決勝の前に準決勝、準決勝の前には準々決勝、準々決勝の前には一定のプレイヤーを振るいにかける前哨戦がある。
7つあるDキューブで一対多形式で6人によるシンプルバトルが3戦、それを勝ち抜いたプレイヤーの準決勝と決勝戦が控えている。
今回の大会、参加母数が多いせいか一対一形式で行うと日を跨ぎ、かと言って参加者分のDキューブも確保できなければスペースもない為、開催自体が難しくなってしまう。
故にバトロワ形式にして、プレイヤーの実力を大胆に振るいに掛け、少しでも負担を減らそうというのだ。
「ヒャアッハァァァァァァァ!」
「死ねぇ!」
「皆死ねばいい‼︎」
「……」
その結果がこのザマだ。
まさか対戦相手が全員こっちに来るとは思わなかった。
肩パッドの主張が激しいチェーンソーウォーリアーとか、妙に凝った釘バット二刀流とグレネード満載のムシャとか、無骨なコンテナミサイルと改造ミニガンで武装した装甲強化型ブルドとか、ほぼ百鬼夜行レベルの絵面だ。
皆隣の誰も攻撃しない。
参加者の全てがMK-Ⅱを血祭りにせんと迫ってくる。
視線すら向けない。むしろお互いが干渉しないように足並み揃えてこっちに向かってくる。
こんなの
ルール無用で結果が予測できない試合と、予め試合の結果を決めて置くのは話が違うだろうが‼︎
「ケツの青いガキにはさっさと帰ってもらうぜぇ!」
「遊び半分でこんなとこからじゃなかったなぁ‼︎」
は?
「遊びでやってるんじゃないんだよぉ‼︎」
眼前のウォーリアーに向かって全力のダッシュ。容赦する事はない。付属シールドをスピードに乗せて相手の胴体に直撃、コアパーツもコアスケルトンも巻き込んで胸部を陥没させる。
新しく取り付けたプロペラントタンクのお陰で、三影のアマゾネスに付いて行けるレベルの加速力を手に入れた。
コイツにタックルされて無事な機体はジ・エンペラーだろうがハカイオーだろうが存在しないだろう。
動かないウォーリアーは意識する必要はない。
さっさと次だ。初心者をいじめる中級者を許していいはずがない。
「馬鹿なッ‼︎」
「は、速い‼︎速いよ⁉︎」
一瞬で沈んだウォーリアーに動揺したグラディエーターが次の標的だ。
当たる武装の全ての火力を叩き込む。
避ける間もなく飛んできたビームとミサイルで穴だらけになった後、コアスケルトン諸共爆散してしまった。
「マルコムが!」
「調子乗ってんじゃねぇぞガキが‼︎」
「お前の様な奴がいるから、戦いが終わらないんだ!消えろ‼︎」
ブルドがアックスの横払いを仕掛けるが、付属シールドと追加装甲で増えた重量を生かしてアックスにタックル。ものの見事にブルドの得物はひしゃげたスクラップになった。
得物がないLBXはただのカカシだ。
ビームサーベル2本でコアスケルトンごと撫で切りして切り捨てる。
この大会のために出力制限を取っ払った。もう触れただけでシールドだろうがウェポンだろうが全て溶断させられる。
「くたばれぇぇぇ!」
オルテガが振り下ろしたハンマーが降ってくる。
少し飛び退けば避けれると踏んでいた。
ここはアングラビシダスだ。ただのハンマーな訳なかった。隠されたギミックが現れ噴射炎と共にハンマーが急加速して降ってきた。
直撃しなかったが、掠れた胸部装甲の一部が剥がれてツインアンテナがひしゃげてしまった。
「甘いんだよぉ!!」
ハンマーを握っている両手を切り落とした後、両脚部も切り落として最後に胸部を力任せにシールドで突き刺す。
機体は死んだが武器はまだ生きている。
ここまで来ても懲りずに近づいてくるズールとグラディエーターへハンマーを投げつける。
推進力が発生しているからか、面白いくらい素直に転がっていくがそれが当たる事はない。
こんなのに当たるのは初心者くらいだ。
