ただのモブで終わる筈だった。   作:食べる辣油

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これからもとは言いませんが、どうぞよろしくお願いします。

それはそうとバトオペにナラティブはまだ来ませんかね?



#19

 

 こんにちわ。

 

 前哨戦を超えて準々決勝まで行ったは良かったんです。

 初っ端の対戦相手が海道ジンと言うことに動揺を感じ得ません。どういう事なんでしょうか。

 

 海道がアミと当たった時の試合を見たけど、アレはEXAM(エグザム)HADES(ハデス)積んでると思うんだ。

 それと本人が能力者でしょ。常人以上と言うか妙に感が鋭い。

 

 よっぽど後ろに立たれたくないのか、背後に対する反応は特に速い。

 防御するより攻撃を当てに行って攻撃機会を相手に与えないタイプかと思えば、ある程度攻撃を誘ってから後手からの一撃で一瞬で試合が終わったりと異名に秒殺って付くだけのことはある。

 

 よし、切り替えよう。

 ゲームだとそこそこ強いが途中で急にガバるCPUだっただけに、その実力と真正面からやり合えることに少し喜びを感じた。そう言うことにして自分を励ます。

 

 ここまで来て置いて逃げるなんてことは出来ないんだ。当たって砕けろ。

 

 お互い壇上に立ち合い、キューブ内に自分のLBXを配置する。

 

 司会が耳障りの良い言葉で場を盛り上げて歓声が上がるが、そんな事はどうでも良い。

 

 海道ジンがどう出てくるか。

 それが問題だ。

 

 歓声も落ち着いた頃、バトル開始のカウントダウンが始まる。

 

「……悟」

 

「…はい?」

 

「精々、足掻いて見せて」

 

 侮辱してるのか期待してるのか。

 どちらとも取れる言葉でバトルは始まった。

 

 神谷重工がデクー系統で得た技術と知見を元に持てる技術を投入して開発されたジ・エンペラー。

 CPUもモーターも何から何まで自社製品で、しかもホビー用品としては破格の性能。故にあの動きが出来る。

 

 動き出したエンペラーは速いの一言。

 分類上はナイトフレームだが、素の機動力は雲泥の差だ。パワーもダンチでほぼ全てのLBXを圧倒しうる性能と、海道ジン本人の能力がそれを限界まで引き上げている。

 

 ザク()からガンダム()が生まれた様に、ジ・エンペラーは神谷重工の技術の結晶だろう。

 

 まぁ、だからなんだって話だ。

 足掻けって言ったのは向こうだし、使えるものはなんでも使わなきゃ相手に失礼だ。遠慮なんてする気は毛頭ない。

 

 その場から動かず、ビームサーベルを引き抜き二刀流で迎撃の姿勢を見せる。

 

 機体の細部が見えるくらいまでエンペラーが迫った時、一転してサーベルで地面を薙ぎ払う。

 土煙がエンペラーから視界を奪うが、そんな事お構いなしに突っ込んでくる。

 

 止まるか進路変更でもしてくれれば蜂の巣にしても出来たが、それよか相手の懐まで(はい)って終わらせる魂胆らしい。

 一瞬で距離を詰めてティターニアを振り上げるが、そこにMK-Ⅱはいない。

 

「…後?」

 

 土煙の外からバルカンと付属グレネードが飛んでくる。

 撃ったのは勿論MK-Ⅱ。プロペラントタンク様々だ、全力で強化スラスター吹かせるから移動するのに手間がかからない。

 

 当たりはしなかったが、一旦エンペラーが後退していく。

 距離をとって少しでもこっちに踏み込む姿勢を見せればビームガン、それでも近づくならバルカンと左腕ミサイルポッドで兎に角脚部を執拗に狙う。

 

 効果はあった。

 脚は破壊できずとも、爆風やら足場の崩壊で思う様に移動できないし、思った以上に負担を与えられている。

 

 歩行速度はとてもエンペラーに勝てないが、常時スラスターを噴かせて高速移動状態だから距離は縮まらない。

 向こうもイタチごっこで近づけないと悟ったか、勝手に遠ざかっていく。

 仕切り直しだ。

 

「小細工を…」

 

「正攻法で勝てないんだからこうするでしょ」

 

 相手の土俵で戦う必要はない。

 それは他ならぬ彼女がやってきた事だ。

 

 隙を与えずスピードとパワーで殴りつけて叩き殺す。こっちはそれ以上のスピードと手数ですり潰すまで。

 本当にただそれだけの事だ。

 

