弱い。

 と言っても、ジ・エンペラーみたいな格闘機に殴られない限りは普通に耐えれる性能には仕上げた。

 

 相手が高出力のレーザーでも撃ってこない限りは戦える。

 そうじゃなくても、装甲をパージして無傷のノーマルMK-Ⅱに変身。そのまま疲弊した相手を張り倒す算段でいる。

 

 問題があるとすれば、バルカンポッド以外はFAの付属武装なので、状況によってはGジェネの初代ガンダム宜しくバルカンとサーベルだけで戦う羽目になる。

 

「そんなに違う?」

 

「うん、MK-Ⅱと比べる なら」

 

「あ、じゃ大丈夫だ」

 

 三影レベルが不満を漏らすなら、他を相手にしても不足はない。

 

 性能を追求するに当たって、何処までで妥協しておくか。三影の実力が一種の指標みたいになっている。

 

「……じゃ。続き」

 

 不満げに続きを始める。

 さっきと打って変わって、速度と遮蔽を使って撹乱して来る。

 

 流石に遠慮なく比較するのはマズかったらしい。

 

 攻めがかなり積極的になった。

 正面からじゃなく常に側面や背面で、時間をかけて遠回りかと思えばすぐ近場から現れて一撃を入れて、通り魔の様に過ぎ去っていく。

 

 下手に大振りすると脇に長物が飛んでくるからガードするしかない。かと言って、このままだと嬲り殺しに合う。

 都市マップと言えど開けた場所はある。

 一気にスラを噴かして上昇、多少不恰好でもいいから広場へと機体を墜落させる。

 

 これを見逃す三影ではない。

 必ず硬直を狙って仕掛けに来る。

 

 予測は的中。

 止めを差しに、自慢の得物を両手持ちしたアマゾネスが突っ込んでくる。

 

 お互いの距離は機体一機分。

 この瞬間を待っていたんだー!

 

「かかったぁ‼︎」

 

「ッ⁈」

 

 アマゾネスの足元にビームガン撃ち込めば、流石の三影も足を取られるらしい。

 

 同時にスラを噴かして機体を起き上がらせ、そのまま勢いに乗せてアマゾネスに突っ込んでいく。

 

 ビームガンと左腕のミサイルポッドを向けて勝利を確信したその時、ほぼ同時にアマゾネスのパルチザンが胸元に突き付けられる。

 

 撃てば終わる。

 動けば終わる。向こうもそれは一緒だった。

 

「……引き分け」

 

 お互いに動けない事を悟ってバトルは終了。

 機動力に振り回されっぱなしだった。

 やっぱりノーマルのMK-Ⅱに武装を追加するに留めるか、もしくはいっその事もっと武装とブースター増設してジャズでも鳴らすか。

 

 モーターとバッテリーの性能、もっと上がんないかなぁ。

 

「あぁ、クソッ‼︎」

 

 バトル後の片付けをしていたら、奥の方から聞き慣れた声が響いて来る。

 

 多分郷田だろう。 

 普段表に出ない人間がなんで商店街まで出向いているのか。

 

 そう思ったが、ここ(ゲーセン)に郷田がいるって事は仙道ダイキ絡みのイベントで、バンが大会前に初見殺しに合うイベントだったか。

 

「…郷田先輩?」

 

「珍しい。見に行く?」

 

「ん」

 

 

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁ……」

 

 思った以上に凄惨な状況になっていた。

 両手両足を切り落とされて達磨にされたハカイオーを、ジョーカーが頭を鷲掴みにして吊るしている。

 

 性格から容赦しないって言うのは知ってたが、ここまで来ると猟奇犯の才能があるのかもしれない。

 

「ん?なんだお前ら」

 

 仙道がこっちを認識して話しかけて来る。

 身なりと仕草のせいで半グレにしか見えない。

 絶対職質されてるよ。

 

「友人の知人の叫び声が聞こえたので、気になって覗き見しに来ました」

 

「知人? 郷田(コイツ)のか?」

 

 不良を纏め上げて番長名乗ってる人間に、普通の人間の知人がいたら意外か。

 仙道が興味ありげに見て来る。

 

「…まぁいい。ここは今日から一中の縄張りだ」

 

「…二言はねぇ」

 

 膝を下した郷田が仙道にこうべを垂れる。

 おー。「今日から俺は」とかの世界でしか見ない様な事が目の前で起きて、それを間近で見れるとは思わなかった。

 

 ……でも、人間解らないことだらけだ。

 こんなことしてる仙道が、実は妹にはかなり甘いんだからねぇ……

 

「…おい、なんだその目。やめろ」

 

 生暖かい目と言うのは分かりやすいらしい。

 

「いや、別に? 一中の番長が妹にぞっこんなんて……」

 

「おまッ⁉︎ 何処でそれを…」

 

「一中の女子生徒」

 

「アイツら……!」

 

 どうやら心当たりがあるらしい。

 

「ッ…何が目的だ…!」

 

「いや、何処かで絡まれたら嫌なんで釘刺すって言うか…」

 

「悟、流石に可哀想」

 

「仙道…お前……」

 

「テメェは黙ってろ!」

 

 凄い。

 さっきまでシリアス雰囲気だったのにたった一言でギャグ風味が聞いた空間になった。

 

「リーダー!」

 

 そこへ郷田四天王に連れられたバン達がゲームセンターへ乱入して来る。

 

「仙道先輩?」

 

「……なんだ?」

 

「御愁傷様」

 

「お前ら…!」

 

 三影まで便乗し始めた。

 可哀想に……

 

 





仙道先輩はオモチャ枠
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