だから期待しちゃいない。せいぜい気が逸れるくらいでいい。
ズールは大人しく横へ逃げていくが、グラディエーターは大きくジャンプした。
「歯ァ食いしばれ‼︎」
射程に収まっている武装のほぼ全てを斉射する。
空中にいながら何もできずに攻撃を喰らうしかないグラディエーターは、バラバラに引き裂かれていき、爆発こそしなかったが代わりに
残りはズール一機、苦戦するはずもない。
「て、テメェには情けってもんはねぇのか⁉︎」
「最初からガキ相手に寄ってたかって殴ってきたくせに今更何言ってんだ‼︎ そんな大人、修正してやる!!」
ズールが改造ショットガンを乱射するが、スラグ弾じゃなくてただの散弾だった。
人数がいた時だけ威勢の良い事だ。
散弾なんか撃った所でこのFA MK-Ⅱにダメージなんて入らない。倒したきゃさっきのハンマーでも拾ってくるんだな。
態々試合時間を引き延ばす必要もない。
無様を晒し続けるなら相手の名誉の為にもすぐに叩き潰した方がいいだろう。
「ここから居なくなれぇ!!」
シールドに始まったシールドに終わる。
タックルとは違う。全速力で突っ込みズールのコアにシールドの先端をぶち当てる。
衝突後、ズールは大きく吹き飛ばされてる。
判定回路かCPUが死んだせいか、爆発せずにブレイクオーバーを迎えた。
もちろん胸部は陥没、糸が切れた人形の様に衝撃の影響で関節も機能しなくなったズールはもはやスクラップ同然だった。
試合は終了。
観客は大いに満足したらしく、大きな歓声と共に対戦パネルに
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「怒りに身を任せちゃ駄目。忘れたの?」
戦勝報告をする為に帰ってきた筈なのに、今は三影に正座させられ説教を説かれてしまっている。
何がいけなかったのか。
正攻法とは言わないが、少なくとも全力で挑んだ試合だった。
ルールも破ってないし、なんだったら破ったのは向こうの方だし、こんな風になるなんておかしいですよカテジナさん!
「いや、でも向こうが……」
「挑発にのったら駄目。これも忘れたの?」
何も言い返せない。
なんでかって? 正論しか言ったないからぐうの音も出ないんだよ。
あと反論が浮かんだ所でと言うのもある。
だって練習とか、機体調整に付き合わせたの俺だし。その過程で色々三影に気を付ける点を教示してもらったのにこのザマだ。
「悟。落ち着いて」
「落ち着いてる」
「まだ怒ってるでしょ?」
「……まぁ」
こういう時の三影はどこか見透かしてるんじゃないかって気がしてならない。
それとも思った事が表情に出やすいのか。
どっちにしたって今の俺は三影に無力だ。
「ね、もう忘れよ?」
「……分かった」
三影の言葉を受け入れる。
そう簡単に忘れられはしないが、まぁ一先ず考えない様にするだけでも効果はある。
過去より今と未来に話を向けよう。
「…三影って勝ち残ったの?」
「悟を相手するより 断然楽」
何処か誇らしげなのは置いといて。
さりげなくえげつない事言ってる気がするのは気のせいだろうか。
状況が違うっていうのもあるかもしれない。
俺の場合はターゲットが自分だけに定められていたけど、三影はフリーで動ける時間がある。
クノイチに対抗して開発されただけはあるアマゾネスの機動力で、一対多を一対一にする事は本人曰く難しくないらしい。
それが出来たら苦労したないよ。
出来てるから三影は強いんだけども。
「それより、バン達が待ってる」
そう言って三影が手を差し出す。
「待たせるのも悪いし、行こう」
差し出された手を取って群衆の中を
???
「ジークランサー!死ねぇ!」
なんか違うよなぁ…
Z視聴後
これやな!