「初めてだよ。お祖父様以外に初手を封じられたのは」

 

「そりゃどうも」

 

「でも次はない」

 

 褒められた次にはエンペラーは行動を再開していた。

 

 今度はかりは正面から挑む。

 ティターニアとビームサーベル、双方が其々最大火力の得物を振って攻撃を仕掛ける。

 

 ただし、どっちも致命傷にはならなかった。

 溶断するかと思ったティターニアにビームサーベルが鍔迫り合いを起こしていた。

 

「ビームコーティングか!」

 

 機体の推力任せに押し返し、追撃阻止にビームガンと左腕ミサイルポッドを発射。

 

 当たりはしないが進路妨害にはなった。

 

 しかし、ビームコーティングとは。完全に俺のMK-Ⅱを意識した対策だが、武器に施されてるなら機体も同様と考えた方がいい。

 問題はビームガンでもダメージを与えられる程度なのか、それとも弾き返すレベルの強度なのか。それが問題だ。

 

「面倒な!」

 

 ビームガン抜きの実弾中心にばら撒くが、元々が追撃用かよろけ取り用だから制圧力がない。

 

 だが、武器は兎も角機体に施されたコーティングは精々接触から数秒耐える程度の筈だ。

 

 戦法を変える。

 加速力に物を合わせた一撃離脱の辻斬り。

 

 推進剤も残り少ないが使い切るには丁度いい。

 向かってくるエンペラーに対して急加速、流れる様にサーベルで切りつけたあとは後ろへ流れて再び突入。

 

 2度目の攻撃で背部に攻撃が届いた。

 やっぱり想定通り、あくまで軽減程度のコーティングでダメージが与えられない訳じゃない。ビームが届いた背部はしっかり溶断出来てる。

 

 だが相手も馬鹿じゃない。

 なんたって海道ジンだ、それも人間で頭がとてつも無く切れるタイプの。

 すれ違い様にタンクを殴り潰されてしまった。推進剤の誘爆が怖いからすぐ様投棄し、降ってきたティターニアを振り上げたビームサーベルで弾き返す。

 

「私を擦り潰す気でいる、そうだろ?」

 

「うん。で?」

 

「これで終わらせる」

 

    《アタックファンクション》

     《インパクトカイザー》

 

 ティターニアが輝き出したと思ったら、そのまま振りかぶって地面に叩きつける。

 

 なんと言う事でしょう。

 さっきまでただの平原だった場所から衝撃波と共に岩石と溶岩が飛んで体はありませんか。

 

「嘘!?」

 

「もう遅い!」

 

 初見どっちに回避すればいいか分からない通常ファンクションのインパクトカイザー。威力もあるし範囲も広いので愛用していた。

 

 ただし自分で味合いたくはなかった。

 咄嗟に防御姿勢(アクティブガード)を取るが、濁流と爆炎に飲み込まれて機体HPが丸々減っていく。夏場のガリガリ君並みに削れていく様はとても心臓に悪い。

 

 機体本体は装甲が守ってくれるが、付属装備はほとんどがお釈迦になっているのがCCMの表記から見て取れる。グレネードの砲身は廃材の鉄パイプ並みに折れ曲がって、ビームガンはいつのまにか手元から離れてるし、バルカンポッドは発射機構ごと焼き切れてただの固形物になってしまった。

 

 煙が晴れて愛機の存在が明るみになる。

 ボロボロと言って差し支えなく、素人目で見てももう戦闘が継続できる様な状態ではない。

 

「これで終わり」

 

 止めを刺しにエンペラーが近づく。

 

「いや? まだまだこれからよ」

 

 ガンダムシリーズのフルアーマーは殆どが外装パーツ。故にパーツが破損したら足枷でしかない。じゃあどうするか? 破損パーツをパージする、所謂ポイ捨てだ。

 

 排気音と共に熱で爛れた装甲や装備が落ちていく。

 近付いてきたエンペラーに勢い任せにビームサーベルを振り下ろす。まぁ当たる訳もなく難なく避けてエンペラーは後ろへ後退していく。

 

「…本当に、良く足掻く」

 

 あ、因みにフルアーマーとノーマルじゃHP管理が別途に存在するので今のMK-ⅡはフルHPです。

 

 軍事技術詰め込んだ機体が目の前に居るんだからこれくらいは多めに見ろよ。いや、駄目だわ。檜山が大会運営側だからどうにも出来んわ。

 

「じゃあ、後ちょっとだけ付き合ってもらうぞ」

 

 





あとギレンの野望の新作待ってます(届かぬ想い)
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